お客様にカスハラをさせないための初期対応

2025/01/01|1,114文字

 

<カスタマーハラスメント>

カスハラはパワハラと異なり、その定義が法定されていません。

厚生労働省の説明によると、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」がカスハラであるとされます。

キーワードは「要求」です。顧客等からのクレーム・言動に何らかの「要求」が含まれていなければ、それはカスハラではないことになります。

なお、「就業環境が害される」というのは、従業員が安心して業務に集中できなくなることや、職場に出勤することに不安や苦痛を感じることです。

 

<カスハラの2類型>

上記の説明によると、カスハラには次の2つの類型があることになります。

・顧客等の要求の内容が的外れで妥当性を欠く場合

・要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合

顧客等の要求の内容が、的外れで妥当性を欠く場合というのは、企業の提供した商品・サービスに落ち度がない場合や、そもそも要求の内容が商品やサービスの内容とは無関係の場合を指します。

要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合というのは、従業員の人権が不当に侵害される場合や、企業に対する要求の内容が過大な場合を指します。

 

<初期段階での適切な対応>

ハラスメント加害者に対する被害者の対応によって、ハラスメントが拡大してしまうことがあります。

また、正当なクレームの申入れをしたお客様への対応によって、カスハラに発展してしまうこともあります。

こうしたことから、特にカスハラでは、初期段階での適切な対応が大切です。

不快感を抱かせたこと、説明不足があったことに対しては、お詫びしても問題ありません。しかし、正確な事実関係が把握できないうちに、安易に非を認め謝罪してしまうと、カスハラを拡大させてしまうことがあります。

お客様の主張する内容と事実関係が確実に把握できてから、会社としての判断に従い、過失の程度に応じた謝罪をします。

お客様の勘違いがあった場合でも、説明不足があったことを謝罪し、正しい情報を提供します。

 

<事前準備>

初期段階で落ち着いて適切な対応ができるようにするためには、統一ルールの設定と訓練が必要です。

社内でカスハラの具体的な判断基準を定め、これを周知し、基準に従った対応ができるように、ロールプレイングを行います。

カスハラを受けてしまうと、事実を時系列で報告することが難しくなります。印象の強いことから、感情的な表現を交えて報告をする場合も多いでしょう。報告を受ける側で、事実関係をまとめて文書化する訓練が必要です。

PAGE TOP