目的意識の記事

2021/08/08|1,259文字

 

<自宅外勤務の発生>

会社が在宅勤務を命じたところ、社員の判断で自宅ではなく、友人宅、カフェ、ホテル、レンタルオフィスなどで業務を行っていたということがあります。

在宅勤務について、詳細な規程があれば、形式的にルール違反ということが多いでしょう。

しかし、大雑把なルールしか無いため、必ずしもルール違反とはいえず、迂闊に指導できないということもあります。

こうしたことでのトラブル発生を防ぐためのポイントを、検討したいと思います。

 

<在宅勤務の趣旨・目的>

在宅勤務を命じたのに、自宅で勤務しないからルール違反であり、指導や懲戒の対象となるというのは少し乱暴です。

やはり、在宅勤務を命じた趣旨・目的を軸に据えて考える必要があります。

まず、育児や介護との両立のために、本人からの希望もあって在宅勤務を命じた場合には、自宅よりも実家での勤務の方が現実的なこともあります。

自宅や実家以外での勤務であっても、配偶者の実家、兄弟の家、介護施設など、そこで業務をこなすことに合理性を見出しうる場合もあります。

つぎに、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、通勤や社内での密を避けるために在宅勤務を導入したのであれば、電車やバスで遠くに出かけて業務を行うのは趣旨に反します。

密になりやすい場所での勤務も同様です。

しかし、近所のホテルやレンタルオフィスであれば、多くの場合には、感染拡大防止の趣旨には反しないことが多いでしょう。

さらに、業務効率化の目的で在宅勤務が行われているのであれば、本人が業務に集中しやすい環境で勤務することが趣旨に適います。

たとえば、学生時代からカフェでの勉強が効率的であったという社員であれば、カフェでの勤務も趣旨に適うわけです。

 

<勤務場所の届出>

会社としては、社員がどこで業務を行っていようとも、きちんと業務が遂行されていれば基本的には問題ありません。

勤務場所は就業規則の必要記載事項でもないですし、労働条件通知書でも、雇入れ直後のものを記載すれば足りますし、将来の就業場所を含め網羅的に明示することも許されています。

しかし、勤務場所により情報漏洩のリスクが高まる、労災発生のリスクが高まる、容易に連絡がつかないなど就業管理が困難になるなどは困りものです。

これらを総合的に考えると、会社が社員に在宅勤務を指示した時点で、社員が自宅以外の場所を勤務場所としたいのであれば申し出てもらう必要がありますし、勤務場所を途中で変更する場合にも申告が必要です。

そして、その勤務場所が実質的な不都合をもたらすものであれば、会社から社員に対して、勤務場所の適正化を求めることができるようにしておくことも必要です。

これらのことから、在宅勤務を命じた場合に、社員が自宅とは異なる就業場所を希望するのであれば、会社への届出を義務付け、その就業場所が実質的な不都合をもたらすのであれば、会社は就業場所の変更を求めることができるルールとし、届出とは異なる場所での業務遂行や届出の懈怠に対しては、懲戒を規定しておくのが合理的だといえるでしょう。

2021/07/05|949文字

 

<精皆勤手当の趣旨・目的>

精勤手当・皆勤手当は、1か月の給与支給対象期間の出勤予定日に欠勤しないことについて、給与の一部として支給される手当です。

1か月の欠勤が1日か2日の場合にも、減額され支給される場合があります。

なお、年次有給休暇の取得をもって欠勤とする扱いは、不利益な扱いとなり労働基準法に反します。〔労働基準法第136条〕

自動車運輸業では、ドライバーが欠勤した場合に代替要員の補充が困難なため、精皆勤手当を支給して欠勤しないことを奨励することが広く行われます。

建設業でも、工期の遅れを避けるため、精皆勤手当を支給して欠勤しないことを奨励することが広く行われます。

他にも、飲食業や製造業などで精皆勤手当を支給する企業は多く存在します。

 

<精皆勤手当導入拡大の動き>

平成2(1990)年前後に見られるように、新卒採用が困難な時期が周期的に訪れます。

大企業であれば、基本給の増額や休日・休暇の増加によって、学生を集めることができます。

しかし、中小企業では人材不足と採用難で、簡単に休日・休暇を増やすことはできませんし、基本給の増額によって賞与が増額されることなどを嫌いますので、新たな手当を設けることにより対処する傾向が見られました。

