法改正の記事

2022/04/01|1,539文字

 

<雇用保険制度の見直し>

(1)失業等給付に係る雇用保険料率については、年度前半(4月~9月)を2/1,000とし、年度後半(10月~令和5年3月)を6/1,000とする。※労使折半。労働保険料年度更新で、令和4年度の概算保険料は、年度前半と年度後半のそれぞれを計算して合算します。

労働保険年度更新の対象者https://youtu.be/_vs_sVdoYjI

(2)雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、弾力条項の発動を停止し、3.5/1,000とする。※事業主のみ。

(3)雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金の暫定措置を令和6年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後までを対象とする。

 

<女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定等の義務企業拡大>

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられているところ、令和4年4月1日より、101人以上300人以下の企業にも拡大される。

 

<職場におけるパワーハラスメント防止措置の中小企業事業主への義務化(労働施策総合推進法)>

中小企業でも、職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置を義務化する。

パワハラと指導との境界線https://youtu.be/E4xWgXqwo-E

 

<新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間の延長>

令和4年3月31日までとなっていた新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間を令和5年3月31日まで延長する。※妊娠中の女性労働者及び当該労働者を雇用する事業主が対象。

 

<不妊治療と仕事との両立に係る認定制度の創設>

不妊治療と仕事との両立しやすい環境整備に取り組む事業主を認定する「くるみんプラス」制度を新設する。

 

<育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け>

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度や申し出先等に関する事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行う必要がある。

育児休業等の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主に研修の実施や相談窓口の設置等複数のうちから1つの措置を講じることを義務付ける。※全ての事業主。

育児休業の個別周知義務https://youtu.be/HQ3D0B_CxgQ

 

<有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和>

有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であること」という要件を廃止する。

ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。

 

<労災保険の介護(補償)等給付額の改定>

介護を要する程度の区分に応じ、以下の額とする。

※()内は令和3年度の額

(1)常時介護を要する方

・最高限度額:月額171,650円(171,650円(改定なし))

・最低保障額:月額75,290円(73,090円)

(2)随時介護を要する方

・最高限度額:月額85,780円(85,780円(改定なし))

・最低保障額:月額37,600円(36,500円)  

 

<労災就学援護費の支給対象となる者の拡大>

労災就学援護費の支給対象者として、下記の者を追加することとする。

・公共職業能力開発施設に準ずる施設において実施する教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものとして厚生労働省労働基準局長が定めるものを受ける者

 

<労災保険の特別加入制度の対象拡大>

特別加入制度の対象として、下記の事業を追加することとする。

・あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師が行う事業  追加業種において、雇用によらない形で働く方

2022/03/30|1,631文字

 

<医療ビッグデータ>

新薬や最先端医療など研究開発のために「医療ビッグデータ」が注目されています。

医療情報については、画像や数値など検査結果の活用が十分に進んでいない現状があります。

また医療情報は、医療機関ごとに保管されているだけで、医療情報を統一的に活用する仕組みがありませんでした。

こうした現状を打開すべく、「次世代医療基盤法」が平成30(2018)年5月に施行されました。

 

私たちが病気やケガなどで医療機関を受診したとき、診療の流れの中で、患者一人ひとりについて、診察・検査・治療などの幅広い医療情報が記録されます。

日本全国の医療機関全体では、膨大な量の医療情報が蓄積されていることになります。

こうした情報を統合し、集約したものが「医療ビッグデータ」です。

 

IT技術が進化し、ビッグデータの解析性能が向上したことを背景に、新しい治療法や新薬の開発など医療分野の様々な研究開発に医療ビッグデータを活用し、医療の向上に役立てようとする取組が世界的に進められています。

 

日本では、患者の医療情報について、画像や数値など検査結果などの利活用が十分に進んでいません。

また、受診した医療機関や加入している健康保険組合ごとに分散して保有されており、それらを集約した医療ビッグデータとして利活用する仕組みがありませんでした。

 

<次世代医療基盤法>

医療ビッグデータの土台となる患者一人ひとりの医療情報を、個々の医療機関から集め、医療分野の研究開発のために活用できるようにすることを目的として、次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)が平成29(2017)年5月12日に公布され、翌年5月11日に施行されました。

 

この法律では、「認定事業者」が、医療機関から患者の医療情報を収集します。

「認定事業者」とは、国が認定する信頼できる事業者です。

医療分野の研究開発や情報セキュリティ、医療情報の匿名加工などに精通しています。

 

「認定事業者」は、複数の施設から医療情報を収集し、暗号化して保管します。

そして、医療分野の研究開発の要望に応じて、必要な情報のみを研究機関や企業などに提供します。

患者の氏名や住所など特定の個人を識別することができる情報は提供されません。

 

このように私たち一人ひとりの情報が収集され活用されることで、効果のより高い治療法が分かったり、新薬がつくられたり、病気の早期発見や治療をサポートする機器が開発されたりするなど様々な成果につながり、私たちが将来より良い医療を受けられるようになることが期待されています

 

<医療ビッグデータの活用>

医療ビッグデータの活用は、私たちが将来受ける医療の向上につながると期待されています。

例えば、次のような医療が実現できるようになると期待されています。

1.患者一人ひとりに最適な医療を提供することが可能に

2.異なる診療科の情報を統合することで治療成績の向上が可能に

3.最先端の画像分析により病気の早期診断・早期治療を支援することが可能に

4.医薬品などの安全対策の向上が可能に

 

<個人の医療情報の提供>

認定事業者に対する医療情報の提供に協力できる医療機関では、患者が情報提供を望まない場合を除き、診察・検査・治療などの医療情報は認定事業者に提供されます。

病院やクリニックなどの医療機関では、患者が最初に受診した時に、医師や看護師などから医療情報の提供について書面による通知が行われます。

患者が16歳未満の場合や本人が判断できない状態の場合は、本人に加えて、保護者等にも通知が行われます。

この通知を受けていない人の医療情報は提供されません。

 

医療情報の提供を望まない場合は、いつでも提供の停止を求めることができます。

医療機関から認定事業者に情報が提供されるのは、書面による通知が行われてから必要な期間が経過した後です。

情報が認定事業者に提供された後でも、患者は、情報の削除を求めることができます。

2022/02/22|989文字

 

シフト調整で社会保険未加入https://youtu.be/USoOj2jX-z8

 

<現状の問題点>

現在、厚生年金保険法と健康保険法では、「二月以内の期間を定めて使用される者」(引き続き使用されるに至った場合を除く)が適用除外となっています。

ただし、2か月以内の雇用契約であっても、これを継続反復しているような場合には、「引き続き使用されるに至った場合」として、厚生年金保険と健康保険の対象としています。

それでも、雇入れ時の最初の雇用契約の期間は適用の対象となっていないため、雇用の実態に即した適切な適用が図られているとはいえません。

これは、雇用保険法第6条第2号が、雇用保険の適用除外者として「同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者」と規定していることとも整合性がとれていません。

 

<見直し内容>(令和4(2022)年10月施行)

雇用保険の規定等も参考にして「二月以内の期間を定めて使用され、その定めた期間を超えて使用されることが見込まれない者」を適用除外にすることにより、雇用契約の期間が2か月以内であっても、実態としてその雇用契約の期間を超えて使用される見込みがあると判断できる場合は、最初の雇用期間を含めて、当初から厚生年金保険と健康保険の適用対象とすることになります。

令和4(2022)年10月、社会保険の適用拡大と同時に施行されます。

 

<具体的な事務取扱>

法改正後は、雇用期間が2か月以内の場合であっても、以下のとおり取り扱うことになります。

就業規則、雇用契約書等で、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合には、当初から被保険者となります。

また、同一の事業所で、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合にも、当初から被保険者となります。

ただし、これらに該当するときであっても、労使双方により、最初の雇用契約の期間を超えて雇用しないことにつき合意しているときは、雇用契約の期間を超えることが見込まれないこととして取り扱います。

