フレックスタイム制が無い職場での時差出勤

2023/05/14|849文字

 

<フレックスタイム制の場合>

職場にフレックスタイム制を導入していれば、労働者側が主体的な判断により、始業時刻や終業時刻を柔軟に設定することができます。

しかし、フレックスタイム制は、労働基準法の規定によって認められています。

この規定に定められた手続きを省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

給与計算を遡って正しくやり直すことになります。

 

<始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ>

フレックスタイム制を導入していない職場でも、実働時間を変更せずに、始業時刻と終業時刻を同じ時間だけ繰上げ・繰下げすることができます。

この点については、労働基準法に特別な規制は無く、1日8時間、1週40時間の範囲内であれば、労働時間の規制にかかりませんし、基本的には割増賃金の支払も不要です。

もっとも、午後10時から翌日午前5時までの勤務が増えるような場合には、その分だけ深夜割増手当が増えるなどの注意は必要です。

 

<就業規則の定め>

始業・終業時刻は、就業規則の絶対的必要記載事項ですから、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げも就業規則に定めておく必要があります。

モデル就業規則の最新版(令和4(2022)年11月版)は、次のように規定しています。

 

【労働時間及び休憩時間】

第19条  労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。

2 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、前日までに労働者に通知する。

 

会社によっては、より厳密に、すべての始業時刻・終業時刻の組合せを網羅した一覧表を掲げているところもあります。

上記のモデル就業規則では、会社から通常の始業・終業時刻の変更を命ずる場合のことを規定しています。

これとは別に、従業員の方から会社に対して変更の申し出を許す場合には、その手続や会社による許可の要否などについても、規定しておくことが必要となります。

 

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