有期労働契約の記事

2021/10/26|935文字

 

<有期労働契約>

有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある労働契約のことをいいます。

パート、アルバイト、契約社員、嘱託など会社での呼び名にかかわらず、契約期間の取り決めがあれば有期労働契約です。

正社員であっても、定年までという区切りはあるのですが、定年は契約期限とは考えられていません。

 

<最長期間>

有期労働契約の期間は、原則として3年が上限です。

ただし、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約については上限が5年とされています。〔労働基準法第14条第1項〕

他にも特別法による例外があります。

労働契約の期間が短ければ、労働者の立場が不安定になります。

ところが、あまり長くても、労働者をその契約に拘束してしまうことになります。

労働者が安定して働けることと、長期間の契約で縛られないこととは相反する要請です。

有期労働契約の最長期間は、この2つの利益のバランスを考えて法定されているのです。

 

<無期労働契約への転換>

有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者からの申し込みにより、期間の定めのない無期労働契約に転換できるというルールがあります。〔労働契約法第18条〕

これには特例があり、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者については、会社が労働局長に申請することによって、一定の期間については、無期転換申込権が発生しないことになります。〔専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法〕

さらに特殊な例外ですが、研究開発能力の強化と教育研究の活性化等の観点から、大学等や研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間が原則10年となっています。〔研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律〕

 

<解決社労士の視点から>

労働法は、労働者を保護するのが目的です。

しかし、労働契約の期間をどのように定めたら労働者の保護になるのかは、労働市場の情勢によって変化していきます。

度重なる法改正や通達、判例の変化の動向には注意を払う必要があるのです。

2021/10/01|1,461文字

 

雇止めの有効性https://youtu.be/CVFw3w5uRGA

 

<成長しないパート社員>

複数のパート社員を雇用していると、自ずからその働きぶりに違いが出てきます。

パート社員にも人事考課制度があって、評価により昇給が異なる職場では、収入にも差が出てきます。

さらに、フルタイムや正社員への登用制度があれば、その差は歴然としてきます。

成長が遅く、後輩に追い抜かれているパート社員については、雇い続けることへの疑問が生じ、「契約の更新をやめて、別の人を新たに採用したほうが良いのではないか」と考えるようになるかもしれません。

 

<雇止めの有効要件>

契約を更新しないで雇止めするのは、解雇の一種ですから、解雇予告期間を置いたり解雇予告手当を支払ったりの必要があります。〔労働基準法第20条〕

また、一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

成長しないことを理由に雇止めをするには、この条文の中の「客観的に合理的な理由」というのが特に問題となります。

なぜなら、成長しないことを理由に時給を据え置くことは客観的に合理的でありうるのですが、時給を下げること、ましてや雇止めをすることは、合理的な理由があるとは言い難いからです。

 

<契約更新の条件が示されている場合>

労働条件通知書には、契約更新の有無、更新する/しない場合の条件を明示することになっています。

たとえば、職能ランクや職務ランクが設定されていて、半年以内に一定のランクに到達することが契約更新の条件となっていて、成長に必要な研修や指導も行われているとします。

これにもかかわらず、本人の意欲不足など個人的な事情で一定のランクに到達しなかった場合には、雇止めも「合理的な理由」があることになります。

これは、採用時にこうしたことを具体的に説明しておけば、労働契約の内容となっているものと考えられます。

 

<最低賃金との関係で>

たとえば東京都では、2011年10月の最低賃金は837円でした。

これが、2021年10月からは1,041円になっています。

実に24%の上昇です。

2年前に、成長を期待して時給1,000円で採用したパート社員について、全く成長が見られず、周囲の負担となっていて、これからの成長が期待できないとしても、雇っているからには1,041円以上の時給でなければ違法になるわけです。

会社としては、こうした事態を避けたいわけですから、契約更新の条件を設定する場合、「最低賃金を下回るような職能ランク・職務ランクに該当する場合には契約を更新しない」という内容も加えておくべきでしょう。

 

<解決社労士の視点から>

「成長しないこと」を理由に雇止めを検討する場合には、自己責任が前提となっています。

つまり、家庭に解消し難いトラブルが続いていて業務に集中できない、休日に体力を消耗するボランティア活動を長時間行っていて勤務中にスタミナ切れになる、そもそも自分の業務に関心が持てないなど、本人に責任のあることで「成長しないこと」が前提となっています。

しかし、パワハラやセクハラ、指導不足などがあって、「成長しないこと」の責任が会社側にもある場合には、安易に雇止めができません。

やはり、契約更新などの機会をとらえた定期面談や聞取り調査の結果から、「成長しないこと」の原因を探っておくことが必要になってきます。

2021/09/18|1,262文字

 

雇止めの有効性https://youtu.be/CVFw3w5uRGA

 

<雇止め(やといどめ)とは>

会社がパートやアルバイトなど有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇止め」といいます。

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。ですから、雇止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇止めの有効性の判断要素>

雇止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

1.業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

2.契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

3.契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

4.他の労働者も契約更新されていないこと。

5.雇止めに合理的な理由が認められること。

 

<会社の義務>

契約期間の終了間際になってから雇止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

ですから、雇止めをする事情が発生したら、対象者には早く説明してあげることが大切です。

上記1.については、労働条件通知書や就業規則の規定を示せば足りることが多いでしょう。

万一、就業規則が無く労働条件通知書の交付を忘れていたような場合には、説明のしようがありません。

口頭で伝えてあったとしても、労働条件を書面で労働者に通知することは法的義務なので、裁判になったら負けてしまいます。

上記2.については、有期契約労働者から契約更新の期待について話があれば、その範囲内で事実を確認すれば足ります。

上記3.4.については、事実を確認して有期契約労働者に示せば良いことです。

問題となるのは、上記5.の合理的な理由です。

ここでいう「合理的」とは、法令の趣旨や目的に適合するという意味だと考えられます。

法令の趣旨や目的は、法令の条文と裁判所の解釈が基準となります。

会社側の解釈も労働者側の解釈も基準とはなりません。

判断が分かれた場合には、早い段階で社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

会社は以上のような説明義務を負っていますが、有期契約労働者が納得することまでは求められていません。

そのため、説明文書を用意しこれを交付して説明するのが得策です。

説明義務を果たしたことの証拠となるからです。

 

<労働者が雇止めに納得できない場合>

会社側が上記のような説明をしない場合には、きちんと説明するよう求めましょう。

それでも説明が無い場合や、説明の内容がおかしいと感じたら、不当解雇を疑って、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

2021/07/17|1,132文字

 

<アルコール依存症>

アルコール依存症とは、お酒の飲み方(飲む量、飲む間隔、飲む状況)を自分でコントロールできなくなった状態のことをいいます。

仕事、家庭、人間関係よりも、飲酒が優先となり治療が必要な状態です。

 

<コロナ禍でのアルコール依存症増加>

新型コロナウイルスの感染拡大により、アルコール依存症が増加していると言われています。

生活の制限や働き方の急変によってストレスが増大し、アルコールに頼る気持が強くなっています。

また、在宅時間が長くなったことから、自由にアルコール飲料を手にするチャンスも増えました。

こうして、長時間にわたり多量に飲酒できる環境下で、アルコール依存症となるリスクが増大しているのです。

 

<飲酒の自由>

しかし、成人であれば、プライベートの時間に飲酒するのは基本的に本人の自由です。

体質にもよりますが、度を越した飲酒は、肝臓、膵臓、心臓、脳、血管、神経などに障害をもたらします。

これによって、生産性の低下や欠勤などが発生すれば、会社は具体的なダメージを受けますから、定期健康診断などの結果を踏まえ、対象者に健康指導を行う必要があります。

場合によっては、節酒や禁酒を求めることもあるわけです。

これは、アルコール依存症への対応ではなく、飲酒による健康障害への対応、あるいは予防策の話です。

 

