2024/01/26|1,183文字
<就業規則の届出義務>
パートやアルバイトなどを含め、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届け出る義務を負っています。〔労働基準法第89条〕
ですから、従業員が9人以下の会社では、就業規則を作らなくても労働基準法違反にはなりません。
しかし義務ではないからといって、就業規則を作らずにいると、経営者は余計な苦労を背負い込んでしまいます。
<就業規則の内容>
就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。
・労働条件の共通部分
・職場の規律
・法令に定められた労働者の権利・義務
どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。
また、一つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。
<労働条件の共通部分>
労働条件は、原則として書面により労働者に示されなければなりません。〔労働基準法第15条第1項〕
一部のブラック企業を除き、法定の項目が記載された「労働条件通知書」などが労働者に交付されています。
名称は、「雇用契約書」「雇い入れ通知書」などいろいろな書面があります。
就業規則が無い会社では、「詳細は、就業規則○○条参照」という表示ができないので、きちんとした書面を作れば、数十枚から百枚以上の分量になり、とても現実的ではありません。
<職場の規律>
就業規則が無い会社では、新人に職場の規律を説明し、また、朝礼やミーティングで「こうして欲しい」「こういうことは禁止します」という内容を説明することになります。
こうした具体的な説明が無ければ、ひとり一人の従業員が自己判断で良かれと思う行動をとりますから組織的には働けません。
せっかく複数の従業員がいるのに、その力を結集できないのです。
また、自己判断で行ったことについて注意を受けても、その根拠が文書化されていないと、なかなか納得してもらえません。
不満がふくらんで、退職にもつながります。
<法令に定められた労働者の権利・義務>
会社は労働者に対して、法令に定められた労働者の権利や義務さらには各種制度について、重要なものを周知する義務を負っています。
これらについては、就業規則の内容に盛り込んでおけば、就業規則の周知によって会社の義務を果たしたことになります。
しかし、就業規則の無い会社では、法令や法改正の内容について、その都度、個別に説明が必要になります。
これは時間と労力の無駄ですし、現実的ではありません。
<実務の視点から>
それぞれの会社の実情に適合した就業規則の作成と改善は、社労士の最も得意とするところです。
きちんと会社の利益を確保し、会社が成長できる就業規則をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。
また、助成金の受給などを目的として、大急ぎで作られた就業規則を放置すると危険です。
法改正や会社の状況変化に応じた改善を考えましょう。