年金事務所や会計検査院による事業所調査では、労働者名簿等に基づき適用されていない従業員等の雇用契約書等を確認し、法改正後の期間について、雇入れ当初から被保険者に該当することが事後的に判明した場合は、契約当初(保険料徴収の時効を踏まえて2年)に遡及して適用するよう指導することになります。

2022/02/19|828文字

 

基礎年金番号の役割https://youtu.be/5ZBM6hKJUPk

 

<現在のしくみ>

老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始時期は、原則として、個人が60歳から70歳の間で自由に選ぶことができます。

繰上げ受給(65歳より早く受給開始)の場合、年金額は減額されます(1月あたりマイナス0.5%、最大5年でマイナス30%)。

繰下げ受給(65歳より後に受給開始)の場合、年金額は増額されます(1月あたりプラス0.7%、最大5年でプラス42%)。

そしてこの減額・増額は、一生涯続くことになります。

なお、繰下げについては、66歳到達以降に選択することができます。

 

<法改正の趣旨>

高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しが行われます。

 

<繰下げ受給の上限年齢の引上げ>(令和4(2022)年4月施行)

繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられます。

これによって、受給開始時期を60歳から75歳の間で個人が選択できるようになります。

ただしこの改正は、改正法施行時点で70歳未満の人に適用されます。

繰下げについて、66歳到達以降に選択することができるのは従来と同じです。

繰下げ増額率は1月あたりプラス0.7%で変更されませんので、最大10年でプラス84%となります。

75歳以降に繰下げ申出を行った場合でも、75歳に繰下げ申出があったものとして年金が支給されます。

 

<繰上げ受給の減額率変更>(令和4(2022)年4月施行)

繰上げ減額率が1月あたりマイナス0.5%からマイナス0.4%に変更されます。

最大5年でマイナス30%からマイナス24%となります。

 

<70歳以降に請求する場合の5年前時点での繰下げ制度>(令和5(2023)年4月施行)

70代(70歳以降80歳未満の間)で請求し、かつ請求時点における繰下げ受給を選択しない場合、年金額の算定に当たっては、5年前に繰下げ申出があったものとして年金が支給されます。

2022/01/10|1,087文字

 

<公益通報者保護制度>

「公益通報」は、日常用語では「内部通報」「内部告発」などと言われます。

法律上は、労働者が不正の目的でなく、通報対象事実が生じまたはまさに生じようとしている旨を、その労務提供先や労務提供先が定めた者、その通報対象事実について処分や勧告等の権限を有する行政機関等に通報することをいいます。〔公益通報者保護法第2条第1項〕

企業の不祥事は、内部からの通報をきっかけに明らかになることが多いものです。

こうした企業不祥事による国民の生命、身体、財産その他の利益への被害拡大を防止するために通報する行為は、正当な行為として事業者による解雇等の不利益な取扱から保護されなければなりません。

事業者にとっても、通報に適切に対応し、リスクの早期把握や自浄作用の向上を図ることにより、企業価値と社会的信用を向上させることができます。

「公益通報者保護法」は、このような観点から、通報者が、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかというルールを明確にするものです。

 

<公益通報者保護法の改正>

公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)が、令和2(2020)6月12日に公布されました。

改正法は、令和4(2022)年6月1日に施行されます。

現在、施行に向け消費者庁を中心に準備が進められています。

 

<内部通報に適切に対応するための体制整備等>

改正法は事業者に対し、新たに公益通報対応業務従事者を定める義務(第11条第1項)、内部の労働者等からの公益通報に適切に対応する体制の整備、その他の必要な措置をとる義務(第11条第2項)を課しています。

ただし、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については、努力義務となります(第11条第3項)。

ここで「常時使用する労働者」とは、常態として使用する労働者を指すことから、パート労働者も、繁忙期のみ一時的に雇い入れるような場合を除いて含まれます。

しかし、役員については、労働者ではないことから含まれません。

 

<グループ会社の場合>

改正法は、独立した法人格を有する事業者ごとに上記の義務を課していますので、グループ全体ではなく、関係会社ごとに通報窓口を整備する義務を果たす必要があります。

例えば、グループ全体としての体制整備の一環で、子会社の従業員が行う公益通報の窓口は親会社とされている場合もあると考えられます。

このように子会社が、自らの内部規程に定めたうえで、通報窓口を親会社に委託して設置し、従業員に周知しているなど、子会社として必要な対応をしている場合には、体制整備義務を果たしていると考えられています。

2022/01/04|911文字

 

パワハラ加害者の処分https://youtu.be/CHoRL8XmcXA

 

<パワハラの定義>

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(通称パワハラ防止法)によれば、パワハラとは職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されるものをいいます。〔同法第30条の2第1項〕

 

<会社が加害者の味方となる理由>

まさに「優越的な関係」がポイントです。

加害者は、直接の被害者よりも、役職が上であったり、社歴が長かったり、知識・技能・経験・成績が優れていたり、会社での評価が高かったりします。

会社側の立場からすれば、加害者にはパワハラの問題はあるものの、気持ち良く働いて会社に貢献し続けて欲しいという思惑があります。

 

<会社が加害者の味方となる現象>

こうした思惑から、会社が次のような態度に出てしまうことがあります。

・加害者の言い分だけを聞いて事実の有無を判断する。

・直接の被害者に対し「パワハラは無かった」と説得する。

・直接の被害者を異動あるいは休職させる。

・直接の被害者に退職勧奨あるいは解雇する。

・加害者と被害者の双方に口止めする。

・すべてを無かったことにする。

 

<会社が加害者の味方となる弊害>

会社が上記のような対応をすれば、パワハラ防止どころかパワハラの助長となってしまいます。

直接の被害者が、会社に慰謝料を含め損害賠償請求訴訟を提起するとなれば、ついでに未払賃金などの請求もするでしょう。

裁判は公開されますから、会社の評判は落ち、従業員のモチベーションは低下します。

多数の退職者が出たり、入社を希望する人が激減したりと、人材の確保が難しくなります。

会社が味方したパワハラ加害者の行為も明らかにされますから、加害者とその家族は、元の生活を送れなくなります。

 

<解決社労士の視点から>

事実の確認が大前提ですが、直接の被害者や加害者の言動を見聞きした間接的な被害者からの聴き取りは必須です。

そして、就業規則に従い正しく加害者の懲戒処分、異動、退職勧奨などを行うことになります。

パワハラは絶対に許さないという態度を示すことによってこそ、会社を守ることができるのではないでしょうか。

2022/01/01|1,218文字

 

法改正により違法残業の範囲が広がっていますhttps://youtu.be/il6m-PyrFT4

 

<法改正の目的>

令和4(2022)年4月、改正個人情報保護法が全面施行されます。

今回の改正目的は「個人の権利利益の保護」、「技術革新の成果による保護と活用の強化」、「越境データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応」「AI・ビッグデータ時代への対応」などです。

この背景には、個人情報が多様に利活用される時代になり、リスク対応が急務になっていることがあります。

事業規模に関わらず、事業者が守るべき責務が拡大されました。

 

<短期保存データの開示等>

6か月以内に消去する短期保存データは、開示、利用停止等の対象外とされていましたが、これも対象に含まれるようになります。

しかし、これまで短期間で消去していた個人データを、開示請求等に応じるために保存する必要はありません。

ただ、利用する必要がなくなったときは、遅滞なく消去することが努力義務とされます。

例外として、検索できるように作られた「個人情報データベース等」を構成する「保有個人データ」は開示請求の対象となりえます。

この場合でも、業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある場合には、開示請求に応じる義務がありません。

 

<第三者提供記録の開示>

個人データの授受に関する第三者提供記録については、これまで本人が開示請求できるか否か明確な規定は無かったのですが、開示請求できることが明確に規定されました。

これによって本人は、提供元・提供先の双方に開示請求できることが明らかとされました。

 

