2024/11/02|934文字
<育児・介護休業法の改正>
育児・介護休業法が改正され、令和7年4月1日から段階的に施行されます。
今回は12項目に及ぶ大きな改正で、政府の少子高齢化対策が更に一歩進む形となります。
現在の少子化の進行等の状況や「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、男性の育児休業取得等をはじめとした仕事と育児の両立支援に関する事業主の取組を一層促す必要があるとの観点から、育児休業の取得状況の公表義務が拡大されます。
<公表内容と義務の拡大>
現在は、常時雇用する労働者の数が1,000人超の企業に対し、毎年少なくとも1回、次のいずれかを公表することを義務付けています。
・男性労働者の育児休業等の取得割合
=育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
・男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得割合 =(育児休業等をした男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)の合計数÷配偶者が出産した男性労働者の数 |
令和7(2025)年4月1日以降、こうした育児休業の取得状況の公表が義務付けられる企業の規模が、常時雇用する労働者数1,000人超から300人超に改正されます。〔改正育児・介護休業法第22条の2、改正育児・介護休業法施行規則第71条の6〕
対象企業は施行日以降、公表する日の属する事業年度の直前の事業年度におけるデータを、自社のホームページや厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表する義務があります。
今回の改正では、経過措置として「施行日以後に開始する事業年度」から適用されます。
また、公表時期については、厚生労働省のリーフレットなどで、公表前事業年度終了後おおむね3か月以内に公表と説明されています。
<実務の視点から>
常時雇用する労働者数が300人を大きく下回る企業にとって、さほど影響はないようにも思えます。
しかし、男性労働者の育児休業等の取得状況を公表している企業は、仕事と子育てを両立できる職場に向けて、各種取組みを行っています。
法的義務がなくても、仕事と育児の両立支援に関する事業主の積極的な取組を、自社のホームページなどに公表することで、リクルート面で優位に立てることは間違いないでしょう。