<アルコール依存症による職場の問題>

アルコール依存症となれば、内臓に大きな障害が発生していなくても、集中力・注意力の低下により、業務効率の低下、ミスの多発、労災やその危険の発生が見られるようになります。

生活習慣の乱れから、遅刻・早退・欠勤や年次有給休暇取得の急増もあるでしょう。

 

<治療に向けて>

飲酒はプライベートなこととはいえ、アルコール依存症の影響により発生した事実の中には、懲戒の対象となるものもあります。

会社は、これを軽視せず、就業規則に従って適正な懲戒を行う必要があります。

無断遅刻・無断欠勤、正当な理由の無い遅刻・早退・欠勤、不注意により会社に損害をもたらす、飲酒し酔った状態で勤務などは、発生しやすいものです。

懲戒を受けることによって、本人がアルコール依存症と正面から向き合うきっかけが生まれます。

またこれに先立ち、懲戒手続の中で本人に弁明の機会を与えることになりますから、ここで出てきた情報を元に、アルコール依存症の可能性を説明し受診を促すこともできます。

本人のことを考えれば、決して対応に遠慮があってはなりません。

 

<解決社労士の視点から>

在宅勤務が長期化している場合には、上司や人事担当者との定期的なオンライン面談も必要です。

話し方やしぐさの変化から、ストレスの蓄積具合や生活習慣の乱れが感じられたなら、適切なフォローが必要となってきます。

2021/07/06|1,077文字

 

<シンガー・ソーイング・メシーン事件判決>

シンガー・ソーイング・メシーン事件は、退職金放棄の有効性について争われたものです。

この判決は、「賃金に当る退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と述べています。(最高裁第二小法廷 昭和48年1月19日判決)

そして、この判決の趣旨は、有期雇用契約を更新しないという、使用者と労働者との合意について、その有効性を判断する基準としても参考になるものです。

つまり、「雇用契約の不更新についての労使間の合意は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と考えられます。

 

<「合理的な理由が客観的に存在」とは>

この基準の中の「合理的」というのは、「有期契約労働者を保護するという労働契約法などの趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

また、「客観的」というのは、「裁判官の判断」を指していると考えられます。

そして、裁判官が判断するには、有期契約労働者の生活が不安定にならないように、労働契約法などの趣旨を踏まえて、会社がどれだけ誠意ある態度を示しているかが重要な要素となります。

 

「合理的」の意味https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<労働者の自由な意思>

合意書に労働者の署名捺印があったとしても、それが「労働者の自由な意思」によるものでなければ、有効ではないのです。

そして、「労働者の自由な意思」によるものだと認められるためには、すべての具体的な事情から、強制の要素が無く、労働者が合意するのも自然だと認定される必要があります。

 

<会社の誠意ある態度>

会社の誠意ある態度は、次のような事実から認定されます。

・入社してから不更新の合意までの期間が短いこと

・説明会や面談での説明回数が多いこと

・退職金や慰労金など金銭の支払があること

いずれも、有期契約労働者が契約打ち切り後の生活について、十分な準備ができるようにするための配慮です。

 

<具体的な判断方法>

こうすれば確実に契約の不更新が許されるというような、明確な基準はありません。

ここでは、シンガー・ソーイング・メシーン事件で示された最高裁の判断を頼りに一応の基準を示しました。

しかし、無期転換と不更新合意について、現時点では、最高裁の判例が存在しません。

ですから、過去の裁判例のうち、具体的なケースに関連したものを抽出して、論理的に結論を推定するしかないのです。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

2021/06/23|1,479文字

 

労働条件を確認しましょうhttps://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<労働条件通知書>

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。〔労働基準法第15条第1項〕

そして、厚生労働省令で定める事項について、使用者が漏れなく明示できるよう、厚生労働省は労働条件通知書の様式をWordとPDFで公表しています。

常に最新の様式をダウンロードして利用していれば、法令の改正にも対応できます。

「労働条件通知書」という文書名からも、「明示」が目的であることからも、使用者から労働者への一方的な通知であることは明らかです。

労働者の氏名は、宛名として表示されていますが、署名・捺印欄はありません。

使用者は、これを1部だけ作成して労働者に交付すれば足りるわけです。

この通知書に記載された内容について、労働者が疑問を抱けば、使用者に説明を求めることになります。

 

<雇用契約書>

労働契約(雇用契約)は口頭でも成立しますから、契約書の作成は義務ではありません。

ただ、使用者が労働者に労働条件通知書を交付しても、紛失されたり、知らないと言われたりしたら困るので、契約書を作成したほうが安心とも言われます。

契約書は2部作成し、労使双方が署名(記名)・捺印して、1部ずつ保管するのが通常です。

雇用契約書には、労使双方の意思表示が合致した内容が記載されています。

ですから、契約書が交わされた後、記載内容について疑問が生じるのは困るのですが、この場合には、労使双方が誠意をもって協議し内容を確定することになります。

 

<労働条件通知書兼雇用契約書>

労働条件通知書と雇用契約書の両方を作成するのは面倒ですから、法令によって明示が義務付けられている項目をすべて含む形で雇用契約書を作成し、労働条件通知書を兼ねるということも行われます。

しかし、一方的な通知と合意の内容を1つにまとめるというのは、論理的な矛盾をはらみます。

書類の内容について疑問が発生した場合には、使用者側が説明すれば足りるのか、労使で協議が必要なのかは不明確です。

ここに紛争の火種を抱えることになりそうです。

 

<労働条件通知書を用いる場合の不都合解消>

労働条件通知書には、労働者の署名欄は無いのですが、これを設けたら無効になるというわけではありません。

末尾に「上記について理解しました。疑義があれば本日より2週間以内に申し出ます」という欄を設け、日付、住所、氏名を自署してもらうこともできます。

そしてコピーを会社の控えとする旨を説明し、原本をご本人に渡せば、後から「知らない。忘れた」という話も出てこなくなるでしょう。

ついでに、就業規則のある場所も明示しておくこともお勧めします。

 

<雇用契約書を用いる場合の不都合解消>

この場合の不都合としては、契約書内の記載について疑問が発生した場合には、労使が相談して内容を確定することになるという煩わしさです。

このことが紛争の火種ともなってしまいます。

ですから、判断が必要な項目については、「会社の判断により」という言葉を加えておく必要があるでしょう。

たとえば、試用期間中に「しばしば遅刻・欠勤があった場合には本採用しない」という内容があれば、「しばしば」に判断の幅が発生してしまいます。

ここは「しばしば遅刻・欠勤があったと会社が判断した場合には本採用しない」といった文言にしておき、不合理な解釈でない限りは、本採用の基準を会社のイニシアティブで決定できるようにしておくのです。

 

労働条件通知書を使用するにせよ、雇用契約書を使用するにせよ、紛争の火種を抱えないよう、ひな形に一手間加えることをお勧めします。

2021/06/11|990文字

 

<規制改革>

政府の規制改革推進会議では、次のような項目について、規制改革の具体的な計画が策定されています。

・行政手続の書面・押印・対面の見直し

・オンライン利用の促進

・キャッシュレス化の促進

・地方税等の収納の効率化・電子化

・民間の書面・押印・対面の見直し

・会社設立時の定款認証に係る公証人手数料の引下げ

・雇用保険給付金申請の添付書類の見直し

・居住地以外のハローワークでの給付金手続

 

<雇用・教育の変化>

働き方改革関連でも、次のステップへの方向性が示されています。

現役の労働者の戦力化だけでなく、次世代の労働力の担い手である学生に対する教育改革も策定されています。

 

<オンライン授業・リカレント教育>

・オンライン授業の普及や今後期待されるリカレント教育の実施に向けた観点から、校舎等の施設の在り方・面積等を定めている設置基準について、大学の独自性を考慮した上で、柔軟な対応ができるよう見直しを実施する。(令和3年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置)

