2026/05/01|1,020文字
店長であっても、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない限り、残業代(割増賃金)の支払義務があります。
肩書が店長であることだけでは、残業代を払わなくてよい理由にはなりません。
<法的根拠>
労基法第41条第2号の「管理監督者」に該当する場合のみ、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となり、残業代の支払義務がなくなります。
ただし、適用除外となるのはあくまで「時間外・休日労働の割増賃金部分」であり、深夜割増(22時〜5時)は管理監督者でも必ず支払う必要があります。
<管理監督者の判断基準(裁判例・通達)>
管理監督者かどうかは肩書ではなく、実態で判断されます。
主に次の3点が重要です。
① 経営者と一体的な立場か
・店舗運営の重要事項を決定できる
・人事(採用・評価・シフト決定)に実質的な権限がある
・売上・利益責任を負っている
② 労働時間の裁量があるか
・出退勤を自分で決められる
・長時間労働でも会社が把握・管理していない
・シフトを自ら調整できる
③ 役職手当が責任に見合う水準か
・一般社員と比べて明確に高い給与
・時間外手当を含めた一般社員の賃金を下回らない
<実務上の典型例>
- 残業代が不要となる可能性がある店長像
・店舗の採用・評価・シフト決定を任されている
・店舗の売上責任を負い、経営判断に近い裁量がある
・出退勤を自分で決められる
・役職手当が高額で、一般社員に逆転されない明確に高い給与
- 残業代が必要となる典型的な店長像
・実質的には「名ばかり店長」
・シフトは本部が決める
・採用権限がない
・出退勤は厳格に管理されている
・役職手当が1〜2万円程度で、一般社員と給与がほぼ同じ
・実務の大半が現場作業
この場合、残業代を支払わないと違法となり、過去3年分の未払いリスクが発生します。
<リスクと対応策>
- リスク
・過去3年分の未払残業代請求
・付加金(最大2倍)
・労基署からの是正勧告
・退職者からの個別労働紛争
- 対応策
1.店長の実態をヒアリングし、管理監督者に該当するかを精査する
2.該当しない場合は、残業代を支払う運用に変更する
3.役職手当の見直し・職務権限の明確化
4.就業規則の管理監督者規定の整備
<実務の視点から>
店長であっても、実態として管理監督者に該当しない限り、残業代の支払義務があります。
肩書のみで適用除外とすることはできず、権限・裁量・賃金水準などを総合的に判断する必要があります。
店長職の実態を確認したうえで、必要に応じて運用や役職手当の見直しを検討します。