2024/04/17|1,083文字
<ブラックな経営方針>
「うちの会社はブラックでいこう!」という経営者など、いないと信じたいものです。
少なくとも、ブラック企業では長続きできないことは分かります。
短期間で利益を上げて、さっさと会社をたたむ形になります。
<ありがちな事例>
新しく入ったパート社員から会社に「うちの子が熱を出したのでお休みをいただけませんか?」という電話があったとします。
このとき、会社の責任者はどのように応対するでしょうか。
もし、この電話が入社1か月のパート社員からのもので、同様の電話が3回目だったらどうでしょうか。
<子の看護休暇>
小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護などのために、休暇を取得することができます。
対象となる子が2人以上なら、1年に10日まで休暇を取得できます。〔育児・介護休業法第16条の2、第16条の3〕
申出は口頭でも、また当日でも認められます。
事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護休暇の申出を拒むことはできません。
ただし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。
この他の労働者を対象外とすることはできません。
所定労働日数があやふやであったり、一部の労働者を除外する労使協定が未締結であれば、対象外とはできません。
子の看護休暇は、法によって労働者の権利とされているものですから、残業手当の支払や年次有給休暇と同じで、マイルールで「うちの会社はムリだから無し」ということはできないのです。
<いつの間にかブラック企業となる危険>
上の事例で、電話を受けた会社の責任者は、子の看護休暇のことを知らなければいけませんし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者について、労使協定の締結により対象外としているのであれば、そのことも知らなければいけません。
「そんなに休んでばかりじゃ採用取り消しだ」などと言ってしまったら、ブラック企業だと言われても反論できません。
労働基準法その他の労働法は、たびたび改正されます。
特に少子化対策に関連する法令の改正は頻繁です。
数年前に完全に適法にしたハズの就業規則とその運用が、いつの間にかブラックになっていても不思議ではありません。
<実務の視点から>
自覚症状の無いままにブラック企業となってしまわないためには、社内に専任の担当者を置いて、常に最新の教育を施して任に当たらせる必要があります。
これがむずかしいのであれば、会社に合った方法について、信頼できる社労士にご相談ください。