働き方改革の記事

<具体例>

年中無休の新規店舗で働き始めた。

月曜日と水曜日はダンスのレッスンがあり、この2日を除き1日7時間、週5日の勤務という約束だった。

ところが突然、会社からの指示があったということで、毎週火曜日が定休日になった。

週4日しか働けなくなり、社会保険も資格を失うことになった。

こうした変更は、「不利益変更」と言って法的に許されないのではないか。

 

<不利益変更禁止の原則>

「合理的理由がない限り、労働条件を一方的に不利益になるように変更できない」

これが、不利益変更禁止の原則です。

この原則に違反して労働条件の変更を通告しても、その変更は無効ですから労働条件は元のままということになります。

しかし、毎週火曜日は定休日ですから出勤できません。これは、会社都合で働けないのですから、本来の賃金の6割以上の休業手当が支払われなければなりません。

 

<合理的理由がある場合>

不利益変更禁止の原則には、「合理的理由がない限り」という条件が付いています。

合理的理由があれば、労働条件の変更も無効になるとは限りません。

上記の例では、採用されるにあたって「月曜日と水曜日は必ずダンスのレッスンを受けたいので出勤できない」という説明をしていなかった。そして、店長から「火曜日は店休日なので、月曜日か水曜日に働きませんか」と言われた。ここで初めてダンスのレッスンの話を持ち出した。このような事情があれば、合理的な理由は認められやすくなります。

また、会社全体で年次有給休暇の取得率を高める方針で、定休日を設けることにしたのであれば、これにも合理的な理由があったと認められやすいでしょう。

 

<トラブル防止のために>

基本的な労働条件については、「労働条件通知書」などの交付によって、使用者から労働者に通知されます。これが行われないと、労働トラブル発生のリスクが大幅に上昇します。言った/言わないの話になりますし、勘違いも増えるからです。

この「労働条件通知書」には、労使の合意内容が記載されるのですが、出勤日を「日、火、木、金、土曜日」と書くか、「週5日勤務(シフト制)」と書くかによって、大きな違いを生じます。上記の例のように、火曜日を定休日にした場合には、この違いが明らかになります。

また、働いている人たちの都合を考えれば、なるべく早い時期に、定休日を設ける理由を具体的に説明しておきたいところです。

ただ、いくら明確に説明しても「売上が落ちてきたから」「退職者が多く、求人広告への応募者が少ないから」というのでは、経営努力の問題とされ合理的な理由があるとは認められにくくなってしまいます。定休日を設ける場合、いくつもの理由が重なった上でそうするのでしょうから、合理的な理由を中心に説明することが求められています。

 

<円満解決>

最初に挙げた具体例では、定休日には仕事が無いということを前提条件として、解決策を探るのが一般です。

しかし、店舗の休業日であっても、清掃、POP作成・交換、レイアウトや棚割りの変更などの業務を行うことは可能ですし、むしろ休業日に行うことが望ましい業務もあると思われます。

ここまで深く踏み込んだうえで話し合いを行えば、たとえ理想的な結論にたどり着けなくても、納得のいく円満解決が期待できるのではないでしょうか。

 

2018.11.07.解決社労士

<働き方改革の定義>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

ここで、労働生産性を向上させるために人件費を削減、あるいは従業員の手取り額を減らすことは、明らかに働き手の欲求に反しますから、働き方改革にはなりません。

 

<企業にとっての働き方改革の目的>

政府としては、少子高齢化による労働力不足や消費の落ち込みを解消するために、何としても働き方改革を推進しなければなりません。

しかし、企業が働き方改革に取り組むのは、政府に協力することが目的ではありません。

求職者に「この会社で働きたい」と思わせること、従業員に「この会社で働き続けたい。貢献したい。自分が成長したい」と思わせること、従業員の家族をはじめ取引先や金融機関、そして何よりお客様に「この会社は良い会社だ」と思わせることが、本音の目的だと考えられます。

 

<働き方改革の手段>

上記の目的を果たすための具体的な手段としては、次のようなものが挙げられます。

 

【労働時間の正確な把握】

 社内で把握可能な勤務時間はもちろんのこと、社外での勤務時間や持ち帰り仕事の時間も、可能な限り正確に把握する必要があります。

 これは、すべての働き方改革の前提条件ですから、これを怠ると不平等や不公平が拡大して社員の不満が高まります。

 

【業務の削減】

 過去からの習慣で行っているだけの業務をやめる。経営者の満足のために行っているだけの業務をやめる。この2つでかなりの業務が削減されます。

 加えて、仕事のダブりをなくす、時間帯や手順を変える、取引先との取り決めを見直す、システム化、機械化、外注化、上司や先輩から部下や後輩へのノウハウ伝授など、できることは意外に多いものです。

 これも、すべての働き方改革の前提条件ですから、怠ると会社も従業員も無理を強いられて苦労することになります。

 

【残業時間の削減】

 業務が減れば、自然と残業時間は減っていきます。減らない従業員がいた場合には、その原因を究明して問題点を解消しなければなりません。特定の人に業務が偏っていたり、残業代が欲しくてあえて残業が増えるように立ちまわっていたりと、原因はさまざまです。

 業務が減るペースを上回って残業時間が減る場合には、サービス残業や持ち帰り仕事が発生している可能性があります。

 また、残業時間が減った分だけ、従業員の手取り額が減らないように、何らかの手当を支給する、賞与に上乗せするなどが必要です。収入が減って喜ぶ従業員はいません。

 

【年次有給休暇の取得率向上】

 平成31(2019)年4月以降は、企業側から積極的に年次有給休暇を取得させる義務も発生します。

 業務の削減が進んでいれば、こうした法改正への対応も難しくはないでしょう。

 ただ、労働基準法が1年間で5日以上と定めたからといって、一律に5日の年次有給休暇を取得させ、それ以上の休暇を取れない雰囲気にしてしまうのは本末転倒です。

 毎年10月に最低賃金が改定されて、そのたびに時給が最低賃金ピッタリに上昇している状態と同じで、あまり喜べるものではありません。

 法改正によって強制される以上の年次有給休暇取得を奨励するのが、本当の働き方改革です。

 また、今回の法改正は、企業に時季指定義務を課したのだという説明も見られます。しかし、年次有給休暇はあくまでも労働者の権利ですから、権利者である従業員の意向を十分に反映して取得日を決定する必要があります。

 

【フレックスタイム制】

 平成31(2019)年4月より、清算期間の上限が1か月から3か月に延長されるのですが、使用者から労働者に業務内容の指示はできても、出勤日や始業・終業時刻の指示はできないという大原則に変更はありません。

 業務に支障が出ないように、労働者同士で話し合って出勤日や勤務時間帯を決めたうえで、使用者に事前報告するというのが上手な運用の基本です。

 あくまでも、生活と仕事の両立を目指し、労働生産性を高めるための制度ですから、結果として残業時間が減少したり年次有給休暇の取得が減ったりはあっても、最初からそれを意図するというのは誤った運用になります。

 

<働かせ方改革にしないために>

会社の立場で、経営陣や人事部門が働き方改革を推進したつもりになっても、それが働き手の必要と欲求に反していれば、それは「働かせ方改革」になってしまいます。

これでは、働き方改革の目的は達せられません。

働き方改革の推進のためには、実施の前後に従業員の声を聞き、不満がないか不合理ではないかということを常にチェックする必要があるのです。

 

2018.11.03.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省を「テレワーク推進4省」と呼んでいます。

テレワーク推進4省と産業界、学識者の産学官で構成される「テレワーク推進フォーラム」では、11月を「テレワーク月間」とし、テレワークの活用によって働き方の多様性を広げる運動を推進しています。

テレワーク月間の実施は今年で4回目ですが、テレワークの導入を促進するための企業向けセミナーや、働く人にテレワークのメリットを感じてもらえる体験型のイベントなどが複数の都市で開催されます。これらのセミナーやイベントでは、今年2月に策定された「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」についても解説されます。

11月29日には、テレワーク月間を締めくくる「『働く、が変わる』テレワークイベント」が開催され、テレワークを活用することでワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果を上げた企業や個人の表彰なども行われます。

 

【厚生労働省における「テレワーク月間」の主な取組】

1 テレワーク推進企業などへの厚生労働大臣表彰を実施(東京)

  テレワークを活用することで、ワーク・ライフ・バランスの実現において顕著な成果を上げた企業や個人を表彰します。(表彰式は、5『働く、が変わる』テレワークイベントの中で行います。

 

2 テレワーク推進フォーラム「産官学連携セミナー」(東京)

  「テレワークの更なる普及に向けて」をテーマとし、企業の取組やテレワーク学会による普及に向けた考察の紹介のほか、テレワーク推進4省からの施策紹介を行います。

[日時]11月2日(金) 13:30~17:00

[会場]御茶ノ水ソラシティ2Fホール(東京都千代田区神田駿河台4-6)

[定員]250人 [費用]無料(事前申込制)

[詳細] http://teleworkgekkan.org/news/20180928_7106

 

3 「テレワーク・セミナー」(名古屋)

  テレワークを導入する際に必要な労務管理、ICT(情報通信技術)、テレワーク導入企業の事例などを説明します。また、セミナーの終了後に個別相談会も開催します。

[日時]11月13日(火) 13:00~15:45

[会場]名古屋国際センター 別棟ホール(愛知県名古屋市中村区那古野一丁目47-1 名古屋国際センタービル)

[定員]120人 [費用]無料(事前申込制)

[詳細] https://kagayakutelework.jp/seminar/2018/nagoya02.html

 

4 「テレワークに関する体験型イベント」(仙台、福岡)

  テレワークの利用に興味のある方を対象に、実際にパソコンを使ってテレワークを体験していただきます。また、社会保険労務士などの専門家が、テレワーク時の就業開始・終了といった労働時間の報告のルールや、働く人からみたテレワークのメリットを分かりやすく解説します。

 

■仙台

[日時] 11月8日(木)  (午前の部)9:30~12:00、(午後の部)14:30~17:00

[会場]富士ゼロックス宮城 カメイ五橋ビル 2階大会議室

[定員]各30人 [費用]無料(事前申込制)

 

■福岡

[日時]11月28日(水)  (午前の部)9:30~12:00、(午後の部)14:30~17:00

[会場]富士ゼロックスDOCUMENT HUB Square Fukuoka

[定員]各30人 [費用]無料(事前申込制)

 ※詳細は、以下のURLをご参照ください。http://teleworkevent.jp/

 

5 「『働く、が変わる』テレワークイベント」(東京)

  テレワーク月間の締めくくりとして行う、テレワーク推進4省共同主催のイベントです。ここでは、厚生労働大臣賞と総務大臣賞の表彰式のほか、受賞企業による取組紹介やパネルディスカッションなどを行います。

[日時]11月29日(木)13:30~17:00

[会場]御茶ノ水ソラシティ2Fホール(東京都千代田区神田駿河台4-6)

[定員]300人  [費用]無料(事前申込制)

[詳細]https://kagayakutelework.jp/symposium/

 

 

2018.10.28.解決社労士

<社員の声の重要性>

大企業や大手グループ企業は社員の声を聞くことに熱心で、社内に独自の仕組みが構築されています。

これは、企業の成長や改善にとって、社内の事情を知っている社員の声が最も貴重な情報源だからです。

ましてや今は、働き方改革が推進されています。これは国の方針ですから、軽視するわけにはいきません。

 

たしかに、働き方改革の定義は必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

今、働き方改革を誤った方向に進めている企業は、働き手の必要と欲求を無視して独善に走り、社員に背を向けられてしまっています。

こうした事態を招かないためにも、社員の声を聞くことが必要なのです。

 

<小さな会社では>

小さな会社の社長の多くは、社員の声を聞くことにあまり熱心ではありません。

なぜなら、社内のほとんどの事は社長自身が決定しているのですから、今さら社員の声など聞いてみても、それはそれとして、やはり自分が決めると考えているからでしょう。

しかし、中には「もっと社員の声を聞きたい」「社員が意見を言ってくれないと本当の改善ポイントが見えない」「会社の成長のために批判でも良いから考えを出してほしい」と思っている社長もいます。

これは、会社が大きく成長する兆候です。

 

<目的意識の重要性>

まず、何のために社員の声を集めるのか、社内に具体的な目的を明示しなければなりません。

ただ単に、「成長のため」「改善のため」と言ってみても、社員はこれを信用しません。

 

小さな会社では、多くの事を社長が決定しています。

ですから、会社の現状について問題点を指摘したり、何らかの改善提案をしたりすれば、それはそのまま社長批判にもなりうるのです。

「社長は社員に声を出させることで不満分子を見つけ出し、徹底的に叩こうとしているのではないか」「少しでも自分の方針に合わない社員を解雇したいのではないか」と、疑心暗鬼を生ずるのも無理のないことです。

 

社員の声を集める目的を明確にするには、ただ漠然と会社についての意見を求めるのではなく、具体的なテーマを提示することが必要です。

たとえば、「経費削減についての意見が欲しい」よりも「コピー機の使い方について経費削減の視点から意見が欲しい」の方が、意見が出やすくなります。

「整理整頓について聞かせて欲しい」よりも「机やロッカーをはじめ、物品の置き場所について見直したいので、気付いたことを教えて欲しい」の方が、社員の声が集まりやすくなるわけです。

これは、目的が具体的で明確ですから、出した意見が変なことに悪用される恐れが無いからでしょう。

 

<声が上がったときの対応>

社員から声が上がったら、社長は速やかに対応しなければなりません。

まずは、意見を出してくれたことに対するお礼を述べ、ほめることは最低限必要なことです。

うっかり聞き流しになってしまったら、二度と意見は出てきません。

意見を馬鹿にしたり、ケチを付けたりしても、社員に対する裏切りになります。

 

とはいえ、社長自身が出てきた意見に対して、どのように対応して良いのか迷ってしまい、身動きが取れなくなることもあります。

こんなときは、出てきた意見を公表し、この意見に対して他の人の意見を聞くと良いでしょう。他の人の意見が出にくければ、具体的にそれを実施する場合の経費や手間、時間について考えを出してもらうなど、前向きに取り組む姿勢を見せたいところです。

 

<記録を残す>

社員から上がった声の中には、今は無理でも、3年後、5年後に役立つものがあります。

少なくとも5年間は見直しができるように、記録を残しておく必要があります。

なにしろ社員からの声は、大変貴重なものなのですから。

 

2018.10.20.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して労働生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、労働生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<忘れられている働き方改革の条件>

「働き方改革のせいで収入が減った。転職せざるを得ない」という声が聞かれます。

働き方改革は、「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」のはずです。

「働き手の必要と要求に応えつつ」という条件が満たされていれば、社員からこのような不満は出ないはずです。

ところが、業務量を無視した残業時間の削減、業務の上司への押し付けが横行しています。上司が名ばかり管理監督者であれば、残業手当も支給されません。

 

<社会保険労務士による働き方改革>

ひとつひとつの企業に寄り添った労務管理を提案し、「人を大切にする」企業づくりを一緒に行う。それが、「人を大切にする」働き方改革の専門家、私たち社会保険労務士です。

 

社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家資格者です。

・採用前から退職後まで、労働社会保険、労務管理、法令等遵守、就業規則と運用管理、トラブル対応などのサポート

・ひとつひとつの企業に寄り添った「適切な労務管理」の提案を通じて、「人を大切にする」働き方改革の導入・推進や人材確保に向けた支援などを幅広く行い、企業の成長・発展をバックアップ

 

具体的には、次のような業務に携わっています。

・就業規則の作成と法改正や市場動向に応じた改定

・三六協定書など労使協定書の適正な作成・届出・運用管理

・賃金と評価制度の設計、運用管理

・社内研修の提案と実施(マナー、ハラスメント、メンタルヘルス等)

・仕事の両立支援(子育て、介護、病気の治療)

・高齢者の雇用継続支援、障害者の雇用

・労働条件審査(コンサルタント的な内部監査)

・労働者の社外相談窓口(パワハラ、セクハラ、人間関係、能力向上)

 

考え込むよりは、社会保険労務士に相談するのが近道です。

「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」と言うではないですか。

 

2018.10.19.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<働き方改革とは>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働の解消>

現在、大手企業を中心に最も進んでいる働き方改革といえば、残業時間を初めとする労働時間の削減でしょう。

労働時間の削減は、ひとつ一つの業務の必要性を見直すことが基本です。過去からの習慣で行っている業務、得られる成果が経営陣の自己満足だけのような業務は最初に切り捨てられます。

これはこれで正しいのですが、労働者側の声として「働き方改革の影響で収入が減った。転職を考えている」というのがあります。

残業時間の減った正社員は、その分だけ残業手当が減り給与が減少します。パート社員は時間給ですから、出勤日数や労働時間が減った分だけ収入が減ります。

会社側は、働き方改革で労働時間が減り、労働生産性が向上したということで喜んでいる一方、働き手の不満は膨らんでいるようです。

 

<正しい働き方改革>

「残業時間が減ったから残業手当も減った。バンザイ!」というのは、飽くまでも会社側の考えです。

収入が減れば、社員のモチベーションは低下します。生活レベルも低下して疲労回復も限定されてしまいます。会社への帰属感は低下します。「この会社が好きだけど、今の仕事が気に入っているけれど、転職しないと生活できない」という社員も増えてしまいます。

こうした状態では、労働生産性が低下します。やる気が無くなり、不安が先行しますから当たり前のことです。

社員は人間ですから、収入が減ればやる気が無くなります。

残業時間が減ったのなら、今までの残業分を定額残業代として支給してはいかがでしょうか。残業代を不当に削るための定額残業代ではなく、働き方改革が進んだことへの報奨としての定額残業代です。

パート社員についても時給のアップを考えましょう。採用難の中、ただでさえ人材確保のために時給を高めに設定する必要があります。「皆さんのご協力のおかげで働き方改革が進んでいます。これに報いるため時給の見直しを行います」というアナウンスをすると効果的です。

たしかに形式的には、会社の人件費は少しも削減されません。しかし、社員の疲労は軽減され、やる気は大幅にアップします。

これが正しい働き方改革の姿なのです。

 

2018.10.13.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第2 時間外労働の上限規制(新労基法第36条及び第139条から第142条まで、新労基則第16条等並びに指針関係)

1 趣旨 長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。

 こうしたことから、時間外労働の上限について、現行の労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成 10 年労働省告示第 154 号。以下「限度基準告示」という。)に基づく指導ではなく、これまで上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を法律に規定し、これを罰則により担保するものであること。

 

2 新労基法第 36 条第1項の協定の届出(新労基法第 36 条第1項並びに新労基則第 16 条及び第 70 条関係)

 新労基法第 36 条第1項の協定(以下「時間外・休日労働協定」という。)の届出様式を改めたものであること。具体的には、時間外・休日労働協定に特別条項(新労基法第 36 条第5項に規定する事項に関する定めをいう。以下同じ。)を設けない場合にあっては新労基則様式第9号により、特別条項を設ける場合にあっては新労基則様式第9号の2により、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 併せて、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に対応した様式(新労基 則様式第9号の3)、新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条 第4項又は第 142 条の規定により読み替えて適用する新労基法第 36 条の規定に対応した様式(新労基則様式第9号の4から第9号の7まで)を整備したものであること。

 

3 時間外・休日労働協定における協定事項(新労基法第 36 条第2項及び新労基則第 17 条第1項関係)

 時間外・休日労働協定において、以下の⑴から⑸までの事項を定めることとしたものであること。

 ⑴ 新労基法第 36 条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲(新労基法第 36 条第2項第1 号関係)時間外・休日労働協定の対象となる「業務の種類」及び「労働者数」を協定するものであること。

⑵ 対象期間(新労基法第 36 条第2項第2号関係) 時間外・休日労働協定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、時間外・休日労働協定において、1年間の上限を適用する期間を協定するものであること。

 なお、事業が完了し、又は業務が終了するまでの期間が1年未満である場合においても、時間外・休日労働協定の対象期間は1年間とする必要があること。

⑶ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合(新労基法 第 36 条第2項第3号関係)時間外労働又は休日労働をさせる必要のある具体的事由について協定するものであること。

⑷ 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数(新労基法第 36 条第2項第4号関係)整備法による改正前の労働基準法における時間外・休日労働協定は、労働基準法施行規則第 16 条第1項において「1日」及び「1日を超える一定の期間」についての延長時間が必要的協定事項とされているが、今般、新労基法第 36 条第4項において、1箇月について 45 時間及び1年につい て 360 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により 労働させる場合は1箇月について 42 時間及び1年について 320 時間)の 原則的上限が法定された趣旨を踏まえ、整備法の施行後の時間外・休日労働協定においては「一日」、「一箇月」及び「一年」のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数について定めるものとしたものであること。

⑸ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項(新労基法第 36 条第2項第5号及び新 労基則第 17 条第1項関係) ア 時間外・休日労働協定の有効期間の定め(新労基則第 17 条第1項第 1号関係) 

 時間外・休日労働協定(労働協約による場合を除く。)において、当該時間外・休日労働協定の有効期間を定めるものであること。

イ 新労基法第 36 条第2項第4号の規定に基づき定める1年について労働時間を延長して労働させることができる時間の起算日(新労基則第 17 条第1項第2号関係)

 時間外・休日労働協定において定めた新労基法第 36 条第2項第4号 の1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を適用する期間の起算日を明確にするものであること。

ウ 新労基法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこと。(新労基則第 17 条第1項第3号関係)

 時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号に規定する時間を超えて労働させることはできないものであり、時間外・休日労働協定においても、この規定を遵守することを協定するものであること。

 これを受け、新労基則様式第9号及び第9号の2にチェックボックスを設け、当該チェックボックスにチェックがない場合には、当該時間外・ 休日労働協定は法定要件を欠くものとして無効となるものであること。

エ 限度時間を超えて労働させることができる場合(新労基則第 17 条第 1項第4号関係)

 時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、限度時間 (新労基法第 36 条第3項の限度時間をいう。以下同じ。)を超えて労働させることができる具体的事由について協定するものであること。

オ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(新労基則第 17 条第1項第5号関係)

 過重労働による健康障害の防止を図る観点から、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間を超えて労働させる労 働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(以下「健康福祉確保 措置」という。)を協定することとしたものであること。なお、健康福祉 確保措置として講ずることが望ましい措置の内容については、指針第8 条に規定していること。