カレント(current)は英語で「現在通用している」、リカレント(recurrent)は「再発する」「周期的に起こる」という意味です。

リカレント教育は、就業後に必要に応じて行う「社会人の学び直し」で、新しい知識を身に付けることにより、キャリアアップや転職の武器にすることができます。

 

<大学の卒業要件見直し>

・学生が海外大学院等へ進学しやすくできるよう、必要単位を取得した場合には、4年未満であっても卒業できるよう、大学の卒業要件を見直す。(令和3年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置)

日本の学校の入学・卒業時期が海外とは異なるため、これに配慮した措置です。

 

<教師の登用>

・多様な外部人材を教師として登用する際の「特別免許状」の発行件数は、いまだ年間200件程度にとどまる。利用促進のため、手続面・要件の見直しを行う。

 

<キャリア形成の促進>

・正社員にとどまらない多様な働き手の自律的・主体的なキャリア形成の促進を主眼に置き、働き手・企業が取り組む事項や人材開発施策に係る諸制度を体系的に示した「リカレントガイドライン」の策定を行う。

キャリア形成が正社員中心となり、非正規社員が置き去りとなる傾向がありました。

同一労働同一賃金の流れもあり、改めて多様な働き手を視野に入れた「リカレントガイドライン」の策定が提言されています。

2021/04/29|1,237文字

 

<旧パートタイム労働法などの改正>

平成27(2015)41日付で旧パートタイム労働法、施行規則、指針が改正されました。

6年以上も前のことです。

 パートタイム労働者とは「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される正社員など通常の労働者に比べて短い労働者」のことをいいます。

労働条件は、労働条件通知書などの書面により労働者に通知しておくことが、事業主に義務づけられています。

パートタイム労働者を雇ったときは、事業主に次のようなことについての説明義務があります。〔旧パートタイム労働法第14条第1項〕

・賃金制度の具体的な内容

・教育訓練の具体的な内容

・利用できる福利厚生施設

・正社員への転換を推進する措置の具体的な内容 

また採用後も、パートタイム労働者から次のようなことについて質問があれば、事業主はきちんと理解できるように説明する義務があります。〔旧パートタイム労働法第14条第2項〕

・どのような要素をどのように考慮して賃金を決定したか

・参加できる教育訓練の内容がどうしてそのように決まっているのか

・利用できる福利厚生施設の範囲がどうしてそのように決まっているのか

・正社員への転換推進措置は何を考慮してそのように決まったのか

 ところが、具体的なことが何一つ決まっていないということもありえます。

こうした状態では、法律違反ということとは別に、職場としての魅力が無いため、退職者が多い一方で、新人を採用できないことになりかねません。

 遵法経営の点からも、人材不足解消の点からも、なるべく経費をかけずに改善を進める必要があります。

 
<同一労働同一賃金の法制化>

パートタイム・有期雇用労働法により、令和3(2021)年4月1日から中小企業を含めすべての企業で、採用時の説明義務が拡大されています。

まず、対象者が増えています。

フルタイム労働者よりも勤務時間の短い短時間労働者(パートタイム労働者)に加えて、労働契約の期間に満了日が設定されている有期雇用労働者(契約社員など)も対象となっています。

つぎに、説明内容が増えています。

新規採用者には、賞与、手当、退職金、休暇、福利厚生など待遇の各項目について、正社員(フルタイムの無期雇用労働者)との違いを説明します。

そして、それぞれの違いについて理由を説明します。

この「待遇の違いの内容と理由」が客観的に合理的なものであることが求められます。

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<解決社労士の視点から>

サービス残業が問題視され減少したのと同様に、採用時の説明義務を果たさない企業も減少していくでしょう。

サービス残業が労働基準法違反の犯罪であり罰則が適用されうるのに対して、「説明不足」には罰則がありません。

しかし、採用したつもりの新人が、会社の説明に納得できず出勤しないリスクがあります。

新人としては、なぜ採用を辞退するのか、「説明不足」の会社に説明するのは無駄だと考えるからです。

働き方改革の流れに乗れないのであれば、一度、社会保険労務士に相談することをお勧めします。

2021/04/18|1,435文字

 

<再雇用時の賃金>

正社員が定年に達すると同時に再雇用された場合、年収は何割までダウンしても違法にならないか、世間相場や業界での一般的な水準はどの程度かといった、それ自体あまり意味を持たない質問を受けることがあります。

これは、働き方改革以前から問題とされてきましたが、同一労働同一賃金との関連でクローズアップされています。

 

<長澤運輸事件最高裁判決>

平成30(2018)年6月1日の長澤運輸事件最高裁判決は、まさに定年後再雇用時の賃金引下げが争われた事件に対する司法判断です。

運輸業の会社でトラックの運転手として定年を迎えた労働者が、定年退職とともに有期労働契約の嘱託社員として再雇用されました。

このとき、仕事内容に変更が無いのに、賃金が約2割引き下げられたことによって、正社員との間に不合理な待遇差が発生し、旧労働契約法第20条に違反するとして会社を訴えたのです。

この判決で、最高裁は次のような判断を示しました。

賃金項目が複数ある場合には、項目ごとに支給の趣旨・目的が異なるので、賃金の差異が不合理か否かについては、賃金の総額を比較するだけでなく、その賃金項目の趣旨・目的を個別に考慮すべきである。

精勤手当は欠かさぬ出勤を奨励する趣旨を持つものであり、嘱託社員は正社員と職務内容が同一である以上、皆勤を奨励する必要性に相違はなく、定年の前後で差異を設けることは不合理である。

精勤手当が計算の基礎に含まれる超過手当(時間外労働手当)についても同様である。

これ以外の賃金項目については、それぞれの趣旨・目的から、差異を設けることが不合理ではない。

 

<最高裁判決の趣旨>

令和2(2020)年は、同一労働同一賃金の最高裁判決が5つ出ました。

大阪医科大学事件、メトロコマース事件、それと日本郵便事件が3つです。

これらの裁判でも、改正前の労働契約法20条を巡って争われました。

退職金、賞与、手当、休暇などについて、それぞれの裁判で差異が不合理か否か争われました。

そして、どの判決でも、各項目の支給の趣旨・目的から、その差異が不合理か否か検討され判決が下されたのです。

賞与一つをとっても、企業によって支給の趣旨・目的が異なります。

その趣旨・目的によって、正社員と非正規社員とで支給の差異について、次のように判断が分かれうることになります。

1.非正規社員にも正社員と同額が支給されるべきである。

2.非正規社員にも正社員と同じ基準で支給されるべきである。

3.非正規社員には正社員の支給額の一定割合を支給すべきである。

4.非正規社員には支給しなくても不合理ではない。

大阪医科薬科大学で、非正規社員に賞与を支給しないのは不合理ではないからといって、別の企業でも同じことがいえるとは限らないのです。

 

<解決社労士の視点から>

定年後再雇用時の年収水準そのものについては、最高裁判所が明確な基準を示していません。

各業界で平均的な下げ幅であれば容認されるのだとすると、平均を下回る半数近い企業は不合理だとされかねません。

むしろ、個別の手当等について、定年の前後でその支給に差を設ける場合に、それぞれの趣旨・目的から、不合理ではないかが厳しく審査されることになりました。

ですから、個別の手当等について、不合理といえない範囲で差異を設けた結果、年収が3割減少した、4割減少したというのは容認されることになります。

肝心の基本給については、今後の司法判断の積み重ねによって明らかになっていくものと思われます。

2021/03/19|1,009文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<同一労働同一賃金の性質>

同一労働同一賃金は、働き方改革の一環として取組むべき課題とされています。

そして、企業に義務付けられている内容は、パート有期労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)に定められています。