こうして新たに導入する手当としては、精皆勤手当も手頃だったため、導入が進んだという経緯があります。

 

<同一労働同一賃金の検討の中で>

令和3(2021)年4月には、中小企業にも同一労働同一賃金が義務付けられることとなりました。

これによって、正社員と非正規社員とで、手当の有無や支給額の差異について、合理的な説明がつくかが問われるようになりました。

そこで、各企業は自社の手当ひとつ一つについて、その趣旨目的を再確認することとなったのです。

このとき、欠勤しないことは労働契約上の義務であり当然のことであって、当然のことに対して手当を支給するのは不合理ではないかという疑問が出てきました。

この流れから、精皆勤手当が廃止され、基本給に組み入れられたり、別の手当に振り替えられたり、あるいは賞与の支給額に反映されたりの動きが盛んとなったのです

しかしこれからも、欠勤しないことが強く要請される職種では、会社の態度を示す意味でも精皆勤手当の支給が続くのではないかと考えられます。

2021/03/02|1,760文字

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<不合理ではダメ>

パート有期労働法第8条に、「短時間・有期雇用労働者の待遇について、(正社員など)通常の労働者の待遇との間で、不合理と認められる相違を設けてはならない」という趣旨の規定があります(長いので最下部に示しておきます)。

ご存知「同一労働同一賃金」に関連した重要な条文です。

この条文は、「不合理ではダメ」と言っているのであって、「合理的でなければダメ」とは言っていないと説明されます。

日本語としては、どちらも同じ内容を表しているように思えますが、裁判では大きな違いを生じます。

 

<証明責任>

Aさんが、友人のBさんに、1か月後に返す約束で10万円を貸したのに、1か月経っても返してもらえません。

Aさんは、Bさんを相手に、貸金返還請求訴訟を提起します。

この訴訟でAさんは、Bさんに10万円を貸したという証明をしなければなりません。

これに失敗すると、Aさんは、この訴訟で敗訴してしまうでしょう。

このように、訴訟で証明に失敗すると不利益を被る責任を「証明責任」といいます。

もしAさんが、Bさんとの間で交わした金銭消費貸借契約書を裁判所に証拠として提出したら、今度はBさんが窮地に追い込まれます。

この訴訟でBさんは、Aさんに10万円を返済したという証明をしなければなりません。

これに失敗すると、Bさんは、この訴訟で敗訴してしまうでしょう。

返済については、Bさんが証明責任を負っていることになります。

このように証明責任を分配することによって、「裁判所がどちらを勝たせて良いのか分からず判決を下せない」という事態が発生することを防いでいるのです。

 

<不合理な待遇差>

パート有期労働法第8条が「不合理ではダメ」と規定していることから、「不合理」の証明責任は労働者側にあるとされます。

労働者側が、待遇差について不合理であることの証明に成功すると、裁判所は事業主側に損害賠償の支払を命ずることができるわけです。

仮に、パート有期労働法第8条が「合理的でなければダメ」と規定し、「合理的」の証明責任を事業主側に負わせていたとすると、事業主側が待遇差について合理的であることの証明に成功しないと賠償責任を負うことになり、酷な結果になってしまいます。

 

<「不合理」の判断基準>

パート有期労働法第8条の「不合理」の判断基準は何でしょうか。

裁判官個人の「常識」が基準では、裁判によって基準がバラバラになりますし、下される判決の予測もつきません。

むしろ、この法律の目的に適っていれば「合理的」、目的に反していれば「不合理」という基準で、裁判官が法解釈し事件に適用しているものと考えられます。

そして、パート有期労働法の目的は、その第1条に示されている通り「短時間・有期雇用労働者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与すること」という抽象的なものですから、具体的な基準は、今後の司法判断の積み重ねによって明らかになっていくとみられます。

 

【短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称:パート有期労働法)】

第1条(目的)この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

 

第8条(不合理な待遇の禁止)

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 解決社労士

2020/07/11|969文字

 

<パチンコ店で背後から>

パチンコ店内で、遊戯中のお客様の接客が終わった直後、店員がお客様の背中に向かって深々とおじぎする姿を見ます。

お客様の顔が見えるわけでもなく、店員の姿が見えるわけでも…いや、見えています。

お客様には、パチンコ台のガラスに映った店員の姿が見えるのです。

ですから、店員がいい加減なおじぎをして、さっさとその場を離れれば、そのお客様にはバレてしまいます。

しかし実際には、お客様は遊戯に夢中でガラスに映った店員の姿など目に入りません。

 

