2026/07/17|1,096
結論として、会社は定期健康診断の結果に基づき、一定の範囲で従業員に指導や措置を行うことが法律で求められています。
ただし、その内容には明確な限界があり、過度な干渉やプライバシー侵害は許されません。
<会社が健康診断後に行わなければならないこと>
厚生労働省の資料によると、事業者(会社)は次の義務を負っています。
①健康診断結果の記録・保存
会社は健康診断の結果である「健康診断個人票」を5年間保存する義務があります。
②異常所見がある従業員について医師の意見を聴く
健康診断で異常が見つかった場合、会社は医師(産業医など)から「必要な措置」について意見を聴かなければなりません。
③医師の意見に基づき必要な措置を講じる
医師の意見を踏まえ、必要があると判断されれば、会社は次のような「就業上の措置」を行う義務があります。
・作業内容の変更
・労働時間の短縮
・深夜業の回数の減少
・出張の制限
・昼間勤務への変更 など
④従業員への結果通知
健康診断の結果は従業員本人に通知しなければなりません。
⑤必要な従業員への保健指導
健康状態に問題がある従業員には、医師や保健師による保健指導を行うよう努める義務があります。
<会社が「してもよいこと」と「してはいけないこと」>
◎会社がしてもよいこと(法律で認められる範囲)
健康診断結果に基づき、医学的根拠に基づく指導や就業上の措置は認められています。
具体例:
・産業医の意見に基づく業務軽減
・長時間労働の制限
・深夜勤務の禁止
・二次健康診断の受診勧奨
これらは従業員の健康を守るための措置であり、会社の義務でもあります。
✕会社が「してはいけないこと」(限界・禁止事項)
✖医学的根拠のない指導や強制
例:
・「太りすぎだから痩せろ」と上司が個人的に叱責する
・「血圧が高いから残業禁止」と医師の意見なしに決める
→医師の意見に基づかない指導は不適切です。
✖健康情報の不適切な取り扱い
健康診断結果は「個人情報(健康情報)」であり、厳格な管理が必要です。
・同僚や上司にむやみに共有する
・部署内で噂話にする
・本人の同意なく第三者に提供する
→個人情報保護法の観点からも問題になります。
✖不利益な扱い
健康診断の結果を理由に、
・昇進・昇格を不当に制限する
・配置転換を懲罰的に行う
・給与を下げる
→医師の意見に基づかない不利益扱いは許されません。
<会社の指導には医学的根拠が必要>
ポイントは次の3つです。
1.会社は勝手に判断してはいけない
→必ず医師(産業医)の意見が必要。
2.従業員の健康を守るための措置に限られる
→業務軽減や勤務時間調整など。
3.プライバシーを守ることが大前提
→健康情報は厳重に管理する必要がある。