この法律に違反した場合でも、労働基準法のように懲役や罰金といった刑罰が適用されるわけではなく、労働者側から企業側に損害賠償を請求する形で、金銭解決が図られることになります。

しかし、全くペナルティーが定められていないわけではなく、行政罰としての過料が定められていることには注意が必要です。

 

<10万円以下の過料>

労働基準法第15条第1項には、一定の労働条件の明示が定められています。

違反には30万円以下の罰金も定められています。

さらに、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際、労働基準法で定める事項のほか、特定事項と呼ばれる4つの項目「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を文書等により明示しなければなりません。〔パート有期労働法第6条第1項、同法施行規則第2条〕

違反には10万円以下の過料が定められています。

4つの特定事項のうち忘れがちなのは、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」です。

漏れなく明示するには、厚生労働省が公表している労働条件通知書(有期雇用型)のひな形の最新版を利用するのが良いでしょう。

また「相談窓口」を人事課の担当者など社内の人にすると、非正規労働者からは敬遠され、なかなか相談してもらえず、不満が大きくなって、いきなり弁護士に相談されてしまうということが起こりがちです。

パワハラ、セクハラなどの相談窓口と併せて、社外の専門家として顧問の社会保険労務士を指定したほうが安全です。

 

<20万円以下の過料>

厚生労働大臣から報告を求められ、これに対して報告しない、虚偽の報告をしたという場合には、20万円以下の過料が定められています。

もちろん、いきなり報告を求められることはありません。

事前に労働局長名で「パートタイム・有期雇用労働法に基づく報告の徴収について」という文書が事業主宛に届きます。

その後、所轄の労働基準監督署から、同一労働同一賃金への対応状況についての事情聴取があり、これに基づく行政指導があって、この指導への対応を報告させられるわけです。

 

解決社労士

2021/03/02|1,760文字

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<不合理ではダメ>

パート有期労働法第8条に、「短時間・有期雇用労働者の待遇について、(正社員など)通常の労働者の待遇との間で、不合理と認められる相違を設けてはならない」という趣旨の規定があります(長いので最下部に示しておきます)。

ご存知「同一労働同一賃金」に関連した重要な条文です。

この条文は、「不合理ではダメ」と言っているのであって、「合理的でなければダメ」とは言っていないと説明されます。

日本語としては、どちらも同じ内容を表しているように思えますが、裁判では大きな違いを生じます。

 

<証明責任>

Aさんが、友人のBさんに、1か月後に返す約束で10万円を貸したのに、1か月経っても返してもらえません。

Aさんは、Bさんを相手に、貸金返還請求訴訟を提起します。

この訴訟でAさんは、Bさんに10万円を貸したという証明をしなければなりません。

これに失敗すると、Aさんは、この訴訟で敗訴してしまうでしょう。

このように、訴訟で証明に失敗すると不利益を被る責任を「証明責任」といいます。

もしAさんが、Bさんとの間で交わした金銭消費貸借契約書を裁判所に証拠として提出したら、今度はBさんが窮地に追い込まれます。

この訴訟でBさんは、Aさんに10万円を返済したという証明をしなければなりません。

これに失敗すると、Bさんは、この訴訟で敗訴してしまうでしょう。

返済については、Bさんが証明責任を負っていることになります。

このように証明責任を分配することによって、「裁判所がどちらを勝たせて良いのか分からず判決を下せない」という事態が発生することを防いでいるのです。

 

<不合理な待遇差>

パート有期労働法第8条が「不合理ではダメ」と規定していることから、「不合理」の証明責任は労働者側にあるとされます。

労働者側が、待遇差について不合理であることの証明に成功すると、裁判所は事業主側に損害賠償の支払を命ずることができるわけです。

仮に、パート有期労働法第8条が「合理的でなければダメ」と規定し、「合理的」の証明責任を事業主側に負わせていたとすると、事業主側が待遇差について合理的であることの証明に成功しないと賠償責任を負うことになり、酷な結果になってしまいます。

 

<「不合理」の判断基準>

パート有期労働法第8条の「不合理」の判断基準は何でしょうか。

裁判官個人の「常識」が基準では、裁判によって基準がバラバラになりますし、下される判決の予測もつきません。

むしろ、この法律の目的に適っていれば「合理的」、目的に反していれば「不合理」という基準で、裁判官が法解釈し事件に適用しているものと考えられます。

そして、パート有期労働法の目的は、その第1条に示されている通り「短時間・有期雇用労働者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与すること」という抽象的なものですから、具体的な基準は、今後の司法判断の積み重ねによって明らかになっていくとみられます。

 

【短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称:パート有期労働法)】

第1条(目的)この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

 

第8条(不合理な待遇の禁止)

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 解決社労士

2021/02/15|1,344文字

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<2つの最高裁判決>

令和2(2020)年10月13日、大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件の最高裁判決が出されました。

大阪医科薬科大学事件ではアルバイト職員の賞与が、メトロコマース事件では契約社員の退職金が争われ、どちらも原告に支給する必要は無いという判断が下されました。

この結論については、マスコミが大々的に取り上げましたから、印象に残っている方も多いことでしょう。

しかし、これらの結論は一般論ではなく、どちらも正社員登用制度があり、実際に運用され、登用実績があったという事情が重要な判断要素とされています。

どちらの訴訟でも原告は、正社員の1段階前への登用にチャレンジする試験を受験し、失敗して諦めていたという事情があります。

つまり、正社員登用のチャンスが与えられていたことになります。

 

<均衡待遇・均等待遇>

上記の最高裁判決では、改正前の労働契約法第20条が焦点となりました。

現在は、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が、その内容を引き継ぎ、フルタイムの有期雇用労働者に適用対象が拡大されています。

同法第8条では均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)について、1.職務の内容、2.職務の変更の範囲、3.その他の事情が判断要素とされ、待遇の不合理性が判断されます。

また、同法第9条では均等待遇(差別的取扱の禁止)について、1.職務の内容と2.職務の変更の範囲が同じであれば、同等の待遇であることが求められ、差別的取扱が禁止されています。

「1.職務の内容」は、業務内容と責任の程度を指します。

「2.職務の変更の範囲」は、将来にわたって職務内容や配置の変更の範囲を指します。

水平的な職務や部署の変更だけでなく、垂直的な役職の変更なども含まれます。

「3.その他の事情」には、労使慣行や労働組合との折衝内容などが含まれます。

上記2つの最高裁判決では、正社員登用制度の存在や運用実績が、3.その他の事情として考慮されたことになります。

 

<正社員への転換>

パート有期労働法第13条は、通常の労働者への転換について規定しています。

「正社員」という言葉は法律用語ではなく、その定義は各企業に任されています。

このこともあって、パート有期労働法では「通常の労働者」と言っていますが、「正社員」とほぼ同義です。

そして、同法第13条は「事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない」と規定しています。

その措置とは次の4つです。

1.正社員を募集するときに、募集内容を短時間・有期雇用労働者に周知すること。

2.正社員の配置を新たに行うときに、短時間・有期雇用労働者に応募機会を与えること。

3.短時間・有期雇用労働者向けに、試験制度など正社員登用の措置を講ずること。

4.その他の正社員への転換推進措置を講ずること。

4つの中では、1.の正社員募集内容の周知が最も手軽です。

しかし、同一労働同一賃金との絡みでは、3.の正社員登用制度の構築が有効です。

制度はあるものの形骸化している状態では、会社側に有利に働きませんので、定期的に正社員登用の告知を行い、記録を残しておくなど、その制度が有効であることを示す資料の保管を心がけましょう。

 

解決社労士

2020/12/16|1,172文字

 

<空欄のある雇用契約書などの有効性>

雇用契約書や労働条件通知書などは、使用者から労働者に対して主要な労働条件を書面で通知するための書類です。

そして労働条件は、労働契約の中心的な内容となっています。

しかし労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、書面に不備があっても労働契約の効力には影響しません。〔民法第623条〕