<デパートで背後から>

デパートで、ちょっと高価な商品を購入し精算すると、店員さんがカウンターからわざわざ出てきて商品を手渡ししてくれます。

そして、その場を離れるお客様の背中に向かって深々とおじぎをします。

そのお客様には、おじぎをする店員の姿が見えません。

 

<高級ブランドショップで背後から>

買物を終えたお客様が、お店の外に出て行った後、店員がお店の外に出てきて、お客様の背中に深々とおじぎをします。

これはなぜなのでしょう。

お客様は、店員がお店の外に出てきて見送っていることに、気付かないことすらあるのです。

 

<接客の目的>

もし、接客の目的が、目の前のお客様に喜んでいただくためならば、背後からのおじぎは意味がありません。

しかし、接客の目的が、「お客様を増やす」ことだったらどうでしょう。

店員でもなくお客様でもない全くの第三者が、お客様の背中に深々とおじぎをする店員の姿を見たとき、「バカな店員だ」と思うでしょうか。

いいえ、「自分があそこで買物したら同じように深々とおじぎをされるだろう」と思います。

これによって「いつか自分もあそこで買物したい」と思うようになるのです。

 

<目的意識>

どんな仕事であれ、一つひとつに目的があります。

その目的を正しく把握していなければ、十分な成果を上げることはできません。

生産性が上がらないのです。

従業員に対して、「考えろ」「自主的に動け」というよりも、最初から目的を教えた方が簡単です。

目的を自分で考える、目的意識を高めるというのは、次の段階です。

おじぎ一つをとっても、目的意識の大切さ、教育の必要性を考える良い材料となるのです。

そうは言っても、具体的にどう教育して良いのか迷ってしまうということであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/06/05|1,409文字

 

<ビジネスメールのマナー>

ビジネスマナーの本には、ビジネスメールのマナーについても書かれています。

また、ビジネスで活用できるメールの雛形も紹介されています。

しかし、プライベートメールとの違いについては、なぜ、何が、どのように違うか説明が省略されていることもあります。

これは新人だけでなく、すべての社会人に必要な基本ですから、ここで再確認してみましょう。

 

<プライベートメール>

メールやSNSを利用してプライベートで情報を発信する場合、「何のために」情報を発信するかという、目的意識が希薄な場合が多いものです。

何となく、自慢したい、同情されたい、驚かせたい、広めたいという意図は感じられます。

しかし基本的には、送りたいから送っているというのが実態です。

情報の送り手は、自分が送りたい内容を、自分好みの表現方法で送ります。

文字だけのこともあり、写真や動画だけのこともあり、両方を組み合わせることもあります。

「これを伝えたい」という明確な意識もなく、ただ何となく発信しているだけのものも見られます。

送り手のこうした態度に対応して、受け手も読みたい物だけを読みますし、途中まで読んで中断してしまうことも少なくありません。

読みたい物の、読みたい部分だけを、つまみ食いしている状態です。

 

<ビジネスメール>

業務上の必要から情報を発信する場合には、通知、報連相、指導など、その目的が明確です。

メールの送り手は送りたいから送るのではなく、必要があって送るわけです。

通知であれば、ビジネスマナーに従い、挨拶文に始まり、必要十分な情報を送ることになります。

報連相であれば、相手の立場に立って、つまり相手の理解力やニーズを踏まえて、必要十分な情報を送ります。

データ、写真、動画なども必要に応じて添付することになります。

指導であれば、指導相手の立場に立って、理解しやすく、気持ちよく指導に従い改善に向える内容にしなければなりません。

情報の送り手が、自分の送りたい内容を、使いたい表現で送っていたのでは、目的が果たされません。

これでは、情報の受け手が送り手に電話をかけて、追加の説明を求めるなどの余計な手間がかかってしまいます。

メールの受け手は、読みたいメールの、読みたい部分だけを読むのではなく、すべてのメールの全文を読むのが基本となります。

そして、自分の期待されるアクションを考え、行動に移します。

回答したり、計画化したり、資料を準備したりと、何かしら期待される行動があるはずです。

 