カ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率(新労基則第 17 条第1項 第6号関係)

時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間 を超える時間外労働に係る割増賃金率を1箇月及び1年のそれぞれについて定めなければならないものであること。

 なお、限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率については、労働基準法第 89 条第2号の「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就 業規則に記載する必要があること。

キ 限度時間を超えて労働させる場合における手続(新労基則第 17 条第 1項第7号関係)

 限度基準告示第3条第1項に規定する手続と同様のものであり、時間外・休日労働協定の締結当事者間の手続として、時間外・休日労働協定を締結する使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)が合意した協議、通告その他の手続(以下「所定の手続」という。)を定めなければならないものであること。

 また、「手続」は、1箇月ごとに限度時間を超えて労働させることができる具体的事由が生じたときに必ず行わなければならず、所定の手続を経ることなく、限度時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となるものであること。

 なお、所定の手続がとられ、限度時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要が あること。

 

4 健康福祉確保措置の実施状況に関する記録の保存(新労基則第 17 条第2 項関係)

 使用者は、健康福祉確保措置の実施状況に関する記録を当該時間外・休日労働協定の有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存しなければならないものであること。

 

5 限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項関係)

 時間外・休日労働協定において新労基法第 36 条第2項第4号の労働時間を延長して労働させる時間を定めるに当たっては、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限るものとしたこと。 また、限度時間は、1箇月について45 時間及び1年について 360 時間( 対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は、1箇月について 42 時間及び1年について320時間)であること。

 

6 特別条項を設ける場合の延長時間等(新労基法第 36 条第5項関係)

 時間外・休日労働協定においては、上記3に掲げる事項のほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができることとしたものであること。

 この場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 100 時間未満の範囲内としなければならず、1年について労働時間を延長して労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 720 時間を超えない範囲内としなければならないも のであること。

 さらに、対象期間において労働時間を延長して労働させることができる時間が1箇月について 45 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は 42 時間)を超えることができる月数を1年について6箇月以内の範囲で定めなければならないものであること。

 

7 時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限(新労基法第 36 条第6項及び新労基則第 18 条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、以下の⑴から⑶までの要件を満たすものとしなければならないこと。また、以下の⑵及び⑶の要件を満たしている場合であっても、連続する月の月末・月初に集中して時間外労働を行わせるなど、短期間に長時間の時間外労働を行わせることは望ましくないものであること。

 なお、労働者が、自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、その使用者が当該労働者の他社での労働時間も適正に把握する責務を有しており、以下の⑴から⑶までの要件については、労働基準法第 38 条に基づき通算した労働時間により判断する必要があること。その際、労働基準法における労働時間等の規定の適用等については、平成 30 年1月 31 日付け基発 0131 第2号「「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の周知等について」の別添1「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考とすること。

 ⑴ 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、 1日における時間外労働時間数が2時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第1号及び新労基則第 18 条関係)

 整備法による改正前の労働基準法第 36 条第1項ただし書と同様の内容であること。

 ⑵ 1箇月における時間外・休日労働時間数が 100 時間未満であること。(新 労基法第 36 条第6項第2号関係)

 1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働さ せた時間の合計時間が 100 時間未満であることを規定したものであること。

 ⑶ 対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間の直前の1箇月、2 箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における 時間外・休日労働時間数が1箇月当たりの平均で80時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第3号関係)

 時間外・休日労働協定の対象期間におけるいずれの2箇月間ないし6 箇月間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間が 80 時間を超えないことを規定したものであること。

 

8 厚生労働大臣が定める指針(新労基法第 36 条第7項から第 10 項まで関係)

 厚生労働大臣は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができるものとし、今般、指針を定めたものであること。 労使当事者は、当該時間外・休日労働協定の内容が指針に適合したものとなるようにしなければならないものであること。 また、行政官庁は、指針に関し、労使当事者に必要な助言及び指導を行うことができるものとし、当該助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものであること。 指針の内容等については、下記 11 のとおりであること。

 

9 適用除外(新労基法第 36 条第 11 項関係)

 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務の特殊性が存在する。このため、限度時間(新労基法第 36 条 第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件 (新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は、当該業務については適用しないものであるこ と。 なお、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務とは、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいうものであること。

 

10 適用猶予(新労基法第 139 条から第 142 条まで並びに新労基則第 69 条 及び第 71 条関係)

 以下の⑴から⑷までに掲げる事業又は業務については、その性格から直ちに時間外労働の上限規制を適用することになじまないため、猶予措置を設けたものであること。

 ⑴ 工作物の建設等の事業(新労基法第 139 条及び新労基則第 69 条第1項 関係) 工作物の建設その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業(以下「工作物の建設等の事業」という。)については、平成 36 年3 月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第 2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年 4月1日以降、当分の間、災害時における復旧及び復興の事業に限り、新労基法第 36 条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととしたものであること。

 ア 猶予対象となる事業の範囲(新労基則第 69 条第1項関係) 新労基法第 139 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 工作物の建設等の事業の範囲は、新労基則第 69 条第1項各号に掲げる事業をいうものであること。

 新労基則第 69 条第1項第2号に規定する事業とは、建設業に属する事業の本店、支店等であって、労働基準法別表第1第3号に該当しないものをいうものであること。

 また、新労基則第 69 条第1項第3号に規定する事業については、当該事業において交通誘導警備の業務を行う労働者に限るものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139 条第2項及び新労基則第 71 条関係) 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139条第1項関係)     

平成 36 年4月1日以降は、災害時における復旧及び復興の事業を除 き、工作物の建設等の事業に対して新労基法第 36 条の規定が全面的に 適用されるものであること。      災害時における復旧及び復興の事業については、平成 36 年4月1日 以降も、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める1箇 月の時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、事業場の実情に応じた時間数を協定するものであること。

 ⑵ 自動車の運転の業務(新労基法第 140 条及び新労基則第 69 条第2項関係)

 自動車の運転の業務については、平成 36 年3月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、時間外労働の上限規制として1年について 960時間以内の規制を適用することとしたものであること。

 ア 猶予対象となる業務の範囲(新労基則第 69 条第2項関係)

 新労基法第 140 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 自動車の運転の業務の範囲は、新労基則第 69 条第2項に規定する業務をいうものであり、自動者運転者の労働時間等の改善のための基準(平 成元年労働省告示第7号)の対象となる自動車運転者の業務と同義であること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第2項及び新労基則第 71 条関係)

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時 間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。 

  ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第1項関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法 第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、1箇月については事業場の実情に応じた時間数を、1年については 960 時間を超えない範囲内の時間数をそれぞれ協定するものであること。

 ⑶ 医業に従事する医師(新労基法第 141 条関係)

 医業に従事する医師については、時間外労働の上限規制を適用するに当たって、医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1項に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であることから、平成 36 年4月 1日から時間外労働の上限規制を適用することとし、具体的な規制の在り方等については、現在、医療界の参加の下で有識者による検討を行っているものであること。

 ア 猶予対象となる医師の範囲(新労基法第 141 条第1項関係)

 新労基法第 141 条第1項に規定する医師の範囲については、有識者による検討結果等を踏まえながら、今後厚生労働省令で定めることとしているものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第4項及び新労基則第 71 条関係)    

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算 して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものである こと。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用 れないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第1項から第3項まで関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、労働時間を延長して労働させ ることができる時間を協定するに当たっては、新労基法第 36 条第2項 第2号の対象期間における時間数を協定するものであり、1日、1箇月 及び1年の区分は設けないものであること。また、新労基法第 36 条第2項第3号に基づき協定する時間外労働の原則的上限については、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 また、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の協定事項や時 間外・休日労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第5項によらず、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 さらに、時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第6項によらず、 別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 ⑷ 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業(新労基法第 142 条及び新労基則第 71 条関係)

 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業については、平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労 働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過 する日)までの間、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の1箇月についての上限(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用され ないものであること。 平成 36 年4月1日以降は、新労基法第 36 条の規定が全面的に適用されるものであること。

 

11 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の 労働について留意すべき事項等に関する指針関係

 ⑴ 目的(指針第1条関係)  

 指針は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項を定めることにより、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとすることを目的とするものであること。

 ⑵ 労使当事者の責務(指針第2条関係)

時間外・休日労働協定による労働時間の延長及び休日の労働は必要最小限にとどめられるべきであり、また、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることから、労使当事者は、これらに十分 留意した上で時間外・休日労働協定をするように努めなければならないものであること。 

 ⑶ 使用者の責務(指針第3条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定において定めた範囲内で時間外・休日労働を行わせた場合であっても、労働契約法(平成 19 年法律第 128 号) 第5条の規定に基づく安全配慮義務を負うことに留意しなければならないものであること。   

 また、使用者は、平成 13 年 12 月 12 日付け基発第 1063 号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」において、①1週間当たり 40 時間を超えて労働した時間が1箇月に おいておおむね 45 時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まると評価できるとされていること、②発症前1箇月間におおむね 100 時間又は発症前2箇月間から6箇月間までにおい て1箇月当たりおおむね 80 時間を超える場合には業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価できるとされていることに留意しなければならないものであること。

 ⑷ 業務区分の細分化(指針第4条関係)

労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は 休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、 業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならないものであること。   

 これは、業務の区分を細分化することにより当該業務の種類ごとの時 間外労働時間をきめ細かに協定するものとしたものであり、労使当事者は、時間外・休日労働協定の締結に当たり各事業場における業務の実態に即し、業務の種類を具体的に区分しなければならないものであること。 

 ⑸ 限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項(指針第5 条関係)     労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒 常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならないものであること。   

 また、労使当事者は、特別条項において1箇月の時間外・休日労働時間 数及び1年の時間外労働時間数を協定するに当たっては、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない ものであること。   

 さらに、労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働時間を延長して労働させることができる時間に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(平成 6年政令第5号)で定める率(2割5分)を超える率とするように努めなければならないものであること。 

 ⑹ 1箇月に満たない期間において労働する労働者についての延長時間の 目安(指針第6条関係)   

 労使当事者は、期間の定めのある労働契約で労働する労働者その他の1箇月に満たない期間において労働する労働者について、時間外・休日労働協定において労働時間を延長して労働させることができる時間を定めるに当たっては、指針別表の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる目安時間を超えないものとするように努めなければならないものであること。

 

別表(第6条関係)

期  間

目 安 時 間

1週間

15 時間

2週間

27 時間

4週間

43 時間

備考 期間が次のいずれかに該当する場合は、目安時間は、当該期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。 一 1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 15 時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間

 二 1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 27 時間に当該日数を14 で除して得た数を乗じて得た時間

 三 2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 43 時間に当該日数を28 で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が 27 時間を下回るときは、27 時間)

 

 ⑺ 休日の労働を定めるに当たっての留意事項(指針第7条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定において休日の労働を定めるに当たっては労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、及び休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならないものであること。 

 ⑻ 健康福祉確保措置(指針第8条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、健康福祉確保措置を協定するに当たっては、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 ① 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。

 ② 労働基準法第 37 条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。  

 ③ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。 

 ④ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。  

 ⑤ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。  

 ⑥ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。 

 ⑦ 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。  

 ⑧ 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。  

 ⑨ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。 

 ⑼ 適用除外等(指針第9条及び指針附則関係)

 ア 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務(指針第9条関係)

 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務については、指針第5条、第 6条及び第8条の規定は適用しないものであること。

 また、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、延長時間を定めるに当たっては、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 さらに、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、限度時間に相当する時間を超えて労働時間を延長して労働させることができることとする場合においては、当該時間外・休日労働協定において当該時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を定めるように努めなければならず、当該措置については、指針第8条各号に掲げるもののうちから定めることが望ましいことに留意しなければならないものであること。  

 イ 新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定(指針附則第3項関係)

  新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定についても、平成 36 年3月 31 日までの間、必要な読替えを行った上で、指針第9条第1項 及び第2項を適用するものであること。  

 ウ 限度基準告示の取扱い(指針附則第2項関係)

 限度基準告示は、廃止するものであること。

 

12 罰則(新労基法第 119 条関係)

 新労基法第 36 条第6項に違反した使用者に対しては、新労基法第 119 条 第1号の罰則の適用があること。

 

13 施行期日等(整備法附則第1条及び指針附則第1項関係) 時間外労働の上限規制に係る改正規定の施行期日及び指針の適用日は、平成 31 年4月1日であること。

 

 14 経過措置(整備法附則第2条及び第3条関係)

 ⑴ 時間外・休日労働協定に関する経過措置(整備法附則第2条関係)

  新労基法第 36 条の規定(新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、 第 141 条第4項及び第 142 条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)は、平成 31 年4月1日以後の期間のみを定めている時間外・休日労 働協定について適用するものであること。 平成 31 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであ ること。 

 ⑵ 中小事業主に関する経過措置(整備法附則第3条関係)

 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が 300 人(小売業を主たる事業とする事業主について は50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100 人)以下である事業主をいう。以下同じ。)の事業に係る時間外・休日労 働協定(新労基法第 139 条第2項に規定する事業、第 140 条第2項に規定する業務、第 141 条第4項に規定する者及び第 142 条に規定する事業 に係るものを除く。)については、平成 32 年4月1日から新労基法第 36 条の規定を適用するものであること。

 平成 32 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであること。   

 また、平成 32 年3月 31 日を含む期間を定める時間外・休日労働協定をする労使当事者は、当該協定をするに当たり、新労基法第 36 条第1項 から第5項までの規定により当該協定に定める労働時間を延長させ、又 は休日において労働させることができる時間数を勘案して協定をするように努めなければならないものとし、政府は、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとしたこと。

 さらに、行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し新労基法第 36 条第 9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するものとしたこと。

 

ずいぶん長いですね。言いたいことのすべてを尽くしている感があります。

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会にすべてを述べておきたいのでしょう。

特に、基準適用の先送りが行われた業種について、決して規制がかかるまで放置する意図ではないこと、一般の基準と業界や業種の実態とがあまりにもかけ離れているので、やむを得ず先送りしたことが丁寧に説明されています。

 

「労使が合意した場合であっても長時間労働は悪である」ということを忘れてはなりません。

家庭の事情から、過労に陥ることを覚悟のうえで長時間働いてより多くの収入を得ようとする人たちがいます。

しかし、健康を害したら、ましてや命を失ったら働けません。

本当は、適正な労働時間で十分な収入が得られることを望んでいるはずです。

今の仕事が好きだから、会社を気に入っているから、家族のために…こう思って働いている皆さんにどうやって報いることができるのか、これが社会全体の課題です。

 

2018.10.05.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第1 フレックスタイム制(新労基法第 32 条の3及び第 32 条の3の2並びに 新労基則第 12 条の3関係)

1 趣旨 フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能とし、労働時間を短縮しようとする制度である。 整備法においては、子育てや介護、自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ、効率的な働き方を一層可能にするため、フレックスタイム制がより利用しやすい制度となるよう、清算期間の上限の延長等の見直しを行ったものであること。

なお、フレックスタイム制の運用に当たっては、使用者が各日の始業・終業時刻を画一的に特定することは認められないことに留意すること。

 

2 清算期間の上限の延長(新労基法第 32 条の3第1項関係)

 仕事と生活の調和を一層図りやすくするため、フレックスタイム制における清算期間の上限をこれまでの1箇月以内から3箇月以内に延長したものであること。  

 

3 清算期間が1箇月を超え3箇月以内である場合の過重労働防止(新労基法 第 32 条の3第2項関係) 

 清算期間を3箇月以内に延長することにより、清算期間内の働き方によっては、各月における労働時間の長短の幅が大きくなることが生じ得る。

 このため、対象労働者の過重労働を防止する観点から、清算期間が1箇月を超える場合には、当該清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときには、当該期間)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が 50 時間を超えないこととしたものであること。

 また、フレックスタイム制の場合にも、使用者には各日の労働時間の把握を行う責務があるが、清算期間が1箇月を超える場合には、対象労働者が自らの各月の時間外労働時間数を把握しにくくなることが懸念されるため、使用者は、対象労働者の各月の労働時間数の実績を対象労働者に通知等することが望ましいこと。

 なお、整備省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)第 52 条の2第3項に基づき、休憩時間を除き 1 週間当たり 40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が 1 月当たり80時間を超えた労働者に対しては、当該超えた時間に関する情報を通知しなければならないことに留意する必要があること。

 加えて、清算期間が1箇月を超える場合であっても、1週平均 50 時間を超える労働時間について月 60 時間を超える時間外労働に対して5割以上の 率で計算した割増賃金の支払が必要であることや、法定の要件に該当した労働者について労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づき医師による面接指導を実施しなければならないことは従前と同様であり、使用者には、長時間労働の抑制に努めることが求められるものであること。

 

4 完全週休2日制の場合の清算期間における労働時間の限度(新労基法第 32 条の3第3項関係)

 完全週休2日制の下で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)についてフレックスタイム制を適用する場合においては、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも清算期間における法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間における法定労働時間の総枠とすることができるようにしたものであること。

 この場合において、次の式で計算した時間数を1週間当たりの労働時間の限度とすることができるものであること。

 

(8×清算期間における所定労働日数)÷(清算期間における暦日数 ÷ 7)

 

5 労使協定の締結及び届出(新労基法第 32 条の3第4項及び新労基則第 12 条の3関係)  

フレックスタイム制の導入に当たっては、新労基法第 32 条の3第1項の規定に基づき、就業規則等の定め及び労使協定の締結を要するものであるが、今回の改正により、清算期間が1箇月を超えるものである場合においては、 労使協定に有効期間の定めをするとともに、新労基則様式第3号の3により、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 

6 清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者に係る賃金の取扱い(新労基法 第 32 条の3の2関係)  

清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者については、当該労働させた期間を平均して1週間当たり40 時間を超えて労働させた時間について、労働基準法第 37 条の規定の例により、割増賃金を支払わなければならないもの であること。

 

7 法定時間外労働となる時間

 フレックスタイム制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、以下の ⑴及び⑵に示す労働時間であること。なお、上記4の特例に留意すること。

  ⑴ 清算期間が1箇月以内の場合    従前のとおり、清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定時間外労働となるものであること。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間における実労働時間数 -(週の法定労働時間 × 清算期間における暦日数 ÷7)

 

 ⑵ 清算期間が1箇月を超え3箇月以内の場合

次のア及びイを合計した時間が法定時間外労働となるものであること。

ア 清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間 を生じたときには、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間を1箇月ごとに区分した期間における実労働時間数 

-(50 × 清算期間を1箇月ごとに区分した期間における暦日数 ÷ 7)

 

  イ 清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間 の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記アで算定された時間外 労働時間を除く。)

 

8 罰則(新労基法第 120 条関係)

 新労基法第 32 条の3第4項に違反した使用者に対しては、新労基法第 120 条第1号の罰則の適用があること。

 

9 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 フレックスタイム制に係る改正規定の施行期日は、平成 31 年4月1日 であること。

 

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会に、従来のフレックスタイム制の注意点について再確認したという色合いが強いと思います。

清算期間を3か月にまで延長できるようにしたのは、労働時間を短縮しようとする制度の効果拡大を狙ってのものです。

 

次の点に注意していただきたいです。

・法定の手続きを踏まずに導入するのは違法であること。

・自己流の運用も、ほとんどの場合に違法となること。

・違法であれば、遡って賃金の計算をやり直し、差額の精算が必要となること。

・違法行為には罰則があること。

 

結果的に、残業手当が減額されたり、年次有給休暇を取得する必要性が低下したりということはあります。

しかし、これは結果論であって、フレックスタイム制というのは、あくまでも労働時間を短縮しようとする制度であることを忘れないようにしましょう。

 

2018.10.04.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

平成30(2018)年9月28日、厚生労働省が閣議で「平成30年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を報告し公表しました。

この中で、雇用情勢の概況が次のように分析されています。

 

【雇用情勢の概況】

1. 2017年度の完全失業率は2.7%と1993年度以来24年ぶりの低水準となったことに加えて、有効求人倍率は1.54倍と1973年度以来44年ぶりの高水準となっており、雇用情勢は着実に改善している。

 

2. 雇用者数(15~54歳)の推移をみると、正規の職員・従業員は3年連続で増加しており、2017年では2,841万人(前年差36万人増)となった。

 

3. 他方、雇用人員判断D.I.により人手不足の状況をみると、人手不足感が高まっており、2018年3月調査では、全産業・製造業・非製造業のいずれもバブル期に次ぐ人手不足感となっている。

 

<雇用情勢の改善>

完全失業率が2.7%というのは、「完全雇用」の状態です。

すると、国は失業対策の手を緩め、次の段階である「労働者の健康の維持・増進」を強化することになります。

たしかに、失業して困っている人々も多いのですが、これだけ雇用情勢が改善されれば、国全体としては深刻な事態には至らないでしょう。

 

労働者の健康に関する法令というと、労働安全衛生法が有名です。もともと労働基準法に規定されていた労働者の安全・衛生・健康といった内容が、労働基準法から分家して独立したのが労働安全衛生法です。

ですから、もともと労働基準法には、労働者の健康に配慮した規定というのが少ないのですが、働き方改革の一環として、こうした規定が増えることになりました。

年次有給休暇を取得させる義務、残業時間の上限規制などは、労働者の健康に配慮した規定です。

 

これらの規定には罰則がありますから、企業は無視できません。罰金は1人当たり30万円ですから、摘発されたら支払えばよいと考える経営者もいるでしょうか。しかし、会社の評判は落ちますし、従業員は他社に逃げていきます。

正面から対応するには、まず、業務を減らすことが大事です。過去からの習慣で行っているだけの業務や、経営者の自己満足のための業務は、最初に切り捨てるべきです。

 

<正社員の増加>

働き方改革の中で、同一労働同一賃金ということが言われています。

仕事内容や異動の有無などに違いが無いのなら、同じ待遇(均等待遇)にしなさいということです。

また、正社員と短時間労働者や有期雇用労働者とで、仕事内容や異動の有無などに違いがあったとしても、その違いに応じた公平な待遇(均衡待遇)にしなさいということが、働き方改革関連法により強化されます。

こうなってくると「なぜあなたが正社員ではないのか」を説明するのが大変になってきます。

 

