採用難の記事

<雇い入れ時の健康診断>

雇い入れ時の健康診断は、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上で、1年以上勤続する予定の従業員について法的義務があります。〔労働安全衛生法661項、労働安全衛生規則45条〕

また、1週間の所定労働時間が正社員の半分以上であれば、受診させることが望ましいとされています。努力義務です。

いずれにせよ、雇い入れ時の健康診断実施義務は、採用側の義務ですから、基本的には採用側が実施し、費用も負担するのが法の趣旨に適合します。

とはいえ、費用負担について、法令に明確な規定が無いので、応募者側が費用を負担するルールにしても違法ではありません。また、応募者が自主的に健康診断の結果を提出することも問題ありません。

 

<採用面接時の対応>

以前は、採用面接を行うにあたって、健康診断結果の提出を求め、雇入れ時の健康診断を兼ねていた会社が多かったのです。

ところが、平成5年労働省通知と平成13年厚生労働省通知によれば、「雇い入れ時健康診断は、雇い入れた際における適正配置と入職後の健康管理のためのものであって、採用選考時に採用の可否の決定のための健診を行うことは適切を欠く」とされています。

この背景には、採用側がHIV検査を義務付けるなど、人権侵害の問題がありました。

やはり、法定の項目以外の検査を義務付けるのは避けるべきでしょう。

そもそも、法令の文言を素直に読めば、「雇い入れ時」というのは採用前ではなく採用後のことを言っています。ですから、基本的には採用決定後に、雇い入れ時の健康診断を実施することになります。

 

<健康状態の確認漏れによるトラブル>

健康状態に問題のある応募者を採用してしまっても、採用取消や解雇は簡単にはできません。ほとんどの場合は、採用取消や解雇が無効とされ、損害賠償請求の対象となってしまいます。

トラブルになるのは、入社後に健康不良が発覚したものの、「その点については質問されませんでした」と言ってかわされていまい、採用側は有効な手を打てなくなるというケースです。

ですから、採用面接の段階で応募者の健康状態について、人権侵害にならない範囲で、詳細な情報を申告してもらうのが得策です。これと併せて、就業規則には、採用時の虚偽申告は採用取消や解雇の理由となりうることを規定しておくべきです。

もちろん、応募者本人も把握していなかった病気については、虚偽申告とはいえません。この場合には、その病気が業務の遂行を不可能とするものであるかどうかの問題になります。

 

<健康状態の確認が必要性な範囲>

採用する側は、興味本位で応募者の病気を詮索するわけではなく、予定される業務を行うのに支障のない健康状態であることを確認したいわけです。

応募者も、具体的な業務内容を想定して応募してきているわけですから、自分の今の健康状態で、その業務を遂行できるかどうかを確認したいと考えます。

この利害の一致する範囲で、健康状態や病気、薬の服用や通院などの予定について確認することが許されると考えて良いでしょう。

 

採用側は、業務内容をなるべく具体的に説明します。

そして、応募者側はその業務を行える状態か、何か不安はあるか、雇い主に求めたい配慮はあるかといった情報を提供するということになります。

 

自動車の運転、機械類の操作、高温での調理、高所での作業など、意識が途切れたら危険な業務は、重度の高血圧症や貧血症なら避けるべきです。これらは、通常の健康診断の項目に入っていますから、判断は比較的容易です。

しかし、一定の精神疾患でも同様の危険があり、健康診断では見つからないだけに、応募者の自己申告に頼るしかありません。

 

結局のところ、業務の環境や作業内容など、具体的な事情により確認が必要な範囲は異なります。そして、その必要な範囲内で、健康状態の確認が許されるということになります。

 

<応募者確保のために>

業務内容を良く知っている会社の担当者が面接を行うと、その場の雰囲気や感情に流されて、聞いてはいけないことをストレートに聞いてしまうリスクがあります。

そのリスクというのは、応募者がどこかに申告して行政の介入を許すとか、損害賠償を求められるとかいうことではなく、人手不足クライシスとまでいわれている今、面接を受けた応募者からの口コミ情報で、全体の応募者数が減少してしまうリスクです。特に、ネットを介しての口コミ情報は、思わぬ威力を発揮してしまいます。

