2026/03/04|1,251文字
<原則:不必要な健康情報を聞くことはNG>
採用選考では、応募者の能力・適性と関係のない健康情報を聞くことは、厚生労働省のガイドラインで「望ましくない」とされています。
理由はシンプルで、健康状態を理由に不当に不採用にする差別を防ぐためです。
たとえば、以下のような質問は原則として避けるべきとされています。
・「今までに大きな病気をしたことはありますか」
・「通院歴はありますか」
・「持病はありますか」
・「障害がありますか」
これらは業務遂行能力と直接関係がないため、聞くと「健康状態を理由に差別したのでは」と疑われやすくなります。
<例外:業務遂行に必要な範囲であれば質問できる>
とはいえ、どんな仕事でも健康状態を一切聞けないわけではありません。
業務の安全確保や、職務遂行に不可欠な範囲であれば、必要最小限の質問は可能です。
例:質問が許されるケース
・重量物を扱う仕事で「腰痛などで重量物の持ち運びに支障はありませんか」
・夜勤が必須の仕事で「夜勤ができない健康上の制限はありますか」
・運転業務で「運転に支障のある持病はありますか」
ポイントは、「職務に必要な能力・安全性に直接関係するか」に尽きます。
<聞く場合の注意点>
必要な範囲で健康状態を確認する場合でも、次の点に注意することが重要です。
- 質問は「業務に必要な範囲」に限定する
「病名」や「診断内容」まで聞く必要はありません。
「業務に支障があるかどうか」という観点で十分です。
- 回答は本人の自己申告でよい
医師の診断書を求めるのは、原則として内定後に限定すべきです。
選考段階での提出要求は、差別につながりやすいため避けるべきです。
- 障害の有無を直接聞かない
障害者雇用枠で応募している場合を除き、「障害がありますか」という聞き方は不適切です。
必要なのは「業務遂行上の配慮が必要かどうか」です。
<健康診断は「内定後」に実施する>
企業が実施する雇入れ時健康診断は、内定後に行うのが原則です。
選考段階で健康診断を行うと、健康状態を理由に不採用にしたと疑われるリスクが高まります。
内定後の健康診断で問題が見つかった場合も、直ちに内定取消ができるわけではありません。
業務遂行が客観的に困難であることなど、厳格な要件が必要です。
<実務でよくあるトラブル>
・面接で「持病はありますか」と聞いてしまい、応募者から苦情が来る
・健康診断の結果を理由に安易に内定取消をしてしまい、法的リスクが発生
・障害の有無を直接聞いてしまい、差別的取り扱いと受け取られる
これらはすべて、質問の仕方を工夫するだけで防げる問題です。
<実務で使える「適切な質問例」>
次のように聞くと、業務に必要な情報だけを得られ、差別リスクも下がります。
・「この職務では〇kg程度の荷物を持ち運ぶ作業がありますが、問題なく対応できますか」
・「夜勤・シフト勤務がありますが、健康上の理由で難しいことはありますか」
・「業務上、特別な配慮が必要な点があれば教えてください」
病名ではなく、業務遂行上の可否にフォーカスすることがポイントです。