<利用停止・消去請求権>

一部の法違反の場合に加えて、利用する必要がなくなった場合、重大な漏えい等が発生した場合、さらには本人の権利または正当な利益が害される恐れがある場合にも、本人から個人データの利用停止・消去等を請求できるようになります。

ここで「利用する必要がなくなった場合」とは、利用目的が達成されその目的との関係ではその個人データを保有する合理的な理由が無くなった場合、利用目的が達成されなかったものの前提となる事業自体が中止となった場合などをいいます。

求人に対する応募者のうち、採用されなかった者の情報について、合理的な期間を経過した後に、本人から利用停止を求めた場合などが含まれます。

 

<漏えい等報告・通知>

情報の漏えい等が発生し、個人の権利利益が害される恐れが大きい場合に、個人情報保護委員会への報告と、本人の通知は努力義務とされていましたが、これらが法的義務とされます。

例としては、従業員の健康診断結果、個人のクレジットカード番号、不正アクセスによる個人データの漏えいなどがあります。

また、個人情報保護委員会への報告は、事態を知って速やかに行う速報と、すべての報告事項が揃ってからの確報の2段階で行うことが求められます。

 

<解決社労士の視点から>

今回の法改正では、事業規模にかかわらず対応が求められます。

自社だけでなく、関連会社や取引先に対しても、適切な対応を促し確認することが必要でしょう。

2021/12/25|860文字

 

<民法改正>

令和4(2022)年4月から、民法の改正により、成年年齢が20歳から18歳に引下げられます。

18歳・19歳も法律上は大人の扱いを受け、両親のような法定代理人の同意を得ずに、様々な契約を交わすことができるようになります。

この反面、法定代理人の同意を得ずに交わした契約であっても、未成年者取消権は使えなくなります。

このことから、社内の18歳・19歳の従業員が、悪質商法の被害者となりやすくなることが懸念されます。

会社としても、こうした従業員に対しては、注意喚起しておくことをお勧めします。

 

<成年になる日>

令和4(2022)年4月1日、一斉に成年になるのは、平成14(2002)年4月2日から平成16(2004)年4月1日までに生まれた人たちです。

平成16(2004)年4月2日以降に生まれた人は、18歳の誕生日の前日に成年に達することになります。

 

<成年になるとできること>

クレジットカードを作る、携帯電話の契約をする、アパートを借りる、ローンを組むなどの契約が一人でできます。

住む場所や進学先・就職先も自分の意思で決めることができます。

国家資格の取得、10年有効パスポートの取得、性別変更の審判を受けることなど、できるようになることが一気に増えます。

 

<20歳にならないとできないこと>

飲酒や喫煙は、健康面への配慮から20歳にならないとできません。

また、青少年保護などの観点から、公営ギャンブルや大型・中型自動車免許の取得も20歳からとなっています。

さらに、国民年金保険料の納付義務のように、制度設計上20歳からとされるものもあります。

 

<労働契約>

労働契約は口頭でも成立します。〔民法第623条、労働契約法第6条〕

契約成立により、雇主と労働者には互いに責任と権利が生じ、身勝手な解約はできません。

未成年の労働者の親権者などが、労働者にとって一方的に不利だと判断した場合に、法定代理人として解約できるに過ぎません。〔労働基準法第58条第2項〕

この未成年の基準も、20歳から18歳に引下げられることになります。

2021/12/15|753文字

 

ケンカのケガと傷病手当金https://youtu.be/QGEngWbtIeM

 

<健康保険法等の改正>

治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障ができるよう「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」により健康保険法等が改正されます。

この改正により令和4(2022)年1月1日から、傷病手当金の支給期間が通算化されるようになります。

 

<通算化の意味>

傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になります。

・同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象になります。

・現在は、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合、支給開始日から起算して1年6か月を経過後は、不支給となっています。

・法改正により、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。

 

<改正法施行日>

この法改正は、令和4(2022)年1月1日から施行されます。

令和3(2021)年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金が対象となります。

言い換えれば、令和2(2020)年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象ということになります。

 

<実務の視点から>

現状の制度では、傷病手当金を受給中の従業員について、支給開始日のみ記録して1年6か月後の支給終了日をチェックしておけば、手続漏れなどを気にしなくて済みました。

しかし法改正により、実際の受給期間を通算していき、通算1年6か月後をチェックする必要が生じたわけです。

もっとも、途中で傷病手当金の支給が途切れた従業員についてのみ、注意すれば足りるということになります。

2021/12/06|1,141文字

 

会社から従業員に知らせる義務https://youtu.be/jXROFAMORWQ

 

<今回の育児・介護休業法改正の趣旨>

今回の改正は、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするためのものです。

◯令和4(2022)年4月1日施行

・育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

◯令和4(2022)年10月1日施行

・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))

・育児休業の分割取得

◯令和5(2023)年4月1日施行

育児休業の取得の状況の公表の義務付け

 

<実務上の対応>

上記のように、3回に分けて施行されます。

令和4(2022)年のうちに、2回に分けて就業規則を変更していくことになるでしょう。

しかし、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を、令和4年4月から唐突に始めると、あらぬ誤解を生むことになりかねません。

特に男性の育児休業取得実績が殆どない職場で、男性が育児休業の取得を打診されれば、あれこれ勘違いする恐れがあります。

かなり前もって、社員全体に対する事前の説明をしておく必要があります。

 

<個別の周知と意向確認の措置>

労働者から、本人または配偶者が妊娠または出産した旨等の申出があった場合に、その労働者に対して、育児休業制度等について周知するとともに、制度の利用意向を確認するための措置を実施する必要があります。

令和4(2022)年10月1日からは、出生時育児休業も含みます。

取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

周知事項は、次の4項目です。

・育児休業・出生時育児休業に関する制度

・育児休業・出生時育児休業の申し出先

・育児休業給付に関すること

・労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

これらの個別周知および意向確認の措置は、面談または書面交付(郵送可)によって行います。

ただし、労働者が希望した場合には、FAXや電子メール等によって行うこともできます。

 

<妊娠・出産等の申出方法>

法令では、妊娠・出産等の申出方法を書面等に限定していないため、社内規程に特別な定めが無ければ口頭でも可能です。

事業主が申出方法を指定する場合は、予め明らかにしておく必要があります。

この場合、その方法については、申出を行う労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、適切に定めることが求められます。

労働者が措置の適用を受けることを、抑制するような手続を定めることは認められません。

また、指定された方法によらない申出でも、必要な内容が伝わるものである限り、措置を実施する必要があります。

2021/11/10|1,553文字

 

<ある判決>

平成27(2015)年に長時間労働で過労死した服飾雑貨メーカーの男性の遺族が起こした訴訟で、東京地裁が令和3(2021)年10月28日、会社側に約1,100万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

退勤後でも、メールの送信やパソコンのファイル更新の時刻が確認できれば、「業務時間」と判断できるという遺族側の主張を認めたものです。

しかし、このことから「退勤後のメールも労働時間に該当する」と短絡的に一般化できるわけではありません。

 

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

もっとも、これは法令に規定されているわけではなく、最高裁判所が判決の中で示したものですし、抽象的な表現に留まっていますので、具体的な事実に当てはめてみた場合には、判断に迷うことが多々あります。

会社の業務との関連性がある程度薄かったり、使用者の指揮命令関係から解放されていると断定できなかったりと、グレーゾーンにある時間帯が問題となります。

使用者側が「指揮命令下に置いていなかった」と主張し、労働者側が「指揮命令下に置かれていた」と主張して、意見が対立することもあるわけです。

 

<労働時間の把握義務>

使用者には労働時間を適正に把握する義務があります。〔労働安全衛生法第66条の8の3、労働安全衛生規則第52条の7の3〕

そして労働時間の適正な把握を行うためには、単に1日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これをもとに何時間働いたかを把握・確定する必要があります。