<目的を果たすために>

プライベートメールであれば、送り手主体でかなり自由にメールを送ることができます。

しかし、ビジネスメールでは、受け手に期待するアクションを踏まえて、より効果的な内容・表現を選択して送る必要があります。

送り手が、メール送信そのものから得られる満足は、全く評価の対象外です。

受け手がどれだけ理解してくれたか、的確なアクションに繋げてくれたかが全てです。

ともすると、プライベートメールの癖を引きずったまま、ビジネスメールを送信してしまいがちです。

ビジネスシーンでのメール活用は、目的意識が要であることを忘れないようにしましょう。

 

プライベート

メール

ビジネス

希薄

目的意識

明確

送りたいことを自由な表現で

発信者

目的を果たせるよう受信者のことを考えて
読みたいものの読みたい部分だけを読む

受信者

すべてのメールの全文を読み、期待されたアクションを起こす

 

解決社労士

2020/05/31|1,191文字

 

<進歩できないマニュアル>

マニュアルとは、ある物事に対応する方法を知らない初心者に対して示し、教えるために標準化・体系化して作られた文書だとされています。

家電品を買ったときに付属されるマニュアルには、危険を避け、その商品を活用するための情報がたっぷりと掲載されています。

たっぷり過ぎて、読まない方もいらっしゃるようですが。

会社の中で使われるマニュアルというと、新人教育のための冊子で、一人前になれば使わなくなるものだとされています。

いつまでもマニュアルに頼っていてはいけないとも言われます。

しかし、これは進歩できないマニュアルの話です。

 

<社員と共に成長するマニュアル>

進歩するマニュアルは、このような新人向けのものではありません。

まず、その仕事をもっとも良くわかっている社員がマニュアルを作成します。

このマニュアルを新人に持たせて、同じように業務をこなすことを求めるのは無理です。

そうではなくて、マニュアルを作成した社員自身が、その仕事を行うときにそのマニュアルを見ながら行います。

そうすると次のようなことを考えます。

・マニュアルにはこう書いたけれど、実際には、こうしているな。

・ここは、こうすればもう少し効率良くできそうだ。

・この手順はカットしても影響がなさそうだ。

・この部分は、私の仕事ではなくてお隣の部署の仕事だ。

・もしここが間違っていたらアウトだから、誰かにチェックしてもらうべきだ。

このように思いついたことは、赤文字で修正やコメントを入れていき、上司の了解を得ながら改訂していきます。

つまり、マニュアルの改善という手段によって、仕事そのものが改善されていくのです。

これは、新人や一人前ではない社員には無理な改善です。

マニュアルを見ながら作業したのでは仕事が遅くなるような気もします。

しかし、ベテランといえども月に1回、年に1回の仕事は思い出しながらやるものです。

マニュアルを見ながらのほうが早く終わるでしょう。

日常的な業務であれば、マニュアルの改善による業務改善の効果は、生産性向上となって大きな成果を示します。

ぜひ、社員と共に成長するマニュアルの活用をお勧めします。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

とはいうものの、最初のマニュアルをどうやって作ったら良いのか、具体的な方法や手順については、いろいろと迷うこともあるでしょう。

そんなときは、是非、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

社員と共に成長するマニュアルを活用する目的は、生産性の向上にあります。

生産性の向上は、長時間労働の解消や定着率の向上とも深いかかわりを持っています。

さらに、この方法によるマニュアルの活用は、上司が部下の仕事内容や改善の進み具合を知るにはベストな手段ですから、人事制度や人事考課基準と連動させると絶大な効果を発揮します。

すべてまとめてご相談することをお勧めします。

 

解決社労士

2020/05/23|1,020文字

 

<引継ぎと目的意識>

人事異動や退職によって、仕事の引継ぎが発生します。

何も意識しないで引き継げば、慣れている前任者から不慣れな後任者に仕事が移るわけですから、明らかに戦力ダウンです。

しかし、一つひとつの仕事の目的を意識した引継ぎを行えば、仕事のレベルは向上し、社員は成長し、会社も成長するのです。

まさに、引継ぎは会社成長のチャンスなのです。

 