たとえ雇用契約書や労働条件通知書が無くても、労働契約は有効に成立するのです。

 

<法定事項の通知義務>

労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は、使用者から労働者に書面で通知する必要があります。

1. 労働契約の期間(契約の更新の有無、更新がありうる場合の更新の条件)

2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

さらに、パートタイマー(短時間労働者)や有期雇用労働者については、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

1. 昇給に関する事項

2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

つまり、これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。

ただし、パートタイマー(短時間労働者)や有期雇用労働者については、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<空欄があることによるトラブル>

労働条件通知書は、使用者の労働者に対する一方的な通知書ですから、1部だけ作成して労働者に交付すれば良い書面です。

この点が、雇用契約書とは違うところです。

しかし、もし空欄があった場合、交付を受けた労働者が勝手に空欄を補充すると、これがトラブルの元になります。

ですから、使用者もコピーを1部保存するのが良いでしょう。

また、労働条件通知書のひな形を使い、分からない項目は空欄にしておくというのも危険です。

決め方が分からないなど迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

<期限付きにする会社のメリット>

会社や店舗の業績に大きな波があって、その傾向が比較的わかりやすければ、必要な時期に限定して人手を増やすために、有期労働契約は便利です。

たとえば、春から秋にかけてはパチンコ店の店員をしていて、冬場だけスノーボードのインストラクターとして働くという例もあります。

 「何かあったときに」簡単に人員を調整して人件費を抑えるため、有期労働契約の従業員を採用しておくという会社もあります。

昔は労働契約法も無かったですし、労働法に対する人々の関心も薄かったですから、会社の思惑通りに事が運んでいました。

しかし、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるという誤解は解消されつつあります。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法第17条第1項、民法第28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

主観的な判断で安易に「やむを得ない」とはいえないのです。

 

<期間満了での解雇(雇い止め)>

この雇い止めについてのトラブルは非常に多いものです。

その原因は、期間満了と共に解雇するのであれば何の問題も無いハズという会社側の感覚と、契約更新に期待を寄せている従業員の感覚との食い違いです。

そして法律上、一定の場合には解雇が認められやすく、その他の場合には不当解雇となりやすいという複雑さがあります。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

雇い止めのトラブルを無くすには、最初の契約内容をきちんとすることと、採用時、契約更新時に労働条件を書面で示すことが必要です。

正社員以外の従業員がいる場合には、トラブル防止のため、また同一労働同一賃金に対応するためにも、信頼できる社労士にご相談ください。

2020/12/02|886文字

 

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は、法定の労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法第15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは労働基準法違反の犯罪であり、30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法第120条〕

この場合、1人あたり30万円の罰金を科されたうえに、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も、取得した場合の給与計算の方法も不明です。

月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。

労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と自白しているようなものです。

 

<契約の更新>

有期労働契約であれば、こうした書類に契約期間が明記されています。

契約期間の終了が迫っているのに、なかなか契約更新の話が無いのでは、雇われの身としては不安で仕方がありません。

契約期間が過ぎて、何の話も無ければ、このまま働いていて大丈夫なのか疑問に感じてしまいます。

こういう場合に備えて、民法には次の規定があります。

「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する」〔民法第629条第1項本文〕

つまり、契約切れなのに勝手に働いているのだから、賃金支払義務は無いということではないのです。

(このほか労働契約法第19条にも一定の場合の契約更新が規定されています)

 

<契約更新期が近づいたら>

とはいえ、遅くとも契約期間満了の1か月前になったら、使用者からでも労働者からでも、気づいた方が契約更新の話をもちかけるべきです。

必ず前回と同じ内容で更新というわけではなく、出勤日や勤務時間の変更、賃金の改定など検討する余地があるかも知れません。

そして、「こういう変更をしても問題ないか?」という疑問があれば、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/11/25|720文字

 

<パート社員の試用期間>

たとえば、1年間の有期労働契約にして、最初の3か月間は試用期間とすることが行われます。

3か月間の働きぶりを確認して、とても勤まらないと判断すれば、そこで解雇しようという意図がうかがえます。

しかし、試用期間中であれ、試用期間終了時であれ、やむを得ない理由が無ければ解雇できません。

日常用語で「本採用拒否」などと言われますが、これは法的には解雇です。

このことは、きっちり雇用契約書を交わして本人の了解を得ていたとしても、結論に変わりはありません。

 

<正しい方法>

最初は3か月契約として、契約更新の条件に会社が意図する「本採用」の条件を定めておけば良いのです。

この「本採用」の条件は、正社員に対しても、入社時に文書で明示しておくと労働トラブルの防止に役立ちます。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

法令の規定とは違った「常識」や同業他社の「慣行」に頼った対応が、思わぬ結果をもたらしたり、意図した効果が得られなかったりで、労働トラブルとなることがあります。

特に、下記の条文中の「やむを得ない事由」を安易に認めてしまうことによるトラブルが跡を絶ちません。

会社の中で当たり前になっていることも、一度、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

〔労働契約法第17条第1項〕

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

〔民法第628条〕

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

 

解決社労士

2020/08/18|1,300文字

 

<更新の有無を伝える必要がある場合>

有期労働契約であれば、契約期間満了により雇用が終了するのが原則です。

ですから、もともと更新が無い契約であれば、あえて更新が無いことを伝える必要はありません。

反対に、必ず更新がある契約の場合にも、これを伝える必要はありません。

問題は、更新の「可能性」があるという契約にした場合です。

この場合には、なるべく早く更新の有無を決定して、対象者に伝えるのが望ましいわけです。

それでも、契約を更新する場合であれば、契約期間満了の直前に契約更新を伝えても大きな問題にはなりません。

しかし、契約の更新をせず打ち切る場合には、これを「雇い止め」と呼び、一定の場合には、その予告が義務づけられています。

 

<雇い止めの予告>

雇い止めの予告が義務となるのは、次のような場合です。

・労働契約を3回以上更新している場合

・1年を超えて継続勤務している場合

・1年を超える労働契約の場合

これらの場合に事業主は、少なくとも期間満了の30日前までに、雇い止めの予告をしなければなりません。

 

<理由の明示>

雇い止めの予告をしたのに対応して、対象者から雇い止めの理由について証明書を請求された場合には、遅滞なく交付しなければなりません。

退職後に請求された場合でも、事業主には交付義務がありますが、あくまでも請求があった場合のみの義務となります。

雇い止めの理由の例としては、次のものが挙げられます。

・前回の契約更新時に本契約を更新しないことが明確に合意されていたため

・契約締結当初に定めた契約更新回数の上限に達したため

・閉店など事業縮小のため

・業務を遂行する能力が十分ではないと会社が判断したため

雇い止めの理由は、わかりやすく事実に沿った理由を示す必要があります。

誤解を生じる表現だと、これが元で訴訟トラブルに発展することもあります。

退職後は特にそうですが、「雇い止め理由書」を郵送して終わりにするのは危険です。

せめて電話で、できれば面談で説明したいものです。

 

<トラブルを防止するには>

雇い止めというのは、本当に訴訟トラブルを発生しやすいものです。

決まりきったルールを守るだけではなく、プラスアルファのトラブル防止策をお勧めします。

まず、雇い止めの予告にあたってのトラブルを防ぐには、最初の採用のときと、契約更新のときに、次回の契約更新の条件を具体的に示しておくことが必要です。

対象者から反論されたり、疑問を出されたりするような条件では、具体性に欠けるということになります。

また、雇い止めの理由を示したことによって、新たなトラブルを発生させないようにするには、その理由が客観的に合理的なものであって、世間一般の常識からしても「やむをえない」といえるものであることが必要です。

その基準は、労働法や裁判例を参考にすれば明らかになるものです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