政府の方針に逆らっても、事業の継続にとっては損ですから、大手企業を中心に非正規社員の正社員化や正社員の積極採用の動きが見られます。

そもそも「正社員」というのは法律用語ではありませんし、それぞれの会社が独自に定義を決めていたり、定義を決めていなかったりしているのです。

政府は、将来的には正規と非正規の区別をなくす方針ですから、これを見越して、正社員を増やす傾向は今後も続くでしょう。

 

<人手不足感の高まり>

「労働経済白書」の中でも、少子高齢化による労働供給制約を抱える日本が、持続的な経済成長を実現していくためには、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠であり、そのためには、資本への投資に加えて、人への投資を促進していくことが重要だとしています。

上司が部下を、先輩が後輩を育てる仕組みと、育てることが評価される仕組みを充実させましょう。これだけでも、一人ひとりの労働生産性が高まりますから、人手不足が解消に向かいます。

また、自分自身の成長は嬉しいものです。成長を実感できる会社では、社員の定着率も高まります。

 

2018.10.03.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

ぜひ、ご一緒に労働生産性の向上に取り組みましょう。

 

平成30(2018)年9月28日、厚生労働省が閣議で「平成30年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を報告し公表しました。

 

<労働経済白書の趣旨>

「労働経済白書」は、雇用、賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回で70回目の公表となります。

少子高齢化による労働供給制約を抱える日本が、持続的な経済成長を実現していくためには、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠です。

そのためには、資本への投資に加えて、人への投資を促進していくことが重要です。

平成30年版では、こうした認識のもと、働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方についてさまざまな視点から多面的に分析を行いました。

 

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

そのためか、働き方改革に関連した事項について誤った運用がなされると、そこばかりがクローズアップされて、悪いものであるかのように報道されてしまいます。

「副業・兼業の促進と言ってこれ以上働かせるのか。長時間労働の話はどうなったのか」

「働き方改革って、要は少ない賃金で働かせ放題にすることでしょ」

街頭インタビューでは、こんな発言が多くなってしまいました。

 

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

労働生産性を向上させるには、より少ない労働時間で、より大きな成果を目指すことになります。また、この結果として、労働者にはより多くの報酬が与えられなければなりません。そうでなければ、らせん階段を駆け上がるような、良い循環は生まれないからです。

 

働くのは人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<人への投資>

かつて、「人財」という言葉が持てはやされました。

働き手が会社経営にとって財産であるという捉え方をして、「人材」ではなく「人財」だとされたのです。

企業の利益の源は「人財」である、企業は積極的に「人財」に投資すべきであると説かれました。

 

こうして一時的に、新人研修、○年目研修、幹部研修などが盛んに行われるようになったのですが、いつの間にか中小企業を中心に研修が少なくなってしまいました。

職場を離れての集合研修も重要なのに、働く現場でのOJTだけになっている企業も増えています。(OJTは、On-the-Job Training の略)

 

労働生産性の向上のためには、「人財教育」をはじめ、人への投資を促進していくことが不可欠となっています。

 

【白書の構成】

第Ⅰ部  労働経済の推移と特徴

第Ⅱ部

第1章  労働生産性や能力開発をめぐる状況と働き方の多様化の進展

第2章  働き方や企業を取り巻く環境変化に応じた人材育成の課題について

第3章  働き方の多様化に応じた「きめ細かな雇用管理」の推進に向けて

第4章  誰もが主体的にキャリア形成できる社会の実現に向けて

 

【白書の主なポイント】

・企業が能力開発に積極的に取り組むことが、翌年の売上高や労働生産性の向上、従業員の仕事に対するモチベーションの上昇などのプラスの影響を与える。

・多様な人材の十分な能力発揮に向けて、能力開発機会の充実や従業員間の不合理な待遇格差の解消など「きめ細かな雇用管理」を推進していくことが重要である。

・人生100年時代が見据えられる中、誰もが主体的なキャリア形成を行うことができる環境整備が重要であり、自己啓発の実施促進に向けては、金銭的な援助だけでなく、教育訓練機関等の情報提供やキャリアコンサルティングを実施することが、有効な取組となり得る。

 

2018.10.01.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

ぜひ、ご一緒に労働生産性の向上に取り組みましょう。

 

非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)について、以下の①~③が統一的に整備されます。

パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになりました。

法律の名称も、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・ 有期雇用労働法)に変わります。

新しい法律は、中小企業については2021年4月1日施行ですが、大企業では2020年4月1日施行です。

 

<① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備>

同一企業内で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

平成28(2016)年12月に、「同一労働同一賃金 ガイドライン案」が策定され、どのような待遇差が不合理に当たるかが示されていますが、今後、確定版が策定され明確な基準が示される予定です。

 

均等待遇規定

 (差別的取扱い

の禁止)

下記2点が同じ場合、差別的取扱いを禁止します。

①職務内容(業務の内容+責任の程度)

②職務内容・配置の変更の範囲

均衡待遇規定

 (不合理な待遇差

の禁止)

下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差を禁止します。

①職務内容

②職務内容・配置の変更の範囲

③その他の事情

 

均等待遇規定は、平等の原理に基づくものです。

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①と②が同じである点に着目しています。

 

均衡待遇規定は、公平の原理に基づくものです。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①~③が異なっている点に着目しています。

 

なお、派遣労働者については、下記のいずれかを確保することが義務化されます。

 

 

(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇

(2)一定の要件を満たす労使協定による待遇

併せて、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務が新設されます。

 

派遣元で、評価制度や昇給制度を含む、一定の要件を満たす労使協定が交わされていれば、派遣先は安心です。

しかし、労使協定が無い場合には、派遣先の労働者の給与や賞与などの待遇を、派遣元に提供しなければならないということです。

 

<② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化>

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができるようになります。

事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

具体的には、パートタイム労働者や有期雇用労働者から請求された場合には、賃金制度、賞与や退職金の有無などについて、正社員との違いを、それぞれの就業規則に基づき説明しなければなりません。

前提として、正社員と非正規雇用労働者それぞれの就業規則が存在し、周知されていて、その内容が不合理ではないことが必要です。

 

<③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続の規定の整備>

事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことを行政ADRといいます。都道府県労働局で、無料・非公開の紛争解決手続きが行われています。

現在は対象外の「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。

裁判よりもはるかに安い費用で、しかも短期間で解決に至りうる手続きです。

行政ADRの当事者(会社側・労働者側)に不安がある場合には、特定社労士などが代理人となって活動することもできます。

 

2018.09.30.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<職場情報総合サイトの公開>

厚生労働省が、平成30(2018)年9月28日(金)に「職場情報総合サイト」を一般公開しました。

職場情報総合サイトは、「若者雇用促進総合サイト」-「女性の活躍推進企業データベース」-「両立支援のひろば」の3サイトに掲載されている各企業の職場情報を収集し、転載しています。また、各企業の各種認定・表彰の取得等の情報も掲載しています。

このように、職場情報をワンストップで閲覧できるようにし、横断的に検索・比較できるようにすることで、企業と働き手のよりよいマッチングの実現が期待できます。

職場環境の維持向上に努めている企業にとっては、アピールの場が新たに増えたことになります。

 

職場情報総合サイト:https://shokuba.mhlw.go.jp/index.html

 

【「職場情報総合サイト」の特徴について】

1 主なコンテンツ・機能

  ・当サイトについて(掲載する職場情報、メリット、当サイト設立の背景)

  ・利用方法(使い方・ご利用の流れ、操作マニュアル)

  ・職場情報検索(企業名・条件からの検索機能、複数の企業の比較機能)

  ・CSV一括ダウンロード(職場情報の全件データのダウンロード機能)

 

2 掲載する主な職場情報

  ・採用状況に関する情報

  ・働き方に関する情報

  ・女性の活躍に関する情報

  ・育児・仕事の両立に関する情報

  ・能力開発に関する情報

  ・ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報とのリンク

 

3 職場情報総合サイトの活用のメリット

  ■求職者

  ○ライフスタイルや希望条件にあった企業の選択

  ○事前に企業の就業実態を把握し、入社後のミスマッチを防止

  ■データ登録企業

  ○職場情報を開示することによる企業のPR

  ○職場改善への取組が評価されることによる優秀な人材の獲得

 

2018.09.29.解決社労士

ガイドライン案の内容は↓こちらをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000190750.pdf

 

<示している内容>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差がある場合に、次の2つを区別するための基準を示しています。

 

・不合理な待遇差

・不合理ではない待遇差

 

しかし、次の2つは示されていません。

 

・不合理な待遇差を含む就業規則の例(これは許されない)

・不合理ではない待遇差を含む就業規則の例(ここまでは許される)

 

なぜなら、1つの規定だけを見て、それが不合理な待遇差であるか否かは判断できないからです。

実際には、2組の規定の組合せを見て判断することになります。

 

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

<比較される2つのグループ>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消することを目的としています。

単純に正社員とパート社員のような比較ではなく、2つのグループ間での比較になります。

 

正規雇用労働者 =「無期雇用」かつ「フルタイム」

雇用期間に区切りが無く定年まで働く予定であることと、1日8時間、週5日のようにフルタイムで働くこととの両方が条件となります。

「パートさん」「契約社員」と呼ばれていても、契約期間の定めが無くて、フルタイムで働いていれば、ここに言う正規雇用労働者です。

「正社員」と呼ばれていても、フルタイムで働いていない人は正規雇用労働者に含まれません。ただし、普段はフルタイムで、育児などの理由により一定の期間だけフルタイムで働かないという人は、正規雇用労働者に含まれます。

 

非正規雇用労働者 = 正規雇用労働者の条件を満たさない人

雇用期間に区切りのある有期雇用の人、フルタイムの人よりも短時間勤務の人、フルタイムの人よりも勤務日数が少ない人は、すべて正規雇用労働者の条件を満たしませんから非正規雇用労働者です。

「正社員」の中にも稀に有期雇用の人がいますが、この人は非正規雇用労働者に含まれます。

 

このガイドライン案が対象としているのは、正規雇用労働者のグループに含まれる人と、非正規雇用労働者のグループに含まれる人との比較です。

同じグループに含まれる正社員同士や、パートとアルバイトとの比較は対象外となります。

 

結局、就業規則の規定が、このガイドライン案によって不合理とされるか否かの判断のためには、次の2つの比較が必要となります。

 

正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

非正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

不合理だと判断されるのは、非正規雇用労働者の待遇または待遇の基準についての規定の内容です。

 

<比較される対象者の範囲>

このガイドライン案は、同一の企業・団体における不合理な待遇差の是正を目的としています。

世界的に見ると、労働組合が全企業にまたがって職種ごとに組織されてきた国が多いようです。こうした国々では、同一労働同一賃金も全企業にまたがって考えられています。

しかし、日本では企業ごとに労働組合が組織されてきた歴史があり、同じ仕事をしていても、企業によって待遇差が大きいという実態があります。

こうした実態を踏まえて、このガイドライン案は同一の企業・団体の内部での比較を考えています。

 

2018.09.17.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

<生産性の低下>

ここでいう生産性とは、労働生産性のことです。これを式であらわすと次のようになります。

 

労働生産性 = 労働による成果 ÷ 労働投入量

 

より少ない労働で、より大きな成果が得られれば、労働生産性が高いということになります。

ところが、この式の中の「労働投入量」が「人件費」にすり替えられてしまうことがあります。

その結果、担当者の残業代カットや管理監督者ではない単なる管理職に残業代を支給しないという違法な現象が発生します。

 

これによって、労働生産性は低下します。

なぜなら、労働投入量は変わらず、労働による成果が減少するからです。

 

残業代をカットされる会社の従業員は、残業代をカットされない会社の従業員よりも勤労意欲が低下しますから、長時間職場にいても実質的な労働による成果が減少します。

長時間労働であれば、精神的肉体的疲労によって、さらに労働による成果が減少します。

転職のことを考えながら将来に対する不安を抱えて働いても、会社に貢献できるはずがありません。

 

労働基準法41条2号に規定されている管理監督者は、管理職や役職者の中のほんの一部なのですが、誤った解釈によって残業代が支給されていないことがあります。

こうした職場で、部下の残業を禁止して、こなし切れない仕事は上司が行うことにすれば、人件費は減少します。

しかしこの上司は、疲労の蓄積とマネジメントに必要な時間の減少によって、適切な判断や部下への指示がむずかしくなります。

上司だけでなく、部下の労働による成果も減少します。

 

こうして会社の業績が悪化すれば、さらに人件費を切り詰めようとするのでしょうか。

管理職の残業が増えている現象が見られたら、間違った方向に進んでいないか確認をお勧めします。

 

<生産性の向上>

従業員のためだけでなく、企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

疲労が蓄積しなければ、1時間あたりの労働による成果が増すからです。

 

従業員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての労働生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

また、従業員ひとり一人の能力を向上させることも大事です。

 

これらを実現するために、まず取りかかることは業務を減らすことです。

次のような視点から、過去にとらわれることなく、大胆に業務をカットしてはいかがでしょうか。

・なぜこの業務を行っているのか。目的は何か、本当に必要か。

・この業務をこの時間帯に行うのはなぜか。締め切りは適切か。

・この業務をこの場所で行うのはなぜか。別の場所で行った方が良くないか。

・なぜこの業務をこの部署のこの従業員が担当しているのか。

・このやり方で良いのか。もっと良い方法はないのか。

・この業務から具体的な成果は得られているか。経営者の自己満足ではないか。

 

2018.09.04.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで承っております。

 

<ダイバーシティ(Diversity)>

ダイバーシティは「人々の間の違い」「多様性」というのが本来の意味です。

日経連の定義は「異なる属性(性別、年齢、国籍など)や従来から企業内や日本社会において主流をなしてきたものと異なる発想や価値を認め、それらを活かすことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し利益の拡大につなげようとする経営戦略。また、そのために、異なる属性、異なる発想や価値の活用をはかる人事システムの構築に向けて連続的かつ積極的に企業が取り組むこと。」となっています。

私の理解では「色々な違いのある人々であっても、同じ職場に平等に受け入れ、一緒に働くからには組織の一員として平等に扱う」ということを、ダイバーシティと言っていると感じます。平等の原理のあらわれであるという理解です。

 

<インクルージョン(Inclusion)>

インクルージョンは「包括」「包含」「一体性」というのが本来の意味です。

「組織内の誰にでもビジネスの成功に参画・貢献する機会があり、それぞれに特有の経験やスキル、考え方が認められ、活用されていること」などと説明されています。

インクルージョンは、ダイバーシティをより発展させた新しい人材開発のあり方であるという説明も良く目にします。

私の理解では「色々な違いのある人々を、同じ職場に平等に受け入れた後は、一緒に働くのであっても、一人ひとりの個性が活かされ独自能力を最大限に発揮できるよう、個性に応じて公平に扱う」ということを、インクルージョンと言っていると感じます。公平の原理のあらわれであるという理解です。

 

<平等と公平>

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

平等な採用をして、公平な処遇をすることによって、一人ひとりが能力を最大限に発揮し企業と共に成長するのは、すばらしいことだと思います。

平等と公平は、共通する属性に着目するのか、異なる属性に着目するのかという点で、大きな違いがあります。

両者の調和を目指すのが公正です。

採用前から退職後まで、人事の仕事は公正であることが求められます。

 

2018.09.03.解決社労士

<裁量労働制の安易な導入>

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、一定の時間働いたものとして賃金が支払われる仕組みで、仕事の時間配分などの裁量を労働者に委ねる制度です。

適正な運用により、生産性が向上するわけですが、誤った運用をすれば長時間労働が発生します。

最近、本来認められない業務に不正に適用した求人がインターネットの求人サイトで相次いでいることから、厚生労働省はサイトの運営者に対してチェックの強化を求めたそうです。

働き方改革関連法案の審議を巡り、裁量労働制についての報道が増えたことから素人判断での導入が増えたようですが、適法な導入と適正な運用はむずかしいものです。

 

<2つの裁量労働制>

現行法上、裁量労働制には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあり、どちらもみなし労働時間制の一つです。

適法に運用するための条件は複雑ですから、安易に適用することは避けなければなりません。

 

<専門業務型裁量労働制>

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分などを大幅に労働者の裁量に任せる必要がある業務として厚生労働省令と厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間だけ働いたものとみなす制度です。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<専門業務型裁量労働制の対象業務>

 「専門業務型裁量労働制」は、専門的な19業務に限り、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

対象業務の例としては、新商品の研究開発、デザイナー、コピーライター、弁護士、税理士などがあり、かなり専門性の高い業務に限定されています。

 

<専門業務型裁量労働制の導入手続>

原則として、対象業務、みなす時間、健康確保措置、対象労働者からの苦情処理方法などの基本事項を労使協定により定めたうえで、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

この労使協定には、対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分などに関して労働者に具体的な指示をしないことが含まれています。あくまでも、自律的な専門職として働かせる仕組みなのです。

 

<企画業務型裁量労働制>

事業活動の中枢にある労働者を対象として、創造的な能力を十分に発揮できる環境を実現するため、企業の本社などで企画、立案、調査、分析を行う労働者のために設けられました。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<企画業務型裁量労働制を導入できる事業場>

対象業務が存在する事業場に限定されています。具体的には、本社・本店である事業場の他、次の事業場が該当します。

・企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場

・その事業場の事業計画や営業計画の決定を独自に行っている支社・支店

 

<企画業務型裁量労働制の導入手続>

事前・事後のものを含め次の手続きが必要です。

・労使委員会の設置と決議、運営方法の決定

・労働基準監督署長への届出と6か月以内ごとに1回の定期報告

 

<対象労働者の同意>

この制度の適用については、労働者本人の同意を得なければなりません。また、不同意の労働者に対して不利益な取扱いをしてはなりません。

同意は個別でなければならず、就業規則での包括的な同意では足りません。

 

2018.09.01.解決社労士

<ビジログとは>

平成30(2018)年8月20日、中小企業庁が、中小企業で働く従業員等を、将来、社内の中核的な人材に成長できるよう育成するため、社会人基礎力や「人手不足解消術」「生産性向上術」を始めとした専門知識などのカリキュラムを、いつでも、どこでも学ぶことができ、かつ学習履歴や成果を可視化できる人材育成のプラットフォーム『ビジログ』を構築し、公開しました。

 

<ビジログの趣旨>

中小企業が、第四次産業革命等の急激な環境変化や人口減少という構造的問題に対応しながら、成長・発展を続けるためには、経営者を支える中核人材の育成が急務です。

こうした問題意識から、中小企業庁では、中小企業等で働く従業員を、将来、社内の中核的な人材に育成するためのプラットフォーム『ビジログ』を構築し、ホームページ上に公開しました。

※ビジログ=ビジネススキル+記録(ログ)

 

<事業コンセプト>

1.中小企業等で働く従業員に必要な社会人基礎力や「人手不足解消術」「生産性向上術」「人づくり術」などの専門知識等を身につけることができるカリキュラムを用意します。

2.EdTechを活用し、時間や場所にとらわれない多様な学びのスタイル(ウェブ型、双方向ライブ型、ワークショップ型)を提供します。

3.受講履歴等を一元管理し、受講者の理解度・進捗を可視化することで、成果や成長を実感しながら、学びを継続することができます。

 

↓受講料無料のビジログはこちら

https://busilog.go.jp/

 

2018.08.25.解決社労士

<現代版の時差出勤>

東京都では、「時差Biz」と称して時差出勤を推奨しています。通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらすもので、働き方改革のひとつと考えられます。

たしかに働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

東京都の特に区部では、満員電車の混雑緩和が社会の生産性向上のための重要な課題のひとつとなっています。通勤時間をずらすことによって満員電車の混雑緩和を促進する「時差Biz」に、多くの会社で一斉に取り組めば、現在の満員電車での通勤による労働者の肉体的・精神的な負担が軽減され、生産性が向上することは明らかでしょう。

 

<労働者側のメリット>

生産性の向上というと、企業側のメリットばかりが強調されてしまいますが、空いた電車では満員電車とは違って、働き手にとっても時間の有効活用が可能です。

満員電車では、ただただ耐えるだけの時間となってしまいます。しかし、空いた電車の中では、スマホで個人の趣味に取り組んだり、ニュースをチェックしたり、資格試験の勉強をしたりと、通勤時間の有効活用が可能となります。

それに、朝早く出勤して夕方は早く帰宅というパターンなら夕方の時間をプライベートに使えますし、遅め出勤なら朝の時間に趣味や家族のコミュニケーションを充実させることも可能です。

 

<会社で必要な手続き>

時差出勤は、フレックスタイム制とは違って1日の労働時間(所定労働時間)の長さはそのままです。早く出勤して早く帰るか、遅く出勤して遅く帰るかということです。

しかし、これを導入するには、会社の就業規則に新たな規定を設ける必要があります。

始業時刻と終業時刻は、就業規則に必ず定める絶対的必要記載事項です。〔労働基準法89条〕

そのため、時差出勤の対象者や時差出勤での始業時刻と終業時刻のパターンは、就業規則に定めておく必要があります。

また、時差出勤の導入によって休憩時間も変更する必要があったり、一斉休憩の原則が維持できなくなるようであれば、就業規則にその旨を定めたり、一斉休憩の適用除外に関する労使協定の締結も必要となります。

 

2018.08.17.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで承っております。

<自主点検の対象>

平成30(2018)87日、厚生労働省が裁量労働制を採用している事業場で、制度が法令に従い適正に運用されているかどうかをチェックすることを目的として、2月から実施してきた自主点検の結果を公表しました。

自主点検の対象となった事業場数は、企画業務型2,917、専門業務型9,250の合わせて12,167事業場で、このうち報告書が提出された事業場数は企画業務型が2,789(96)で、専門業務型が8,004(87)でした。

 

<自主点検の結果>

自主点検の結果、改善が必要と考えられる事業場の状況は、企画業務型では、「対象労働者が従事している業務」で、「個別の営業活動など、対象業務以外の業務に就かせている」「対象労働者の業務に対象業務以外の業務が含まれている」とした事業場が74(2.7)あったほか、「日常的に上司が具体的な指示をしたり、業務遂行の手段について指示する場合がある」「始業・終業時刻を定めており、それを遵守させる場合がある」「業務量が過大であったり、期日の設定が不適切」とした事業場が71(2.5)ありました。