使用者が始業・終業時刻を確認し記録する方法としては、原則として、次のいずれかの方法によることが求められています。

・使用者が自ら現認し記録すること。

・タイムカード、ICカード、パソコン入力等の客観的な記録を基礎として確認し記録すること。

こうして把握された労働時間は、原則として使用者が労働者を指揮命令下に置いていた時間ということになります。

 

<裁判の証拠>

最初に掲げた判決の事件のように、遺族から「長時間労働で過労死した」という主張があった場合でも、使用者側が労働時間の客観的な記録を保管していれば、この証拠を法廷に提出して主張を退けることも可能になります。

しかし、実際の事件では、使用者側が法令に違反して労働時間の把握を怠っていたのです。

この場合、亡くなった労働者が何らかの記録を残していれば、あるいは遺族の証言があれば、それが法廷に提出され裁判の証拠となります。

タイムカードなどに比べれば、客観的な正確性は劣るかもしれませんが、こうした証拠がある以上、裁判所は判断を拒めません。

こうなると、使用者側はかなり不利な立場に立たされます。

 

<解決社労士の視点から>

もし、この会社がタイムカードで労働時間を適正に把握していたのなら、「退勤後のメールの送受信は、使用者の指揮命令によらず、労働者の個人的な判断で行っていたに過ぎず、会社はプライベートな時間の行動まで管理しきれなかった」という主張が可能だったかもしれません。

このように、会社が法定の義務を怠ったことにより、罰則が適用されることとは別に、民事訴訟で不利な立場に立たされることがあるのは、数多くの裁判例の示すところです。

「労働時間の客観的な把握」が法的な義務となったのは、平成31(2019)年4月からのことです。

働き方改革の一環で急速に進む法改正に取り残されないようにしましょう。

2021/10/13|1,951文字

 

パワハラの定義https://youtu.be/Mdh36sSuu2o

 

<パワハラの定義の法定>

令和2(2020)年6月1日、労働施策総合推進法(正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)が改正され、パワハラの定義が法定されました。

これをきっかけに、就業規則やハラスメント防止規程の見直しをした企業は多数に上ります。

しかしハラスメント対策は、セクハラ対策→パワハラ対策→マタハラ対策の順に進んだ企業も多いことから、社内規程が継ぎ接ぎだらけになっている恐れがあります。

また、社内規程の運用をする中で、新たに意識されるようになった問題も増えてきています。

これを機会に、ハラスメント防止に関する社内規程を、再度見直していただけたらと思います。

 

<セクハラ対策>

企業内でのセクハラ問題がクローズアップされた当初は、主に男性の女性に対するものが取り沙汰されていました。

やがて、女性の男性に対するセクハラが問題視されるようになり、現在では同性間のセクハラ防止が求められるようになっています。

もし社内規程の中に「異性」という言葉が含まれているならば、同性間のセクハラ防止が十分な内容となっているか確認することをお勧めします。

また、かつてはセクハラの直接の対象者の保護が重視されていましたが、今では周囲にいる従業員の被害や就業環境を害することが強く認識されています。

被害者は、決して行為の直接の相手方だけではないという視点からの規定となっているか、社内規程の内容を見直すことが必要です。

 

<パワハラ対策>

パワハラ対策については、法改正もあり、厚生労働省等の資料も充実していますので、企業の社内規程も完成度の高い内容に改正されているものと思われます。

労働施策総合推進法には、「労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない」と規定されています。〔第30条の3第4項〕

ですから、パワハラ問題に対する関心と理解を高め、パワハラ行為を行わないように注意し、企業のパワハラ対策に協力するといった労働者の義務についても、社内規程に定めておきたいものです。

 

<マタハラ対策>

マタハラ対策についても、多くの企業で社内規程が充実していることでしょう。

ただ少子化対策は、政府が強力に推進し続けていますし法改正も盛んです。

これらに合わせた更新が行われているか、3か月に1回程度はチェックしましょう。

また、男性が育児休業に関連した制度を利用しようとしたとき、これに対して行われるハラスメント(パタハラ)についても、社内規程の充実が必要です。

 

<企業内相談窓口の運用>

相談者から得られたプライベートな情報については、相談者の許諾の範囲内での利用が許されます。

・誰のどのような情報であるかを明かさずに改善に役立ててほしい

・事実関係について誰の話か特定できないような形で情報を活用してほしい

・誰と誰についての話か公表してもかまわない など

相談窓口の趣旨に反しない限り、相談者の意向を尊重するルールとしたいです。

ただし、加害者にもプライバシー権がありますので、「公表」には加害者の同意が必要となることもあります。

また、加害者からの相談もあります。

「自分のした言動の相手方から『ハラスメントだ』と言われたが理解できない」のような相談です。

こうした場合の対応についても、企業内相談窓口が行うのか、どのように行うのかについてルールを定めておかないと、相談を受けた担当者が対応に困ります。

さらに、相談窓口に対するクレームも発生します。

これにどう対応するかのルールも必要です。

いきあたりばったりの対応では、社内での信頼を失ってしまいます。

 

<包括的・横断的規定>

ハラスメント対策が必要なのは、セクハラ、パワハラ、マタハラに限られません。

被害者が働けなくなったり退職したりすれば、企業にとって大きなダメージとなるのは、他のハラスメントでも同様です。

モデル就業規則第15条のような「第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない」といった、すべてのハラスメントを禁止する規定が必要でしょう。

また、労働施策総合推進法には「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」ということが明示されています。〔前掲の第30条の3第4項〕

つまり、業務上必要かつ相当な範囲内の言動は、パワハラに該当しないということです。

これは、すべてのハラスメントに共通の内容ですので、パワハラのみについて規定するのではなく、共通の総論的な部分に規定するのがお勧めです。

2021/09/01|931文字

 

<雇用保険法施行規則の一部改正>

雇用保険法施行規則の「育児休業給付金におけるみなし被保険者期間の算定方法の見直しに関する規定」が改正されました。

これにより、雇用保険の育児休業給付金の被保険者期間の要件が、9月1日から一部変更となりました。

これまで要件を満たさなかった場合でも、支給の対象となる可能性があります。

特に、勤務開始後1年程度で産休に入った従業員などは対象となる可能性があります。

 

<原則のみなし被保険者期間>

育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上ある完全月が12か月以上あることが原則の要件です。

これまでは、この要件を満たさないと育児休業給付金を受けられませんでした。

 

<不都合な点>

女性従業員が育児休業をする場合、育児休業前に産前産後休業を取得しているのが一般的です。

ですから、1年程度勤務した後、産前休業を開始したようなケースでは、出産日に応じて育児休業開始日が定まることから、そのタイミングによってはみなし被保険者期間の要件を満たさない場合がありました。

 

<新たに認められたみなし被保険者期間>

今回の規則の改正により、原則のみなし被保険者期間の要件を満たしていない場合でも、産前休業開始日等を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上ある完全月が12か月以上ある場合には、被保険者期間要件を満たすこととされました。

 

<留意点>

育児休業開始日が令和3年9月1日以降の雇用保険被保険者が対象です。

賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上の月が12か月無い場合でも、完全月で賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します。

産前休業を申し出なかったため、産前休業を開始する日前に子を出生した場合は「子を出生した日の翌日」、産前休業を開始する日前にその休業に先行する母性保護のための休業をした場合は「先行する休業を開始した日」を起算点とします。

 

<解決社労士の視点から>

従来のみなし被保険者期間では、育児休業給付金の受給要件を満たしていない場合でも、新たに認められたみなし被保険者期間で要件を満たしていないかを確認し、手続漏れが発生しないように注意しましょう。

2021/08/23|813文字

 

