2026/06/18|800文字
ちょっとしたサボりで会社が損害賠償を請求するのは、通常は認められません。
労働者が勤務時間中に多少サボったとしても、それだけで会社が正式に損害賠償を請求できるケースは極めて限定的です。
なぜなら、労働契約は「労働力の提供」を約束するものであって、成果を保証する契約ではないため、労働者のミスや不注意に対する損害賠償は、法律上とても厳しく制限されているからです。
1 会社が損害賠償を請求できるのはどんな場合か
労働者に損害賠償を求めるには、次の4つがすべて必要です。
①労働者に故意(わざと)または重大な過失(非常に大きなミス)がある
②会社に実害が発生している
③その損害が労働者の行為によって発生したと証明できる
④損害額が客観的に算定できる
「ちょっとサボった」程度では、①の「重大な過失」にも当たりませんし、②③④を会社が立証するのも非常に困難です。
2 サボりに対して会社ができるのは通常「懲戒」まで
勤務態度が悪い場合、会社が取り得るのは一般的に注意・指導、懲戒処分(戒告・けん責・始末書の提出など)
しかし、懲戒処分にも就業規則に根拠が必要で、重すぎると無効になります。
損害賠償のような「金銭請求」は、懲戒よりもはるかに重い措置であり、通常のサボりでは到底認められません。
3 損害賠償が認められた例は本当に特殊
裁判で労働者の賠償責任が認められたのは、例えば次のようなケースです。
・故意に会社の機械を壊した
・飲酒運転で会社の車を大破させた
・横領・着服などの犯罪行為
いずれも「サボり」とは全く別次元の行為です。
4 会社の対応は適切なのか
「勤務中に少しサボった」から「損害賠償請求」という流れは、一般的な労働法の考え方からするとかなり無理のある主張です。
会社が本気で請求するなら、どんな損害が、いくら発生し、それがサボりとどう因果関係があるのかを説明する必要があります。
これを会社が立証できるケースはほぼありません。