もし社内に専門の担当者がいないのであれば、しろうとの「常識」で考えず、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

それぞれの会社と業務内容に応じた対策をとることによって、リスクを大幅に軽減し、経費を削減することができます。

 

解決社労士

2020/03/07|1,314文字

 

<有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

一定の場合に、「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めの有効性の判断材料>

上記の労働契約法第19条は、数多くの判決がベースとなって規定されたものですから、雇い止めの有効性を判断するには、裁判に現れたケースを基準に具体的に考える必要があります。

そして、結論としては、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

 

【雇い止めが有効となりやすい事情】

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<どう伝えたら良いか悩む理由>

会社側が、雇い止めの対象者に、契約を更新しないという判断を伝える場合には、契約の打ち切りが不当だという法的主張をされないか、また、感情的に納得してもらえないのではないかということで悩みます。

とくに、自分自身が判断したのではなく、上司や人事部門の決定による場合には、自分の気持ちとは関係なく事実を伝えなければなりませんから辛いものです。

 

<法的主張についての不安>

ポイントは、合理的な理由の説明です。これには事前の準備が必要です。

労働条件通知書、雇用契約書といった労働条件を示した書面に、契約を更新しない場合の具体的な理由と、判断するのは会社側であることが明記されていれば、「ここに書いてある通り」という説明で十分なことも多いでしょう。

労働条件通知書の契約更新の条件は、可能な限り具体的なものとしておくこと、条件の充足を判断するのは会社側であることを明記しておきましょう。

 

<感情的な納得>

雇い止めされる従業員からすると、理屈では理解できても、感情的に納得がいかないという場合もあります。

ポイントは、日頃からのコミュニケーションです。これにも事前の準備が必要です。

日常的な雑談だけでなく、部門長や人事担当者との定期的な面談が必要です。

ここでは、次回の契約更新の可能性など、重要な話もすることになります。

雇い止めをする場合には、契約期間の終了まで多くの日数を残して話を切り出さなければなりません。

次の仕事を探すなど、従業員側にも時間的な余裕が必要だからです。

そして、対象となる従業員の話を十分に聞き、十分な説明をすることが大切です。

 

解決社労士

2020/01/31|1,051文字

 

<有期労働契約>

有期労働契約は、契約期間に限りのある労働契約をいいます。

正社員の場合には、労働契約の期間を区切らず定年年齢まで契約が続くのに対して、正社員以外の場合には期間を区切って契約するのが一般的です。

 

<休職制度>

長く働き続ける予定の労働者が、個人的な事情で働けなくなったとします。

働けない事情について、育児や介護など法令に定めがある場合には、育児休業や介護休業など、基本的には、その法令の定めに従い運用することになります。

しかし、法令に定めが無い休職について、これを認めるか認めないかは、会社の就業規則などの定めに従うことになります。

具体例としては、次のような流れになります。

 

ある人が休日のドライブで事故に遭い長期間働けない

→ 本来なら退職するしかない

→ 会社にとって貴重な人材なので何とかしたい

→ 会社から対象者に休職命令を発する

→ 定めた期間中に復帰できなければ退職

 

多くの場合、法令に定めの無い休職では、会社が命ずるのであって、労働者から権利を主張できるものではありません。

 

<結論として>

同じ有期労働契約であっても、契約期間以外の労働条件は、会社により、労働者によりバラバラです。

休職制度も、法定のものを除き、会社により、労働者によりバラバラです。

ですから、有期労働契約の従業員に休職制度が必要かどうかは、会社の実情と労働契約の内容から具体的に判断しなければなりません。

また、休職制度にこだわらないのであれば、労働契約の内容を変更することや、一度退職して、その後条件が調ったとき優先的に採用するという制度も考えられます。

 

<別の観点から>

労働契約法には、次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

【契約期間中の解雇等】

第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。〔以下略〕

 

こうした規定の趣旨からすると、有期労働契約の従業員を契約期間中に解雇するのは簡単ではありません。

経営者の「常識」に従った解雇が、法令違反となり無効とされる場合も多いのです。

会社の実情と目的をふまえ、どのように対応すべきか、どのような制度を導入したら最適かについて、迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/17|1,456文字

 

<トラブルが生じやすい雇い止め>

パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの雇用形態では、有期労働契約が多く見られます。

有期労働契約というのは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことです。

有期労働契約である以上、契約期間満了により雇用が終了することが原則です。

しかし、契約更新の繰り返しにより長い間雇用を継続する場合もあります。

このような場合に、契約を更新せずに期間満了をもって退職させると、期待を裏切ることになります。

こうした「雇い止め」では、トラブルが生じやすいので、トラブル防止のためのルールが定められています。

 

<雇い止めの予告>

雇い止めの予告が義務となるのは、次のような場合に限られます。

・労働契約を3回以上更新している場合

・1年を超えて継続勤務している場合

・1年を超える労働契約の場合

これらの場合に事業主は、少なくとも期間満了の30日前までに、雇い止めの予告をしなければなりません。

ただし、雇用の約束をした時に、期間満了で必ず退職する約束だった場合には、期待を裏切る可能性は無いので対象外となります。

事業主としては、辞めてもらうことが決まっていても、あまり早く雇い止めの予告をしてしまうと、働く意欲が低下するのではないか、一緒に働いている人たちに不満を言うのではないかと心配になります。

しかし、早く伝えてあげないと、雇い止めの対象となった人は、次の仕事を見つけるための準備をする期間が短くなってしまいます。

このルールは、この点に配慮しているわけです。

 

<理由の明示>

雇い止めの予告をしたのに対応して、対象者から雇い止めの理由について証明書を請求された場合には、遅滞なく交付しなければなりません。

退職後に請求された場合でも、会社には交付義務がありますが、あくまでも請求があった場合のみの義務となります。

雇い止めの理由の例としては、次のものが挙げられます。

・前回の契約更新時に本契約を更新しないことが明確に合意されていたため

・契約締結当初に定めた契約更新回数の上限に達したため

・閉店など事業縮小のため

・業務を遂行する能力が十分ではないと会社が判断したため

わかりやすく事実に沿った理由を示す必要があります。

誤解を生じる表現だと、これが元で訴訟に発展することもあります。

退職後は特にそうですが、「雇い止め理由書」を郵送して終わりにするのは危険です。

せめて電話で、できれば面談で説明したいものです。

 

<トラブルを防止するには>

雇い止めというのは、本当にトラブルを発生しやすいものです。

決まりきったルールを守るだけではなく、プラスアルファのトラブル防止策をお勧めします。

まず、雇い止めの予告にあたってのトラブルを防ぐには、最初の採用のときと、契約更新のときに、次の契約更新の条件を具体的に示しておくことが必要です。

対象者から反論されたり、疑問を出されたりするような条件では、具体性に欠けるということになります。

また、雇い止めの理由を示したことによって、新たなトラブルを発生させないようにするには、その理由が客観的に合理的なものであって、世間一般の常識からしても「やむをえない」といえるものであることが必要です。

その基準は、労働法や裁判例を参考にすれば明らかになるものです。

もし社内に専門の担当者がいないなど、不安な状況があるのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

それぞれの会社と業務内容に応じた対策をとることによって、リスクを大幅に軽減し、経費を削減することができます。

 

解決社労士

2019/11/08|1,052文字

 

<契約更新可能性の明示義務>

使用者が期間を定めて新人を雇用する場合、つまり有期労働契約で採用する場合、その契約の更新可能性の有無を明示しなければなりません。

完全に期間限定で、延長することがあり得ないのであれば「契約更新の可能性なし」と明示します

しかし、契約期間を延長する可能性がある場合には「契約更新の可能性あり」と明示したうえで、契約を更新する場合またはしない場合の判断基準を明示しなければなりません。

 

