2025/02/27|1,007文字
<整理解雇>
整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。
法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。
<法令の規定>
解雇については、労働契約法に次の規定があります。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
この規定は抽象的ですから、素人判断で解雇の有効・無効を決めつけるのは危険です。
<整理解雇の有効要件>
実務的には、判例で示された次の4つの要素から、解雇の有効性を判断することになります。
4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的な判断となります。
まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。
次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。
さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。
最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。
<地域限定社員の場合>
「そもそも勤務地を限定されていたのだから」という理由だけで、閉店や事業所の閉鎖によって、そこで勤務する地域限定社員を解雇することはできません。
これは、整理解雇の4つの要素のうち、解雇回避努力の履行にかかわることです。
採用の時点で勤務地限定を望んでいた社員であっても、その後事情が変わっている場合もありますし、解雇されるよりは転勤に応じた方が有利ということもあります。
解雇回避努力が求められるということは「なるべく解雇しないように努力したけれども、どうしてもダメでした」という事情がなければ、簡単に解雇はできないということです。
結局、地域限定社員と話し合って、本人がどうしても別の店舗や営業所などでは勤務できないというのであれば、他の社員に優先して解雇を考えざるを得ないということになります。
<実務の視点から>
整理解雇を含め、解雇の多くは不当解雇となり無効となる危険をはらんでいます。
そして不当解雇は企業に思わぬ損失をもたらします。
「解雇」ということを思いついてしまったなら、迷わず信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。