2026/06/04|1,147文字
結論として、年金事務所が労働者名簿を確認するのは、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入状況が正しいかをチェックするためです。
労働基準監督署のように「労働基準法第107条の労働者名簿の整備状況」を調べるのではなく、社会保険の適用漏れがないかを確認するための補助資料として名簿を確認するという位置づけです。
年金事務所の調査は、3〜5年に1度程度行われる「社会保険調査」の一環であり、次のことを確認するために実施されます。
・加入すべき従業員が加入しているか
・標準報酬月額や賞与の届出が正しいか
・資格取得・喪失の届出が適正か
- 【調査の目的】なぜ労働者名簿を見るのか
年金事務所が労働者名簿を確認する主な目的は次のとおりです。
・社会保険の加入漏れを把握するため
パート・アルバイトを含む全従業員の在籍状況を確認し、加入要件を満たす者が未加入になっていないかをチェックします。
・資格取得日・喪失日の整合性を確認するため
名簿の入社日・退職日と、届出書類の資格取得日・喪失日が一致しているかを確認します。
・賃金台帳・出勤簿との突合のため
名簿の情報を基に、賃金台帳・出勤簿と照合し、標準報酬月額や加入要件の判断に誤りがないかを確認します。
▶ ポイント
年金事務所は「名簿そのものの法定記載事項」をチェックするのではなく、社会保険の適用判断に必要な基礎情報として名簿を確認するという位置づけです。
- 【調査の流れ】実際には何が行われるのか
年金事務所の調査は、以下の流れで進みます。
① 調査通知の受領(2〜4週間前)
「社会保険事務の適正化に関するご案内」などの文書が届き、当日準備すべき書類として労働者名簿も指定されます。
② 書類準備
名簿のほか、次の書類を準備します。
・賃金台帳(2年分)
・出勤簿・タイムカード(2年分)
・雇用契約書
・就業規則
・賞与支払届・算定基礎届・月額変更届の控え など
③ 調査当日
調査官が来社し、名簿の情報と年金事務所のデータを照合します。
通常は1〜2時間程度で終了します。
④ 結果通知・是正
加入漏れや届出誤りがあれば、文書指導・是正指導が行われます。
誤りがあった場合、最大2年分の保険料が遡及徴収されることがあります。
- 【名簿で特に確認されるポイント】
年金事務所が労働者名簿で特に確認するのは次の点です。
・加入要件を満たすパート・アルバイトの有無
・週30時間以上、または2024年10月以降は従業員51人以上の企業で週20時間以上等の要件を満たす者が加入しているか。
・入社日と資格取得日の一致
・退職日と資格喪失日の一致(退職翌日喪失)
・役員の在籍状況と報酬の有無
・短時間労働者の勤務実態(契約と実態の乖離)
▶ 名簿の不備そのものが問題になるのではなく、名簿を基に社会保険の適用状況を確認することが目的です。