2026/03/29|1,252文字
短時間労働者(いわゆるパート・アルバイト)を採用する場合、基本的な法的義務はフルタイム労働者と大きく変わりません。ただし、労働時間が短いことにより「適用される制度」「義務の内容」「説明すべき事項」に違いが生じます。
<労働条件明示義務(労基法第15条)>
フルタイムと同じく必須です。ただし、短時間特有の追加項目があります。
共通の義務(フルタイム・短時間共通)
・労働契約の期間
・就業場所(変更の範囲)・従事する業務(変更の範囲)
・始業終業時刻、休憩、休日、休暇
・賃金(計算方法、締日・支払日)
・退職(解雇)に関する事項
短時間労働者に特有の追加明示(パートタイム・有期雇用労働法第8条)
短時間労働者には、以下の事項を追加で明示する義務があります。
・昇給の有無
・賞与の有無
・退職金の有無
・相談窓口
フルタイムでは明示義務ではありませんが、短時間労働者には必須です。
<均等待遇・均衡待遇(同一労働同一賃金)>
短時間労働者に特有の重要ポイントとなります。
フルタイム労働者との待遇差を設ける場合、「不合理な待遇差の禁止」(パートタイム・有期雇用労働法第8条~第10条)が適用されます。
対象となる待遇
・基本給
・賞与
・各種手当(通勤手当、役職手当、皆勤手当など)
・福利厚生(食堂、休憩室、更衣室など)
・教育訓練
企業側の義務
・待遇差の理由を説明する義務(説明義務)
・説明を求められた場合、合理的な根拠を示す必要あり
フルタイム労働者にはこの説明義務はありません。
<社会保険の適用>
所定労働時間により適用範囲が変わる点が大きな違いです。
健康保険・厚生年金
短時間労働者は、以下のいずれかで適用されます。
① 週所定労働時間・月所定労働日数がフルタイムの 3/4以上
→ フルタイムと同様に加入義務
② 3/4未満でも、以下の「特定適用事業所」では加入
・従業員数51人以上
・週20時間以上
・月額賃金8.8万円以上
・2か月超の雇用見込み
・学生でない
フルタイムは当然に加入対象であり、判定の必要はありません。
雇用保険
・週20時間以上で加入
・フルタイムは当然加入
<労働時間・割増賃金の扱い>
法定労働時間はフルタイムと同じ基準で判断します。
短時間労働者でも、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えれば時間外労働となり、割増賃金が必要です。
・「短時間だから残業代が不要」という扱いは不可
・三六協定の適用もフルタイムと同様
<年次有給休暇>
フルタイムは通常「10日」から付与されますが、短時間労働者は週所定労働日数に応じて比例付与されます。
例:週3日勤務 → 6か月後に 5日付与
<就業規則の適用>
原則フルタイムと同じです。ただし、別規程とするこも可能です。
・常時10人以上の事業場では就業規則が必要
・短時間労働者にも適用される
・ただし、短時間労働者向けの別規程を作成することも可能
<その他の義務(共通)>
・労災保険は全員適用
・安全衛生教育
・ハラスメント防止措置
・個人情報保護
・労働契約法の適用
短時間労働者だからといって免除されるものはありません。