2025/04/14|753文字
社長など法人の代表者が替わったからといって、雇用契約を交わし直して、労働条件通知書や雇用契約書を作り直す必要はありません。
<社長個人が雇う場合>
社長宅で働くお手伝いさんを、社長個人が雇うのであれば、雇用契約の当事者は社長個人とお手伝いさんということになります。
この社長が会長になったとしても、契約の当事者は会長個人とお手伝いさんのままです。
この場合、雇用契約書には社長や会長といった肩書を使わず、契約書は個人名で作成します。
<法人とは>
法人というのは、一定の社会的活動を営む組織体で、法律により特に権利や義務の主体となる能力を認められたものをいいます。
本来、権利や義務の主体となるのは個人です。
そして一定の条件を満たした組織だけが、法律によって特別に権利や義務の主体となることを認められます。
法律上、権利や義務の主体となることのできる資格を、法人格(法律上の人格)と呼びます。
法人格を持つのは、個人(自然人)と法人です。
<法人の活動>
法人は、生身の人間ではありませんから身体もありません。
その活動は代表者(代表機関)の行為によって行われます。
そして、代表者が法人の目的の範囲内で行った行為の効果は、直接法人に帰属します。
また、代表者が事業遂行上、他人に与えた損害については法人が賠償の義務を負います。
法人は解散によって法人格を失います。
<法人との契約>
こうして、個人が法人と契約する場合には、法人の代表者と契約を交わす形をとるのですが、その効果は直接法人に帰属します。
つまり、法人の代表者が動いて、法人に効果を帰属させるわけです。
ですから、雇用契約を交わした後で、社長などの代表者が交代した場合でも、法人そのものが変わってしまうわけでないので、雇用契約の効果は失われず、その性質も変わらないのです。