 

こうしたことを避けるためには、業務内容ごとの「採用面接シート」を利用するのが便利です。このシートに書かれている項目を漏れなく確認し、書かれていない項目については尋ねないようにするのです。

この作成と効率的な運用には、専門知識と技術が必要ですから、作成にあたっては、ぜひ信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.10.19.解決社労士

<人事考課と賞与>

賞与というのは、どれだけ能力があるかとは関係なく、どれだけの実績を上げて会社に貢献したかという結果を評価して設定するものです。

 

たとえば、5月から10月までの実績を評価して12月に冬期賞与を支給し、11月から翌年4月までの実績を評価して7月に夏期賞与を支給するという形になります。

上の例では、新卒採用で4月入社であれば、夏期賞与を支給するための十分な考課期間がありませんから、支給しないか金一封などの名目で一律の支給額にするのが一般です。

中途採用でも、考課期間の途中で入社したのであれば、最初の賞与支給については同様な扱いになるでしょう。

 

ここで注意したいのは、「結果がすべて」の評価にしないことです。

どれだけ社内外と協力したのか、そのプロセスを含めて評価しなければ、目的のためには手段を選ばない社員ばかりになってしまいます。

このような社員は、働く仲間である上司、同僚、部下を自分の道具として利用することしか考えません。

まともな神経を持った人ならば、こんな職場には耐えられないでしょう。人格的に円満な社員は退職していきます。

 

また、実績の良し悪しは運に左右されるものです。

何をどのようにしたらその実績が生じたのかというプロセスを重視しなければ、ラッキーで実績が上がった人は多額の賞与をもらい、不運な人の賞与は減額されてしまいます。

これでは、くじ引きで賞与を決めるようなものですから、運の悪かった社員は納得がいきません。

 

賞与を決定するために個人の実績を評価する場合には、社内ルールに則って正しい手順で成果を上げたのか、個人では対処できない運の良し悪しが関与していなかったかということも、十分に加味する必要があるのです。

 

<人事考課のフィードバック>

賞与の支給額は、基本給を基準に会社の業績を反映した支給月数、個人の実績を反映した考課係数を設定して、次のように計算されていれば納得しやすいでしょう。

 

個人の賞与支給額 = その人の基本給×支給月数×考課係数

 

これを個人ごとに面談で伝えることをお勧めします。

支給月数が多ければ「会社は経営状況が良い」とわかりますし、考課係数が高ければ「私は高い評価を得ている」とわかります。

支給月数が少なかったり、考課係数が低かったりしても、「次こそは!」という気持ちになります。

このことが、社員ひとり一人のヤル気に結びつくでしょう。

また、連続して考課係数が低い社員は、大いに努力するか会社を去るかの決断を迫られます。これはこれで、効果が期待できると思います。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何となく決めた賞与額であっても、上の個人の賞与支給額の計算式で逆算すれば、支給月数と効果係数を求めることができます。

これを各社員に示すことで、大きな効果が期待できますからお勧めします。

 

ところで、その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.17.解決社労士

<人事考課と給与>

給与というのは、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。

そうでなければ、新卒や中途採用では初任給が決まりません。

ベテラン社員であっても、これまでの実績を参考にして、今後一年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。

 

イメージとしては、野球選手の年俸制を思い浮かべると理解しやすいでしょう。

ただ、一般の労働者に年俸制を使うのはメリットが少なく、運用が違法になりがちなのでお勧めできません。その証拠に、厚生労働省のモデル就業規則にも年俸制の規定はありません。

 

活躍を予測する場合、個人的な能力だけを見るのではなく、社内での協調性や社外との連携具合も評価する必要があります。

会社に社員が集まっているのは、チームプレーによって苦難を乗り越え、大きな成果を出すためです。

目立った個人プレーばかりを高く評価していては、社内の協調性が失われてしまうことになります。

 

たとえ個人プレーの能力が高くても、チームプレーの能力が低かったり、社外との関係を良好に保つ能力が低かったりすれば、長期にわたって活躍できません。

会社は可能な限り長続きしたいわけですから、社員に対しても長続きできる能力を求めることになります。

 