また、専門業務型では、「対象労働者が従事している業務」で、「対象業務以外の業務に就かせている」「対象労働者の業務に対象業務以外の業務が含まれている」とした事業場が211(2.6)あったほか、「労働時間の状況」で「最長の者の労働時間の状況が相当程度長いもの」と答えた事業場が354(4.4)にのぼり、「労使協定の周知状況」で「労使協定を周知していない」「対象労働者のみに周知」とした事業場が389(4.9)にのぼりました。

 

<裁量労働制>

国会で厚生労働省のデータ改ざんが問題となり、裁量労働制の拡大が働き方改革関連法案から外されました。これによって、裁量労働制の知名度が上がる一方で、悪い印象が広まってしまいました。

裁量労働制は、労働時間制度の1つで、労働時間を実労働時間ではなく一定の時間とみなす制度です。

出退勤時間の制限が外れ、実労働時間に応じた残業代は発生しません。

労働基準法には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つが規定されていて、その導入にも運用にも厳格な制限や手続きが定められています。

労働基準法は労働者を守るのが使命ですから、裁量労働制も労働者が働きやすくなるための制度です。しかし、正しく導入し運用するには専門的な知識と技術が必要ですから、社会保険労務士などの専門家に相談しながら実施する必要があるでしょう。

 

2018.08.12.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで承っております。

<全国労働衛生週間>

厚生労働省は、平成30(2018)101()から7()まで、平成30年度「全国労働衛生週間」を実施します。

全国労働衛生週間は、昭和25(1950)年から毎年実施されているもので、今年で69回目となります。

労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の意識を高めるとともに、職場での自主的な活動を促して労働者の健康を確保することなどが目的とされています。

 

<今年のスローガン>

今年のスローガンは、「こころとからだの健康づくり みんなで進める働き方改革」です。

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

心身共に健康であれば生産性も高まります。そのためにできることは何かを考え、具体的に取り組む1週間としたいものです。

 

<具体的な取組み>

毎年91日から30日までを準備期間とし、101日から7日までを本週間、各職場で、職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、さまざまな取組みを展開する予定で、今年は主に以下のような項目が掲げられています。

 

1.全国労働衛生週間中に実施する事項

 ・事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視

 ・労働衛生旗の掲揚およびスローガン等の掲示

 ・労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰

 ・有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施

 

2.準備期間中に実施する事項

 下記の事項について、重点的に日常の労働衛生活動の総点検を行う。

 ・過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進

 ・労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進

 ・治療と仕事の両立支援対策の推進に関する事項

 ・化学物質による健康障害防止対策に関する事項

 ・石綿による健康障害防止対策に関する事項

 

2018.07.26.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件は、働き方改革研究会の選抜チームで承っております。

<労働安全衛生法>

快適な職場環境の形成について、基本的なことを定めているのは労働安全衛生法です。略して安衛法と呼びます。

安衛法の目的について、第1条が次のように規定しています。

 

第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

 

つまり、この法律は、次の2つのことを目的としています。

・労災を防止して労働者の安全と健康を確保する

・快適な職場環境の形成を促進する

 

<事業者の講ずる措置>

そして、快適な職場環境の形成を促進するために、会社など事業者に次のような義務を課しています。

 

第七十一条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない

一 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置

二 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置

三 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備

四 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置

 

この条文の「努めなければならない」というのは、努力義務であることを示しています。

努力義務というのは、法律の規定に違反しても、刑事罰や過料等の法的制裁を受けない義務です。

結局、守られるか否かは当事者の任意の協力次第ですし、守られているか否かの判断も当事者の評価に委ねられることになります。

 

<快適職場指針>

会社など事業者が快適な職場環境の形成を促進する義務については、労働安全衛生法に基づき、厚生労働省が「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」を定めています。

その中の「温熱条件」という項目には、次のように定められています。

 

屋内作業場においては、作業の態様、季節等に応じて温度、湿度等の温熱条件を適切な状態に保つこと。また、屋外作業場については、夏季及び冬季における外気温等の影響を緩和するための措置を講ずることが望ましいこと

 

<事務所衛生基準規則>

さらに、事務所内で事務作業に従事する労働者については、空気調和設備等による調整が可能である場合に限定して、事務所衛生基準規則に次の規定があります。

 

第五条 事業者は、空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。

3 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない

 

これによると、事務所内は気温が17℃以上28℃以下、湿度が40%以上70%以下というのが基準になります。

つまり、年間を通してこの範囲内にあれば、法令の基準を満たしていることになります。

それでもなお、「暑い」「寒い」という話が出てくるのであれば、話し合いによる調整が必要となります。

 

<働き方改革との関係で>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

ひとり一人の労働者が「暑い」「寒い」ということで生産性が低下しているのであれば、温度環境を整えることで生産性が向上するのは目に見えています。

設備投資と電気代を人件費と比べるだけでなく、定着率の向上や採用の困難性を考えて、どこまでの対応が必要なのか、経営者としての判断は難しいのかもしれません。

それでも、蒸し暑い部屋で採用面接を行った場合と、快適な室内で採用面接を行った場合とでは、辞退者の人数に違いが出てくるのではないでしょうか。

 

2018.07.22.解決社労士

 

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件は、働き方改革研究会でチームとして承っております。

<法改正のポイント>

平成31(2019)41日からは、現行法で1か月が上限とされるフレックスタイム制の清算期間が3か月にまで延長できるようになります。

清算期間を2か月、3か月と延長する場合のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

・各月の曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和される。

・特定の繁忙月や労働者の都合への対応が容易になる。

・残業代の計算が、原則として2か月、3か月単位になる。

反対に、次のようにやや煩わしくなる点もあります。

・所轄労働基準監督署に労使協定の届出が必要となる。

・長時間労働が慢性化している場合には残業代の計算が複雑になる。

 

<曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和>

31日まである月の場合、特定の曜日が4回であったり5回であったりします( 31 ÷ 7 4あまり3 )。具体的には、4回の曜日が4つと、5回の曜日が3つです( 4 × 4 5 × 3 31 )。

基本的に水曜日と木曜日が休日である労働者が、1か月単位のフレックスタイム制を利用していると、同じ31日の月であっても、出勤日数が21日から23日まで幅があります。

するとたとえば、1か月の所定労働時間が177.7時間の月であっても、残業が多く発生したり、勤務時間が足りなくて年次有給休暇を取得したりということになります。

 

これが3か月単位のフレックスタイム制であれば、曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和されます。

7月から9月までの場合、ある特定の曜日が14回で、他の曜日はすべて13回です( 92 ÷ 7 13あまり1 → 14 13 × 6 92 )。

つまり、3か月単位のフレックスタイム制は、1か月単位よりも曜日による影響が少ないため、残業代が多くなったり、調整のための年次有給休暇取得が増えたりの不都合が解消されるわけです。

 

<特定の繁忙月や労働者の都合への対応が容易>

特定の繁忙月だけ残業代が増え、他の月には勤務時間が不足して調整のための年次有給休暇取得が増えるという不合理は、3か月単位のフレックスタイム制であれば緩和されます。

また、夏休みは子供の世話をしたいなどのニーズがある労働者にとって、3か月間で勤務時間を調整できるのは、ワークライフバランスの観点から望ましいものです。

 

<残業代の計算が原則として2か月、3か月単位>

長時間労働が慢性化している職場でなければ、残業代の計算が2か月、3か月に1回ですから、給与計算をする側も、給与を受ける側も確認が楽になります。

フレックスタイム制を導入することによって、1日単位、1週間単位での残業時間の計算が不要になることは大きなメリットです。2か月、3か月単位のフレックスタイム制であれば、このメリットがさらに大きくなるわけです。

 

<所轄労働基準監督署に労使協定の届出が必要>

現行法のフレックスタイム制でも、労使協定を交わすことは必要ですが、所轄の労働基準監督署長への届出は不要です。

清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制では、労働基準監督署長への届出が義務付けられます。

ほとんどの事業場は、三六協定書を労働基準監督署長に届け出ているわけですし、郵送での届出もできるわけですから大きな手間にはなりません。

 

<残業代の計算が複雑になる場合もある>

働き方改革では、労働者の過重労働防止も視野に入れています。

たとえ清算期間が3か月の場合でも、1か月ごとに平均労働時間が1週あたり50時間を超える場合には、その月ごとに残業代を支払わなければなりません。

1週間の法定労働時間が40時間の場合であれば、1日あたりの残業時間が2時間を超える場合に、その月の残業代を支払うことになります。

このことから、長時間労働が当たり前になっている職場では、結局、毎月残業代を支払うことになりますから、2か月、3か月単位のフレックスタイム制を導入する効果は減ってしまいます。

 

参考:完全週休2日制の特例

フレックスタイム制の清算期間における所定労働時間は、法定労働時間が18時間、140時間であれば次の式で求められます。

40時間 ÷ 7日 × 清算期間の日数

しかし、毎週土日が休日のような完全週休2日制では、同じく法定労働時間が18時間、140時間の場合でも、次の式により所定労働時間を設定することができます。

8時間 ×( 清算期間の日数 - 清算期間の土日の日数 )

 

2018.07.20.解決社労士

 

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件は、働き方改革研究会でチームとして承っております。

<法改正のポイント>

年次有給休暇は、労働者の所定労働日数や勤続年数などに応じた法定の日数以上を与えることになっています。

与えるというのは、年次有給休暇を取得する権利を与えるということです。

実際に労働者の方から「この日に年次有給休暇を取得します」という指定が無ければ、使用者の方から積極的に取得させる義務は無いのです。

これが現在の労働基準法の規定内容です。

ところが、平成31(2019)41日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになります。

これが年次有給休暇についての、今回の労働基準法の改正内容です。

 

<改正の理由>

労働基準法に年次有給休暇が労働者の権利として規定されているにもかかわらず、実際の取得率は労働者全体で50%を下回っています。

そこで働き方改革の一環として、少なくとも年5日以上の取得については、使用者側で取得日を指定してでも、確実に取得させるという規定に改正されました。

 

<対象となる労働者>

年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者が対象です。

付与された日数が少ない労働者の場合には、自由に取得日を指定できる日数が少なくなってしまうことが考慮されています。

 

<使用者の義務>

法改正後は、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、基準日から1年以内の期間に労働者ごとにその取得日を指定しなければなりません。

これには例外があって、労働者の方から取得日を指定した日数と、労使協定によって計画的付与がされた日数は、年5日から差し引かれます。

 

<使用者に求められること>

労働者が6か月間継続勤務したときに年次有給休暇が付与され、その後1年間勤務するごとに年次有給休暇が付与されるというのが労働基準法の定めです。企業によっては、この年次有給休暇を付与する基準日が前倒しされている場合もあります。

この基準日から次の基準日の前日までの1年間で、年次有給休暇の取得について、次の3つの合計が5日以上となる必要があります。

 

・労働者からの取得日の指定があって取得した年次有給休暇の日数

・労使協定により計画的付与が行われた年次有給休暇の日数

・使用者が取得日を指定して取得させた年次有給休暇の日数

 

こうしたことは、多くの企業にとって不慣れですから、ともすると次の基準日の直前にまとめて年次有給休暇を取得させることになりかねません。

これでは業務に支障が出てしまいますので、計画的に対処することが必要になります。

 

2018.07.19.解決社労士

 

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件は、働き方改革研究会でチームとして承っております。

<必要性の高くない業務をやめる>

「昔からこの業務をやっているから」というのは、無駄な業務である可能性が高いといえます。なぜなら市場は変化し、これに対応する企業の業務も変化するわけですから、昔から行っている業務ほど、無駄な業務である可能性は高いのです。

「もし、この業務をやめてしまったら」と仮定してみて、特に支障が無いのであれば直ちにやめましょう。多少の不都合がある場合でも、それには目をつぶるとか、やり方を変えて時間を短縮できます。

ひとつの部門で無駄な業務を削減しようとしても、何が無駄なのか分からないことがあります。関連する複数の部門で意見交換すれば、「その資料はもう要らないよ」という話が出てくるでしょう。

 

<ダブって同じ業務をやらないようにする>

上司が部下の仕事の具体的な内容を把握できていないことがあります。これは上司が悪いのではなく、把握する仕組みが無いために起こる現象です。

上司が部下の仕事を具体的に把握できる仕組みがあれば、同じ仕事を複数の社員が行っているという無駄は省けます。

また、上司が部下の仕事内容を具体的に把握できている場合でも、別の部門とダブって同じ仕事を行っているケースは多いのです。

たとえば、総務、人事、経理で仕事内容の比較をすると、似通った業務があります。どこか一つの部署でまとめて行えば、全体の労働時間が減少します。

 

<業務に必要な情報を社内外で共有する>

名刺情報を社内で共有するシステムは一般化しています。

小さな会社でも、「取引先の〇〇さん、来週の火曜日お休み」という情報を共有すれば、その取引先に無駄な連絡を取ることが無くなります。また、その取引先にとっても煩わしさが軽減されます。

情報の共有は、パソコンのサーバーを活用するなどITの活用が中心となりますが、専門的な知識は不要です。ぜひ活用しましょう。

 

<会議・打合せの廃止・短縮>

定例の会議というのは、必要性が疑われます。

その会議によって得られる効果がどのようなものであるか、具体的に検討して、よく分からなければ一度やめてみたらどうでしょう。

それで不都合が無いのであれば、廃止するのが正しいのです。

たとえ必要な会議であっても、本来の勤務時間外にはみ出してしまうようなものは、開催時間帯の再検討が必要です。

また、会議の時間を2時間に設定していたところ、1時間で結論が出たので、あとの1時間は雑談や意見交換というのも見直したいです。

本当に必要な会議や打合せというのは、法定のものを除き、驚くほど少ないものです。

 

<その業務を行う日時の見直し>

たとえば、「業務日報はその日のうちに」というルールを設定すれば、当然に残業が発生するでしょう。

しかし、上司の自己満足ではないのかなど、これが本当に必要なのかを検討して、期限を延ばすとか、日報ではなく週報や月報にできないかなど、検討の余地が大いにあります。

 

<空き時間の活用>

手が空いてしまう時間があります。

こんなとき雑談したり仮眠を取ったりも良いのですが、「手が空いた時やることリスト」を作っておいて、これを行ってはいかがでしょうか。

書類のファイリング、不要書類の廃棄、徹底清掃、OJT、ロールプレイイングなど、「時間のある時にやろう」と思えることをリストアップしておいて、実際に行うということです。

 

<役割分担の見直し>

「全員が必ず」という仕事を、得意な人に集中して任せてしまうことが考えられます。

任された人は、その能力が高いのですから、給与が上がって当然です。その分、負担が減った社員に別の仕事を任せるとか、見合った待遇を考えるとか、調整することも必要になります。

 

<スキルの向上>

社員の能力が向上するというのは、本人にとっても嬉しいものです。

資格を取得して業務に活用している社員に資格手当を支給するというのが一般的ですか、資格取得に必要な経費を会社が負担するという形もあります。

客観的に認められる形で能力の向上が示されるのであれば、他の社員も納得できますし、社員にとっても、能力向上へのモチベーションが高まります。

いずれにせよ、会社が負担する経費以上に、その社員が会社の利益に貢献してくれるのなら生産性が向上します。

そして、業務内容が同じであれば、それに要する時間も短縮されています。

 

<新たなツールの導入、運用の改善>

マニュアル、チェックリスト、予定表、目標達成グラフなどを新たに導入することにより、効率が上がったり、モチベーションがアップしたりということがあります。

ミスの軽減になったり、情報共有による効率化を図れたり、いずれにせよ労働時間の短縮につながります。

また、今使っているツールについても、そのツールを導入した目的に立ち返り、より良い活用法を考え、場合によっては廃止することも考えましょう。

 

2018.07.17.解決社労士

 東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 所属

大きな案件は、働き方改革研究会でチームとして承っております。

<調査の概要>

平成30(2018)713日、厚生労働省が「ホームレスの実態に関する全国調査」の結果を公表しました。

この調査は、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」などに基づき、ホームレスの自立の支援等に関する施策の策定や実施に役立てるため、毎年1月に、各自治体の協力を得て行っているものです。

調査の対象となるホームレスは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」なので、調査方法は巡回による目視調査です。

なお、福島県の大熊町と双葉町は、震災の影響で調査の対象外となっています。

 

<ポイント>

同調査は、ポイントを次のように示しています。

 

1.ホームレスが確認された自治体は、300市区町村であり、前年度と比べて8市区町村(▲2.6%)減少している。

2. 確認されたホームレス数は、4,977人(男性4,607人、女性177人、不明193人)であり、前年度と比べて557人(▲10.1%)減少している。

3. ホームレス数が最も多かったのは東京都(1,242人)である。次いで多かったのは大阪府(1,110人)、神奈川県(934人)である。

なお、東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の約4分の3を占めている。

4. ホームレスが確認された場所の割合は、前年度から大きな変化は見られなかった。

(「都市公園」22.7%、「河川」31.0%、「道路」18.0%、「駅舎」4.9%、「その他施設」23.4%)

 

<ホームレス減少の原因>

この調査によると、少なくともこの4年間はホームレスが減少しています。

東京都が家の無い人(住所が無い人)の就労支援を強化したことや、人手不足の影響もあるでしょう。

中小企業でも、住所が無い人に積極的に住居を手配したうえで採用するという動きが見られます。

一億総活躍ですから、ホームレスがいない日本にしなければなりません。

今の環境は、それができる大きなチャンスと見ることもできるでしょう。

 

2018.07.15.解決社労士

<働き方改革関連法成立前の付帯決議>

平成30(2018)629日、働き方改革関連法案が参議院の本会議で自民・公明の両党と日本維新の会などの賛成多数により、可決・成立しました。

前日の厚生労働委員会では、働き方改革関連法案に対しての要望や監督指導の徹底などについての付帯決議が賛成多数で可決されました。

この付帯決議には、法案に反対した野党の国民民主党、立憲民主党も賛成に回りました。

与野党が激しく対立した高度プロフェッショナル制度(高プロ)に関するものは13項目で、制度の乱用を防ぐために野党側が求めた要望や対策が中心となっています。

 

<付帯決議の高度プロフェッショナル制度関連項目(一部抜粋)>

・導入する全事業場に労働基準監督署が臨検監督(立入り調査)を行い、適用の可否をきめ細かく確認する。

・省令で定める対象業務は、具体的かつ明確に限定列挙する。また、労使委員会による対象業務の決議を労働基準監督署が受け付ける際は、適用対象に該当するものであることを確認する。

・労使委員会の決議は、有効期間を定め、自動更新は認めないと省令で規定する。本人同意は短期の有期労働者は労働契約の更新ごと、無期労働者は1年ごとに更新するべきだと指針で規定する。

・3年をめどに適用対象者の健康管理時間の実態、労働者の意見、導入後の課題などについてとりまとめて国会に報告する。

・会社側が始業・終業時刻や深夜・休日労働など労働時間に関わる業務命令や指示をしてはいけないこと、働き方の裁量を奪うような成果や業務量を要求したり、期限や納期を設定したりしてはいけないことを省令で明確に規定する。

・本人が同意を撤回する手続きも明確に決議し、撤回を求めた労働者を不利益に取り扱ってはいけないと監督指導を徹底する。

 

<労働基準監督官の実態>

導入する全事業場に労働基準監督署が臨検監督(立入り調査)を行うことが決議されています。

実際に行うのは、労働基準監督官ということになります。

この決議によって、労働基準監督官の負担が増すことになるでしょう。

しかし労働基準監督官は、少し増員されてはいるものの人員が足りないそうです。

平成29(2017)年度は、労働基準監督官採用試験の合格者数が増えて478名となりました。合格率は13%弱です。(いずれも法文系と理工系との合計)

それでも予算がありますので、たとえば今年度の採用予定者数は280名だそうです。

これとは別に、ハローワークの求人情報を見ると、労働基準監督官の経験者などをパート労働者として雇っていることが分かります。

労働基準監督官不足で臨検監督(立入り調査)の実施が遅れ、その間に違法な制度運用が行われてしまうと、高度プロフェッショナル制度のもとで働く社員は不幸ですし、後になってから違法性を指摘された会社も不幸です。

 

<労働基準監督署の実態>

労働基準監督署では、労働基準監督官以外の人員が削減されていて、監督官が他の業務を手伝っている状態だそうです。

労使委員会による対象業務の決議などは、労働基準監督署が受付けるのですが、窓口業務を行っている方の多くがパート労働者ですから、監督官がフォローに入る機会が増えることでしょう。

こうなると、過重労働を取り締まる役目の労働基準監督官自身が、過重労働に陥ってしまうのではないか心配です。

 

2018.07.03.解決社労士

<IT人材の不足>

経済産業省は、平成30(2018)610日、国内IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を発表しました。

これによるとIT人材は、現在17万人超が不足していて、人口減少に伴い深刻化すると予測しています。

日本では、管理職クラスの割合が低く、理系出身者が少ない傾向が見られるそうです。

 

<受刑者へのIT教育>

こうした中、法務省は平成30(2018)622日、官民協働で運営する刑事施設「美祢社会復帰促進センター」で、美祢市、株式会社小学館集英社プロダクション、ヤフー株式会社と連携し、ネットストアの開設・運営についての職業訓練と地産外商を推進する地方創生支援事業を実施することを発表しました。

職業訓練では、実践的なカリキュラムを通じてeコマースを学ぶことで、専門知識とネットストアを運用するスキルの習得を目指します。

また地方創生支援事業では、職業訓練のカリキュラムの中で制作した美祢市の産品等を販売するストアサイトを美祢市道の駅「おふく」のサイトとして運営することにより、美祢市の地産外商の取組を支援する地方創生への貢献も期待されます。

 

<販路拡大のための人材確保>

売上の9割以上がネット販売という青果店なども増えています。

販路を拡大したいけれども、ネット販売など自社ではとても無理とあきらめないで、IT教育を受けた出所者を積極的に採用することによって、企業の成長をめざす余地はあるでしょう。

再就職が困難な出所者の積極的な採用は、生産性の向上につながります。

これもまた働き方改革の一つとして注目すべきだと考えられます。

 

2018.06.26.解決社労士

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

欧米で普及している同一労働同一賃金の考え方を日本に普及させるにあたっては、日本の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要であり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の不均衡に焦点が当てられています。

