通勤手当の不正受給が疑われたときの対応

2026/01/23|1,105文字

 

通勤手当は「実際に通勤にかかる費用を補助するための制度」です。

そのため、実際より高い経路を申告したり、引っ越したのに届け出をしなかったりして多く受け取ることは、不正受給とみなされる可能性があります。

ただし、会社としては「いきなり処分」ではなく、事実確認 → 本人への説明 → 必要な対応という順番で進めることが大切です。

 

<まず行うべきは「事実確認」>

不正受給の疑いがあっても、最初から決めつけるのは避けるべきです。

会社が行うべき基本的な確認は次のとおりです。

・ 申告された住所と実際の居住地が一致しているか

→ 住民票の提出を求めることもあります。

・ 申告された通勤経路が妥当か

→ 交通系ICカードの履歴を求めることは慎重に。本人の同意が必要です。

・ 引っ越しや経路変更の届出が遅れていないか

→ 故意か単なる失念かで対応が変わります。

この段階では、事実を淡々と確認する」ことがポイントです。

 

<本人へのヒアリング(事情聴取)>

事実確認で疑いが強まった場合、本人に事情を聞きます。

・ いつ引っ越したのか

・ なぜ届出をしなかったのか

・ 経路申告に誤りがあった理由

・ 故意か、単なるミスか

ここで重要なのは、感情的に責めないことです。

不正受給は「意図的な虚偽申告」と「単なる申告漏れ」で大きく意味が変わります。

 

<不正が事実だった場合の対応>

(A)故意ではない場合(単なるミス・申告漏れ)

・ 過払い分の返還を求める

→ 分割返還など柔軟に対応することもあります。

・ 今後の申告ルールを再確認する

→ 再発防止のための教育が中心。

処分は軽く、注意・指導レベルで済むことが多いです。

 

(B)故意の不正受給だった場合(虚偽申告など)

会社としてはより厳しい対応が必要になります。

・ 過払い分の返還請求(当然)

・ 就業規則に基づく懲戒処分

→ 減給、戒告、けん責など

・ 悪質な場合は懲戒解雇もあり得る

ただし、懲戒処分には法律上の要件があり、「客観的な証拠」と「本人の弁明の機会」が必須です。

 

<返還請求の方法>

返還は給与からの控除も可能ですが、本人の同意がない控除は違法になる可能性があります。

安全な方法は次のとおりです。

・ 本人と返還方法について合意書を作成

・ 一括か分割かを明確にする

・ 給与控除する場合は「控除同意書」を取る

 

<再発防止策>

不正受給が起きた背景には、会社側の管理体制の問題があることも多いです。

・ 住所変更・経路変更の届出ルールを明確化

・ 年1回の通勤経路の再確認(申告書の再提出)

・ ICカード履歴の提出を求める場合は、就業規則に明記

・ 人事部門のチェック体制を強化

制度を整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

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