代表的な賃金体系とその特徴

2026/03/07|1,226文字

 

<職能給(スキル・能力に応じて支給)>

◯背景・目的

日本企業で長く主流だった方式で、終身雇用・年功序列と相性が良い。

「社員の成長を評価し、長期的に育てる」ことを目的とする。

◯仕組み

・仕事そのものではなく、個人の能力・スキルの高さを評価して賃金を決める。

・能力等級(例:等級1〜5)を設定し、等級が上がると基本給も上がる。

◯メリット

・長期的な人材育成に向く

・組織の安定につながる

◯注意点

・能力評価が抽象的になりやすく、評価の納得性が低下しやすい

・年齢とともに自動的に賃金が上がり、人件費が膨らみやすい

 

<職務給(仕事内容の価値で支給)>

◯背景・目的

欧米で一般的。ジョブ型雇用の広がりとともに日本でも注目されている。

「仕事の価値に応じて公平に支払う」ことが目的。

◯仕組み

・各職務(ジョブ)に対して職務価値(難易度・責任・専門性)を評価し、賃金を設定。

・同じ職務なら、誰が担当しても賃金は同じ。

◯メリット

・公平性が高い

・専門性の高い人材を採用しやすい

・役割が明確になり、生産性向上につながる

◯注意点

・職務の定義や評価に手間がかかる

・仕事が変わると賃金も変わるため、柔軟な配置転換がしにくい

 

<役割給(役割・期待値で支給)>

◯背景・目的

職能給と職務給の中間的な考え方として普及。

「役割に応じて処遇しつつ、柔軟な運用も可能にする」ことが目的。

◯仕組み

・役割(例:リーダー、主任、課長など)に応じて賃金を設定。

・職務給ほど厳密ではなく、組織の期待値も反映。

◯メリット

・組織の変化に対応しやすい

・職能給よりもメリハリがつく

◯注意点

・役割の定義が曖昧だと不公平感が出る

・期待値の設定が主観的になりやすい

 

<年俸制(年間報酬を契約で決定)>

◯背景・目的

専門職・管理職・成果が明確な職種で導入されやすい。

「成果と報酬を連動させる」ことが目的。

◯仕組み

・年間の報酬額を契約で決め、12分割や16分割で支給。

・成果に応じて翌年の年俸を見直す。

◯メリット

・成果主義と相性が良い

・高度専門職の採用に有効

◯注意点

・労働時間管理の免除ではない(誤解が多い)

・成果評価が曖昧だとトラブルになりやすい

 

<成果給(成果に応じて支給)>

◯背景・目的

営業職など、成果が数値で明確な職種で多い。

「成果を直接報酬に反映し、モチベーションを高める」ことが目的。

◯仕組み

・売上・利益・KPI(重要業績評価指標)などの達成度に応じて支給。

・基本給+インセンティブの形が一般的。

◯メリット

・成果が出るほど収入が増える

・組織の業績向上につながる

◯注意点

・過度な競争や短期志向を招く可能性

・評価基準が不明確だと不満が出る

 

<賃金体系を選ぶ際のポイント>

賃金体系は「どれが正解」というものではなく、企業の戦略・人材像・組織文化に合わせて設計することが重要です。

・企業の経営方針・文化と整合しているか

・評価基準が明確で、社員に説明できるか

・人件費の将来予測が可能か

・制度変更時の移行措置(既存社員の不利益変更)に配慮しているか

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