雇用調整助成金の算定方法変更(令和6年1月)

2023/10/13|917文字

 

<雇用調整助成金の問題点>

雇用調整助成金については、コロナ特例で審査も簡素化され受給しやすくなっていたため、支給額が6兆円にも上ったと言われます。

不正受給については、現在も調査による摘発と返金手続などが進められています。

これとは別に、企業に支給される雇用調整助成金が、企業の支払った休業手当の合計額を大幅に超えることがあると指摘され、問題視されてきました。

 

<支給額算定方法の是正>

雇用調整助成金は、前年度の労働保険の確定保険料申告書に記載した賃金総額を用いて1日あたりの助成額単価を算定する方法(平均賃金方式)等により支給額が算定されてきました。

この平均賃金方式が廃止され、実際に支払った休業手当等の総額を用いた算定方法(実費方式)に一本化されます。

 

<改正前の算定方法>

支給額は、次のAまたはBと、Cを比較して、いずれか少ない方となります。

A:平均賃金方式(平均賃金額×休業手当の支払率×休業等の延日数×助成率)

B:実費方式(実際に支払った休業手当等の総額×助成率)

C:基本手当日額の上限額×休業等の延日数

Aの平均賃金額は、労働保険の確定保険料申告書の賃金総額や加入者数(被保険者数)等から算定したものです。

Cの基本手当(失業手当)日額は、毎年8月1日に改定されますが、令和5年8月1日からは8,490円とされています。

 

<改正後の算定方法>

支給額は、BとCを比較して、いずれか少ない方となります。

B:実費方式(実際に支払った休業手当等の総額×助成率)

C:基本手当日額の上限額×休業等の延日数

 

<算定方法の改定日>

令和5年12月31日までの日を初日とする判定基礎期間までは、改正前の計算方法が用いられます。

令和6年1月1日からの日を初日とする判定基礎期間からは、改正後の計算方法が用いられます。

 

<注意点>

休業手当や教育訓練についての賃金が、通常の賃金等と明確に区分されて表示されている賃金台帳等に加え、休業手当等の具体的な算定過程が分かる書類を整備し、労働局からの求めに応じて提出することが必要です。

改正前後いずれであっても、残業がなかったものとして計算する「残業相殺」によって上記により算定した額よりも支給額が少なくなることがあります。

 

PAGE TOP