<テレワーク対応>

令和3(2021)年8月13日、厚生労働省が、健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令(令和3年8月13日厚生労働省令第140号)を発出しました。

この省令は、事業主を経由して健康保険証(被保険者証)を交付する手続がテレワーク普及の妨げになっている等として政府の縦割り110番に寄せられた改正要望を受けたものです。

 

<保険証の直接交付>

保険者は、令和3(2021)年10月1日以降、健康保険加入者(被保険者)に直接交付することについて支障がないと認めるときは、被保険者証を被保険者に直接交付することができることになりました。

現在は事業主に郵送された被保険者証を被保険者に交付する流れとなっていますので、10月以降は交付までの日数が短縮されることになります。

 

<被保険者証の情報を訂正した場合の被保険者証の返付>

記載事項を訂正するため保険者に提出された被保険者証の返付についても、被保険者に直接返付することについて支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しないことになります。

 

<再交付>

紛失や汚損等による被保険者証の再交付についても、支障がないと保険者が認めるとき、または災害その他やむを得ない事情により、事業主を経由して行うことが困難であると保険者が認めるときは、事業主を経由することを要しないことになります。

 

<返納>

被保険者が退職などにより資格を喪失したとき、その保険者に変更があったとき、またはその扶養家族(被扶養者)が異動したときは、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければならないこととされています。

この場合に、事業主を介さず直接返納することは、今回の省令によっても認められていません。

 

<その他>

高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証等の交付方法等についても、上記の被保険者証に準じた改正が行われます。

2021/05/02|1,168文字

 
YouTube就業規則がまもれないhttps://youtu.be/wePPDqqRX60

 

<知られざる就業規則>

「就業規則の内容を従業員に知られてしまうと権利を主張される」というような理由で、就業規則のファイルを見つからない所に保管している会社もあります。

しかし、就業規則を周知しないのは労働基準法違反ですし、周知しない就業規則というのは、たとえ所轄の労働基準監督署長への届出をしてあっても効力が無いのです。

そのため、会社から従業員に対して就業規則上の義務を果たすように求めることができませんし、不都合な行為に対してペナルティーを科すこともできないのです。

それでいて、就業規則が無くても、労働者に保障された法的な権利は、従業員から主張されたら会社は拒否できません。

 

<わかってもらえない就業規則>

就業規則というのは、なかなか従業員に見てもらえないものですし、条文の意味を説明しないと理解してもらえないことがあるものです。

かつて、自分の勤務先でふざけた写真を撮ったアルバイトがSNSに投稿した結果、閉店に追い込まれるような事件が相次ぎました。

たとえ、「会社の信用を傷付けた時」という規定が就業規則にあったとしても、アルバイトはその規定の存在を知らないかもしれませんし、知っていても自分の行為がその規定に当てはまるという理解が無かったのでしょうか。

入社と退職が盛んな時代ですし、法改正に合わせた就業規則の改定も頻繁でしょうから、少なくとも年に1回は就業規則の勉強会を繰り返す必要があるでしょう。

 

<ポンコツな就業規則>

政府が少子高齢化対策の継続的な推進や働き方改革に力を入れていますから、人を巡る法改正は毎年必ずと言っていいほど行われています。

これに対応できていない就業規則は多いことでしょう。

こうした流れとは別に、制服を廃止して長年経った今でも「勤務中は制服着用」という規定があったり、全館禁煙なのに「喫煙は定められた場所で」という規定が残っていたりします。

これでは、会社が本気でルールの整備をしていないことが明確ですから、従業員が就業規則を守る気持も薄れてしまいます。

 

<ありえない就業規則>

「セクハラを行ったら懲戒解雇」というありえない規定を見ることがあります。

それでいて、社内にセクハラの定義を定めるルールが無かったり、どのような言動がセクハラに当たるのかについて教育・研修が無かったりします。

セクハラにも程度の差があり、程度の軽いセクハラ行為で一律に懲戒解雇というのは、たとえ就業規則に規定があったとしても無効になります。

「唇、ツヤツヤだね」と言っただけでクビになりうる就業規則というのは恐ろしいです。

 

<解決社労士の視点から>

2年以上変更していない就業規則があれば、社労士のチェックが必要でしょう。

とりあえず必要な変更と届出をして、社内研修を行えば当面は安心です。

その後のことは、社労士と相談して決めれば良いことです。

<高年齢者雇用確保措置>

定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する義務があります。〔高年齢者雇用安定法第9条〕

「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。この制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25(2013)年度以降、原則として希望者全員を対象とすることが必要となっています。

なお、継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。

 

<高年齢者就業確保措置>

さらに、令和3(2021)年4月1日からは、事業主には70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務が課されています。〔高年齢者雇用安定法第10条の2〕

したがって、定年を70歳未満に定めている事業主、70歳未満の継続雇用制度を導入している事業主は、次のいずれかの措置を講ずるよう努める必要があります。

一、70歳までの定年引上げ

二、定年制の廃止

三、70歳までの継続雇用制度の導入

四、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

五、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

・事業主が自ら実施する社会貢献事業

・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

このうち、三の継続雇用制度については、特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものが含まれます。

三、四、五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、労使で十分に話し合うことが求められます。

過半数労働組合があれば、事業主と過半数労働組合との間で十分に協議したうえで、過半数労働組合の同意を得ることが望ましいことになります。

ただし、高年齢者雇用安定法や他の労働関係法令に反する不合理なものは認められません。

特に五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、事業主の指揮監督を受けることなく業務を適切に遂行する能力や資格、経験があること等、予定される業務に応じて具体的な基準を定めることが必要とされています。

上記の「基準を定めて対象者を限定する場合」の「基準」は、会社に都合よく恣意的に定めることはできません。

対象外とされた従業員から、会社にクレームが入ったり、訴訟を提起されたりのリスクがあります。

以下の点に配慮して基準を定め運用するように心がけましょう。

 

<懲戒解雇の事由>

「懲戒解雇の事由がある場合には再雇用しない」と就業規則に規定されていることがあります。

懲戒も解雇もハードルが高いですから、懲戒解雇となれば、その具体的な事由が就業規則に規定されていなければなりませんし、重ねて指導したにも関わらず改めない、極めて悪質であるなどの事情や、弁明の機会の付与などが求められます。

「再雇用しない理由に使うだけ」と気を緩めてはいけません。

 

<懲戒解雇の先送り>

定年後の再雇用をしない理由として、懲戒解雇の事由を挙げる場合、「そろそろ定年が近いから今すぐ解雇しなくても」と問題を先送りしてきた可能性があります。

定年前に懲戒解雇が正当視されるような事由がある場合、本人が勤務し続けることは、他の従業員にとって迷惑であり、その部署の生産性を低下させてしまいます。

先送りの意識が働いている場合には、定年前に不都合な言動があっても、注意・指導を受けることなく放置される危険も高まります。

定年までの年数が長く、先送りが長期に及んだ場合には、「今まで許されてきたこと」を理由に再雇用を拒否することになり、不当な不意打ちと評価される危険があります。

定年を待たずに解雇するのが、会社や他の従業員のためになります。

 

<客観的な評価基準>

「健康状態が良好でない者」「生産性が低い者」「会社への貢献度が不足する者」のような主観的な判断基準で、再雇用の対象外とすることはできません。

事実の存否を争われた場合に、立証することができないからです。

「定年まで3年間の勤務評定が平均B以上であること」のような基準は、一見すると客観的な基準のように見えます。

しかし、普段の勤務評定が客観的な事実に基づかず、考課者の主観によるところが大きければ、やはり主観的な基準ということになってしまいます。

人事考課は、客観的な指標や事実に基づいて行われる必要があります。

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<基準時の設定>

再雇用の判断について、いつの時点を基準とするかは重要です。

これが明確でなければ、判断基準が無いに等しくなってしまいます。

 

