中途採用の解雇は簡単?

2026/03/25|883文字

 

中途採用だから解雇しやすいというのは誤解です。

日本の解雇法理(労契法第16条)は、新卒・中途を区別せず、同じ基準で解雇の有効性を判断します。

ただし実務上は、中途採用の方が解雇が認められやすい場面もあるため、誤解が生じやすいのです。

 

<法律上の解雇基準は変わらない>

労働契約法第16条は、解雇には客観的合理性と社会的相当性が必要と定めており、採用区分による差はありません。

 

<中途の方が解雇が認められやすいことがある理由>

法律が異なるわけではなく、事実関係の違いから、結果として中途採用の方が解雇が認められやすいケースがあります。

① 中途採用は「即戦力」を前提に採用される

企業は中途採用者に対し、一定のスキル、実務経験、自律的な業務遂行能力を期待して採用します。

そのため、期待された能力を労働条件通知書や雇用契約書等に明示していたところ、能力が著しく不足していたという場合、合理的な解雇理由として評価されやすいという傾向があります。

② 試用期間中の判断が中心になる

中途採用者は新卒よりも試用期間が短いことが多く、試用期間中の「適格性欠如」を理由とする本採用拒否が問題となるケースが多いです。

試用期間中は、予め基準を明示しておいた、適格性の判断や能力・勤務態度の評価が客観的に認められやすいため、通常の解雇よりもその正当性が認められやすいという特徴があります。

③ 新卒は「育成前提」であり、企業側の指導義務が重い

新卒採用は、社会経験が乏しい、企業が教育・育成を前提に採用しているという事情があるため、裁判所は企業側の指導・教育義務を重く見ます。

その結果、新卒の能力不足を理由とする解雇は極めて認められにくいという実務傾向があります。

 

<中途採用でも簡単に解雇できるわけではない>

中途採用者であっても、以下が不十分な場合は解雇が無効となるリスクがあります。

・業務指導・改善指導の記録

・期待される役割・成果の明確化

・目標設定とフィードバック

・能力不足の具体的事実の蓄積

・配置転換などの回避措置の検討

特に「能力不足」を理由とする解雇は、企業側の立証責任が重く、裁判でも争われやすい領域です。

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