<判断基準の明示>

厚生労働省は、明示すべき「判断の基準」の具体的な内容として、次の例を参考にするよう指導しています。

・契約期間満了時の業務量により判断する

・労働者の勤務成績、態度により判断する

・労働者の能力により判断する

・会社の経営状況により判断する

・従事している業務の進捗状況により判断する

 

<労働条件通知書の場合>

使用者は労働者の雇い入れにあたって、労働条件を書面で通知しなければなりません。

使用者が労働者に対して一方的に通知する書面として「労働条件通知書」があります。

厚生労働省から「モデル労働条件通知書」も公表されています。

これは、使用者から労働者に対する通知の形をとっていますから、契約更新の有無を判断する基準として、たとえば「労働者の能力により判断する」と明示してある場合には、労働者の能力を判断するのは、この文書を作成した使用者側であるといえます。

さらにトラブルを避けるなら、「会社が労働者の能力を評価して判断する」と明示すればよいでしょう。

 

<労働契約書(雇用契約書)の場合>

会社によっては、労働契約書を交わして労働条件を明示しています。

契約書は、当事者の意思表示の合致を書面にしたものです。

ですから、労働契約書の契約更新の条件のところに「労働者の能力により判断する」と書いてある場合には、契約書には使用者と労働者双方の名前が入っていて、この文書は共同で作成したという形式をとっているので、必ずしも使用者が単独で判断するのが当然ということにはならず、労働者の意見も反映されるべきではないかという疑問が出されうることになります。

特に労働者が契約更新を期待していたのに、会社が更新しなかった場合には、能力の評価について意見の対立が生じうることになります。

ですから、労働条件の明示に契約書の形式をとるのであれば、「会社が労働者の能力を評価して判断する」というように、判断者を明示することが必須となります。

ちょっとしたことですが、紛争の発生を予防するための大きなポイントといえるでしょう。

 

解決社労士

<派遣労働者>

派遣労働者は、労働者派遣法で定められた正式名称です。

労働者派遣とは、労働者が人材派遣会社(派遣元)との間で労働契約を結び、派遣元が労働者派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に労働者を派遣して、労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くというものです。

特徴として、労働者に賃金を支払う会社と指揮命令をする会社が異なるという複雑な労働形態となっていることから、労働者派遣法が派遣労働者のための細かいルールを定めています。

労働者派遣では、法律上の雇い主は人材派遣会社です。ですから、事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処しなければなりません。

しかし、実際に指揮命令をしている派遣先が全く責任を負わないというのは不合理です。

そこで、労働者派遣法が派遣元と派遣先との責任分担について定めています。

 

<契約社員(有期労働契約)>

契約社員は、法律上の名称ではないので、その意味も会社によって違います。

正社員と違って、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている場合があります。

このような期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。

ただし、労使の合意により、契約を更新することもあります。

1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。

 

<パートタイム労働者>

パートタイム労働者は、正式名称ではありません。

パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます。

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます。

「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法の「短時間労働者」となります。

パートタイム労働者を雇用する使用者は、パートタイム労働法に基づき、公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務づけられています。

また、労働者を雇い入れる際、使用者は、労働条件を明示すること、特に重要な条件については文書を交付することが義務付けられていますが、パートタイム労働法では、昇給・退職手当・賞与の有無についても文書の交付などによる明示を義務づけています。

なお、パートタイム労働法は2020年4月1日に改正され、パートタイム・有期雇用労働法となります。

ただし、中小企業への適用は、2021年4月1日からとなります。

 

<短時間正社員>

短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて、その所定労働時間(所定労働日数)が少ない正社員であって、次のどちらにもあてはまる労働者をいいます。

・期間の定めのない労働契約を結んでいる。

・1時間あたりの基本給および賞与・退職金などの算定方法などが同じ事業所に雇用される同種のフルタイムの正社員と同等である。

このような働き方を就業規則に制度化することを指して、「短時間正社員制度」と呼んでいます。

短時間正社員制度の導入には、優秀な人材の獲得や社員の定着率の向上、採用コストや教育訓練コストの削減、社員のモチベーションアップ、外部に対するイメージアップといったメリットがあります。

 

<業務委託(請負)契約を結んで働く人>

正社員や派遣労働者、契約社員、パートタイム労働者、短時間正社員などは、「労働者」として、労働基準法など労働法の保護を受けることができます。

ところが、「業務委託」や「請負」といった形態で働く場合には、注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。

ただし、「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、その働き方の実態が、注文主の指揮命令を受けるなどによって「労働者」であると判断されれば、労働基準法など労働法の保護を受けることができます。

 

<家内労働者>

家内労働者とは、委託を受けて、物品の製造または加工などを個人で行う人をいいます。

家内労働者は「事業主」として扱われますが、委託者との関係が使用者と労働者の関係に似ていることから家内労働法が定められていて、委託者が家内労働者に仕事を委託する場合には、家内労働手帳の交付や最低工賃の順守など、家内労働法に基づいた対応が求められます。

 

<在宅ワーカー>

在宅ワーカー(在宅就業者)とは、委託を受けて、パソコンなどの情報通信機器を使用してホームページの作成などを個人で行う人をいいます。

在宅ワーカーも「事業主」として扱われますが、委託者に対して弱い立場に置かれやすいため、在宅ワーカーに仕事を委託する場合には、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を踏まえた対応が求められます。

 

2019.10.02. 解決社労士 柳田 恵一

<通常の場合>

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で働く労働者について、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできないとされています。〔労働契約法第17条第1項〕

期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。

 

<長期勤続の場合>

また、有期労働契約が3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、契約を更新しない場合、使用者は少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。〔有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第1条〕

ただし、あらかじめその契約を更新しない旨が明示されている場合を除きます。

 

<証明書の交付>

さらに、使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。

これは、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。〔有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第2条〕

明示すべき「雇止めの理由」は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。

たとえば、以下のような理由です。

・前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため

・契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため

・担当していた業務が終了・中止したため

・事業縮小のため

・業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため

・職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため

 

2019.05.23. 解決社労士 柳田 恵一

<法改正による対象者の拡張>

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」には次の規定があります。

 

【通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止】

第九条 事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 

この法律は改正され、名称が「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」となって、2020年4月1日に施行されます。

対象者が短時間労働者だけでなく、有期雇用労働者に拡張されます。

その施行に先立ち、2019年1月30日に詳細な通達が出されています。

 

<差別的取扱いの禁止>

短時間・有期雇用労働者の職務の内容や「職務の内容及び配置」の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)といった就業の実態が、正社員など通常の労働者と同様であるにもかかわらず賃金などの取扱いが異なるなど、短時間・有期雇用労働者の待遇は就業の実態に見合った公正なものとなっていない場合があります。

しかし、就業の実態が通常の労働者と同じ短時間・有期雇用労働者については、全ての待遇について通常の労働者と同じ取扱いがなされるべきだとされます。

つまり、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないということです。

 

ただし、「職務の内容及び配置」の変更の範囲が、事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、正社員など通常の労働者と同一であることが条件となっています。

これは、その事業所の慣行その他の事情からみて、事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容・配置が、正社員など通常の労働者の職務の内容・配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるということです。

なぜなら、我が国における雇用管理が長期的な人材育成を前提になされていることが多いため、差別的取扱いの禁止の規定の適用に当たっては、ある一時点において短時間・有期雇用労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるからです。

 