<過去の懲戒>

「出勤停止以上の懲戒が2回以上あった者は再雇用しない」などの基準も、一見すると客観的な基準だと思われます。

しかし、過去の懲戒が適正な手続に従い、有効に行われたことを示す客観的な資料が無い限り、その正当性を争われるリスクがあります。

 

<公平な運用>

特定の従業員について、基準を緩め例外的に再雇用してしまうと、それ以降は、緩い基準で再雇用しない限り不公平が生じてしまいます。

例外的に基準を緩めたい事情があるなら、再雇用の基準をより緻密に修正する必要があります。

2021/04/27|1,332文字

 

<モデル就業規則とは>

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

これを受けて、厚生労働省は就業規則のひな形を公表しています。

これが「モデル就業規則」です。

各企業は「モデル就業規則」の規定例や解説を参考に、各職場の実情に応じた就業規則の作成・変更を行うことができます。

就業規則は、職場の実情に合っていなければ、トラブルの元となってしまうことがあります。

「モデル就業規則」は、規定例だけでなく詳細な解説が施されていますので、これを手がかりにカスタマイズすることになります。

「モデル就業規則」は、法改正などに対応するため、不定期に改定されています。

令和2(2020)年11月には、政府による副業・兼業の推進に応じて改定されました。

このときから、まだ半年も経っていませんが、令和3(2021)年4月に高年齢者雇用安定法の改正を受けて、再び改定版が公開されています。

働き方改革関連法や継続的な少子高齢化対策で、モデル就業規則が頻繁に改定されていることからも明らかなように、企業の就業規則も1年を待たずに改定が必要となっています。

法改正情報を事前に把握して、自社の対応を決定し就業規則に反映させることを怠らないようにしましょう。

 

<高年齢者就業確保措置>

令和3(2021)年4月1日から、事業主には70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務が課されています。〔高年齢者雇用安定法第10条の2〕

したがって、定年を70歳未満に定めている事業主、70歳未満の継続雇用制度を導入している事業主は、次のいずれかの措置を講ずるよう努める必要があります。

一、70歳までの定年引上げ

二、定年制の廃止

三、70歳までの継続雇用制度の導入

四、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

五、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

・事業主が自ら実施する社会貢献事業

・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

このうち、三の継続雇用制度については、特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものが含まれます。

三、四、五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、労使で十分に話し合うことが求められます。

過半数労働組合があれば、事業主と過半数労働組合との間で十分に協議したうえで、過半数労働組合の同意を得ることが望ましいことになります。

ただし、高年齢者雇用安定法や他の労働関係法令に反する不合理なものは認められません。

特に五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、事業主の指揮監督を受けることなく業務を適切に遂行する能力や資格、経験があること等、予定される業務に応じて具体的な基準を定めることが必要とされています。

 

<解決社労士の視点から>

高年齢者の活用については、人材不足に悩む中小企業のほうが進んでいる感があります。

大企業においても、働き方改革の趣旨を踏まえつつ、積極的に高年齢者就業確保措置に取り組み社会的な責任を果たすように努めましょう。

 

YouTube勤務が減った人の社会保険

https://youtu.be/cTqbvdpvhBo

2021/04/16|1,015文字

 
YouTube社会保険加入の約束
https://youtu.be/ATx1fz5cO7g

 

<社会保険の加入基準と適用拡大>

1週間の所定労働時間が、正社員などフルタイムの労働者の4分の3以上であれば社会保険に加入します。

会社の意向や労働者の希望とは無関係で客観的な基準です。 

平成28(2016)年10月1日に、この基準が変更されました。

1週間の所定労働時間が、正社員などフルタイムの労働者4分の3未満であっても、次の5つの条件を全て満たす場合には社会保険加入となります。

・週の所定労働時間が20時間以上

・勤務期間が1年以上見込まれること

・月額賃金が8.8万円以上

・学生以外

・社会保険の加入者が501人以上の企業に勤務していること

 このように、社会保険に入る基準は客観的なものであり、事業主が加入手続をしていなくても、法律上は、基準を満たせば社会保険に加入していることになります。

上記の「1年以上見込まれる」という基準は、令和4(2022)年10月からは「2か月以上見込まれる」に変更となりますし、「2か月以上」の勤務実態があれば加入者となります。

さらに、上記の「501人以上」の基準は、令和4(2022)年10月からは「101人以上」、令和6(2024)年10月からは「51人以上」に引下げられます。

 

<労働者側が約束した場合>

労働者が社会保険に入る約束をした場合には「加入条件を満たしたならば加入手続に協力する」「加入条件を満たす労働条件で働く」のいずれかの約束だと解されます。

加入条件を満たしたのに「私は社会保険料を支払いたくない」と言う労働者がいます。

この場合には事業主が期限を区切って、所定労働時間を減らすか手続に応じるかの選択を迫ることになります。

 

<事業主側が約束した場合>

事業主が社会保険に入らせる約束をした場合で「加入条件を満たしたならば加入手続を行う」という約束ならば、適法に運営することの表明に過ぎません。

しかし、「加入条件を満たす労働条件で働かせる」という約束ならば、基準よりも少ない所定労働時間で労働契約をしようとすることは約束違反になります。

この場合には、両者で良く話し合う必要があります。

 

<解決社労士の視点から>

労働契約は、契約書を交わさなくても口頭で成立します。

しかし、「社会保険に入る約束」というのは、労働契約の成立前でも後でもできることです。

こうしたことで無用な争いが発生することは避けたいところです。

迷った時には、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

YouTube勤務が減った人の社会保険
https://youtu.be/cTqbvdpvhBo

2021/03/10|2,173文字

 

YouTube年次有給休暇と出勤率

https://youtu.be/UHsJHrJymP0

 

<年次有給休暇を使わせる義務>

年5日以上の年次有給休暇を取得させる義務が規定される前から、労働基準法には次の規定があります。

 

(年次有給休暇)

第三十九条 5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない

 

この規定の中の与えなければならないというのは、文脈からすると、権利を与えるということではなく、使わせるという意味であることが明らかです。

そして、この義務に違反した場合の罰則としては、次の規定があります。

 

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 

たとえば、「再来週の水曜日に年休を使いたいのですが」と申し出た従業員に対して、使用者が「有給休暇を使うなんてダメだ」と答えれば、法律上は懲役刑もありうるということになります。

それが悪質であって、労働基準監督官が使用者を逮捕し送検して有罪判決が下されれば、その使用者が前科者となるわけです。

 

しかし、刑罰の存在と、年次有給休暇請求の効力とは別問題です。

刑罰は国家権力と使用者との関係で規定されるもので、年休請求により年休が使えることになるかどうかという使用者と労働者との間の民事的な関係には、直接的には影響しないのです。

 

ということは、「再来週の水曜日に年休を使いたいのですが」と申し出た従業員に対して、使用者が「有給休暇を使うなんてダメだ」と答えた場合、その従業員が当日会社を休んだ場合にどうなるかは別に考える必要があります。

結論としては、年次有給休暇を使ったことにはなりません。

無断欠勤になってしまいます。

 

従業員としては、使用者に対して年次有給休暇を取得させるように説得を試み、それでもダメなら、所轄の労働基準監督署やその他の相談機関に相談するしかありません。

 

<年次有給休暇を使った人の解雇>

年次有給休暇を使ったことを理由に解雇するなど、不利益な取扱いをすることは、次の規定によりやんわりと禁止されています。

 

第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

 

この条文の解釈については、最高裁判所が次のような判断を示しています。

 

労基法第136条それ自体は会社側の努力義務を定めたものであって、労働者の年休取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を持つとは解釈されない。

また、先のような措置は、年休を保障した労基法第39条の精神に沿わない面を有することは否定できないが、労基法第136条の効力については、ある措置の趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度年休の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、年休を取得する権利の行使を抑制し、労基法が労働者に年休権を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序に反して無効(民法第90条)とはならない