社内での協調性や社外との連携具合を見るのに、会社で決められている正しい仕事の仕方や就業規則などの社内ルールを守れるかどうかが、重要な目安となります。

 

<人事考課の前提となる教育訓練>

どんなに優れた人材でも、会社に合った正しい仕事の仕方働く上での社内ルールを知らなければ、その能力を発揮することができません。

会社の常識と、個人の常識とは異なるものですから、会社は会社の常識を社員に教育する必要があります。これを怠っておいて、「常識だろ!」と叫んでも不合理なパワハラと評価されてしまいます。

 

これほど人手不足で採用難ですから、社員には1.5人分も2人分も活躍してもらわなければなりません。

長時間労働をして倒れては本末転倒ですから、生産性を高めることになります。

その手段としては、教育訓練をおいて他にはないでしょう。会社にぴったり適合したカスタマイズされた教育訓練であることが必要です。

 

給与を決めるための人事考課は、この教育訓練が前提となります。

会社として、どのようにして欲しいのかを示さずに、評価だけをするのでは、社員は全く納得がいきません。

会社は学校ではありませんが、もし授業をせずに成績表だけを配布する学校があったなら、その存在価値は疑わしいものです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.16.解決社労士

<人事考課がないのは論外>

社内に人事考課の基準がなくて、年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社からは、将来有望な若者が去っていくものです。

ただクビにならないように気を付けながら、在籍年数を伸ばしていくだけで、それなりの昇給と昇格が期待できるとすれば、危険を冒してまで努力するのはばかばかしくなります。こうして多数派の社員は、本気で業績に貢献しようという意欲を失っていきます。

中には、会社に貢献して会社の事業を成長させれば、自分自身も成長できると信じて努力を続ける社員もいます。これは少数派です。それでも、長年にわたって報われなければ、やがて力尽きてしまいます。

 

新卒採用でも中途採用でも、入社当初は意欲に燃えています。その時に、「いつかはあの先輩を越えよう」「いや社長を目指そう」と思える会社ならば、新鮮な意欲を持続することができます。

年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社では、永遠に先輩を追い抜くことはできません。まるでアキレスと亀のパラドックスのようです。

 

こうして有能な社員が去っていき会社に欠員が出ても、ネット上の情報や口コミが邪魔をして応募者が来ないでしょう。

こんなことでは、人手不足クライシスとまで言われている今、会社の存続は難しくなってしまいます。

 

<主観的な人事考課基準も危険>

社長や人事権を握っている一部の人が、主観的に判断して社員を評価するのも危険です。

こういう会社では、会社の業績に貢献するよりも、社長や考課権者と仲良くなるのが出世の近道になってしまいます。反対に社長や考課権者に嫌われたら最後、未来は暗くなりますから、会社から去っていくことになります。

いわゆる「上を見て仕事をする社員」ばかりになりますから、仕事よりも社長に嫌われないように、社長に気に入られるように努力します。

こういう会社では、社長のまわりに社員が集まって雑談する様子が良く見られます。

本当に会社の業績に貢献している社員は、そんなシーンでも黙々と仕事をこなしているものです。

 

人事考課基準は、具体的で客観的なものにしなければ、社員の努力の方向性が曲がってしまうのです。

何をどれだけしたらどれだけ昇給するのか、どこまでやったら昇格するのか、これが明確であれば社員は言われなくても努力を重ねます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.15.解決社労士

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題ないのです。そして、職業安定法5条の3第3項も、平成30年1月1日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<説明が不十分なケース>

採用面接の中で、たとえば上記のように「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診された応募者が、過度の緊張のあまり内容をよく理解しないまま「はい」と生返事してしまうことがあります。

この場合でも、採用側が新たな労働条件を書面で明示していて、応募者が後からその書面を確認していれば問題ないのです。

しかし面接者が「あれだけ具体的に説明したし、理解してもらえただろう」と満足して、説明の内容を書面で交付しないのは危険です。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無い点で問題があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

しかし、新人から「実際の労働条件が求人広告と違う」という話が出るのは大いに問題です。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の決め方、変え方、通知の仕方については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.12.解決社労士

