カスハラ対応でのパワハラ

2023/04/29|1,058文字

 

<カスハラ対応>

顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為をカスタマーハラスメント(カスハラ)と言います。

不当・悪質なクレームからは、企業と従業員を守る対応が必要です。

パワハラやセクハラの大半は、社内で発生するものですから、その多くは未然に防止することができます。

しかし、カスハラは、関連会社や取引先からのパワハラやセクハラと同様に外部からの攻撃ですから、予防策を講じることが困難です。

そのためカスハラ対策は、これを想定した事前の準備と、起こってしまった場合の善後策を確立することによる対応となります。

 

<お客様第一主義>

カスハラが発生するのは主に接客の局面においてです。

接客業が中心の職場では、お客様第一主義を標榜していることが多いでしょう。

従業員に対して、お客様第一主義に沿った行動をとるように求めることそのものは、法的問題を含むものではありません。

しかし、カスハラ対策が遅れていると、従業員の人格的利益の侵害が放置されかねないのです。

これは、不当・悪質なクレームがあった場合の、企業と従業員を守るための行動基準が確立していないことで起こります。

これでは、企業の安全配慮義務違反を指摘されてしまいます。

 

<カスハラ対応でのパワハラ>

管理職もまたカスハラ対策の教育を受けていない企業では、部下からカスハラについての相談があっても、誤った指示を出してしまうことがあります。

極端な例ですが、上司が部下から「あちらのお客様が土下座しなければ許さないとおっしゃっています。助けてください」と相談されたとします。

上司が「それでは一緒に土下座してお詫びしましょう」ということになれば、明らかにその部下の人格的利益が侵害されてしまいます。

これがカスハラ対応でのパワハラです。

この管理職がパワハラについての教育、またはカスハラについての教育、このどちらかを受けていれば防げたはずの事態です。

 

<ハラスメント教育>

ハラスメントの根本は、客観的な嫌がらせによる人権侵害です。

行為者が主観的には嫌がらせだと自覚していなくても、周囲の人たちから見て嫌がらせだと思える行為は、不快感を覚える人たちにとってハラスメントになりえます。

たとえ直接の被害者が、嫌がらせだと感じなくても、周囲の人たちが嫌がらせであると感じ不快感を覚えれば、周囲の人たちがハラスメントの被害者となります。

こうした根本的なことを、全従業員が理解し実践できるようになるまで、ハラスメント教育を徹底することで、はじめて企業はその役割を全うしたことになります。

 

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