沼津交通事件 最二小判平5.6.25

 

年次有給休暇を使ったことを理由に解雇するというのは、解雇により労働者が失う経済的利益の程度、年休の取得に対する事実上の抑止力は甚だしいですし、労基法が労働者に年休権を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものですから、公序に反して無効(民法第90条)になるでしょう。

 

それにしても、年次有給休暇を使わせておいて、後から解雇を言い出すのはおかしな話です。

 

<年次有給休暇の使い過ぎを理由とする契約更新の拒否>

下の方に示すように、労働契約法に有期契約労働者の契約更新についての規定があります。

この規定では、何回か契約が更新されている人と、契約更新に対する期待が客観的に是認できる人に限定されていますが、前回と同じ条件での契約更新を権利として認めています。

 

この規定の解釈にも、先ほどの沼津交通事件判決の趣旨が及びます。

たとえば、契約更新にあたって「あなたは年次有給休暇の残日数が少ない。年休の使い過ぎなので、契約は更新できない」などという理由で、契約更新を拒否できないということになるでしょう。

 

(有期労働契約の更新等)

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

解決社労士

2020/09/20|1,413文字

 

<憲法改正の手続>

「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」〔日本国憲法第96条第1項〕

つまり憲法改正案は、国会が特別多数決によって国民に提案し、改正は国民投票で決まるということです。

内閣が憲法を改正することはできませんし、国会の議決で憲法を変えることもできません。

決めるのは国民です。

ですから、「憲法9条改正反対!」などの集会は、政府や国会議員に向けられるのではなく、全国民に向けられるべきものでしょう。

安倍晋三前首相も、このことを良く理解したうえで発言してきました。

 

<基本的人権の保障>

日本国憲法は、基本的人権を保障するためにできました。

日本国民の一人ひとりが人間らしく生きていくための最低限の権利として生存権が規定されています。

私たちが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。〔憲法第25条〕

生活保護などの諸施策は、この規定が根拠となっています。

さらに、国が生存権の保障をできるように財源を確保するしくみも定めています。

・「文化的な生活」ができるための義務教育〔憲法第26条〕

・教育を受けた人が働く権利と義務〔憲法第27条〕

・立場の弱い働き手が団結する権利〔憲法第28条〕

・働いて得た財産を自分のものとする権利〔憲法第29条〕

・収入や財産によって税金を納める義務〔憲法第30条〕

・そしてこの税金を使って守られる生存権〔憲法第25条〕

このように、憲法25条から30条までは循環する関係にあります。

 

<憲法に規定されていること>

日本国憲法は、昭和22(1947)53日 に施行されました。

その目的は、私たちが人間らしく生きていけるようにすることです。

この目的にそって規定されている内容は、主に次の2点です。

・日本国民の一人ひとりが人間らしく生きていく権利(基本的人権)の保障

・権力が日本国民の基本的人権を侵害しないようにする権力細分化のしくみ

 

<権力細分化のしくみ>

国家権力が、王様のような一人の人間に集中すると、私たちが人間らしく生きていくのに必要な基本的人権は、その人の感情によって簡単に侵害されてしまいます。

そうしたことがないように、憲法は権力を細かく分割するしくみを定めました。

・国家権力を、立法権・行政権・司法権に分けました。三権分立です。

・立法権のある国会を衆議院と参議院に分けました。

・行政権を内閣と多くの行政機関に分けました。

・司法権を最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所に分けました。

・地方分権のため、都道府県とその下に市町村を設けました。

・この他、政党や派閥の存在を認めています。

このように国家権力が細分化されたことによって、誰か一人の偉い人が、自分だけの考えで好きなことを自由にできるわけではありません。

もし、そうしたことをすれば、国民や住民の批判にさらされることになります。

今後も、選挙制度が正しく機能している限り安心です。

ですから、私たちが投票に行くことはとても大切です。

 

繰り返しになりますが、日本国憲法は国家権力から私たちの人権を守るためにあります。

そして、憲法の改正を決定するのは、私たち国民です。

憲法記念日は、年に1回、このことを確認する日にしたいものです。

 

解決社労士

2020/09/01|1,068文字

 

YouTube労災防止策の落とし穴

https://youtu.be/HbsogCPbaho

 

<改正法の適用対象者>

労災保険法(労働者災害補償保険法)が改正され、令和2年9月1日付で施行されています。

施行日以降に、ケガをした労働者、病気になった労働者、亡くなった労働者の遺族に改正法が適用されます。

なお、今回の改正は、労災保険のメリット制に影響しません。

 

<複数事業労働者>

改正労災保険法は、その第1条で、ダブルワークの労働者を「事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者」と表現し、「複数事業労働者」と呼んでいます。

そして、「二以上の事業の業務を要因とする事由」による労災について、その対象とすることを明示しています。

さらに、ケガをしたとき、病気になったときに、1つの会社等でのみ雇用されている場合、または、すべての会社等を退職している場合であっても、そのケガや病気などの原因・要因となるものが、2つ以上の会社等で雇用されていた際に存在していたならば対象になるとしています。

また、一般の労働者だけでなく、特別加入者も今回の制度改正の対象としています。

 

<仕事の負荷の総合評価>

労働時間やストレスなど、脳・心臓疾患や精神疾患の原因となる負荷について、これまでは、2つ以上の会社等で雇用されている場合でも、それぞれの会社等の負荷について個別に評価し、労災認定の可能性を判断していました。

今回の法改正により、雇用されている会社等のうち1つの会社等での仕事の負荷を個別に評価しても労災認定できない場合は、雇用されているすべての会社等での仕事の負荷を総合的に評価して労災認定の可能性を判断することになりました。

こうして認定された労災のことを、改正法は「複数業務要因災害」と呼んでいます。

 

<保険給付額の基準>

労災保険給付のうち、労災で仕事を休んだときに給付される休業(補償)給付や、被災者が死亡したときに給付される遺族(補償)給付などは、働いている会社等から支払われる賃金額を基に保険給付額が決まります。

これまでは、ケガや病気などの主な原因となる事故や出来事があった会社等の賃金額を基に保険給付額が決まっていました。

2つ以上の会社等に雇用されていたとしても、1つの会社等の賃金額だけが基準となって、保険給付額が決まっていたのです。

今回の法改正により、2つ以上の会社等で雇用されている労働者への保険給付のうち、賃金額が基準となる保険給付については、雇用されているすべての会社等の賃金額の合算額を基に保険給付額が決まるようになりました。

対象となる給付は、休業(補償)給付、遺族(補償)給付、障害(補償)給付、傷病(補償)給付などです。

 

解決社労士

2020/03/02|1,621文字

 

東京都は、自転車が関与する交通事故が増加傾向にあることを受け、自転車利用者が加害者となり、高額な賠償を請求されるケースに備えるとともに、自転車の安全で適正な利用の更なる促進を図るため、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を改正しました。

 

<改正のポイント(令和2年4月施行)>(東京都ホームページより抜粋)

○自転車利用者、保護者、自転車使用事業者及び自転車貸付業者による自転車損害保険等への加入を義務化

○自転車小売業者による自転車購入者に対する自転車損害保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害保険等への加入に関する情報提供の努力義務化

○事業者による自転車通勤をする従業者に対する自転車損害保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害保険等への加入に関する情報提供の努力義務化

○自転車貸付業者による借受人に対する貸付自転車の利用に係る自転車損害保険等の内容に関する情報提供の努力義務化

○学校等の設置者に対し、児童、生徒等への自転車損害保険等に関する情報提供の努力義務化 

 

<改正条例の施行日>

令和2年4月1日から自転車損害保険等への加入が義務づけられます。

 

<罰則>

罰則はありません。

しかし、自転車交通事故で自転車利用者が加害者となり、高額な賠償を請求されるケースが発生しています。

万一の自転車事故に備え、保険に加入しましょう。

 