平成28(2016)12月には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」が「 働き方改革実現会議 」に提示されました。

 

<同一労働同一福利厚生>

同一労働同一賃金という名称からすると、賃金の同一が対象であって、福利厚生のことまでは求められていないかのように思われます。

しかし、上記の説明のとおり、同一が求められているのは待遇であって賃金に限られません。

賃金が待遇の代表的な要素であるために、わかりやすく同一賃金と表現しているに過ぎないのです。

実際、「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」は福利厚生についても基準を示しています。

 

<福利厚生施設>

無期雇用フルタイム労働者と同一の事業場で働く有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、食堂、休憩室、更衣室などについて、同一の利用を認めなければなりません。

同一の利用」というのは、「同一の福利厚生施設」という意味ではありません。

問題とされる事例としては、無期雇用フルタイム労働者だけに専用のロッカーが用意されている、正午から午後1時までに食堂を利用できるのは無期雇用フルタイム労働者に限られているなどです。

 

<転勤者用社宅>

無期雇用フルタイム労働者と同一の支給要件(転勤の有無、扶養家族の有無、住宅の賃貸、収入の額など)を満たす有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、同一の利用を認めなければなりません。

ここでも「同一の利用」ですから、自己負担額に不当な格差を設けることはできません。

しかし、転勤が無期雇用フルタイム労働者に限られているのであれば、有期雇用労働者またはパートタイム労働者に転勤者用社宅の利用を認める必要はありません。

 

<勤務免除・有給保障>

慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障などは、有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければなりません。

しかし、「同一の付与」を前提として、所定労働日数が相当程度少ないパートタイム労働者に対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合にだけ慶弔休暇を付与するという運用も考えられます。

 

<病気休職>

病気休職を付与する場合、無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければなりません。

また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与しなければなりません。ただし、病気休職の期間を契約期間の終了日までとすることは問題ありません。

 

以上のように、福利厚生については形式的な均衡だけでなく、実質的な均衡が求められています。現在の自社の福利厚生が、同一労働同一賃金の考え方に反していないかの分析は、社会保険労務士などの専門家を交えて行うことをお勧めします。

 

2018.06.20.解決社労士

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

欧米で普及している同一労働同一賃金の考え方を日本に普及させるにあたっては、日本の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要であり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の不均衡に焦点が当てられています。

平成28(2016)12月には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」が「 働き方改革実現会議 」に提示されました。

 

<手当の性質を踏まえて>

同一労働同一賃金の考え方からすると、それぞれの手当ごとに支給の趣旨、支給の理由が、就業規則などで明らかになっている必要があります。

本音のところで、「正社員の賃金を非正規社員より高くするため」適当な名目の手当を設定したとしても、こうした説明では明らかにアウトです。正社員の賃金を高く設定しようとしたのには必ず理由があり、その理由をもとに手当の支給の趣旨と理由を明確にすれば良いのです。

同じ名称の手当であっても、支給の趣旨や理由は企業によって異なります。最高裁判所が、「皆勤手当を契約社員に支給しないのはダメ。住宅手当を支給しないのはOK」という判決を出したからといって、「皆勤手当に住宅手当という名前を付けて支給すれば良い」ということにはなりません。

やはり手当の名称ではなくて、それぞれの企業でそれぞれの手当の趣旨と支給理由が明らかにされなければなりません。これが不明確な企業では、労働者から「同一労働同一賃金に反する」と主張された場合に、反論の手がかりすらありません。

説明不足が原因で、企業への貢献度が高い労働者が転職を考えるようになってしまうのは残念なことです。

 

<役職手当の性質をもつ手当>

役職の内容、責任の範囲・程度に応じて支給する手当です。

非正規社員は役職に就かないというルールであれば、非正規社員にこの手当を支給しないのは当然のことでもあります。

しかし、役職に就くことがあるのなら支給しなければなりませんし、役職の内容、責任の範囲・程度に一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給をしなければなりません。

 

<日曜出勤手当・深夜勤務手当などの性質をもつ手当>

特殊勤務手当のように、出勤日や勤務時間帯など勤務形態に応じて支給される手当は、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

日曜日や深夜に勤務できる人材はなかなか採用できないので、少し手当を上乗せして採用しやすくすることは問題ありません。

カレンダー上の休日が、必ずしも労働契約上の休日ではありませんから、日曜出勤手当と労働基準法の割増賃金とは別の話です。

一方、午後10時から翌日午前5時までの勤務には、労働基準法に定められた割増賃金が発生しますので、この割増賃金と深夜出勤手当との関係についても明確にしなければなりません。

 

<精皆勤手当の性質をもつ手当>

基本的には、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

ただ、週5日出勤の契約で勤務する労働者には皆勤手当を支給するものの、欠勤に対しては欠勤控除に加えてマイナス査定があり、週4日以下出勤の労働条件で働く非正規雇用労働者には皆勤手当を支給しないが、欠勤に対してマイナス査定も無いという運用は、均衡が取れているので許されると考えられます。

 

<その他その性質上同様に支給されるべき手当>

特殊作業手当のように、業務の危険度や作業環境に応じて支給される手当は、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

通勤手当、出張旅費手当、食事手当、単身赴任手当、地域手当の性質をもつ手当なども、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。ただし、採用圏を近隣に限定しているパートタイム労働者が、採用圏外に転居した場合に、採用圏内の交通費を基準に通勤手当を支給しても問題とはなりません。

時間外、深夜、休日の割増賃金を、労働基準法の最低基準を上回る割増率で支給する場合には、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ割増率で支給されなければなりません。

 

現在の自社の各手当は、何を基準に決められているのか、それは同一労働同一賃金の考え方に反していないのかという分析は、社会保険労務士などの専門家を交えて行うことをお勧めします。

 

2018.06.18.解決社労士

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

欧米で普及している同一労働同一賃金の考え方を日本に普及させるにあたっては、日本の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要であり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の不均衡に焦点が当てられています。

平成28(2016)12月には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」が「 働き方改革実現会議 」に提示されました。

 

<基本給の性質>

現実の基本給は、複合的な性質を備えているものですし、企業によっても異なっています。また、特に基本給の性質ということを考えることなく、世間相場から設定しているに過ぎない企業もあります。

しかし、何を基準に基本給を設定しているのか不明確な企業では、労働者から「同一労働同一賃金に反する」と主張された場合に、反論の手がかりすらありません。昇給についても同様で、世間相場を参考に昇給を考えていたのでは、企業への貢献度が高い労働者は転職を考えやすくなってしまいます。

主な基本給の考え方としては、次のようなものがあります。

・労働者の職業経験・能力に応じて支給

・労働者の業績・成果に応じて支給

・労働者の勤続年数に応じて支給

 

<職業経験・能力に応じて支給する場合>

企業の実施する教育研修について、すべての従業員が本人の希望により自由に参加できる機会を与えられ、習得が認定された能力に応じて基本給が設定されるならば問題がありません。しかし、参加者が正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)に限定されているのであれば、同一労働同一賃金の考え方に反する恐れがあります。

また、同一労働同一賃金の考え方からすると、基本給の基準となる職業経験や能力は、現在の業務について判断することになります。たとえば配置転換によって、経験の浅い業務に移ってしまうと、理屈の上では基本給も下がることになりますから、本人の同意のもとに行う必要があります。

 

<業績・成果に応じて支給する場合>

単純に考えると、業績・成果が5割多い人の基本給は、他の人よりも5割多いということになります。ここで業績・成果を計る場合に、全員一律の目標を設定してその達成率に応じた基本給にすると、出勤日数が少ない、あるいは、1日の労働時間が短い労働者は、達成率が低く計算されるため同一労働同一賃金の考え方に反してしまいます。目標を設定する場合には、月間労働時間に比例した内容にするなどの工夫が必要となります。

また、店長が店舗の業績に責任を負っていて、店舗の業績・成果が低いとマイナス評価されるような場合には、この責任を加味した適度に高い基本給設定は問題ありません。

 

<勤続年数に応じて支給する場合>

契約の更新がある有期雇用労働者の勤続年数は、最初の雇用契約開始時から通算して計算することになります。

その時点の雇用契約の期間のみを勤続年数として計算すると、同一労働同一賃金の考え方に反してしまいます。

 

<基本給の複合的な性質を踏まえて>

実際には、上の3つの考え方のうち、どれか1つだけを基準に基本給が設定されることは稀です。いくつかの基準が複合的に絡み合って設定されているものです。その場合でも、それぞれの基準についての考え方を応用することになります。

ただ、基本給の性質をどのように設定しようとも、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者またはパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という抽象的な話では説明不足になり、同一労働同一賃金の考え方に反するという主張に対して、反論のしようがありません。

主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして不合理なものであってはならないのですから、基本給を設定した側だけが理解できて、労働者が理解できない説明では困ります。

 

現在の自社の基本給は、何を基準に決められているのか、それは同一労働同一賃金の考え方に反していないのかという分析は、社会保険労務士などの専門家を交えて行うことをお勧めします。

 

2018.06.17.解決社労士

<契約自由の原則>

契約自由の原則は、契約を当事者の自由にまかせ、国家はこれに干渉してはならないとする近代法の原則です。

これには、契約をする/しない自由、契約の相手方選択の自由、契約内容決定の自由、口頭か書面によるのかなど方式の自由、契約内容変更・契約解消の自由が含まれます。

契約に関する基本事項を規定している民法に、契約自由の原則を直接規定する条文は無いのですが、90条(公序良俗違反の法律行為の無効)や91条(任意規定と異なる意思表示)などにその趣旨があらわれています。

 

<労働契約法の規定>

労働契約も契約の一種であり、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立します。〔労働契約法6条〕

つまり、労働者の「働きますから賃金をください」という意思表示と、雇い主の「賃金を支払いますから働いてください」という意思表示が合致することによって、労働契約が成立します。

そもそも、労働契約法が制定された目的は、労働者および使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、または変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定または変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することにあります。〔労働契約法1条〕

このことからすると、どのような労働契約にするかは当事者の自由であって、複数の労働者が同じ価値の労働を提供する場合に、一人ひとり異なる賃金にしてもかまわないということになります。

 

<同一労働同一賃金の趣旨>

ところが現在、同一労働同一賃金という考え方が主張され、ガイドライン案が作成されたり、この考え方に関わる最高裁判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)が下されたりということで、話題に上ることが多くなっています。

これは、契約自由の原則の趣旨を踏まえて、労働契約の締結を自由に任せておいたところ、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、不合理と見られる待遇差が増えてしまったという不都合が問題視されているためです。

原因としては、非正規雇用労働者が雇い主との間で労働契約の内容を決定する場合に、かなり弱い立場にあって、自由な交渉が大きく制限されているという実態が浮かび上がります。

つまり、当事者の対等な立場での交渉を前提とする契約自由の原則は、非正規雇用労働者には当てはまらないのに、当てはまるものとして放置されてきたことに対する反省があります。

ただ、日本国内で言われている同一労働同一賃金は、同一企業内での話に留まっていますし、完全に同一や均等までは求められていません。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者との区分がある以上、その間の格差は当然に存在するものであることは認め、不合理な差別とならないように均衡を求める趣旨となっています。

労働契約法20条も、次のように規定しています。

 

「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」

 

この条文の解釈については、平成30(2018)61日の2つの最高裁判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)にも示されています。

 

<企業のとるべき対応>

基本給、手当、退職金、休暇などについて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な格差があるのであれば、均衡するように改める必要があります。

また、不合理な内容ではなくても、両者で異なる取扱いをしている場合には、就業規則に具体的な趣旨や合理性を説明しておくことが必要です。

たとえば、正社員だけに住宅手当を支給しているのであれば、「契約社員については就業場所の変更が予定されていないのに対し、正社員については転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得るから」という理由の明示が必要となるのです。

 

2018.06.16.解決社労士

<トップからの情報発信>

トップから、長時間労働の削減や休暇の取得促進など働き方改革の推進について、明確な情報発信を定期的に行う必要があります。

働き方改革は、管理職が中心となって推進しなければ進みません。ところが、管理職の中に「労働時間の削減や休暇の増加で業務が滞るのではないか。その場合には、自分が責任を問われたり、負担が増えたりするのではないか」という疑念があったのでは、消極的にならざるを得ません。

トップが、会社の経営課題の一つとして働き方改革を掲げ、朝礼、社内報、電子掲示板など、あらゆるチャネルを活用して発信する必要があります。

また1回だけ発信しても、時間が経てば、社員の中に「まだトップはその気になっているのだろうか。気が変わっていないだろうか」と不安になります。

このことから、情報発信は繰り返し定期的に行わなければなりません。

 

<経営幹部からの情報発信>

トップが働き方改革の推進に向けたメッセージを繰り返し発信していても、役員など経営幹部の意識が変わらなければ、社内に浸透しません。

経営幹部が、中期経営計画など全社の経営計画を策定する時に、トップからの情報発信を受けての内容を盛り込み、目標を数値化したうえで全社員に発信する必要があります。

トップの立場からすると、経営幹部にこうした情報発信をさせることで、自ら推進することに対する責任を負わせるということになります。

 

<社外に向けた情報発信>

所定外労働の削減や年次有給休暇の取得増加によって、お取引先やお客様など社外にも影響が出てきます。

こうした影響の原因が働き方改革の推進にあること、働き方改革にどのようなメリットを期待して推進するのかを社外にも示す必要があります。

お取引先に対しては、人手不足・採用難が続いている環境下にありますから、有能な人材の確保ということが、最も説得力を帯びてくるでしょう。

また、お客様に対しては、社員の生活を大切にしたいという思いをアピールすることができます。

働き方改革は、多くの企業が同時に推進し、社会全体で盛り上げなければなりません。

社外に向けた情報発信は、企業の社会的責任を果たすうえでも必要なものです。

 

2018.05.21.解決社労士

今から10年以上も前、平成192007)年1218日に、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる「官民トップ会議」で、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定されました。

改めて読み返してみると、政府が推進してきたことの意図、これからさらに強化していく政策が読み取れます。

政府の方針に逆らった経営は、どの企業にとっても得策ではありません。

今一度、この内容を確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章

 

我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面している。

 

誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。

 

仕事と生活の調和と経済成長は車の両輪であり、若者が経済的に自立し、性や年齢などに関わらず誰もが意欲と能力を発揮して労働市場に参加することは、我が国の活力と成長力を高め、ひいては、少子化の流れを変え、持続可能な社会の実現にも資することとなる。

 

そのような社会の実現に向けて、国民一人ひとりが積極的に取り組めるよう、ここに、仕事と生活の調和の必要性、目指すべき社会の姿を示し、新たな決意の下、官民一体となって取り組んでいくため、政労使の合意により本憲章を策定する。

 

仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらす。同時に、家事・育児、近隣との付き合いなどの生活も暮らしには欠かすことはできないものであり、その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増する。

 

しかし、現実の社会には、

•安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、

•仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、

•仕事と子育てや老親の介護との両立に悩む

など仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られる。

 

その背景としては、国内外における企業間競争の激化、長期的な経済の低迷や産業構造の変化により、生活の不安を抱える正社員以外の労働者が大幅に増加する一方で、正社員の労働時間は高止まりしたままであることが挙げられる。他方、利益の低迷や生産性向上が困難などの理由から、働き方の見直しに取り組むことが難しい企業も存在する。

 

さらに、人々の生き方も変化している。かつては夫が働き、妻が専業主婦として家庭や地域で役割を担うという姿が一般的であり、現在の働き方は、このような世帯の姿を前提としたものが多く残っている。

 

しかしながら、今日では、女性の社会参加等が進み、勤労者世帯の過半数が、共働き世帯になる等人々の生き方が多様化している一方で働き方や子育て支援などの社会的基盤は必ずしもこうした変化に対応したものとなっていない。また、職場や家庭、地域では、男女の固定的な役割分担意識が残っている。

 

このような社会では、結婚や子育てに関する人々の希望が実現しにくいものになるとともに、「家族との時間」や「地域で過ごす時間」を持つことも難しくなっている。こうした個人、家族、地域が抱える諸問題が少子化の大きな要因の1つであり、それが人口減少にも繋がっているといえる。

 

また、人口減少時代にあっては、社会全体として女性や高齢者の就業参加が不可欠であるが、働き方や生き方の選択肢が限られている現状では、多様な人材を活かすことができない。

 

一方で働く人々においても、様々な職業経験を通して積極的に自らの職業能力を向上させようとする人や、仕事と生活の双方を充実させようとする人、地域活動への参加等をより重視する人などもおり、多様な働き方が模索されている。

 

また、仕事と生活の調和に向けた取組を通じて、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現に取り組み、職業能力開発や人材育成、公正な処遇の確保など雇用の質の向上につなげることが求められている。ディーセント・ワークの推進は、就業を促進し、自立支援につなげるという観点からも必要である。

 

加えて、労働者の健康を確保し、安心して働くことのできる職場環境を実現するために、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、メンタルヘルス対策等に取り組むことが重要である。

 

いま、我々に求められているのは、国民一人ひとりの仕事と生活を調和させたいという願いを実現するとともに、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとする取組である。

 

働き方や生き方に関するこれまでの考え方や制度の改革に挑戦し、個々人の生き方や子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な働き方の選択を可能とする仕事と生活の調和を実現しなければならない。

 

個人の持つ時間は有限である。仕事と生活の調和の実現は、個人の時間の価値を高め、安心と希望を実現できる社会づくりに寄与するものであり、「新しい公共」の活動等への参加機会の拡大などを通じて地域社会の活性化にもつながるものである。また、就業期から地域活動への参加など活動の場を広げることは、生涯を通じた人や地域とのつながりを得る機会となる。

 

(「新しい公共」とは、行政だけでなく、市民やNPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、教育や子育て、まちづくり、介護や福祉などの身近な分野で活躍することを表現するもの。)

 

仕事と生活の調和の実現に向けた取組は、人口減少時代において、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるものである。とりわけ現状でも人材確保が困難な中小企業において、その取組の利点は大きく、これを契機とした業務の見直し等により生産性向上につなげることも可能である。こうした取組は、企業にとって「コスト」としてではなく、「明日への投資」として積極的にとらえるべきである。

 

以上のような共通認識のもと、仕事と生活の調和の実現に官民一体となって取り組んでいくこととする。

 

1 仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」である。

具体的には、以下のような社会を目指すべきである。

 

1. 就労による経済的自立が可能な社会

 経済的自立を必要とする者とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

 

2. 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

 働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

 

3. 多様な働き方・生き方が選択できる社会

 性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

 

2 このような社会の実現のためには、まず労使を始め国民が積極的に取り組むことはもとより、国や地方公共団体が支援することが重要である。既に仕事と生活の調和の促進に積極的に取り組む企業もあり、今後はそうした企業における取組をさらに進め、社会全体の運動として広げていく必要がある。

 

そのための主な関係者の役割は以下のとおりである。また、各主体の具体的取組については別途、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で定めることとする。

 

取組を進めるに当たっては、女性の職域の固定化につながることのないように、仕事と生活の両立支援と男性の子育てや介護への関わりの促進・女性の能力発揮の促進とを併せて進めることが必要である。

 

(1)企業とそこで働く者は、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組む。

 

(2)国民の一人ひとりが自らの仕事と生活の調和の在り方を考え、家庭や地域の中で積極的な役割を果たす。また、消費者として、求めようとするサービスの背後にある働き方に配慮する。

 

(3)国民全体の仕事と生活の調和の実現は、我が国社会を持続可能で確かなものとする上で不可欠であることから、国は、国民運動を通じた気運の醸成、制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援策に積極的に取り組む。

 

(4)仕事と生活の調和の現状や必要性は地域によって異なることから、その推進に際しては、地方公共団体が自らの創意工夫のもとに、地域の実情に応じた展開を図る。

 

 

2018.05.18.解決社労士

ハローワークは、刑務所出所者等に職業相談や職業紹介等を行う「刑務所出所者等就労支援事業」を行っています。

厚生労働省は、平成30(2018)515日に報告書を取りまとめ公表しました。

 

<支援の理由>

現実的な問題として、無職の出所者が再び罪を犯しやすい、つまり再犯率が高いということがあります。

このことからハローワークでは、出所者の就労を通じた生活の基盤づくりを進めるとともに、安心して暮らせる社会の実現に取り組んでいます。

 

<ハローワークの主な取組例>

・出所直後から就労と住居を確保できる寮のある事業所を紹介

・刑務所入所歴を開示し、更生の意欲を伝え対象者と事業所の信頼関係を構築

・就職面接会の実施、内定通知書の発出で出所へのモチベーションを向上

・公共職業訓練や農林漁業就職支援を活用した就職を実現

 

<事業所における雇用の取組例>

・採用に際して「更生への思い」や「戦力になる人材」であることを重視

・「出所者等就労奨励金」、「身元保証制度」などの各制度を利用し負担を軽減

・所持金が少ない出所直後は給料を日払いで対応

・雇用主として対象者の就労を通じ、更生に寄り添うとともに再犯防止を支援

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

刑務所出所者の働き手としての必要と欲求は、一般の労働者よりも明確な点が多々あります。

採用難の中、人材不足に悩む企業にとって、働き方改革の一環としても、刑務所出所者の採用は一考に値するといえるでしょう。

 

2018.05.17.解決社労士

<モデル就業規則の改定>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則は、かつて副業・兼業に消極的な態度を示していました。

ところが、「働き方改革実行計画」(平成29(2017)328日働き方改革実現会議決定)を踏まえ、厚生労働省が副業・兼業の普及促進を図るようになりました。

これを受けて、モデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

(副業・兼業)

第67条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

<届出制か許可制か>

第2項は、会社への事前届出制を規定しています。

一方で、第3項が禁止・制限を規定しています。

届出さえすれば自由に副業・兼業できるとしておきながら、後から禁止・制限すると混乱を生じますから、事前許可制として、一定の条件を満たす場合にだけ許可する方が労働者にとっても会社にとっても安心でしょう。

第2項に事前許可制を定めても、第3項に禁止・制限の規定を置くことは必要です。許可の当時明らかではなかった事実や事後に発生した事実に対応するためです。

 

