2026/07/25|1,446文字
「残業が多いのは頑張っているように見えるから高評価」とするのは、法的にも経営的にも誤りであり、評価軸を成果・効率・協働に再構成する必要があります。
残業時間は「成果の証拠」ではなく、健康リスク・業務設計の歪み・マネジメント不全の注意信号として扱うべきです。
1.残業時間を評価指標にしてはいけない理由
①残業時間は成果を示さない
残業時間の長さは、成果や貢献度を直接示すものではありません。
むしろ、業務効率の低さや業務過多の可能性を示します。
同じ成果でも、残業なしで終える社員の方が生産性は高いのです。
②長時間労働は法令リスク
時間外労働には上限規制があります。
・月45時間・年360時間(原則)
・特別条項でも年720時間以内
・月100時間超、2〜6か月平均80時間超は「過労死ライン」
長時間残業を評価することは、法令違反の温床になります。
③長時間労働は健康・生産性リスク
長時間労働は、心身の健康悪化、生産性低下、ミス増加、離職率上昇を招きます。
企業にとって重大な経営リスクです。
2.「残業が多い人」をどう評価すべきか
結論:残業時間そのものを評価しない。残業は“評価対象”ではなく“分析対象”。
①残業時間は「注意信号」として扱う
残業が多い社員は、次の可能性があるため、面談・業務棚卸し・改善の対象とします。
・業務量が過大
・業務の属人化
・効率の問題
・上司のマネジメント不全
②残業の理由を必ず確認する
残業の背景は多様であり、評価の前に理由を把握する必要があります。
主な理由:
・業務量が多すぎる
・職場の雰囲気で帰りづらい
・生活残業(残業代目的)
・残業が評価される文化
理由によって評価の意味が全く変わるため、「残業が多い=頑張っている」とは絶対に言えないのです。
③成果と時間のバランスで評価する
評価は「成果=生産性×時間」で判断します。
成果が高くても残業が多い場合は、
・業務配分の見直し
・属人化の解消
・業務改善
を行い、評価は成果を中心にしつつ、残業は改善課題として扱うのが正しい運用です。
3.評価制度の正しい設計
①評価は「成果・時間・協働」の3軸で行う
残業時間を点数化するのではなく、以下の3軸で評価します。
1.成果:何をどれだけ達成したか
2.時間:成果をどれだけ効率的に達成したか
3.協働:チーム貢献、コンプライアンス、無断残業の有無
②残業時間は「マイナス評価」ではなく「改善対象」
残業が多い社員を低評価にするのではなく、次のような組織課題として扱うことが重要です。
・業務改善
・人員配置の見直し
・スキル不足の補強
③職種ごとに残業の目安を設定する
営業・開発など残業が発生しやすい職種と、定型業務中心の職種では状況が異なるため、
職種ごとに残業の目安を設定し、超過時間は理由を確認する仕組みが必要です。
4.実務の視点から
①残業時間は評価しない
残業時間を評価に入れると、次の悪弊を招きます。
・ダラダラ残業
・生活残業
・非効率の助長
・長時間労働の常態化
②評価は成果と効率
「短い時間で成果を出す人」を正当に評価することが、働き方改革・生産性向上の両立につながります。
③残業が多い人は改善対象
評価ではなく、次の対象とする。
・業務棚卸し
・業務配分の見直し
・スキルアップ
・マネジメント改善
④管理職の責任
部下の残業管理は管理職の責務であり、残業が多い部下は管理職の評価項目にも影響します。
サービス残業は、管理職の評価を歪めます。サービス残業を許す管理職は、自分の評価を不当に高く見せていることになり、低評価や懲戒の対象となります。