<後任者の気持>

引継ぎを受ける人は、早く一人前になりたいと思います。

1日も早く前任者と同じように仕事ができるようにと考えるわけです。

この気持は、前向きな気持ですから、それはそれで素晴らしいのですが、「前任者と同じように」ではなく「前任者以上に」を目指さなければ成長がありません。

そのためには、引き継ぐ仕事の一つひとつについて、それが何を目的としているのかを考える必要があります。

場合によっては、その仕事は既に必要が無いという結論が出ることもあります。

同じ目的を達成するのに、もっと手間のかからない方法があったり、同じ手間でより大きな成果を出す方法があったり、前任者と後任者で話し合いながら、改善しながら引継ぎを行うのが得策です。

 

<前任者の気持ち>

引き継がせる人には、仕事に対する愛着があります。

自分の中でベストと思うやり方で仕事をこなしてきたという自負もあります。

ですから、後任者に対しては「つべこべ言わずに私のやってきたようにやりなさい」と言いたくもなります。

しかし、その気持をグッとこらえて、よりよい仕事と成長を目指して、後任者と話し合いながら改善を試みるのが得策です。

 

<前任者と後任者の上司の気持ち>

上司としては、限られた時間の中で、スムーズにトラブルなく引継ぎが完了して欲しいという、保守的な気持になるのが普通です。

しかし、担当者が変わっても仕事の中身か変わらないのでは、成長がありません。

このことを強く意識して、前任者と後任者との間に考え方の違いがあることを前提に、調整役を買って出るのが得策です。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

このように、引継ぎは会社成長のチャンスですから、固定的な組織や役割分担にはせず、23年サイクルで人事異動や組織変更をお勧めします。

当然、就業規則も変わってくるわけです。

その就業規則も、会社の成長を促す引継ぎのルールがあると無いとでは大違いです。

社員と会社の成長を促す就業規則をご希望でしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/05/14|1,038文字

 

<経営者の立場>

創業者であればもちろん、そうでなくても経営者であれば、今後の会社をどうすべきか、今抱えている課題をどのように解決したら良いのか、365日、24時間思いを巡らせ悩んでいるのは当たり前です。

その一方で従業員たちは、残業手当がどうだとか、休暇が取れないとか、賞与の金額が他社に比べて少ないとか、好き勝手なことを言っています。

経営者からすると、どうしてみんな自分と同レベルで頑張っていないのか、特に若い頃の自分と、若手社員の現実の姿の差にがく然としてしまいます。

 

<目的意識の差>

こうした態度の差をもたらしているのは、まさに目的意識の違いでしょう。

経営者は会社と従業員、その家族までを支えなければなりません。

ところが、従業員はともすると「給料分だけ働こう」という気持ちになってしまいます。

実際には、すべての社員が給料分しか働かなければ、会社の発展どころか存続すら危ういのですが。

 

<創業の精神>

創業の精神というのは、「なぜその事業を始めたのか」という事業開始の目的意識を言葉にしたものです。

どの会社でも、事業を始めるにあたっては、創業者が多大なリスクを冒し、大変な努力をしています。

そのときの思いを集約したのが、創業の精神なのです。

この創業の精神は、すべての社員に浸透させなければなりません。

そうしなければ、今なぜこの会社があるのか、その存在意義すらあやふやになってしまうからです。

 

<経営理念>

経営理念というのは、「どうやって利益を出すか」を言葉にしたものです。

どの会社にも、様々な方針があります。

明確に文書化されたものや、なんとなく共有されているものまで、相当な数に及びます。

その中でも、会社がどうやって営利を追求するかという態度を示したものが経営理念です。

この経営理念が、お客様やお取引先に受け入れられないような内容であれば、会社は社会性を失い存続できなくなります。

この経営理念も、すべての社員に浸透させなければなりません。

そうしなければ、今なぜこの仕事をしているのか、その目的すらあやふやになってしまうからです。

 

<創業の精神と経営理念の見える化>

創業の精神や経営理念の中であやふやになっている部分は、文書化して明確にしておくべきです。

会社は就業規則の周知を義務付けられていますが、実はそれ以上に、創業の精神と経営理念を周知する必要に迫られていると考えます。

就業規則ファイルには、創業の精神、経営理念、就業規則、労使協定の順に並んでいるのが望ましいと思います。

 

解決社労士

2020/05/10|1,080文字

 

<目的意識とは>

「なぜするのか」という意識を持ち続けることが目的意識です。

ここから派生して「なぜこの時間にやるのか」「なぜここでやるのか」「なぜこの人がやるのか」「なぜこれがあるのか」「なぜこの方法でするのか」なども目的意識に含まれます。