<労務提供上の支障がある場合(第1号)>

本業の方の労務提供に支障が生ずるため、会社が制限し、場合によっては禁止しなければならないことがあります。

たとえば、次のような場合です。

・副業・兼業の日時によって、本業の残業や休日出勤に対応できない場合

・副業・兼業の身体的・精神的負担が大き過ぎて、本業の方で生産性が低下してしまう場合

 

<企業秘密が漏洩する場合(第2号)>

本業の方で、その労働者が企業秘密を扱う立場にないのであれば、この規定は適用されることがありません。

また、単純に「企業秘密が漏洩する場合」という規定であれば、「漏洩の恐れ」を理由に副業・兼業を禁止・制限できません。

会社の業種に応じて、「企業秘密が漏洩する恐れが大きな場合」「企業秘密が漏洩する恐れがある場合」といった規定も考えられます。

 

<会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合(第3号)>

副業・兼業は、勤務時間外に行うものですから、本来的には労働者が自由に行えるものです。

一方で、たとえ完全に私的な行為であっても、会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為は、就業規則によって禁止され懲戒対象とされることについては、十分な合理性があります。

このことから、法的にあるいは倫理的に問題のある副業・兼業は、禁止・制限について合理性が認められます。

 

<競業により、企業の利益を害する場合(第4項)>

お客様を取ってしまい、会社の売り上げを減少させる場合には、明らかに当てはまるでしょう。

また、その恐れがある場合でも、第3号の「信頼関係を破壊する行為」になりえます。

ただ、多少競合する副業・兼業であっても、そこから得られたノウハウを本業に活かせるのであれば良しとする考えも成り立ちます。

 

<自社の就業規則をどうするか>

このように会社のリスクを減らそうとすると、どうしても副業・兼業を制限する方向に向かってしまうのは仕方がないことかも知れません。

そもそも、副業・兼業は本業で手一杯の労働者に強制するものではありません。厚生労働省が副業・兼業の普及促進をするというのは、本業の業務に余裕があって副業・兼業を希望する労働者を支えるものだと考えるのが合理的です。

自社の就業規則にある副業・兼業の規定を改定する場合には、社内の実態と従業員の必要や欲求を把握したうえで検討したいものです。

 

2018.05.16.解決社労士

<年次有給休暇の取得促進>

労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持を図るための年次有給休暇は、その取得率が50%を下回る水準で推移しています。

こうした現状を踏まえ、有給休暇取得促進のため、1日単位にこだわらない取得が認められるようになってきています。

 

<半日単位の取得>

労働者が希望し、会社が同意した場合であれば、半日単位で有給休暇を消化することが認められています。

ただし、「午前中で終わる用事のためなら、1日休まなくても半日有給でいいですね」と会社側から働きかけるような、1日単位での有給休暇の消化を阻害する行為は認められません。

 

<1時間単位の取得>

現在では、5日以内なら労使協定を交わすことによって、1時間単位の年次有給休暇取得も可能です。〔平成22(2010)年4月施行の改正労働基準法39条4項〕

また、労使協定の定めによって、対象者の範囲を限定することもできます。

この場合には、異動などによって対象者から外れた場合の取り扱いについて、あらかじめ労使で取り決めておく必要があります。

 

<1時間単位なら不安も少ない>

年次有給休暇の取得を請求するには、労働者の側に次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

1時間単位で希望の時間だけ年次有給休暇を取得する場合には、こうした不安も軽減されるでしょう。

 

<働き方改革との関係で>

年次有給休暇を1時間単位で取得できるようにする/しないは、それぞれの会社の自由ですが、法的権利であると思い込んでいる労働者が多いのも事実です。

それほど労働者のニーズが高い一方で、この制度の導入は会社の負担が大きくありません。

働き方改革は、企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善だと考えられますから、1時間単位の年次有給休暇の導入は優先順位が高いといえるでしょう。

 

2018.05.13.解決社労士

「テレワーク」と聞いて、電話を使った仕事を思い浮かべる方がいらっしゃるほど、その認知度は低いのが現状です。

 

<テレワーク・デイズ>

厚生労働省は、総務省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府や、東京都、経済団体と連携し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としたテレワーク国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ」を、平成30(2018)723()27()5日間にわたり実施します。

東京大会の開催期間中、首都圏では交通の混雑が予想されます。そこで、東京大会の開催期間に首都圏の企業・団体がテレワークを活用することで、交通混雑の解消につながるよう、平成29(2017)年には、 東京大会の開会式にあたる724日を「テレワーク・デイ」と位置づけて、テレワークの一斉実施を呼び掛けました。

これは、ロンドンオリンピックでテレワークを活用したことによる交通混雑緩和の事例を踏まえてのことです。

平成24(2012) 年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会では、交通混雑によりロンドン市内での通勤に支障が生じるとの予測から、市交通局がテレワークなどの活用を呼び掛け、これにロンドン商工会議所をはじめとする企業や市民が賛同する形で、約8割の市内の企業がテレワークを導入しました。結果として、会期中の交通混雑を回避できたことに加え、テレワークを導入した企業では、事業継続体制の確立、生産性や従業員満足の向上、ワークライフバランスの改善などの成果が得られたと報告されています。

今年は、前回の施策を発展させた「テレワーク・デイズ」として、複数日のテレワーク実施を呼び掛けます。また、平成30(2018)626日(火)には、「テレワーク・デイズ」の実施に先立ち、プレイベントを都内で開催します。なお、「テレワーク・デイズ」は、東京都が行っている通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革の施策のひとつ「時差Biz」とも連携しています。

 

<主な実施ポイント>

・テレワーク一斉実施の効果測定を行うため、7 24 日を「コア日」として設定。

・7 23 日~ 27 日の5日間の中で、コア日である 24 日と、その他の日の計2日間以上を「テレワーク・デイズ」として実施。

・参加企業・団体は、「テレワーク実施団体」、「特別協力団体」、「応援団体」の3分類とする。

・初参加の企業・団体は、7 24 日の1日でも参加可能とする。

・2,000 団体、延べ 10 万人の参加を目標とする。

・時差出勤やフレックスタイムなどを組み合わせた、多様な働き方を奨励する。

・首都圏以外、中小規模の企業・団体などにも参加を働きかける。

 

<参加企業・団体の3分類>

 

「テレワーク実施団体」

 参加人数などは問わず、テレワークを実施またはトライアルを行う団体。

 

「特別協力団体」

 交通混雑緩和、消費支出の変化などの効果測定の協力が可能で、724日を含む2日間以上、そして724日に100人以上のテレワークを実施する団体。

 

「応援団体」

 テレワークに関する実施ノウハウ、ワークスペース、ソフトウェアなどを提供する団体。

 

社員の離職を防ぎ、新人を採用しやすくするためにも、可能な限りテレワークの導入にチャレンジしたいものです。

 

2018.04.23.解決社労士

<同一労働同一賃金>

 

現在の日本で導入が急がれている「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体の正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることを目指しています。

しかし現時点でも、同一労働同一賃金に関する法令の規定が存在します。

これらの規定を以下に紹介します。

 

<短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律>

 

第八条(短時間労働者の待遇の原則)

事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

基本的に、待遇の相違が労働時間の長短によるものではないことを、雇い主である企業や団体が証明できなければ、この規定に違反するものとされてしまいます。

 

第九条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 

<労働契約法>

 

第二十条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

有期契約労働者と無期契約労働者との差別を禁止する規定です。

 

<労働者派遣法>

正式名称=労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

第三十条の三(均衡を考慮した待遇の確保)

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施その他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならない。

 

派遣社員と派遣先の社員との差別を禁止する規定です。

 

このように、働き方改革関連法の成立前であっても、差別を禁止する法令があることに留意しましょう。

 

2018.04.21.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<年次有給休暇取得促進のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、年次有給休暇取得促進に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

経営トップによるメッセージの発信

経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化

全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化

休暇取得に関する相談窓口の設置

年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

業務繁閑に応じた休業日の設定

誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定

ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入

時間単位での年次有給休暇制度等の導入

5営業日以上の連続休暇制度の導入

 

項目4:改善促進のルール化

部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む

管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける

 

項目5:意識改善

年次有給休暇取得促進に関する社員向けや管理職向けの教育・研修

年次有給休暇取得促進のための周知・啓発

 

項目6:情報提供・相談

各自の年次有給休暇残日数の社員への通知

制度の利用促進のための情報提供

年次有給休暇取得率の低い(残日数の多い)社員に対する個別の休暇取得奨励

 

項目7:仕事の進め方改善

休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)

年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し

業務計画、要員計画、業務内容の見直し

年次有給休暇取得促進を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

社員の休暇取得に関する意識や意向の定期的な把握

管理職による年次有給休暇の取得日数の管理

 

中小企業でも、上記の項目のほとんどすべてをクリアしている会社があります。最初から、年次有給休暇、産休、育休、介護休暇などは、法律で決まっていることだから、これらを前提に経営しているという会社です。

正直、会社の成長にとって不利な要素もありますが、人手不足の現状では、このような会社こそが生き残るのかもしれません。

 

<社員も人間ですから>

いきなり年次有給休暇を取得しましょうと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

普段から、「たまには家族旅行に連れてって」と言われている社員にとっては大助かりです。会社にとっても、リフレッシュして業務に専念してもらえるのなら、利害が一致します。

それでも、普段から家に帰るのが怖い、年次有給休暇など取得したら、妻や子供から何を要求されるかわからないという社員にとっては深刻です。

また、日常業務をこなすのに一杯一杯の社員は、「年次有給休暇も仕事をさせてもらえるのなら助かる」と思っているかもしれません。ルーチンワークの多い経理の仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、年次有給休暇の取得促進をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.19.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働抑制のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、長時間労働抑制に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

□経営トップによるメッセージの発信

□経営や人事の方針として長時間労働の抑制を明文化

□全社・部署・個人等での労働時間、残業時間等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

□長時間労働の抑制に向けた社内体制の明確化

□労働時間に関する相談窓口の設置

□長時間労働の抑制に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

□労働時間・就労場所を柔軟にする制度( フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入

□業務繁閑に応じて営業時間を設定

□ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定

□勤務間インターバル制度を導入

 

項目4:改善促進のルール化

□残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進

□部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む

□残業を行う際の手続きを厳格化

 

項目5:意識改善

□長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施

□長時間労働抑制のための周知・啓発

□退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯

 

項目6:情報提供・相談

□労働時間・残業時間を社員各自に通知

□36協定で結ばれている延長できる労働時間を周知

□労働時間制度紹介のパンフレット等を配布

□定期健康診断以外での長時間労働やストレスに関するカウンセリング機会等を提供

 

項目7:仕事の進め方改善

□長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し

□業務計画、要員計画、業務内容の見直し

□長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

□社員の働き方や労働時間に関する意識や意向の定期的な把握

□タイムカードやICカード等の客観的な方法により労働時間を管理・把握

□管理職やみなし労働・裁量労働制等の適用者について労働時間を把握

 

これらは、あくまでもチェックリストですから、実際に施策を進めるにあたっては、この順番で進めるわけではありません。

会社の実情に応じて、順番を考えなければなりませんが、項目1:方針・目標の明確化は最優先でしょう。

次に行うべきは、多くの会社では、項目7:仕事の進め方改善だと思います。

仕事のムリ・ムダ・ムラを排除して、本当に必要な仕事だけを抽出する必要があります。

仕事は減らず、社員は減少しているのに、労働時間削減など無理な話です。

習慣的に行っている仕事の中で必要性の低い仕事をやめる、他部署とダブっている仕事はより得意な部署がまとめて行う、会議はやめて誰かに一任する、あるいは、23人の協議に委ねるなど、仕事の分量を減らす工夫も大事です。

 

<社員も人間ですから>

いきなり労働時間を減らすと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

周囲の社員に気を遣って、やむなくダラダラ残業をして、終業時間を合わせていた社員なら、長時間労働抑制は大助かりです。会社にとっても、人件費の削減となりますから、利害が一致します。

それでも、残業代を稼いで生活の糧にしていた社員にとっては深刻です。高級な外車を買うために残業代を稼いでいたのなら、諦めてもらうことは難しくないのかも知れません。しかし、実家の親に仕送りをするためであれば、転職や副業を考えるほど深刻な話になりかねません。

また、自分の仕事の出来栄えにこだわりを持っている社員は、「残業代は要らないから、思う存分、残業させてくれ」と思っているかもしれません。企画やデザインの仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、労働時間の削減をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.18.解決社労士

<正社員の手当廃止>

次のようなニュースがありました。(2018年4月13日朝日新聞デジタル)

 

日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。

 

このニュースは、次のように締めくくっています。

 

日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。

 

<同一労働同一賃金>

働き方改革関連法案にも、同一労働同一賃金が盛り込まれています。

また、厚生労働省のガイドライン案にも、通勤手当や食事手当といった各種手当の処遇差は認められないことが示されています。

これらは、正社員と非正社員の処遇について差別がある場合に、非正社員の処遇を正社員の水準に引き上げることを原則としています。

ところが、このニュースでは、正社員の手当の一部を廃止することによって、非正社員との処遇の差を解消することが報じられています。

 

<不利益変更の禁止>

コンビニで飲料を買うような売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約そのものが成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことといえます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

<不利益変更が許される場合>

今回のニュースのような、正社員の手当の一部廃止は、一定の条件を満たせば適法に行うことができます。

基本的には、労使の合意によって行うことができるのです。〔労働契約法8条〕

しかし手当の廃止は、給与の減額を意味するのですから、正社員が手当の廃止に合意するような、もっともな事情が無ければ安易に認められません。

また、正社員の合意は、自由な意思による合意であることが必要ですから、「合意しないと○○」「みんな合意しているぞ」など、強い調子で迫られてやむを得ず合意したのでは、合意が有効にはなりません。

日本郵政グループでは、会社側と組合側とで十分に話し合い、手当の廃止後も10年間は一部を支給する経過措置を設けるなどの条件が付いたことで折り合った形です。

労働組合が無い会社で、会社の一方的な説明によって手当を廃止するような乱暴なことは決して許されず、手当の廃止は無効になるのです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2018.04.14.解決社労士

<生まれ変わる脳の神経細胞>

コロンビア大学の研究グループが、科学雑誌「セル・ステムセル」に、常識を覆す研究成果を発表しました。

これまで、脳の神経細胞は大人になると増えることはなく、死滅する一方であると言われてきました。

ところが研究によると、高齢者になっても、認知機能や感情に関わる「海馬」という部分に、新しい細胞が生まれていることが判ったというのです。

 

<働き方改革との関係>

少子高齢化による労働力不足から、働き方改革が急務となっています。

働き方改革の公式定義は見当たりませんが、私は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と把握しています。

高齢者の雇用を継続し再雇用を促すために、機械化を進めたり環境を整えたりすることは、高齢者の必要と欲求に応える対策ですから、労働者の頭数を増やすことに役立ちます。

しかし、こうした物理的な面だけに注目するのではなく、教育や研修によって、ひとり一人の能力を高めることも考えたいものです。

いくつになっても、教育や研修によって、その能力を開発できるということが、コロンビア大学の研究によって明らかにされたといえるでしょう。

 

<人手不足の解消とは>

人手不足となると、労働者ひとり一人の負担が増えますから、長時間労働となる傾向が見られます。

ところが、政府は「働き方改革」の一環として、長時間労働の解消に向け、時間外労働に上限を設けて、違反企業には罰則を科す法案を準備しています。

もし各企業が、これに対応するため、採用を強化して社員数を増やそうとすると、企業間で人材の取り合いとなるため、人件費の高騰が懸念されます。

「人手不足」というのは、「労働力不足」であって、頭数不足ではないのですから、高齢者に限らず、教育や研修に力を入れて生産性を高めるように取り組むのが得策だと思われます。

 

ある仕事を、4人の社員が110時間でこなしていたとします。この仕事は、のべ40時間かかることになります。そこで、同程度の能力をもった人を1人採用して、5人でこなせば18時間でこなせるようになります。この場合、時間外労働が解消して、割増賃金が発生しないので、頭数が25%増えても人件費は増えない計算になります。

しかし、4人の社員に対して積極的に教育と研修を行い、今まで10時間かかっていた仕事を8時間でこなせるようにすれば、新人を採用しなくても良いという計算になります。

人手不足の時代だからこそ「利は教育にあり」といえるでしょう。

 

2018.04.09.解決社労士

<平成30(2018)年度予算の公表>

平成30(2018)年3月30日、厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため取りまとめた平成30年度予算の概要を公表しました。

建設業の技能者の約3分の1は55歳以上となっています。

これは、他産業と比べて高齢化が進行しています。

このような中、建設業が持続的な成長を果たしていくためには、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革を着実に実行し、魅力ある職場環境を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要な課題です。

厚生労働省と国土交通省は、引き続き、連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に取り組んでいくそうです。

 

<国土交通省と厚生労働省の連携>

国土交通省は、建設産業の健全な発展を図る観点から、建設業者団体や企業と連携し、就労環境の整備や人材確保・育成に向けた取組、建設工事請負契約の適正化等を実施します。

厚生労働省は、建設労働者の確保や雇用の安定を図る観点から、建設業者団体や企業が人材確保・育成等に取り組む際の助成金の支給やハローワークにおいて就職支援を実施します。

そこで、両省で連携して建設業の人材の確保・育成に向けた取組を進めていくわけです。

 

<予算の概要>

●人材確保

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着23百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

・ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充25.8億円

・高校生に対する地元における職業の理解の促進支援15百万円

●人材育成

・地域建設産業における多能工化の推進60百万円

・建設業の働き方改革の推進 116百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・中小建設事業主等への支援9.2億円

・建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施3.4億円

・ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導33.9億円

・建設事業主等に対する助成金による支援 53.3億円

●魅力ある職場づくりの推進

・建設職人の安全・健康の確保の推進20百万円

・地方の入札契約改善推進事業96百万円

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着 23百万円

・時間外労働等改善助成金による支援19.2億円

・働き方改革推進支援センターの設置による支援15.5億円

・中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施1.1億円

・雇用管理責任者等に対する研修等の実施1.3億円

・労災保険特別加入制度の周知広報等事業の実施56百万円

・建設業における墜落・転落災害等防止対策推進事業59百万円

・建設工事の発注・設計段階における労働災害防止対策の促進事業30百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

 

<企業が自主的に行うべきこと>

国が政策を推進してくれるにしても、各企業が放置できない緊急課題もあります。

予算の概要の中でも「建設業の働き方改革の推進」「社会保険加入の徹底・定着」など、複数のカテゴリーで重複しているものは重点項目ですが、企業が主体となって実施しなければ進まないものもあります。

このような項目については、社会保険労務士(社労士)などの専門家と相談しながら計画的に推進しましょう。

 

2018.04.07.解決社労士

<働き方改革関連法案の了承>

日本経済新聞や朝日新聞などで報道されているとおり、自民党厚生労働部会などの合同会議は平成30(2018)329日、厚生労働省が示した働き方改革関連法案を了承しました。政府は来週46日にも閣議決定し、今国会での成立を目指す方針です。

人手不足が深刻な中小企業については、経営悪化が懸念されるという党内の意見を踏まえて、法案では適用時期の延期や指導の配慮規定を設けるなどの修正が行われました。

法案は、残業時間の罰則付き上限規制の導入、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の実現、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「脱時間給制度」の3つが柱で、規制の強化と緩和が混在する内容になっています。

 

<裁量労働制についての議論>

当初、この法案には、裁量労働制を一部営業職などにも広げる内容が含まれていました。

しかし、厚生労働省が実施した調査で、不適切なデータが相次ぎ発覚したため、安倍晋三首相が2月末に裁量労働制の拡大に関する部分を全面削除すると表明しました。

この様子は、テレビの国会中継やニュースでも報じられました。

この印象が強いせいか、「働き方改革」と言えば「裁量労働制」を意味するかのようにとらえられてしまう傾向が強まっています。

 

<働き方改革の定義>

首相官邸のホームページの中の「働き方改革の実現」というページには、「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」という説明があります。

これは、働き方改革の定義ではなくて、働き方改革を推進することの目的や意義を述べたものです。

たしかに、明確な定義が無くても、法案や首相官邸のホームページをじっくり読めば、その考え方は理解できます。

しかし、各企業がその実態に合わせて「働き方改革」に取り組もうとした場合には、明確な定義があったほうが、方向を見誤らないでしょう。

現時点で、私個人の定義としては、「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えています。

 

<具体的にどうするか>

ただこうした定義から、企業の実情に合致した取り組みによって、人手不足を解消し生産性を向上させるにはどうしたら良いのか、ピンと来ないかもしれません。

人手不足で、長時間労働が当たり前になり、年次有給休暇も取得できないとなると、疲労によって生産性は低下します。こうなると退職者も出てきます。

政府が言うような、長時間労働の改善、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進、在宅勤務、女性の活躍推進、障害者の雇用、ワークライフバランスなどについて、自社が具体的に取り組めるのか、取り組むメリットはあるのか、どうすれば良いのかは、専門家である国家資格者の社会保険労務士(社労士)と相談しながら、計画・推進するのが成功への近道だと思います。

 

2018.04.02.解決社労士

平成30(2018)年3月27日、厚生労働省から「労働時間改善指導・援助チーム」の編成について、以下のような発表がありました。

 

厚生労働省では、4月1日から全国の労働基準監督署に、働く方々の労働条件の確保・改善を目的とした「労働時間改善指導・援助チーム」を編成します。

このチームは2つの班で編成されます。「労働時間相談・支援班」では全国の労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置するなどし、主に中小企業の事業主の方に対し、法令に関する知識や労務管理体制についての相談への対応や支援を行います。「調査・指導班」では、任命を受けた労働基準監督官が、長時間労働を是正するための監督指導を行います。

厚生労働省では、こうした取組を通じて労働時間の改善などを促し、働き方改革の推進を図っていきます。

 

1 労働時間相談・支援コーナーを設置 (労働時間相談・支援班)

主に中小企業の事業主の皆さまを対象に、窓口と電話で、以下のような相談を受け付けます。

⑴  時間外・休日労働協定(36協定)を含む労働時間制度全般に関するご相談

⑵ 変形労働時間制などの労働時間に関する制度の導入に関するご相談

⑶ 長時間労働の削減に向けた取組に関するご相談

⑷ 労働時間などの設定についての改善に取り組む際に利用可能な助成金のご案内

[ 受付時間]8時30分~17時15分(平日のみ)

