代休の付与は合理的か

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2020/09/13|1,284文字

 

<代休制度>

労働基準法などに、代休についての規定はありません。

したがって、会社は労働者に代休を与える義務が無く、労働者には会社に代休を請求する権利が無いということになります。

つまり、会社が労働者に休日出勤をさせたとしても、後から代わりの休日を与えなくてもよいわけです。

 

<割増賃金の支払義務>

これだけで話が終わってしまうと、労働者は休日に働き損になってしまいます。

そうならないために、会社は労働者に対して割増賃金を支払う義務を負っています。〔労働基準法第37条第1項本文〕

たとえば、1日8時間労働で平日に5日勤務し、所定休日の土曜日に勤務した場合には、週40時間を超える土曜日の労働時間が、25%以上の割増賃金の対象となります。

法定休日の日曜日に勤務した場合には、35%以上の割増賃金の対象となります。

つまり、125%以上、135%以上の賃金支払が必要となります。

もちろん、所定休日や法定休日は、各企業の就業規則の定めに従います。

これらの割増賃金は、「代休を与えるから支払わなくてもよい」ということにはなりません。

支払わなければ、6か月以上の懲役または30万円以下の罰金という罰則もあります。

 

<代休の運用>

休日労働に対する割増賃金の支払義務を果たしたうえで、会社が任意に代休付与を行うことは、法令により禁止されていませんので、就業規則に制度を定めることもできます。

しかし、休日労働を行った労働者に対して、恩恵的に代休を与えることは、実質的には賃金の二重払いになりますから、現実的ではありません。

これを避けるには、欠勤控除で対応することになりますが、一般には、労働者側が年次有給休暇の取得を申し出て、欠勤控除を避けるのではないでしょうか。

1日の休日労働に対し、半日に分け2回の代休を与えて欠勤控除を行うことも、労働者の了解を得れば問題ないと考えられます。

労使で話し合いのうえ、就業規則に定めるべきことです。

 

<代替休暇>

代休と混同されやすいものとして、代替休暇があります。

1か月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、50%以上の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。

代替休暇制度導入にあたっては、過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この労使協定の中で、代替休暇を与えることができる期間を定めるのですが、これは「法定時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内」とされています。

代休制度を設ける場合にも、代休取得日をこの範囲内にすべきでしょう。

また、代替休暇の制度を設けたとしても、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけることはできません。

代休の場合にも、個々の労働者が実際に代休を取得するか否かは、労働者の希望により決定するものとすべきでしょう。

 

なお、中小企業については、令和5(2023)年4月まで、60時間を超える法定時間外労働に対する50%以上の率で計算した割増賃金の支払いが猶予されていますから、代替休暇制度の導入もこれ以降となります。

 

解決社労士