 

<裏から見た目的意識>

裏を返せば、「これをしなかったらどうなるのか」という意識を持ち続けることも、一種の目的意識です。

ここから派生して「別の時間にやったらどうか」「別の場所でやったらどうか」「別の人がやったらどうか」「これが無かったらどうか」「他にどんな方法があるか」なども裏から見た目的意識です。

 

<生産性とは>

生産性とは、投入量と産出量の比率をいいます。

計算式であらわすと 生産性 = 産出量 ÷ 投入量 となります。

会社は営利を追求していますから、基本的には生産性を高めたいわけです。

働き方改革も生産性の向上を目指していると言われます。

しかし、我々働き方改革研究会のメンバーで話し合った結果、生産性向上はそれ自体を目指すべきではなく、結果として達成できるものであるという結論に達しました。

 

<生産性ゼロの仕事>

生産性ゼロの仕事として、次のようなものが想定されます。

10年以上にわたって、各部門から人事部門に月次データが送られています。

ある時、一人の人事担当者が別の部門に異動になり、月次データの作成を指示されました。

「ああ、このデータってシステムが変わったからもう使っていないんだよね」と言ったのです。

多大な人件費のムダと、人事部門の連絡ミスが明らかになりました。

実は、こうした事例は数多く見られます。

経営陣は生産性の停滞に悩んでいるのに、現場レベルでは要らない仕事が習慣的に続けられているという事例です。

たしかに人事部門が「このデータはもう要りません」としっかり伝えなかったのが敗因です。

しかし、ある部門の担当者が「このデータのここは省略してもいいのでは?」などと人事部門に問合せをしていれば、もっと早く無駄に気付いたことでしょう。

結局、人事部門だけが悪いのではなく、社員ひとり一人に目的意識が欠けていたことの結果です。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

開業社労士は、部外者です。

岡目八目と言われるように、会社内部の問題点を見つけやすい立場にあります。

しかも労務管理の専門家ですから、適法の範囲内で、生産性向上についてのアドバイスや提案をすることができます。

最低賃金の上昇や、定着率の低下で、何としても生産性を向上させなければならない経営者の方は、是非、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

<欠勤控除>

遅刻・早退・欠勤によって労働時間が減少した分だけ、給与を減らすことをいいます。

時間給であれば、労働時間分の賃金を計算しますから、欠勤控除は問題となりません。

主に月給制の場合に問題となります。

また、「完全月給制」のように欠勤控除をしない場合には問題となりません。

 

<欠勤控除のルール>

欠勤控除について、労働基準法その他の法令に規定はありません。

しかし一般に、労働者の労務の提供が無い場合には、使用者は賃金を支払う義務が無く、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

ですから、欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則や賃金規程に明記しておく必要はあります。

就業規則などが無い会社では、労働条件通知書や雇用契約書に明記しなければなりません。

 

<基本給の欠勤控除>

基本給については、欠勤した日数・時間に比例して減額するのが一般です。

ただし、この減算方式によると、定められた計算式によっては、マイナスになってしまうことがあります。

基本給がマイナスというのは明らかに不合理ですから、欠勤が多い場合には、出勤した日数・時間に比例して基本給を加算する方法をとるのが一般です。

 

<手当の欠勤控除>

手当の欠勤控除についても、就業規則などに規定しておき、これに従って計算することになります。

客観的に見て不合理でなければ、各企業でルールを定めておけば良いのです。

ただし、たとえば年次有給休暇を取得すると不利益になるルールは、公序良俗に反するという理由で無効になる場合もあります。〔労働基準法第136条、民法第90条〕

考え方としては、その手当の性質や支給の趣旨に応じて、欠勤控除の計算方法を定めるのが良いでしょう。

 

<住宅手当の場合>

住宅手当を住宅費用の支出に対して支援する趣旨で支給している会社であれば、勤務日数・時間にかかわらず住宅費用は一定であると考えられますから、基本的には欠勤控除しないのが理論的です。

しかし、通勤の便を考えて、そこに居を構えていることに対する費用の一部を負担する趣旨で支給している会社であれば、出勤回数に応じて支給するのが理論的です。

どちらの趣旨も含んでいる会社であれば、間を取って、欠勤日数に応じて減額するというのも合理的です。

 