 

2 労働時間改善指導・援助チーム

⑴ 労働時間相談・支援班

 特に中小規模の事業主の皆さまに対して、上記⑴~⑷などのご相談についてきめ細やかな相談・支援などを行います。

⑵  調査・指導班

 長時間労働の抑制と過重労働による健康障害の防止のため、「労働時間改善特別対策監督官」として任命された労働基準監督官が監督指導を行います。

 

マスコミの報道の影響が大きいのでしょう。「働き方改革」の話題になると、「裁量労働制は、低賃金で長時間労働を強いるのでおかしい」といった声が聞かれます。

しかし、上記の取り組みでもわかるように、長時間労働の削減が「働き方改革」の重点課題となっています。単純に考えても、1人で1日12時間働くよりも、仕事を半分ずつ分担して2人で6時間ずつ働いた方が生産性は上がります。人間は機械ではなく生き物ですから、疲労が蓄積されますし、集中力にも限界があります。

それに、1人で1日12時間働いたら、通常、4時間の割増賃金が発生します。これは割増なので、時間単価で考えれば、5時間分の追加人件費が発生します。

裁量労働制も、本来は労働時間削減のための仕組みであるのに、実態としては、長時間労働をもたらしているということが話題になったのです。

「働き方改革」という目新しい言葉に惑わされず、生産性の向上こそ、企業の取り組むべき課題です。

 

では、自社で具体的にどうしたら生産性を向上させることができるのか。これを相談するのが、上記の「労働時間相談・支援コーナー」ということになります。

もし、労働基準監督署は敷居が高いということでしたら、こうしたことの専門家であり国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2018.03.31.解決社労士

平成30(2018)222日、厚生労働省が「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を策定しました

 

<テレワークのメリット>

労働者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・通勤時間の短縮

・業務の効率化・時間外労働の削減

・育児や介護と仕事の両立の一助に

・仕事と生活の調和を図ることが可能

 

また、使用者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・業務効率化による生産性の向上

・育児・介護等による労働者の離職の防止

・遠隔地の優秀な人材の確保

・オフィスコストの削減

 

これらのメリットが期待できないテレワークであれば、その方法を再考すべきですし、無理に導入するものでもないといえます。

 

<テレワークの問題や課題>

テレワークの問題や課題として、次のものが例示されています。

・労働時間の管理が難しい

・仕事と仕事以外の切り分けが難しい

・長時間労働になりやすい

 

テレワークを行う労働者にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されますから、適切な労務管理の実施は、テレワーク普及の前提となる重要な要素です。

 

<業務を行う場所に応じたテレワーク>

1.在宅勤務

通勤の必要がないため、時間を有効に活用することが可能となり、仕事と家庭生活との両立に繋がります。

 

2.サテライトオフィス勤務

自宅近くや通勤途中の場所などに設けられたサテライトオフィスを利用することで、通勤時間を短縮しつつ、作業環境の整った場所での就労が可能となります。

 

3.モバイル勤務

労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、業務の効率化を図ることが可能となります。

 

テレワークはメリットの多い仕組みですが、導入にあたっては、その実効性と適法性を十分に検証する必要があるといえます。

 

2018.03.18.解決社労士

<変更の趣旨>

がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づき策定されるものです。

これは、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策の基本的方向について定めるものです。

また、都道府県がん対策推進計画の基本となります。

 

今回の変更は、閣議決定された「健康増進法の一部を改正する法律案」を踏まえ、受動喫煙に関する個別目標として、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙対策を徹底し、本基本計画の計画期間中において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現することを目標とする」を、盛り込むものです。

 

<第3期がん対策推進基本計画の概要>

全体目標:がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。

・科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実

・患者本位のがん医療の実現

・尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築

 

分野別施策

1.がん予防(予防、早期発見、検診)

2.がん医療の充実(手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法、支持療法や医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組など)

3.がんとの共生(緩和ケア、相談支援、情報提供、がん患者等の就労など)

4.これらを支える基盤の整備(研究、人材育成、教育、普及啓発など)

 

<患者に対する企業の対応の変化>

昭和時代には、従業員から「がんが見つかりました」という話があれば、企業は当然のように「それでは治療に専念するため退職しなさい」という対応でした。そして、その従業員は入院治療を受け、検査と手術を繰り返すということになっていました。

それが、今や医学の発達により、早期発見であれば完治が期待でき、ある程度進行してからでも通院治療が原則となります。そして、治療に必要な時間以外は、通常通りの勤務が可能ということが、当たり前のことになりつつあります。

ですから、従業員から「がんが見つかりました」という話があったとき、企業が「それでは治療に専念するため退職しなさい」という対応をすれば、不当解雇を主張されてしまいます。つまり、解雇は無効となり、損害賠償を請求されることもあります。

 

健康保険だけでも、傷病手当金や高額療養費の制度が利用できます。企業には、他にも雇い主として出来ることがたくさんあります。

できれば、こうした事態に対応できるよう、就業規則の見直しをすることが望まれます。

 

いずれにせよ、がん患者ご本人の話を十分に聞いてから、企業としての対応を真摯に考えることが求められます。

 

2018.03.11.解決社労士

<2つの裁量労働制>

現行法上、裁量労働制には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあり、どちらもみなし労働時間制の一つです。

 

<専門業務型裁量労働制>

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分などを大幅に労働者の裁量に任せる必要がある業務として厚生労働省令と厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間だけ働いたものとみなす制度です。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<専門業務型裁量労働制の対象業務>

 「専門業務型裁量労働制」は、専門的な19業務に限り、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

対象業務の例としては、新商品の研究開発、デザイナー、コピーライター、弁護士、税理士などがあり、かなり専門性の高い業務に限定されています。

 

<専門業務型裁量労働制の導入手続>

原則として、対象業務、みなす時間、健康確保措置、対象労働者からの苦情処理方法などの基本事項を労使協定により定めたうえで、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

この労使協定には、対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分などに関して労働者に具体的な指示をしないことが含まれています。あくまでも、自律的な専門職として働かせる仕組みなのです。

 

<企画業務型裁量労働制>

事業活動の中枢にある労働者を対象として、創造的な能力を十分に発揮できる環境を実現するため、企業の本社などで企画、立案、調査、分析を行う労働者のために設けられました。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<企画業務型裁量労働制を導入できる事業場>

対象業務が存在する事業場に限定されています。具体的には、本社・本店である事業場の他、次の事業場が該当します。

・企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場

・その事業場の事業計画や営業計画の決定を独自に行っている支社・支店

 

<企画業務型裁量労働制の導入手続>

事前・事後のものを含め次の手続きが必要です。

・労使委員会の設置と決議、運営方法の決定

・労働基準監督署長への届出と6か月以内ごとに1回の定期報告

 

<対象労働者の同意>

この制度の適用については、労働者本人の同意を得なければなりません。また、不同意の労働者に対して不利益な取扱いをしてはなりません。

同意は個別でなければならず、就業規則での包括的な同意では足りません。

 

2018.02.28.解決社労士

<日本郵便訴訟の大阪地裁判決>

正社員と同じ仕事をしているのに手当などに格差があるのは違法だとして、男性契約社員が日本郵便を相手に提起していた訴訟の判決が、平成30221日に大阪地裁で下されました。

この判決では、扶養手当、住居手当、年末年始の勤務手当の不支給は不合理な労働条件の相違に当たるとして、日本郵便に賠償金の支払いが命じられています。

 

<法律の規定>

この訴訟で、契約社員が主張の根拠としたのは、主に労働契約法の次の条文です。

 

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない。

 

有期労働契約であることのみを理由に、契約社員の処遇を正社員と差別してはいけません。

ただし、業務の内容、業務に伴う責任の程度、職務の内容、配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理でなければ許されます。

 

そして、不合理どうかは「労働契約法の趣旨や目的に適合する」か否かということになるでしょう。

労働契約法の目的は他の多くの法令と同じように、第1条に書かれています。

これと他の条文全体の趣旨から、不合理かどうかが確定されるわけです。

もちろんこれは、各企業に勝手な解釈が許されるわけではなく、最終的には裁判所が判断することになります。

 

<平等と公平>

この判断は、裁判所にとっても決して容易ではないでしょう。

なぜなら、平等と公平のどちらを優先するかの判断となるからです。

 

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

 

たとえば、賃貸住宅に住んでいる従業員と、住宅を購入してローンの支払いをしている従業員に、住宅手当を支給するとします。

それが、住宅にかかる費用の一部を会社が負担するという目的であれば、契約社員でも正社員でも事情は同じですから、全従業員に支給しなければ不平等であり不合理だという判断に傾きます。

ところが、正社員の全員について転居を伴う異動が定期的にあり、この負担を補うために住宅手当を正社員には支給するが、異動の無い契約社員には支給しないというのは、公平の考え方によるものですから不合理ではないという判断に傾きます。

労働契約法20条の「配置の変更の範囲」という文言も根拠となりえます。

 

<企業のとるべき対応>

まず、正社員と契約社員とで異なる処遇をする場合には、その根拠と共に就業規則に定めることが必要です。その根拠が、「業務の内容、業務に伴う責任の程度、職務の内容、配置の変更の範囲」であれば、より一層合理性が増します。

また、契約社員には、処遇の違いについて、その根拠や目的と共にきちんと説明しておきます。できれば、定期的に繰り返すことが望ましいでしょう。

さらに、関連する裁判の判決が出たら、自社の場合と比較して問題のないことを確認します。ここで、もし不安な部分があれば、就業規則の改定や有期労働契約社員への説明内容の変更が必要となります。

 

これらは手間のかかることですが、政府が働き方改革を進め、同一労働同一賃金を目指している以上、企業も対応せざるを得ないのです。

もし、社内に専門知識とスキルを備えた人材がいないのであれば、社会保険労務士などの専門家に一部を委託することも考えてください。

 

2018.02.23.解決社労士

<取り組みベスト5

平成291220日に厚生労働省から発表された「労働経済動向調査(平成2911月)」の結果の中に、特別項目として「働き方改革の取組」に関する調査があります。

これによると、実際に行われた取り組みとして多いのは、次のような項目となっています。

第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化60%)

第2位 休暇取得の促進54%)

第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備46%)

第4位 ノー残業デーの実施41%)

第5位 経営トップのメッセージの発信29%)

 

<笛吹けども踊らず>

「笛吹けども踊らず」とは、躍らせようとして笛を吹いても、誰も踊り出さないということの例えから、人に何かをさせようとしてあれこれと準備を整えても、相手がそれに応じないことをいいます。

新約聖書のマタイ伝十一章に由来するとされています。

企業の中でも、この言葉が良く使われています。経営者や上層部が方針を打ち出しても、中間管理職や一般社員がこれに応えて積極的に動き成果を出そうとしないという意味に使われています。

しかし、この使われ方は本来の意味とは違います。

「笛吹けども踊らず」とは、本来は、きちんと準備を整えてあげたにもかかわらず、相手が動いてくれないことをいいます。

ところが、企業の中では、経営者や上層部が抽象的な指示を出しただけで、成果を出すために必要な準備を整えない場合にも使われてしまいます。

 

<第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化>

労働時間の適正な把握は経営者の責任です。

そして、労働時間を管理するのは管理監督者や管理職です。

経営者が管理職に対して「労働時間の管理を強化しなさい」と言っただけでは実現できません。

これを実現するには、労働時間管理のための適切なツールの提供、労働時間を管理する社員と管理される社員それぞれに対する教育・研修、就業規則など社内ルールの改定などが必要です。

本気で取り組むには、社会保険労務士(社労士)に相談したり、一部を任せたりする必要があるでしょう。これらのことは、それほど専門性の高いことなのです。

 

<第2位 休暇取得の促進>

大酒飲みに向かって「健康のためお酒を控えましょう」と言っても、これに応じて飲酒量を減らす人はいるのでしょうか?

たくさんお酒を飲むのは、ストレス解消などの理由があるわけで、ストレスを減らしてあげなければ飲酒量は減りません。

これと同じように「年次有給休暇を取得しなさい!」と言っても、これに応じて休暇を取る人は増えないでしょう。

ましてや、休暇の取得を割り当てたり強制したりすれば、持ち帰りの仕事が発生し、営業上の秘密が社外に流出する恐れがあります。

休暇を取るためには、仕事を溜めないようにする仕組みが必要であり、休暇中に仕事を代行できる人材が必要であり、休暇を取りやすい雰囲気や休暇を取っても人事考課での評価が下がらない運用が必要です。

 

<第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備>

政府が少子高齢化対策の強化を継続していますから、法改正が急速に進んでいます。

少なくとも、育児・介護関連の法令を遵守できるようにすることが先決です。

これに取り組まないのは、政府の政策に逆らうことにもなり、いつの間にか会社がブラック化していくことにもなります。

 

<第4位 ノー残業デーの実施>

残業を命じるのは使用者です。つまり、管理監督者や管理職です。

管理職が部下に対して「残業を削減しなさい」というのは責任放棄です。

部下の残業を減らすことができるのは、上司である管理職だからです。

これを実現するには、社員ひとり一人の具体的業務内容の把握、個人ごとの残業実体と発生理由の分析、残業削減目標の適正な設定、残業や時間管理についての教育・研修、適切なツールの準備、効果測定とフィードバック、そして就業規則など社内ルールの改定が必要です。

これらも専門性の高いことですから、社会保険労務士(社労士)の協力が不可欠だと思います。

 

<第5位 経営トップのメッセージの発信>

これはトップの態度を示しているわけですから、かなり効果が期待できます。

パワハラやセクハラの撲滅や労働災害の防止などについても、経営トップのメッセージの発信は効果が大きいものです。

ただ、その後の具体的な施策が出て来なければ、ただ言っただけになってしまい、これが繰り返されれば狼少年になってしまうリスクがあります。

経営トップがメッセージを発信したら、間髪入れずに具体的な施策を展開していくことが成功の秘訣です。

 

2017.12.29.解決社労士

<副業・兼業の推進>

平成293月に政府から「働き方改革実行計画」が示されました。

これを受けて、厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」で雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業に関する新たなガイドライン案、モデル就業規則改定案等が検討されています。

 

<モデル就業規則>

この検討会で「副業・兼業」に関するモデル就業規則の改定案が、次のように修正されました。

 

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

 ① 労務提供上の支障がある場合

 ② 企業秘密が漏洩する場合

 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

 ④ 競業により企業の利益を害する場合

 

<就業規則の改定>

副業・兼業を禁止・制限する場合の根拠は、就業規則に規定することになりますが、その内容が不明確だとトラブルの元になってしまいます。

また、定期的な研修などで繰り返し説明する必要があります。

 

<労務提供上の支障がある場合>

身体の疲労だけでなく、精神的な疲労によっても、本業に集中できないことが想定されます。これをどのように認定するかを、具体的に明らかにしなければなりません。

また、遅刻したり、残業や休日出勤の命令に応じられなかったりすることも考えられます。その原因をどのような基準で認定するかの問題もあります。

 

<企業秘密が漏洩する場合>

モデル就業規則は、「漏洩の恐れがある場合」とせず、「漏洩する場合」として範囲を限定しています。自社としてはどうするか、業種によっても判断が分かれるところでしょう。

さらに前提として、企業秘密の範囲も明確にする必要があります。

 

<会社の名誉や信用を損なう行為>

ただ単に本業の会社の社員であることを示して副業・兼業を行っても、それだけでは名誉や信用を損なうことにはなりません。しかし、いい加減な態度で副業・兼業に臨んでいれば、本業での仕事ぶりについて顧客や取引先から疑われかねません。

また、本業の会社の商品やサービスと類似する粗悪品を提供する場合も、会社の名誉や信用を損なうことになりかねません。

 

<信頼関係を破壊する行為>

会社に対する裏切り行為を想定していると考えられます。

しかし、ここにこの規定を置かなくても、懲戒処分の中に規定を置いても自然だと思われます。

程度によっては、懲戒解雇もありうる行為です。

 

<競業により企業の利益を害する場合>

顧客や売上の減少、取引先との関係悪化などが考えられます。

ただ、ある程度は自由競争の原理が働きますから、わずかな利益侵害を指摘して副業・兼業を禁止するのは行き過ぎでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の実情に合わせた現実的な対応は難しいかも知れません。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご用命ください。

 

2017.12.23.解決社労士

<働き方改革の背景>

政府は少子高齢化対策を推進しています。

働き手が減少し、日本の活力が失われることを心配しています。

これを企業側から見れば、慢性的な人手不足と売上減少ということになります。

 

<企業に求められる努力>

各企業は、次のような努力が求められています。

・若者の賃金水準を上げて、結婚・出産・育児ができるようにする。

・限定正社員(多様な正社員)やテレワークなど柔軟な働き方の仕組みを導入し、子育てしやすく、高齢者が働きやすくする。

・正社員と非正規社員とを形式的に区分して処遇に差を設けるのではなく、賃金だけでなく福利厚生などを含めた処遇の均等を図る。

 

<企業にとってのメリット>

働き方改革によって職場の魅力度が増し、求人広告に対する応募者の増加や定着率の向上が見込まれます。

実は、働き方改革は、法令によって義務付けられてはいません。

企業に対して強制しなくても、取り組まない企業は自然に淘汰されるのかも知れません。

なぜなら、人手不足は中小企業を中心に深刻であり、今回ばかりは構造的なものであって一時的なものではないと言われているため、一定の期間耐えれば何とかなるものではなさそうだからです。

働き方改革に取り組むことのメリットは、人手不足を感じている企業にこそ大きいものといえます。

 

<中小企業の働き方改革>

採用対象者を、30歳以下の正社員などに限定せず、別の年代、障害者、外国人などに広げ、非正規社員、テレワーク、請負なども視野に入れたいところです。

また、お金をかけずに働きやすさと働き甲斐を向上させたり、求人でうまくアピールする工夫をするなど、知恵を絞ることが必要です。

働きやすさのポイントは、コミュニケーション、社内ルール作り、法令順守です。

働き甲斐のポイントは、参加意識、成長できる仕組み、適正な人事評価、公正に競争できる環境です。

 

<改善への近道>

労働者のひとり一人から、働く上での不満や疑問を聞いてとりまとめ、法的観点と実務的観点から改善案を策定しスケジュール化するのが近道です。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

2017.11.22.解決社労士

<正社員の定義>

法令には「正社員」という言葉の定義がありません。

「正社員」は法律用語ではないのです。

ですから、正社員の定義は会社ごとに独自に定められています。

正社員の明確な定義の無い職場も多数存在します。

 

一般的な正社員のイメージは次のとおりです。

・定年を除き労働契約の期間が定まっていない無期労働契約である。

・時間外労働(早出、残業)に応じる義務がある。

・深夜労働に応じる義務がある。

・勤務地が限定されず転勤に応じる義務がある。

・業務内容が限定されず異動に応じる義務がある

 

<限定正社員の定義>

正社員の労働条件のうち、一つか複数を欠いている場合を、限定正社員と呼んでいます。

・早出や残業を免除されている。

・深夜労働を免除されている。

・転勤が全くない。または、一部の地域内に限定されている。

・異動が無い。

・1日の所定労働時間が正社員よりも短い。

・週の所定労働日数が正社員よりも少ない。

「その会社の正社員と比較して」という話ですから、正社員の定義が会社ごとに決められている以上、限定正社員の定義も会社ごとに様々です。

 

正社員の所定労働時間が1日8時間で、1週間の所定労働日数が5日という会社は多数派です。

しかし、正社員の所定労働時間が1日6時間半で、1週間の所定労働日数が6日という少数派の会社もあります。

この少数派の会社で、1週間の所定労働日数が5日の正社員は、限定正社員であると認識されます。出勤日数が一般の正社員よりも限定されているからです。

また、多数派の会社では、1日の所定労働時間が6時間半の正社員は、限定正社員であると認識されます。勤務時間が一般の正社員に比べて限定されているからです。

 

労働時間と出勤日数の両方が限定されている正社員も、労働時間と出勤日数が限定されているうえさらに、勤務地が関東地方に限定されている正社員もいます。

こうなると、一口に限定正社員と言っても、数多くのパターンがあるわけですから、限定正社員のイメージは統一しにくいといえます。

そのためか、厚生労働省は「多様な正社員」と呼ぶようになっています。

 

<パート社員などとの比較>

労働時間や出勤日数が限定された正社員がいる一方で、同じ職場にパート社員や契約社員と呼ばれる人たちも働いていたりします。

パート社員の中にも、正社員並みの労働時間と出勤日数の人がいる一方で、週1日だけの勤務や、1日3時間の勤務という人もいます。

こうして、正社員、パート社員、契約社員の境界線が不明確になっています。

 

就業規則などで、正社員、パート社員、契約社員などの定義が明確になっていないと、「私にこの規定が適用されないのはおかしい」という主張がされて、トラブルとなることがあります。

就業規則に具体的な定義の無い会社は、速やかに社会保険労務士などに相談して、就業規則を改定しておくよう強くお勧めします。

 

就業規則が無い会社はもっと危険です。

個人ごとに労働条件通知書や雇用契約書などで、労働条件をきちんと定めておかないことが、思わぬトラブルを招いてしまいます。

「何かあったら話し合って決める」と思っていても、トラブルが発生したら話し合いが難しくなりますから、あらかじめ決めておく必要があるのです。

 

<個別契約の時代>

もともと就業規則には、労働条件のうち共通の部分が定められています。

「正社員就業規則」「パート社員就業規則」「アルバイト社員就業規則」という形で、ある程度の区分ができていた昭和時代ならともかく、今は「多様な正社員」がいて、同じ会社の中に労働条件が全く異なるパート社員がいます。

そして、正社員とパート社員、アルバイト社員の区分も不明確になってきています。

 

ここまで来たら、就業規則は正社員、パート社員、アルバイト社員、契約社員などに共通する項目だけを定めて、共通しない項目は、個別の労働契約で確認するというのが現実的です。

 

労働条件の一部を決めず曖昧にしておいたり、口約束だけで文書化せずにいたりしたところ、退職者からとんでもない要求をされたという経験をお持ちの経営者の方は少なくないでしょう。

