2026/04/30|1,128文字
勤務中に自動車を交替で運転する場合、運転していない時間を「休憩時間」と扱うことは、原則としてできません。
運転していない間も、業務から完全に解放されてはいないため、労働時間に該当するためです。
<労働時間とは>
労働基準法上の労働時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています(判例・通達)。
運転していない間であっても、以下のような状態であれば指揮命令下にあると判断されます。
・次に運転を交代するタイミングを待っている
・同乗者として業務上の注意義務(安全確認など)がある
・目的地到着まで降車できない
・会社の指示で同行している
これらは「自由に過ごせる状態」ではないため、労働時間と評価されます。
<休憩時間とは>
休憩時間は「労働から完全に解放され自由に利用できる時間」である必要があります(労基法第34条)。
車内で待機している時間は、次の状態であるため、自由に利用できず、休憩時間には該当しません。
・外出の自由がない
・会社の指示に従う必要がある
・交代運転のため拘束されている
<行政解釈・判例に基づく実務判断>
厚生労働省の通達や裁判例では、以下のように整理されています。
・移動中の同乗時間は、原則として労働時間
・運転交代待ちの時間も労働時間
・休憩とするには「業務からの完全な解放」が必要
・車内待機は通常「休憩」と認められない
特に運送業の行政指導では、「同乗時間=労働時間」が一貫した扱いです。
<例外的に休憩時間として扱えるケース>
以下の条件を満たす場合には、休憩時間と認められる可能性があります。
・交代運転の義務がない
・車両から自由に離れられる
・私用に使ってよいと明確に認められている
・休憩時間として会社が明示し、実態も伴っている
しかし実務上は、交替運転の場面でこれらを満たすことはほぼ不可能です。
<休憩扱いにした場合の問題点>
・未払残業として請求される可能性
・労基署から是正勧告
・労働時間管理の不備として安全配慮義務違反を問われる可能性
・交通事故発生時に「過労運転」と評価されるリスク
特に交通業務は安全配慮義務が重く、労働時間の過少申告は重大なリスクになります。
<実務の視点から>
交替で運転する場合、運転していない時間は原則として労働時間に該当します。
休憩時間とするためには、労働者が業務から完全に解放され、自由に利用できる状態である必要がありますが、交代運転の待機中は指揮命令下にあるため、休憩とは認められません。
休憩時間を確保する場合は、車両を停めて自由に過ごせる時間を設定するなど、実態として休憩と認められる環境を整える必要があります。
労働時間管理の誤りは未払い残業や労基署指導につながるため、同乗時間は労働時間として扱う運用を推奨します。