<具体的な対応としては>

「正社員」「パート社員」「契約社員」などの用語は、法律用語ではありません。ですから、こうした言葉の意味内容は、それぞれの会社が自由に決めています。

実際のところ、「正社員」の求人広告に応募して採用されると正社員として扱われ、「契約社員」の求人広告に応募して採用されると契約社員として扱われています。

そして、勤務時間の違いこそあれ、仕事の中身が全く同じになってしまっていることは少なくありません。

仕事内容が同じなら、待遇も同じであるのが正常なのですが、本人が納得?しているだろうということで、待遇の差が退職まで残っているという不合理が見られます。

正社員などフルタイムの労働者よりも、勤務時間が短かったり、勤務日数が少なかったりする「短時間労働者」については、現在でも差別的取扱いが禁止されています。

これが、2020年4月1日になると、フルタイムの労働者ではあるものの、契約期間に区切りのある有期雇用労働者に対しても、この法律が適用されるようになるということです。

従業員の待遇を決定するに当たっては、職務の内容や「職務の内容及び配置」の変更の範囲を基準としなければならなくなったわけです。

 

2019.02.10.解決社労士

<会社が証明を必要とする場合>

雇用関係助成金の申請などのために、会社が特定の従業員の雇用契約について、期間の定めの無いものであることを証明する必要に迫られることがあります。

労働基準法により、従業員に対する労働条件の通知は会社に義務付けられていますから、これを怠っていたのなら、労働条件通知書や雇用契約書を作成することによって、証明書類とすることができます。

また、一定の範囲の従業員について労働条件が一律であれば、その共通部分について就業規則に規定しておくことにより、就業規則を証明書類とすることができます。

 

<退職したい従業員が証明を必要とする場合>

退職の申し出については、労働基準法ではなく民法の規定が適用されます。

 

【期間の定めのない雇用の解約の申入れ】

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

【やむを得ない事由による雇用の解除】

第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

 

つまり、期間の定めの無い雇用契約であれば、いつでも退職の申し出ができるのに対し、期間の定めがあると、「やむを得ない事由」が無ければ期間の終了前に退職の申し出ができません。

従業員が、自分自身の雇用契約について期限の有無がわからないというのは、労働条件通知書の交付を受けていないか紛失して忘れているかのどちらかでしょうから、使用者に確認するしかありません。

 

退職の申出は、従業員側から契約を解約する旨の意思表示であり、会社の承認までは必要ないのですが、退職には一定のルールがあり、就業規則などに従った手続をとる必要があります。

就業規則が無い場合には、上記の民法の規定に従うことになります。

 

もっとも、これらのことは、従業員が会社に対して一方的に退職の申出を押し通すような場面を想定しています。

現実には、お互いトラブルを避けるため、従業員から退職の申出があった場合には、会社側が従業員と話し合って退職の段取りを決めるのが一般的です。

これは、合意退職という形になりますから、民法の規定にこだわらず柔軟な対応を取ることが可能です。

この場合には、期間の定めの有無についての証明が要らないことになります。

 

<解雇を通告される従業員が証明を必要とする場合>

会社から解雇を通告された、あるいは、通告されそうだという場合に、期間の定めの無い雇用契約であることを証明できれば、解雇されにくくなるような気もします。

しかし、当初から契約終了日が決まっていて、契約の更新が無いことも明示されていたような場合を除けば、解雇は簡単に有効となるものではありません。

労働契約法には、次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

この条文を素直に読めば、解雇の通告さえすれば解雇が有効になるのが原則ということになります。例外として、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合に限り、雇い主側の権利の濫用となって解雇が無効になるものと読めます。

ところが、訴訟ともなると、労働基準法など労働関係の法令の趣旨に反して合理的ではないとか、裁判所の認定した世間の常識とは違うとか、様々な理由によって解雇の通告が無効とされることは多いのです。

ですから、期間の定めの無い雇用契約であることを証明できないと解雇が有効になってしまうというわけではないのです。

期間の定めの無い雇用契約であることの証明に力を注ぐのではなく、具体的な事実を整理して専門家に相談することをお勧めします。

 

2018.12.12.解決社労士

有期労働契約の打ち切り>

一般の正社員のように、契約期間を区切らず定年まで働く契約を無期労働契約といいます。

これに対して、パートやアルバイトなど契約期間を区切って更新を重ねていく契約を有期労働契約といいます。

有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

 

<法律の規定>

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法19条〕

ここで、「客観的に合理的な理由を欠き」というのは、労働契約法1条に示された労働契約法の目的や全体の趣旨に反することをいうと考えられます。

 

労働契約法第1条(目的)

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

 

また、「社会通念上相当である」というのは、裁判で認定された世間一般の常識に反していないことを指していると考えられます。

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めに関する法理>

雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

反対に、次のような事情があると、雇い止めが無効であり労働契約が継続していると判断されやすくなります。

業務内容や労働契約上の地位が継続的なものであること。正社員と同様の働き方をしていること。・就業規則に契約更新を期待させる内容や上司など一定の立場にある人から「長く働いて欲しい」「来年もよろしく」など契約更新を期待させる言葉があったこと。

・契約更新回数が多いこと、また、通算勤続期間が長いこと。

・同じ職場で、同様の契約をしている労働者の中に、契約を更新されている人がいること。

・雇い止めに客観的に合理的な理由が認められないこと(些細なことや上司の好き嫌いを理由に契約を更新しないなど)。

契約更新を期待させる事情があったり、契約を更新しない理由が不合理であったりする場合です。 

 

<注意ポイント>

契約期間の終了間際になってから雇い止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

雇い止めをする事情が発生したときに、「あまり早く事情を説明したら勤務意欲を失うのではないか」と考えてためらってはいけません。

対象者は次の仕事を見つける必要がありますから、できるだけ早く納得のいく説明を聞きたいのです。

 

2018.10.10.解決社労士

 

非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)について、以下の①~③が統一的に整備されます。

パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになりました。

法律の名称も、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・ 有期雇用労働法)に変わります。

新しい法律は、中小企業については2021年4月1日施行ですが、大企業では2020年4月1日施行です。

 

<① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備>

同一企業内で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

平成28(2016)年12月に、「同一労働同一賃金 ガイドライン案」が策定され、どのような待遇差が不合理に当たるかが示されていますが、今後、確定版が策定され明確な基準が示される予定です。

 

均等待遇規定

 (差別的取扱い

の禁止)

下記2点が同じ場合、差別的取扱いを禁止します。

①職務内容(業務の内容+責任の程度)

②職務内容・配置の変更の範囲

均衡待遇規定

 (不合理な待遇差

の禁止)

下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差を禁止します。

①職務内容

②職務内容・配置の変更の範囲

③その他の事情

 

均等待遇規定は、平等の原理に基づくものです。

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①と②が同じである点に着目しています。

 

均衡待遇規定は、公平の原理に基づくものです。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①~③が異なっている点に着目しています。

 

なお、派遣労働者については、下記のいずれかを確保することが義務化されます。

 

 

(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇

(2)一定の要件を満たす労使協定による待遇

併せて、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務が新設されます。

 

派遣元で、評価制度や昇給制度を含む、一定の要件を満たす労使協定が交わされていれば、派遣先は安心です。

しかし、労使協定が無い場合には、派遣先の労働者の給与や賞与などの待遇を、派遣元に提供しなければならないということです。

 

<② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化>

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができるようになります。

事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

具体的には、パートタイム労働者や有期雇用労働者から請求された場合には、賃金制度、賞与や退職金の有無などについて、正社員との違いを、それぞれの就業規則に基づき説明しなければなりません。

前提として、正社員と非正規雇用労働者それぞれの就業規則が存在し、周知されていて、その内容が不合理ではないことが必要です。

 

<③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続の規定の整備>

事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことを行政ADRといいます。都道府県労働局で、無料・非公開の紛争解決手続きが行われています。

現在は対象外の「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。

裁判よりもはるかに安い費用で、しかも短期間で解決に至りうる手続きです。

行政ADRの当事者(会社側・労働者側)に不安がある場合には、特定社労士などが代理人となって活動することもできます。

 

2018.09.30.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

アクセスカウンター

月別過去の記事

年月日別過去の記事

2021年12月
« 11月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031