これからは、個別契約の時代です。

人を雇うにあたって、専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.12.解決社労士

平成29925日に一般社団法人 日本経済団体連合会が公表した「働き方改革事例集」はこちらです↓

http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/072.pdf

 

<働き方改革の始まり>

安倍晋三首相は20169月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できる社会にしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があるとされています。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

とはいえ、政府が主導すべき課題もありますから、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

・労働条件の改善

・労働環境の改善

・労働生産性の向上

 

労働条件の改善と労働環境の改善は、会社の魅力度を高め求人に対する応募者を増やし、従業員の定着率を高めることに直結します。

労働生産性の向上は、従業員の頭数が少なくても「労働力」の不足が発生しないように、従業員の能力を高めたり、能力の発揮度を高めたりするものです。

 

働き方改革の課題というのは、人手不足解消法の実行ということになるでしょう。

 

<中小企業の働き方改革>

経団連の働き方改革事例集に登場する企業は、大企業やその関連企業ばかりが目立ちます。

ですから、中小企業がこれをこのまま真似できるわけではありません。

中小企業が働き方改革を進めるには、その目的と期待される効果を確認し続けることが必要です。

「人手不足の解消」が目的であり、「人手不足の解消」が期待できない施策では、働き方改革にはなりません。

この目的を見失うと、単なる経費削減であったり、働き方改革を推進する部署の負担を現場に押し付けたりになりかねません。

こんなことでは、その企業で働きたいと思う人は減ってしまうでしょう。

 

社内で担当者や担当部署を決めて働き方改革(人手不足の解消)を進めようと思っても、自分たちの利害を抜きにして、目的に向かって真っすぐ進むことは難しいものです。

働き方改革に着手する前に、ぜひ信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.04.解決社労士

<企業が取り組むべき課題>

広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

建設業は危機的な人手不足の状態にあります。それは採用が困難だからです。

採用できないのは、応募者がいないからであり、応募者がいないのは労働条件労働環境が他の業界よりも好ましくないからです。

 

貴重な応募者も、働き手としての資質や意欲は企業の期待通りではありません。

他の業界で採用されない人が、建設業界に応募してくるというケースが多くなっています。

その結果、新人が給料に見合った働きをしてくれません。労働生産性が低い新人が多いのです。

 

<たとえば休日は>

労働基準法には、休日について次の規定があります。

 

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

ところが、国土交通省の「建設業における働き方改革」という資料によれば、建設工事全体では、約65%が44休以下で就業している状況です。

また工事全体で、4週当たりの休暇日数は平均4.60日だそうです。

これらの数字は、日建協「2015時短アンケート」を基に作成されていますので、実態はもっと深刻なのかもしれません。

週休2日が当り前だと思っている労働者は、あえて建設業界に転職しようとは思わないように思われます。

 

<労働時間の規制>

建設業では、特例により労働時間の規制が緩くなっています。

そこで、政府の働き方改革実行計画では、建設業だけの特別扱いをやめて、他の業界と同じ規制にしようとしています。

 

(現行の適用除外等の取扱)

現行制度で適用除外となっているものの取り扱いについては、働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有したうえで、実態を踏まえて対応の在り方を検討する必要がある。

建設事業については、限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しない)。併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。5年後の施行に向けて、発注者の理解と協力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進する。

 

<中小企業での取引条件の改善>

中小企業は、取引関係では弱い立場にありますが、建設業では特に弱い者いじめの危険にさらされています。

そこで、政府の働き方改革実行計画では、建設業の中小企業を支援する取り組みを計画しています。

ただ、何をどれだけ支援してくれるのかは、具体的に明らかになっていません。

 

(取引条件改善など業種ごとの取組の推進)

取引関係の弱い中小企業等は、発注企業からの短納期要請や、顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちである。商慣習の見直しや取引条件の適正化を、一層強力に推進する。

建設業については、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠であることから、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するとともに、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進め、あわせて業界等の取組に対し支援措置を実施する。また、技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組を行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を進める。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

人手不足は今の今問題なのであり、次の3つの課題は、政策の実行を待たずに各企業が独自に取り組まなければ体力がもちません。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

残された体力で何をどうすべきか、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.03.解決社労士

<働き方改革の始まり>

安倍晋三首相は20169月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できる社会にしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があります。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

企業-労働者間の労働契約の内容は本来自由ですが、弱者である労働者を保護するという要請から、労働基準法などにより企業に様々な制約が課され、労働契約に対して法的な介入がなされています。

働き方改革は、このような労働契約に対する介入ではなく、政府から企業に対する提言の形をとっています。

それは、企業に対して法的義務を課さなくても、企業が積極的に働き方改革を推進しなければ生き残れないので、義務付けるまでもないということなのでしょう。

 

とはいえ、働き方改革には政府が推進すべき内容と企業が取り組むべき内容が混在しています。

より広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

これらは、現在の労働市場の実態からすれば、わざわざ政府から言われなくても、企業は積極的に取り組むべき内容です。

 

<労働条件の改善>

給与や賞与が高額であり、労働時間が短くて十分な睡眠が確保でき、休暇も取れるとなれば、働きたい人が押し寄せます。

さらに、教育研修が充実していて人事考課制度が適正であれば、専業主婦やニートも働きたくなって当然です。

これによって、出生率も上がり人口減少にも歯止めがかかるでしょう。

 

<労働環境の改善>

温度、湿度、明るさ、換気、騒音、スペースの広さ、機械化の充実など物理的な環境も大事ですが、パワハラやセクハラがなくて部下から見てもコミュニケーションが十分と思えるような環境であれば、人が集まって当然でしょう。

採用難の時代でも、労働条件と労働環境が良い職場には、就職希望者が途絶えることはないのです。

 

<労働生産性の向上>

労働条件や労働環境の改善は、企業にそれなりの余裕がなければできません。

そのためには、労働生産性を向上させ、企業の収益力を高めなければなりません。

しかし、労働生産性を高めるには、労働条件や労働環境を改善して、良い人材を確保し育てなければなりません。

このように、労働条件や労働環境の改善と労働生産性の向上は、鶏と卵の関係にあるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

以上のことから、働き方改革が企業の生き残りのために必須であること、できるところから少しずつではなく、総合的に同時進行で行うべきことが明らかになったと思います。

どのように計画し推進すべきか、迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.10.02.解決社労士

<厚生労働省の概算要求>

平成30年度厚生労働省所管予算概算要求関係の資料が発表されました。その中で、働き方改革に関連する戦略的な重点要求(ポイント)は、次のように示されています。

 

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

 ・「同一労働同一賃金導入マニュアル」の作成・周知啓発

 ・ キャリアアップ助成金の新たな加算の仕組み創設

 

長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備

 ・ 労働時間の縮減等に積極的な企業等への助成金の拡充

 ・ 医療従事者・トラック運転者・建設業従事者など、業種ごとの取組の支援

 ・ 雇用型・自営型テレワークの就業環境の整備

 ・ 副業・兼業の普及推進

 

生産性向上、賃金引上げのための支援

 ・ 介護や生活衛生の分野における生産性向上のためのガイドライン作成

 ・ 保育・介護事業所におけるICT化の推進や介護ロボットの活用促進

 ・ 生産性向上に資する設備投資への助成など雇用管理改善に対する支援

 

女性・若者の活躍の推進

 ・ 子育て等により離職した正社員女性等の復職の支援

 ・ 男性の育児休業の取得促進

 

人材投資の強化、人材確保対策の推進

 ・ 雇用管理改善に対する助成

 ・ 介護未経験者への入門的研修

 

治療と仕事の両立、障害者・高齢者等の就労支援

 ・ 両立支援コーディネーターの育成・配置の推進

 ・ ハローワークへの専門職員の配置などによる精神障害や発達障害などの支援

 ・ 継続雇用等を行う企業への助成の拡大

 

<働き方改革の特色>

働き方改革は、20168月に安倍政権が閣議決定した経済対策です。働き方の抜本的な改革を行い、企業文化や社会風土をも含めて変えようとするものです。

労働基準法などが、立法権(国会)により制定・改正されて、企業と労働者との間に介入するのとは違い、行政権(内閣)が企業に働きかけ、やがては社会風土をも変革しようとするものです。

それでも、働き方改革が働く人の視点に立ち、企業文化、ライフスタイル、働き方を変革させようとするものである点では、労働基準法などと同じ視点に立っているといえます。

 

<注意したい業種>

「長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目の中に、医療従事者、トラック運転者、建設業従事者が具体的に示されています。

ここの部分は、労働者である医療従事者、トラック運転者、建設業従事者を救うため、行政が介入する意図を示していると考えられます。

 

<医療従事者の労働条件の改善>

医療従事者、特に医師は高給取りであることが多く、残業代など必要ないと勘違いされ、また、人の命を預かる仕事なので、長時間労働もやむを得ないという風潮があります。

たしかに、病院や医師と患者との関係は、患者のためにベストを尽くす委任契約でしょう。しかし、病院と医師との関係は雇用契約です。労働基準法も労働安全衛生法も、その他の労働法も適用されます。

最近になって、若手医師やインターンなどから、病院に対して残業代を請求する訴訟が提起され、最高裁で病院側敗訴の判決が出るようになって注目を集めています。

病院側が医師を労働者として扱わず、労働基準法違反を続けていたのですが、これを不服に思った医師が訴えたら、病院側が敗訴したので全国の病院が驚いたというわけです。

特定の業界や業種の中で、法令違反の慣行が続いていたところ、誰かが訴えを起こして、その慣行が間違いであることが公にされてしまうと、急いで是正しないと経営が危険にさらされてしまいます。

 

<トラック運転者、建設業従事者の労働条件の改善>

トラック運転者や建設業従事者は、1回現場に出ていくらの賃金という扱いをされることが多いのです。会社とこれらの労働者との間に請負契約があるかのように扱われています。しかし、会社の指定した時間に現場に行き、会社の指示に従って働いているのですから雇用契約です。もちろん、労働基準法の適用がありますから、残業手当も、年次有給休暇もあります。

最近になって、過労死の問題が多発したこともきっかけとなり、これらの業界の従事者が自分たちの権利を強く認識するようになりました。退職後に会社に対して多額の未払い残業代を請求することも珍しくなくなりました。一人が上手くいくと、仲間も真似をするというパターンで、会社の経営が危機にさらされることもあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

近々病院、運送業、建設業に行政のメスが入るのは、厚生労働省の予算関連の情報を見ても明らかです。

働き手の皆さんから一斉に権利を主張される前に、あるべき姿を整えてしまうのが、経営者側にとって大切だと思います。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.08.解決社労士

<政府の方針>

政府は、少子高齢化対策を継続的に強化しています。

そして、少子高齢化による労働力不足に対応するため、政府は計画案で副業・兼業を推進する方針です。企業に対しても、副業・兼業を容認するように求めています。

 

<1つの会社でフルに働く場合>

1日8時間、週5日勤務で、月給40万円の人がいるとします。

健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険は勤務先で加入します。

プライベートのケガや病気で長期間働けない場合、働けない期間については、健康保険で月給の3分の2程度の傷病手当金が支給されます。月額27万円弱の支給です。

業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。月額32万円程度です。

失業した場合には、雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)が支給されます。

 

<ダブルワークの場合>

A社で週25時間働き月給25万円、B社で週15時間働き月給15万円という、ダブルワークの人がいるとします。

健康保険と厚生年金は、A社が大きな会社で特定適用事業所の要件にあてはまると、A社で加入することになりますが、そうでなければ、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

プライベートのケガや病気で働けない場合、国民健康保険からは傷病手当金の支給がありません。

国民年金は、厚生年金よりも支給額が少なかったり、支給開始年齢が遅かったりの不利があります。

労災保険はA社とB社の両方で入ります。業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。A社の方で発生した労災なら月額20万円程度ですし、B社の方で発生した労災なら月額12万円程度です。両方もらえるわけではありません。

雇用保険は、A社の方で入ります。B社では入りません。失業したときの手当は、A社の給与だけが基準となります。

 

<予想される法改正>

政府が副業・兼業を推進するには、ダブルワークについて社会保険・労働保険での明らかな不利を解消するような法改正が不可欠でしょう。

法改正があってから対応したのでは、他社に後れを取ってしまいます。これから出てくるであろう法改正案の情報を踏まえ、会社の仕組み、就業規則、運用を速やかに変えていく必要があります。

こうしたことについて、社内に専任者がいない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.15.解決社労士

<兼業はバレるのか>

会社が給与から所得税や住民税の徴収手続きを行っている場合に、社員が別に収入を得ていれば、住民税の金額が会社で手続きした金額よりも多いので、別収入があることは判明します。

しかし、その具体的な内容まではわかりません。

本当は別のところでアルバイトをして収入を得ていても、FX(外国為替証拠金取引)によるものだと嘘をついたらバレないかもしれません。

ただ、この場合に、一歩踏み込んで「すごいね!私にも教えて欲しいな。社内ではあなたがアルバイトをしているというウワサがあるけど、その疑いを晴らすために、明日、FXの年間損益報告書を持って来てよ。それで、疑いはスッキリ晴れるから」ということになれば、ウソをウソでごまかしきれなくなる可能性が高くなります。

 

<素人判断では>

会社に無断でアルバイトしている社員がいたら、会社目線の素人判断からは、「うちの会社とアルバイトのどちらを選ぶかハッキリしてもらおう」「アルバイトを辞めないならクビにしよう」などという意見が出てくるものです。

そして、本当にクビだと言ってしまった場合には、その99%が不当解雇になります。その時点では、自分が悪かったと思う社員でも、後から不当解雇であることに気づいて、その後の給与・賞与と慰謝料を請求してくるかもしれません。

 

<不当解雇にはならない条件>

勤務時間外の行動は、基本的に自由です。社員の兼業を禁止するためには、就業規則に兼業禁止を定めて、兼業禁止を労働契約の内容にしておく必要があります。

だからといって、すべての兼業を禁止できるわけではありません。

ましてや、何らかの処分をするのであれば、兼業により十分な休養が取れないために会社での業務遂行に支障を来すとか、会社の名誉や信用を著しく害するとか、ライバル会社での兼業であるためにお客様から不信感を抱かれるなどの特別な事情が必要となります。

こうした特別な事情があって、口頭注意、書面注意をしても、なお兼業を続けるのであれば、懲戒処分を検討することになります。

しかし、この場合でも、懲戒解雇まで許されるケースは極わずかです。

 

<政府の政策>

「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の会合で、副業・兼業の環境整備を進める方針が打ち出されています。政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出しています。

つまり、政府は企業に対して副業・兼業の容認を求める態度を明らかにしています。

企業成長のためには、こうした政策を無視できないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そうは言っても、やはり社員が無断でアルバイトをするのは阻止したい、会社の業務に専念して欲しいという場合には、会社の実情に合った対応が必要です。

こんなときは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.17.解決社労士

<行政運営方針>

東京労働局が「平成29年度 東京労働局行政運営方針」を策定しました。(平成29年4月3日発表)

東京労働局の今年度の最重点課題として、次の2つが掲げられています。

・「働き方改革」の推進などを通じた労働環境の整備・生産性の向上

・「全員参加の社会」の実現加速

2つ目は、安倍政権の一億総活躍プランが反映されたものです。

 

<労働環境の整備・生産性の向上>

この最重点課題を達成するための取組として、次の4つが掲げられています。

・長時間労働の是正による良質な労働環境の確保

長時間労働の抑制・過重労働解消に向けた取組、ワーク・ライフ・バランスの推進等

・非正規雇用労働者の待遇改善等

― 非正規雇用労働者の正社員転換・同一労働同一賃金の実現に向けた待遇改善の推進、最低賃金の周知・履行確保等

・人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備

― 労働者のキャリア形成に係る支援策の普及促進、全産業の労働生産性の向上等

・労働者が安心して健康に働くことができる職場づくり

労働条件確保、労働災害防止対策、メンタルヘルス・健康確保対策、労災補償の迅速・適正処理

 

<会社として特に気をつけること>

東京都内の労働基準監督署が、長時間労働、最低賃金、労働基準、労災隠しについて、監督という名の調査・指導を強化することは明らかになったわけです。

・長時間労働の是正 ― 月間法定労働時間を80時間以上上回って勤務する従業員がいれば是正が求められるでしょう。具体的には、毎月の勤務時間が254時間を超えないことが求められます。

・最低賃金の順守 ― この数年、東京都の最低賃金は10月の最初に引き上げられています。今の時点で最低賃金を上回っていても、10月に再度確認が必要です。定額(固定)残業代のある会社や、試用期間の賃金を低く設定する会社は、特に注意が必要です。

・労働基準法の順守 ― 法改正が行われていますので、数年にわたって就業規則変更届が労働基準監督署に提出されていない会社には、監督が入りやすいことになります。

・労災隠しの禁止 ― 労災隠しは犯罪ですが、具体的には「労働者死傷病報告(休業4日以上)」を労働基準監督署に提出しないことをもって、違法な労災隠しとされています。特に建設業では、提出漏れが多いため監督が入りやすいでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

長時間労働の是正と最低賃金の順守は、取締役など経営者を除く従業員全員の適正な労働時間把握がベースとなっています。

経営者ではない役職者を、管理監督者扱いにして残業代を支払わず、労働時間の管理もしていない会社は、大規模な是正を求められることになるでしょう。

会社の意図するところを適法に実施するためにも、労災手続きを速やかにするためにも、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.10.解決社労士

<制限の根拠1

ダブルワークを制限する根拠として、労働契約の存在があります。

労働者は使用者との間に労働契約を交わしていますから、労務提供の義務を負っています。しかも、疲れてため息をつきながらの勤務では不完全です。使用者は労働者に対して、健康状態を保ちながらの勤務を求めることができます。

この根拠からすると、他の会社の非常勤取締役としてのわずかな活動や、休日に軽易な労働をしている場合には、こうした兼業を制限できないことになります。

反対に、出勤日に深夜トラックの運転や、深夜2時までバーでアルバイトするなどは、負担が大き過ぎますから制限することに合理性が認められます。

 

<制限の根拠2

もう一つの根拠として、労働者の職業選択の自由と会社の事業活動の自由との調整があります。

誰にも、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由があります。つまり、どのような仕事をするかは基本的に自由です。〔日本国憲法221項〕

一方で、会社にも営業の自由があって、その根拠も職業選択の自由にあります。

そして、両方の自由を調整する原理として「公共の福祉」があるのです。どちらか片方の自由が優先されてはならず、お互いにバランス良く制限し合うということです。

このことからすると、ライバル会社で副業をすることや、お客様から信頼を求められる社員が性風俗産業でアルバイトをするなどは制限されます。ましてや違法な副業をすることは許されません。

 

<就業規則の効力>

たとえダブルワークを一切禁止する定めが就業規則にあったとしても、具体的な副業が本業の妨げにならず、本業の会社に不利益を与えないのならば、それは禁止することができません。禁止の合理的な根拠が無いからです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則に定めても無効なことや、有効性が制限されることもあります。もちろん定め方次第ということもあります。

会社を守るためにも、一度、信頼できる社労士に就業規則をチェックさせてはいかがでしょうか。

 

2017.03.12.解決社労士

<公務員の場合>

公務員が得る報酬の財源は税金ですから、特に職務専念義務が重いのです。

ほとんどの場合、ダブルワーク禁止です。親から相続したマンションを経営して収入を得ているのがダブルワークにあたるという理由で、辞めさせられるという実例もありました。

 

<民間企業の場合>

会社では、会社が給与を支払っているのですから、社員が職務に専念しなかったり、ダブルワークをしたりということに対して、すべて大目に見ることもできるわけです。

 

<なぜダブルワークしたいのか?>

ダブルワークを希望する人の大半は、今の収入では足りないので、別に収入を得るために別の仕事をしなければならないと言います。会社が給料を上げてくれれば、ダブルワークの必要などないと言うのです。

中には別の仕事もしてみたい人、家業を手伝っていたり引き継いで行っている人もいますが少数派です。

 

<なぜダブルワーク禁止なのか?>

会社としては、社員が別の会社で働くと、体力・精神力を消耗して疲れてしまい、自分の会社で充分な働きができないのではないかという不安があります。実際にそうなるケースが多いものです。

また、社員がライバル会社で働いたら、会社の機密が漏れるかもしれません。ただ、これは会社の重要な情報を握る立場にある人限定で考えればよいことです。社員一般にあてはまる話ではありません。

むしろ、女性社員が性風俗店でアルバイトしたら、会社の評判が落ちるのではないか、さらには男性社員でも違法カジノでアルバイトしたら、摘発されたとき自分の会社の名前もマスコミに報道されるのではないか。

こうした不都合が発生することを恐れて、会社としてはダブルワークを禁止したいのです。

 

<ダブルワーク禁止の有効性>

それでは就業規則でダブルワークを禁止したり、社員に「ダブルワークしません」という念書を出してもらったりした場合、有効なのでしょうか。

基本的には、憲法が職業選択の自由を保障していますから、原則として効力がないということになります。

では、就業規則や労働条件通知書にダブルワークをした場合の懲戒処分や解雇の規定を置いたら、その効力はどうなのでしょうか。

この場合には、ダブルワークのすべてについて定めたとしても、すべてが有効になるわけではありません。

実際に有効とされるためには次の2つの条件をクリアする必要があります。

  • 具体的なダブルワークの中身が会社に大きな不都合をもたらし、懲戒処分や解雇をすることについて、客観的な合理性が認められること
  • 懲戒処分や解雇をすることについて、社会一般の常識から考えても仕方のないケースだといえること

これらは、労働契約法15条と16条の規定によるものです。

 

<留学生の場合>

ちなみに留学生の場合には、勉強のために入国しているのですから、本来の目的と違うアルバイトなどの活動は制限されています。

留学生は資格外活動許可を受けた場合に限り、アルバイトを行うことができます。一般的に、アルバイト先が風俗営業または風俗関係営業が含まれている営業所でないことを条件に、1週28時間以内を限度として勤務先や時間帯を特定することなく、包括的な資格外活動許可が与えられます。また、在籍する大学などの長期休業期間は、1日8時間以内に延長されます。

そして、資格外活動の許可を受けずに、あるいは条件を超えてアルバイトに従事した場合は、不法就労となります。

ですから、夏休みなど長期休暇を除けば、留学生がダブルワークをするというのは難しいでしょう。

 

2016.04.29.