<役職手当の場合>

その立場にあることや重い責任の負担に対して、役職手当を支給する趣旨であれば、勤務日数・時間にかかわらず負担は一定であるとも考えられますから、欠勤控除しないのも合理的です。

しかし、勤務を通じて役職に応じた役割を果たすことの対価として、役職手当を支給しているのであれば、勤務時間に応じて支給するのが理論的です。

どちらの趣旨も含んでいる会社であれば、間を取って、欠勤日数に応じて減額するというのも合理的です。

 

<手当の見直し>

手当支給の趣旨を突き詰めていったら、現在の社会情勢からは合理性が疑われ、手当を廃止して基本給に合算することになったというのは珍しくありません。

この場合、単純に手当を廃止するのは、不利益変更禁止の原則に反しますから、少なくとも調整給を設けるなどの措置が必要となります。

実際に、住宅手当や家族手当は廃止する企業も増えています。

この機会に、手当支給の趣旨を再確認するとともに、手当の新設・廃止も検討することをお勧めします。

 

2019.07.02. 解決社労士 柳田 恵一

<大企業病>

大企業病というのは、企業全体が非効率的になることを指しています。

社員が増え組織が大きくなることで、コミュニケーションが悪くなり、組織が活力を失った状態です。

 

<症状>

大企業は、大企業であり続けたいわけですから、どうしても現状維持的になります。社員も、現状維持を第一に考え、市場経済の変動や顧客ニーズに応じてチャレンジすることは考えにくくなります。

いつか世間の変化に追い越されて、業績が縮小していくのは目に見えています。

中小企業でも、急成長を遂げたり、世間の注目を集め一世を風靡した後に、この症状が現われやすくなります。

 

大企業は、不要な業務が増えすぎています。新人を採用する力は強いのですが、新人が入るたびに「やった方がいいかもしれない」「あると便利そうな」余計な仕事が増えていきます。その仕事が、会社の業績にどう結びつくのかという、厳しいチェックが入らなくなっています。

中小企業でも、ひょっとしたら業績向上に結びつく可能性を考えて、何となく仕事が増えていく現象が見られます。

 

大企業では、現状維持的になるわけですから、これを打破する優秀な社員の出現は大歓迎です。目標管理制度や業績主義の下、社員は自分の業績向上に集中します。同僚と協力し合ったり、後輩を指導したり、上司をフォローしたりということはお留守になってしまいます。優秀な社員が、こうした役割を担わなければ、企業の更なる成長は期待できません。

中小企業でも、大企業の評価制度を真似て、同じ症状に陥っているケースが見られます。

 

大企業では、意思決定が遅くなります。組織のピラミッドが高くなりすぎて、1つのことを決定するのにも多くの社員の判断が必要になっています。稟議制度を電子化しても、複雑な決裁ルートは改善されません。

中小企業でも、社長の即決で足りることを、何段階ものルートを経て決定するようになっていれば、同じ症状が現われています。

 

大企業では、社内的に良かれと思うことが行われていて、視点がお客様から離れていることがあります。

これは中小企業でも、業績向上ばかりに気を取られていると、お客様をライバル企業に持って行かれる現象と共通しています。

 

<対策>

今は事業や企業の業績が安定していても、10年後、30年後、あるいはもっと先のことを考えて、変化を遂げなければなりません。

日本だけでなく世界各国の人口構成、国民総生産、IT化、AI技術など、今後の予測に応じて会社が変わっていかなければなりません。

 

不要な業務は、過去からの習慣や、役に立たない上層部への報告が中心です。その仕事が、会社の業績にどれだけ結びついているのか、見栄を張らないで正直に判断して取捨選択が必要です。

 

ルールに縛られているのも問題です。能力のある社員が実力を発揮できるように、ルールを最小限にするとか、ルールの順守を人事考課で過大評価しないとか、力を開放する変革が必要です。

ルールに固執する社員は、会社の業績に貢献できない可能性が高いです。

 

<キーワードは目的意識>

何より目的意識が大事です。

「なぜするのか」という意識を持ち続けることが目的意識です。

ここから派生して「なぜこの時間にやるのか」「なぜここでやるのか」「なぜこの人がやるのか」「なぜこれがあるのか」「なぜこの方法でするのか」なども目的意識に含まれます。