<有効求人倍率の推移>

厚生労働省によると、有効求人倍率は平成21年度に0.5弱で底入れし、平成28年度から平成29年度は1.3から1.5で推移しています。

有効求人倍率というのは、ハローワークに登録されている求職者に対する求人数の割合のことをいいます。「有効」が付いているのは、求人・求職の申し込みに有効期限があって、有効期限内のもの全体で計算しているからです。

計算式で示すと次のようになります。

 

「企業が働いて欲しい人数」÷「働きたいと思って仕事を探している人数」

 

数字が大きいほど「なかなか採用できない」ということで企業側が困ります。

数字が小さいほど「なかなか就職できない」ということで労働者側が困ります。

平成21年度には、採用されることが困難であり就職難でした。

今では、採用することが困難で採用難です

 

<就職困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持ったとしても、多少のことであれば労働者は我慢します。なぜなら、不満を示すことによって、会社から悪く思われ労働条件を下げられたら困るからです。なにしろ、転職は困難ですから今の会社に残るしかないからです。

そして、もし解雇を宣告されたら、不当解雇であり解雇は無効であると主張します。社員としての権利を有する地位にあることの確認を求めて、斡旋(あっせん)や労働審判そして労働訴訟を利用するのです。

つまり、会社に残ることを前提に権利の主張をします。これはある意味、愛社精神の現われでもあります。

 

<採用困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持てば、会社にぶつけることが当たり前になってきます。なぜなら、会社から反撃されて嫌な思いをしたら辞めればいいのですから。

そして、もし解雇を宣告されたら不当解雇を主張しますが、慰謝料を含めた損害賠償を請求し、職場に戻ることにはこだわりません。あくまでも金銭解決です。

さらに、採用困難期には就職困難期とは異質の労働紛争が発生します。

まず、入社と退職が盛んになりますから、形成された人間関係が簡単に崩壊し、どこかの時点で好ましくない人間関係となって、パワハラやセクハラなどのハラスメントが発生しやすくなります。この人間関係が原因となって、一層、退職者が出やすくなります。

つぎに、転職が容易なため転職に伴うトラブルが増えます。退職者が顧客情報を持ち逃げしたり、ライバル会社に転職したりが発生します。企業機密や個人情報の管理の強化とともに、社員教育やこうした不都合を発生させない仕組みづくりが必要です。

そして、最近急増しているのが、会社を辞めたいのに辞めさせてもらえないという労働相談です。会社側から見ると、強引な引き留めが労働者の権利侵害となり労働紛争になってしまうということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように、現在の採用困難期では労働者が会社を辞める前提で権利を主張し争ってきます。つい数年前の就職困難期には、労働者が会社に戻りたくて争っていたので、同じ争うのでも手加減が感じられました。しかし今は、退職者が会社と争うときには手加減がありません。

こうした労働市場環境で、トラブルが発生したらあわてて弁護士の先生に依頼するというのはどうでしょう。労働紛争がこじれたら会社が失うのは金銭ばかりではありません。

トラブルの小さな火種を発見し未然に防ぐには、信頼できる国家資格の顧問社労士を置いておくのが得策だと思います。

 

2017.09.10.解決社労士

<入社日と初出勤>

入社日は勤務先に籍を置くこととなった日です。そして、初出勤は初めて出勤した日です。

正社員であれ、パートやアルバイトであれ、必ずしも入社日に初出勤するわけではありません。

たとえば、平成29年の4月は1日が土曜日でしたから、新卒採用の入社日が41日で、初出勤が月曜日の43日というのが多数派でした。

 

<労務管理上の基準日>

健康保険、厚生年金、雇用保険などの保険関係は、入社日に加入することになります。かつては、試用期間が終わって本採用の時に加入するという誤った運用も見られましたが、基準を満たしている限り、試用期間の初日に加入するのが正しいわけです。後から修正するには、保険料もまとめて納付しなければならず、これが大きな負担となりますから遅れずに手続きしましょう。

年次有給休暇は、法定通りであれば入社日から6か月後に付与されます。これも、試用期間があれば、試用期間の初日から6か月後に付与されることになります。

 

