賃金の基本3原則

2026/03/06|838文字

 

<賃金の基本3原則とは>

労働基準法が定める「賃金支払の5原則」のうち、特に実務で重要性が高い3つを指します。

企業が労務トラブルを防ぎ、適正な賃金管理を行うための最低限のルールです。

 

<通貨払の原則(労働基準法第24条)>

◯ 背景・目的

戦前の「現物支給(自社商品・社内通貨など)」による労働者の拘束を防ぎ、賃金の自由な利用を保障するために設けられました。

◯ 仕組み

賃金は「日本円の現金」で支払うことが原則です。

◯ 例外

銀行振込:労働者の同意があれば可能

デジタル給与(資金移動業者口座):2023年解禁。労働者の同意+厚労省指定業者が条件

いずれも同意は「任意性」が重要。会社の取引する金融機関を誘導するなど事実上の強制は違法リスク

立替精算や社内ポイント制度など、賃金と混同しない運用が必要

 

<直接払の原則(労働基準法第24条)>

◯ 背景・目的

賃金を第三者に横取りされることを防ぎ、労働者本人の生活保障を確保するための仕組みです。

◯ 仕組み

賃金は「労働者本人」に支払うことが原則です。

◯ 例外

本人の委任による銀行口座振込

死亡時の未払賃金の支払い(労働基準法施行規則で順位が定められている)

◯ 注意点

家族名義口座への振込は原則不可(本人名義が基本)

会社が勝手に相殺(控除)することはできない

※「相殺」とは、会社への損害賠償などを賃金から差し引くこと

可能なのは「法定控除(税・社保)」と「労使協定による控除」のみ

 

<全額払の原則(労働基準法第24条)>

◯ 背景・目的

賃金の一部を会社が留保することで労働者を拘束する慣行を防ぐための規定です。

◯ 仕組み

賃金は「全額」を支払うことが原則です。

◯ 例外

法定控除:所得税、住民税、社会保険料

労使協定による控除:社宅費、組合費、財形など

過払賃金の返還合意:本人の自由意思が前提

◯ 注意点

会社の判断で勝手に控除すると違法

遅刻・早退・欠勤控除は「ノーワーク・ノーペイ原則」に基づき適法

※ノーワーク・ノーペイ:働いていない時間分は賃金を支払わないという考え方

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