裏を返せば、「これをしなかったらどうなるのか」という意識を持ち続けることも、一種の目的意識です。

ここから派生して「別の時間にやったらどうか」「別の場所でやったらどうか」「別の人がやったらどうか」「これが無かったらどうか」「他にどんな方法があるか」なども裏から見た目的意識です。

 

人事異動や退職によって、仕事の引継ぎが発生します。

何も意識しないで引き継げば、慣れている前任者から不慣れな後任者に仕事が移るわけですから、明らかに戦力ダウンです。

しかし、一つひとつの仕事の目的を意識した引継ぎを行えば、仕事のレベルは向上し、社員は成長し、会社も成長するのです。

まさに、引継ぎは会社成長のチャンスなのです。

 

大企業病を退ける特効薬は「目的意識」であると言っても過言ではありません。

 

2018.12.17.解決社労士

<社員の声の重要性>

大企業や大手グループ企業は社員の声を聞くことに熱心で、社内に独自の仕組みが構築されています。

これは、企業の成長や改善にとって、社内の事情を知っている社員の声が最も貴重な情報源だからです。

ましてや今は、働き方改革が推進されています。これは国の方針ですから、軽視するわけにはいきません。

 

たしかに、働き方改革の定義は必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

今、働き方改革を誤った方向に進めている企業は、働き手の必要と欲求を無視して独善に走り、社員に背を向けられてしまっています。

こうした事態を招かないためにも、社員の声を聞くことが必要なのです。

 

<小さな会社では>

小さな会社の社長の多くは、社員の声を聞くことにあまり熱心ではありません。

なぜなら、社内のほとんどの事は社長自身が決定しているのですから、今さら社員の声など聞いてみても、それはそれとして、やはり自分が決めると考えているからでしょう。

しかし、中には「もっと社員の声を聞きたい」「社員が意見を言ってくれないと本当の改善ポイントが見えない」「会社の成長のために批判でも良いから考えを出してほしい」と思っている社長もいます。

これは、会社が大きく成長する兆候です。

 

<目的意識の重要性>

まず、何のために社員の声を集めるのか、社内に具体的な目的を明示しなければなりません。

ただ単に、「成長のため」「改善のため」と言ってみても、社員はこれを信用しません。

 

小さな会社では、多くの事を社長が決定しています。

ですから、会社の現状について問題点を指摘したり、何らかの改善提案をしたりすれば、それはそのまま社長批判にもなりうるのです。

「社長は社員に声を出させることで不満分子を見つけ出し、徹底的に叩こうとしているのではないか」「少しでも自分の方針に合わない社員を解雇したいのではないか」と、疑心暗鬼を生ずるのも無理のないことです。

 

社員の声を集める目的を明確にするには、ただ漠然と会社についての意見を求めるのではなく、具体的なテーマを提示することが必要です。

たとえば、「経費削減についての意見が欲しい」よりも「コピー機の使い方について経費削減の視点から意見が欲しい」の方が、意見が出やすくなります。

「整理整頓について聞かせて欲しい」よりも「机やロッカーをはじめ、物品の置き場所について見直したいので、気付いたことを教えて欲しい」の方が、社員の声が集まりやすくなるわけです。

これは、目的が具体的で明確ですから、出した意見が変なことに悪用される恐れが無いからでしょう。

 

<声が上がったときの対応>

社員から声が上がったら、社長は速やかに対応しなければなりません。

まずは、意見を出してくれたことに対するお礼を述べ、ほめることは最低限必要なことです。

うっかり聞き流しになってしまったら、二度と意見は出てきません。

意見を馬鹿にしたり、ケチを付けたりしても、社員に対する裏切りになります。

 

とはいえ、社長自身が出てきた意見に対して、どのように対応して良いのか迷ってしまい、身動きが取れなくなることもあります。

こんなときは、出てきた意見を公表し、この意見に対して他の人の意見を聞くと良いでしょう。他の人の意見が出にくければ、具体的にそれを実施する場合の経費や手間、時間について考えを出してもらうなど、前向きに取り組む姿勢を見せたいところです。

 

<記録を残す>

社員から上がった声の中には、今は無理でも、3年後、5年後に役立つものがあります。

少なくとも5年間は見直しができるように、記録を残しておく必要があります。

なにしろ社員からの声は、大変貴重なものなのですから。

 

2018.10.20.解決社労士

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