2024/08/28|1,495文字
<就業規則を作るきっかけ>
会社を設立し、いつか従業員を雇い入れる予定があるのなら、すぐに就業規則を作るようお勧めします。
一人でも適用対象者がいるのであれば、不利益変更という厄介な問題が出てきますが、誰も適用対象者がいないのであれば変更は自由です。
思い立った時に変更をかけていけば、会社にぴったりの就業規則が完成してから従業員を雇い入れるという理想的な形になります。
<ありがちな先送り>
労働基準法には、次の規定があります。
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
一目見て就業規則作りをあきらめたくなるような規定です。
しかも、最初の方に「十人以上の労働者を使用する使用者」と書いてありますから、「まだいいや」と先送りしてしまうのが人情です。
<現実的な就業規則の作成時期>
しかし、なるべく早く就業規則作りに取りかかることを強くお勧めします。
ところが実際には、「そろそろ従業員の人数が二ケタになりそう」「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というタイミングで、就業規則の作成を依頼してくるお客様が多いのです。
こうした場合でも、形ばかりの就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出るのは、「百害あって一利なし」といえます。
・従業員が就業規則を守らない。そもそも理解していない。
・経営理念や経営方針が従業員に伝わらない。そもそも就業規則に無い。
・従業員から就業規則について質問されると経営者はお手上げ。
・退職者が就業規則に基づき会社に対して多額の金銭を要求してくる。
<実務の視点から>
社労士は、就業規則のプロフェッショナルですから、会社の実情に合った、経営者の思いを反映した就業規則を作成します。
紛争の火種になるような規定は置きません。
「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というのであれば、社労士自ら所轄の労働基準監督署に足を運び、作成や届出の計画を説明してきます。
従業員に対する説明会も実施しますし、運用のフォローもします。
法改正などにより、就業規則改定の必要が発生すれば、その都度ご案内いたします。
就業規則の作成や変更については、信頼できる社労士にご相談ください。