協会けんぽの健康保険料決定のしくみは、かなり特殊で分かりにくいのかもしれません。

2024/05/04|1,217文字

 

<都道府県単位保険料率>

協会けんぽでは、平成30年度から「インセンティブ(報奨金)制度」が導入されています。この制度は、協会けんぽの加入者と事業主の取組に応じて、インセンティブ(報奨金)を付与し、都道府県支部ごとの健康保険料率に反映させるものです。

この仕組みにより、協会けんぽの保険料率は、都道府県ごとの年齢構成や所得水準の差等を調整したうえで、その都道府県の加入者1人当たりの医療費に基づいて算出されています。

なお、令和4年度の取組実績が令和6年度の保険料率に反映されるなど、その年度の取組は翌々年度の保険料率に反映される仕組みとなっています。

このため、健康づくりの取組等で、医療費の伸びを抑えることができれば、保険料率の伸びを抑えることができるかもしれません。

 

<保険料率の基準となる都道府県支部>

保険料率は、会社の所在地(健康保険適用事業所の届出を行っている場所)の属する「協会けんぽ都道府県支部」によって決まります。加入者(被保険者)の住所(居住地)ごとに保険料率が変わるわけではないため注意が必要です。

ちなみに、事業所が別々の都道府県にある場合の取扱いは、次のようになります。

●本社が一括で申請している場合

本社が一括で「協会けんぽ」に申請している場合は、本社が申請している「協会けんぽ都道府県支部の保険料率」となります。

たとえば、本社が東京で事業所が千葉と埼玉にある場合、千葉と埼玉の事業所に勤めている従業員も「協会けんぽ東京支部の保険料率」になります。

●事業所ごとに申請している場合

事業所ごとに申請しているケースでは、事業所ごとに保険料率が異なる場合もあります。

協会けんぽの健康保険証には「保険者名称」欄に「全国健康保険協会○○支部」と記載されています。この支部の保険料率が適用されていることになります。

 

<月々の健康保険料の決定方法>

狭義の社会保険である厚生年金保険、健康保険、介護保険では、原則として年に1回、保険料の基準となる「標準報酬月額」が決定されます。

「標準報酬月額」は、原則として4月から6月までの給与の総支給額の平均を元に決定されます。

この「標準報酬月額」に保険料率を掛けて、保険料が算出されます。

給与支給額に大きな増減がなければ、その年の9月から翌年8月までの各月について、この保険料が適用されます。

しかし「標準報酬月額」が、本来の適用期間であるその年の9月から翌年の8月までの間に、昇給や降給などにより報酬に大幅な変動があったため、実態とかけ離れた状態になった場合には、次回の定時決定を待たずに、随時改定という手続きによって、「標準報酬月額」が変更され保険料が変わります。

<賞与の健康保険料の決定方法>

賞与の健康保険料は、賞与の総支給額の1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に保険料率を掛けて求めます。

支給の際に健康保険料を控除しますので、原則として、賞与が増えれば保険料も増えることになります。

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