店舗の定休日が増えるとシフトが減る問題

2026/03/03|2,098文字

 

店舗の定休日を増やすと、当然ながら営業日が減り、働ける日数や時間が少なくなります。これは一見すると単純な話に見えますが、実は従業員の生活・会社の運営・労務管理のすべてに影響する重要な問題です。

 

<従業員の収入が減る>

シフト制で働く人の多くは、働いた時間に応じて給料が決まる「時給制」です。

そのため、営業日が減る → シフトに入れる枠が減る → 結果として労働時間が減るという流れで、収入が直接的に下がります。「月に数万円単位で収入が減る」ということも珍しくありません。

 

<生活設計が崩れ、離職につながる>

収入が安定しないと、家計が苦しくなる、生活リズムが乱れる、将来の見通しが立たないといった不安が生まれます。

その結果、「もっと働ける職場に移りたい」という気持ちが強くなり、離職につながるケースが多くあります。

離職が増えると、会社側も新人採用コスト、教育コスト、人手不足によるサービス低下といった負担が増え、悪循環に陥ります。

 

<社会保険の加入条件に影響する>

シフトが減ることで、週の所定労働時間が減ると、社会保険の加入条件を満たさなくなる場合があります。

たとえば、「週20時間以上働くこと」が加入条件の職場では、シフト減により20時間を下回ると、健康保険・厚生年金から外れる可能性があります。

これは従業員にとって大きな不利益となることもあり、保険料、将来の年金額、医療費の自己負担への影響が出ます。

 

<モチベーション低下・職場の雰囲気悪化>

シフトが減ると、「自分は必要とされていないのでは?」という心理が働き、モチベーションが下がります。

さらに、シフトの取り合い、不公平感、不満の蓄積などが起きやすくなり、職場の雰囲気が悪くなります。

これはサービス業にとって致命的で、接客品質の低下 → クレーム増加 → 売上減少という負の連鎖を招きます。

 

<会社側の労務リスクも増える>

シフト減に伴い、契約通り働けていない、説明が不十分、不利益変更ではないかといったトラブルが起きることがあります。

特に、雇用契約書に「週◯時間程度」と明記されている場合、大幅なシフト減は「契約内容の変更」とみなされ、労務トラブルに発展する可能性があります。

 

定休日を増やすことは、売上・人件費・働き方改革など様々な理由で必要になる場合があります。しかし、従業員の収入減や不満、離職、労務トラブルなどのリスクも伴います。

ここでは、そのリスクを最小限に抑えるための実務的な対策をまとめます。

 

<丁寧なコミュニケーション>

最も重要なのは「突然やらない」ことです。

・なぜ定休日を増やすのか(売上状況、人件費、働き方改革など)

・どのような影響があるのか

・会社としてどんな配慮をするのか

これらを丁寧に説明することで、従業員の不安や不満を大きく減らせます。

説明が不十分だと、「勝手に決められた」「収入が減るのに何の説明もない」と不信感が生まれます。

 

<収入減への対策を用意する>

シフト減=収入減は最大のリスクです。

以下のような対策を組み合わせることで、従業員の生活不安を軽減できます。

  • 他店舗・他部署での勤務機会を提供する

グループ店舗がある場合は特に有効です。

  • 新しい業務(清掃・バックヤード作業・SNS更新など)を提供する

短時間でも収入補填につながります。

  • 固定給制度・ミニマム保証制度の導入を検討する

「月○万円は最低保証」など、生活の安定につながります。

 

<社会保険の加入条件を維持できるよう調整する>

シフト減により週20時間を下回ると、健康保険・厚生年金から外れる可能性があります。

これは従業員にとって大きな不利益なので、シフト調整、他業務の追加、勤務時間の見直しなどで加入条件を維持できるよう配慮することが望ましいです。

 

<雇用契約書・就業規則との整合性を確認する>

定休日増加に伴い、実質的に労働時間が減る、契約内容と実態がズレるという状況が起きると、労務トラブルの原因になります。

特に注意すべきは以下の点です。

・雇用契約書に「週◯時間程度」と明記されているか

・シフト削減が「不利益変更」に当たらないか

・就業規則の休日規定と矛盾しないか

必要に応じて、契約内容の見直しや書面での同意が必要になります。

 

<段階的に導入する(急激な変更を避ける)>

いきなり「来月から定休日を増やします」ではなく、試験的に数ヶ月運用する、徐々に定休日を増やす、影響を見ながら調整するといった段階的な導入が効果的です。

従業員の生活への影響を見ながら進めることで、トラブルを避けられます。

 

<従業員の意見を聞く仕組みを作る>

個別面談、アンケート、意見箱など、従業員の声を拾う仕組みを作ることで、「相談できる」「聞いてもらえる」という安心感が生まれます。

不満が溜まる前に吸い上げることが、離職防止にもつながります。

 

<定休日増加のメリットも共有する>

従業員にとってのメリットも伝えると、受け入れやすくなります。

・休日が増えて働きやすくなる

・職場の負担が減り、長期的に安定する

・無理な営業を続けて倒れるリスクを避けられる

「会社の都合」ではなく「みんなのため」という視点を共有することが大切です。

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