<加入手続>

保険には様々な種類があり、自転車保険や火災保険などの保険で、既に自転車事故の補償が付帯されている場合もあります。

重複して加入してしまわないよう、まず保険加入状況を確認しましょう。

個人賠償責任保険、共済等への加入に関しては、各損害保険や共済等の取扱店に確認してください。

個人賠償責任保険は、個人又は同居の家族が、日常生活で誤って他人にケガさせたり他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負担した場合の損害を補償するもので、自転車保険等の特約になっているものや、個人単位、家族単位で加入することができるものがあります。

TSマーク付帯保険については、お近くの自転車安全整備士のいる自転車店に問い合わせてください。

TSマーク付帯保険の有効期間は点検日から1年間ですので、更新のし忘れにご注意ください。

 

<自転車損害保険等>

保険の種類は、人に掛ける保険、自転車に掛ける保険の2つがあります。

人に掛ける保険は、自転車保険のほか、自動車保険、火災保険、傷害保険の特約、学校PTAが取り扱っている賠償責任保険などがあります。

自転車に掛ける保険は、自転車販売店で、自転車の点検整備を受けた際に付けるTSマークに付帯する傷害保険と賠償責任保険があります。

 

<保険加入対象者>

自転車利用者(未成年者を除く。)、保護者、自転車使用事業者、自転車貸付業者が保険加入対象者です。

東京都内で自転車を利用する人が対象となり、都内に訪れた観光客等も含まれます。

もらったり、借りたりした自転車に乗る場合についても、自転車損害保険等に加入する必要があります。

ただし、既に加入している個人賠償責任保険が自転車事故も補償対象としている場合は、人に保険がかかっていますので、改めて個々に自転車損害保険等に加入する必要はありません。

補償内容等の詳細は加入している保険会社にご確認ください。

なお、自転車の点検修理に伴って貼られるTSマークに付帯される保険は、自転車自体にかける保険ですので、誰が利用しても補償の対象になります。

中古の自転車でもTSマークが貼ってあり、有効期限内であれば改めて保険に加入する必要はありません。

 

<保護者の義務>

保護者は、未成年の子供が単独で保険契約をすることができないため、子供に代わり保険契約をする必要があります。

保護者はその監護する18歳未満の者にヘルメットを被らせる等、自転車を安全で適正に利用することができるように必要な対策を行うことに努めなければなりません。

 

解決社労士

2020/01/22|717文字

 

<改正の内容>

令和3(2021)年1月1日から、育児・介護休業法施行規則等の改正により、子の看護休暇・介護休暇が1時間単位で取得できることとなります。

 

【現行の制度】

・半日単位での取得は可能

 

・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない

 

【改正後】

・1時間単位での取得が可能

 

・全ての労働者が取得できる

 

労働者からの申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようになります。

 

<中抜けについて>

「中抜け」とは、就業時間の途中から1時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることを指します。

法令で求められているのは、「中抜け」なしの1時間単位休暇です。

しかし、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めることは問題ありません。すでに「中抜け」ありの休暇を導入している企業が、「中抜け」なしの休暇に変更することは、労働者にとって不利益な労働条件の変更になりますから、不利益変更禁止の原則に反しないよう配慮が必要になります。

 

<労使協定による例外的取扱い>

子の看護休暇や介護休暇を1時間単位で取得することが困難な業務がある場合には、労使協定を締結することにより、1時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。

この場合、困難な業務の範囲は、労使で十分に話し合い共通認識が得られてから労使協定を交わしましょう。

 

<両立支援等助成金>

子の看護休暇や介護休暇は、有給とすることが義務付けられているわけではありません。

しかし、1時間単位で利用できる有給の子の看護休暇制度や介護休暇制度を導入し、休暇を取得した労働者が生じたなど要件を満たした事業主は、両立支援等助成金の支給対象とされます。

 

解決社労士

2020/01/13|1,423文字

 

<労働者派遣法の改正>

2020年4月1日から、派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法が施行されます。

改正点は次の3点です。

1.不合理な待遇差をなくすための規定の整備

2.派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化

3.裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

 

<不合理な待遇差をなくすための規定の整備>

次の①または②の待遇決定方式により公正な待遇が確保されます。

①【派遣先均等・均衡方式】派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇

②【労使協定方式】一定の要件を満たす労使協定による待遇

2020年4月1日をまたぐ労働者派遣契約であっても、この日から適用されます。

 

【派遣先均等・均衡方式】

「均等待遇」は、職務内容と異動の範囲が同じであれば、差別的取扱いが禁止されるものです。「平等待遇」ともいえます。

「均衡待遇」は、職務内容、異動の範囲、その他の事情の違いを考慮して不合理な待遇差を禁止するものです。「公平待遇」ともいえます。

 

【労使協定方式】

労使協定に定めるのは、次のような事項です。

① 協定の対象となる派遣労働者の範囲

② 賃金決定方法(同種業務の一般労働者の平均的な賃金額以上、職務の内容等が向上した場合に改善)

③ 職務の内容などを公正に評価して賃金を決定すること

④ 賃金以外の待遇決定方法(派遣元の通常の労働者(派遣労働者除く)との間で不合理な相違がない)

⑤ 段階的・体系的な教育訓練を実施すること

⑥ 有効期間 など

 

次のような場合には、【労使協定方式】は適用されず、【派遣先均等・均衡方式】が適用されます。

・協定を書面で締結していない場合

・協定に必要な事項が定められていない場合

・協定で定めた事項を遵守していない場合

・過半数代表者が適切に選出されていない場合

 

<派遣先企業が講ずべき措置>

 

(1) 派遣先から派遣元への比較対象労働者の待遇等に関する情報提供

労働者派遣契約を締結する前に、派遣先から派遣元に対し、比較対象労働者の待遇などに関する情報を提供しなければなりません。

つまり、情報提供をせず、派遣元との間で労働者派遣契約を締結することはできません。

 

(2) 教育訓練の実施・福利厚生施設の利用機会の付与・情報提供

派遣元の求めに応じて、派遣労働者に対しても業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施するなどの義務があります。

食堂・休憩室・更衣室は、利用の機会を与える義務があります。物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設などの施設は、利用に関する便宜供与を講ずるよう配慮する義務があります。

派遣元の求めに応じて、派遣先の労働者に関する情報、派遣労働者の業務遂行状況などの情報を提供するなど必要な協力をするように配慮する義務があります。

 

<裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備>

派遣労働者と派遣先との間で、次の事項に関してトラブルとなった場合には、「都道府県労働局長による助言・指導・勧告」や「紛争調整委員会による調停」を求めることができます。この制度は無料で利用することができ、調停等の内容が公にされないため、プライバシーが保護されます。また、これらを求めたことを理由として、派遣先は派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこととされています。

① 業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施

② 食堂、休憩室、更衣室の利用の機会の付与

 

解決社労士

2019/12/20|369文字

 

【女性活躍推進法】

・女性活躍に関する情報(女性採用率等)公表の強化

・勧告違反の企業名公表

・プラチナえるぼし認定制度の創設

・労働局による報告徴収等の対象拡大

 

【労働施策総合推進法】

・国、事業主および労働者の責務

・事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止

・雇用管理上の措置義務の新設(中小企業は2022年3月31日までは努力義務)

・紛争解決・調停・措置義務等の履行確保(中小企業は2022年3月31日までは努力義務)

 

【男女雇用機会均等法】

・国、事業主および労働者の責務

・事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止

・調停の意見聴取の対象拡大

・他社のセクハラ対策措置義務実施への協力(努力義務)

・男女雇用機会均等推進者の選任(努力義務)

 

【育児介護休業法】

・国、事業主および労働者の責務

・事業主への相談等を理由とした不利益取扱いの禁止

 

解決社労士

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