産前産後の通院休暇

2021/08/10|911文字

 

<法定の通院休暇>

妊婦自身やお腹の中の赤ちゃんの健康のため、妊婦は定期的に健康診査等を受ける必要があります。

そこで、妊婦や産後1年を経過していない妊産婦の労働者が、会社に申請すれば、母子健康法に定める保健指導または健康診査を受けるのに必要な「通院休暇」を取得できます。〔男女雇用機会均等法第12条〕

その回数は、原則として次の通りですが、医師等がこれと異なる指示をした場合には、指示された回数となります。

 妊娠23週まで  4週間に1回
 妊娠24週から35週まで  2週間に1回
 妊娠36週から出産まで  1週間に1回
 産後1年以内  医師等が指示する回数

 

<会社のルールとの関係>

通院休暇は法定の休暇です。

会社の就業規則に記載されていない場合、会社に就業規則が無い場合、前例が無い場合でも利用できます。

部下から通院休暇の利用について申し出があった場合に、上司が知識不足で断ってしまうと、会社の教育不足によるマタハラ(マタニティーハラスメント)になってしまいます。

また、社員に通院休暇の説明をする場合に、一定の年齢を超えた女性社員を対象外とすることは、セクハラになる恐れがあります。

 

<通院休暇の給与>

通院休暇を有給とするか無給とするかは、会社の規定によります。

就業規則が無かったり、就業規則に「労基法その他の法令の定めによる」という規定があるだけだったりすると、トラブルの元になりますから、予め就業規則に規定しておくことをお勧めします。

通院休暇は、勤務時間内に健康診断等受診のための時間を確保するという趣旨で設けられるものです。

事業主が一方的に年次有給休暇を通院休暇に充てるよう女性労働者に対して指示することは認められません。

ただし、通院休暇が無給とされる場合に、女性労働者が自ら希望して年次有給休暇を取得して通院することは問題ありません。

 

<通院休暇の申請>

申請は、原則として事前に行います。

出産予定日、次回通院日は決まり次第、事業主に知らせるのがマナーでしょう。

申請事項は、通院の日時、医療機関等の名称・所在地、妊娠週数などとなります。

事業主は、必要があればその女性労働者の了承を得て、診断書などの提出を求めることができます。

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