労働条件の原則

2021/01/12|1,057文字

 

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<労働基準法第1条第1項>

法律の第1条というのは、注目されないものです。

しかし、その法律の目的や、大原則が規定されていますから、これを踏み外すとお話になりません。

労働基準法第1条第1項には、次のように規定されています。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

この規定は、憲法(日本国憲法)第25条第1項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づいています。

そもそも労働基準法ができたのは、主に憲法第27条第2項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定があるからです。

つまり、資本家は労働者から搾取するものであり、国は労働者を資本家から守る義務を負うというところから出発しています。

 

<労働基準法第1条第2項>

これもまた注目されていませんが、労働基準法第1条第2項には、次のように規定されています。

「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」

これを踏み外す危険も大きいと思います。

たとえば人手不足の折、会社の偉い人が「うちの会社は週休2日制だけど、労働基準法は1日でOKだと規定しているから、それでいいんじゃねぇの?」と言いかねません。

労働基準法第35条には、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と規定されています。

たしかに、新たに会社を設立した場合には、週休1日制でスタートしても違法ではありません。

しかし、週休2日制の会社が労働基準法第35条を根拠に週休1日に変更したら、労働基準法第1条第2項に違反します。

法律というのは、どれか1つの規定に違反していなくても、別の規定に違反すれば違法となることがありますから、木を見て森を見ずというのでは失敗します。

それぞれの法律の目的、あるいはそれを超えて、立法趣旨というものを捉えていないと、条文一つひとつを見て勘違いしてしまうことは避けられません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社労士は、数多くある労働関係法令一つひとつの立法趣旨を把握しています。

経営者が「いいこと考えた!」と思ったときは、落とし穴に落ちたときかも知れません。

他社に先駆けて何か工夫しようと思いついたときには、実行に移す前に信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

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