2026/06/05|1,277文字
セクシュアルハラスメントは、男女雇用機会均等法第11条の2に基づき、企業に防止措置義務が課されています。
被害者には、法律上・判例上、次のような権利が認められています。
- 【安全配慮義務に基づく権利】安全に働く権利
企業には、労働契約法第5条に基づき、労働者の心身の安全を確保する義務があります。
セクハラは、被害者の心身に重大な影響を与えるため、被害者は次の権利を持ちます。
・加害行為の停止を求める権利
・安全に働ける環境への配置転換・席替え等の調整を求める権利
・加害者との接触回避措置を求める権利
※被害者の配置転換は「不利益変更」にならないよう、本人の意向を尊重することが必須です。
- 【相談・申告する権利】会社に申し出る権利
均等法第11条の2により、企業は相談窓口の設置が義務化されています。
被害者には次の権利があります。
・会社に相談・申告する権利
・相談内容が適切に取り扱われる権利(秘密保持)
・相談したことを理由に不利益取扱いを受けない権利
▶ 不利益取扱いの例
降格、配置転換、評価引下げ、退職強要、シフト削減など。
これらは均等法違反となり、行政指導の対象になりえます。
- 【調査を受ける権利】適正な調査を求める権利
被害者は、企業に対して次のような調査を求める権利があります。
・迅速な調査を求める権利
・公正・中立な調査を求める権利
・プライバシー保護を求める権利
調査では、被害者の心理的負担を軽減するため、次のようなことが求められます。
・同性担当者の配置
・面談時間の配慮
・事実確認の範囲を必要最小限にする
- 【損害賠償請求権】民事上の権利
セクハラは、民法第709条の不法行為に該当し、被害者は次の請求が可能です。
・慰謝料請求(加害者・会社双方に可能)
・治療費・休業損害の請求
・弁護士費用相当額の請求
会社が責任を負うケース
・使用者責任(民法第715条)
・安全配慮義務違反(労契法第5条)
・相談後の不適切対応による二次被害
▶ 判例では、会社の対応が不十分な場合、加害者より会社の方が高額の賠償責任を負う例も多いです。
- 【労災申請の権利】精神障害の労災補償
セクハラによる精神障害は、労災の対象です。
被害者は次の権利を持ちます。
・労災申請を行う権利(会社の同意は不要)
・会社が申請を妨害しない権利
・必要な診断書等の取得支援を受ける権利
厚労省の認定基準では、次のようなことは「強い心理的負荷」と評価されやすいです。
・執拗な性的言動
・断っても続く誘い
・身体的接触
- 【刑事手続の権利】被害届・告訴の権利
行為の内容によっては、刑法に触れる場合があります。
・不同意わいせつ
・迷惑防止条例違反
・名誉毀損・侮辱
・ストーカー規制法違反
被害者は、警察に相談・被害届提出・告訴する権利を持ちます。
会社はこれを妨げてはならず、むしろ必要に応じて支援する立場です。
- 【働き続ける権利・退職する権利】選択の自由
被害者は、次のいずれも選択できます。
・安全な環境で働き続ける権利
・退職を選ぶ権利(退職強要は違法)
退職を選ぶ場合でも、会社には適切な対応が求められます。
・退職勧奨の禁止
・有給消化の配慮
・離職票の適切な記載