<入社日と初出勤が離れている場合>

入社日に社会保険(健康保険・厚生年金)に加入して、その月の保険料も発生します。ところが、入社してから初出勤までの日が空いてしまうと、就業規則により、その間の欠勤控除が発生する場合があります。その結果、社会保険料を給与から控除すると、マイナスになってしまうことがあります。これは違法なことではありませんが、別途支払ってもらうなど、予めルールを定めておくと良いでしょう。

年次有給休暇は法定通りであれば、入社日から6か月間の出勤率が8割以上の場合に付与されます。入社してから初出勤までの日が空いてしまい、この間を欠勤扱いにしてしまうと、出勤率の点で不利になってしまいます。会社側の都合でこうした現象が発生するのであれば、入社日から初出勤まで、出勤率の計算のうえでは出勤扱いにするなどのルールを設けておくと良いでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

入社して何年も経てば当り前の事でも、新人にとっては首をかしげるような事であったりします。せっかく入社した新人が気持よくスタートを切れるよう、会社に合った仕組みづくりのアドバイスをして、適切に運用できるよう支えるのも、顧問社労士の重要な役割です。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.05.解決社労士

<自己中心的と主体的>

採用面接も1,000人以上を経験し、その後の勤務態度や勤続年数を見てくると、応募の段階で人物像が見えるようになってくるものです。

それでも、不慣れな頃は採用面接で自己中心的な人物を見抜くことができず、配属先にご迷惑をお掛けすることもありました。

自己中心的な方は、自分の利益だけを考えて行動しますから、組織の中で働くのには向いていないでしょう。

これに対して主体的な方は、お客様、上司・同僚・後輩、会社全体のことを考えて自発的に行動するので大いに貢献してくれます。

ところが、短時間の採用面接では、自己中心的な応募者を主体的な人だと勘違いしてしまうこともあります。

そこで、採用面接での自己中心派の特徴をまとめてみました。

 

<わかりやすい自己中心派>

「私は」「私が」を多用するのは、自己中心派のわかりやすい特徴です。また、自己中心的であることを隠そうとした場合には、「私も」「うちも」という言葉が増えます。

「私も」「うちも」と聞くと、協調性があるように思えますが、本当に協調性があれば「そうですね」と言ってうなずきます。

 

<わかりにくい自己中心派>

「割と」「思ったよりも」「意外に」「けっこう」を多用するのも、自己中心派の特徴です。

これらの言葉は、話し相手に対して客観的な内容を伝えるのではなくて、「自分が」どう思うかを伝えています。

「割と大変でしたが、けっこう頑張りました」という話をされたときに、具体的な内容を尋ねると黙り込んでしまうので、ただアピールしたいだけなのがバレてしまいます。

 

<応募の動機>

自己中心派は、自分にとっての直接的なメリットしか言いません。

給料が高い、通勤が便利、勤務先の近くに〇〇があって便利というのは、よく聞く言葉です。

さらに、誰にでもできる仕事、自分の都合でシフトに入れる、好きな仕事をさせてもらえそうという話が出てくるなど、自分に都合の良い思い込みも多いものです。

 

<前職を辞めた理由>

自分の落ち度は、退職した理由に出てきません。

自分だけ叱られた、周りの人たちに協調性が無かった、上司がバカだったなど、そのほとんどが露骨な悪口です。

こういう人たちを採用してしまうと、いつか退職していったあと会社の悪口を言われそうで採用する気にはなれません。

 

<不思議な共通点>

自己中心的な応募者は面接者をほめます。

どうでもいいことで、面接者を過剰にほめるのです。

応募者にとっては、採用されることが目的ですから、面接者から悪く思われたくないのは当然です。

しかし、極端にほめられた面接者は単純には喜べません。「変わった人だ」「気味が悪い」と感じてしまいます。

やはり、自己中心的な人は相手の気持ちを考えるのが不得意なのでしょう。

 

2017.06.01.解決社労士

<求人広告の内容についての法規制>

ハローワークの求人票や求人情報誌の求人広告には、求職者の知りたい情報が詳しく明確に記載されていることが重要です。

このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に書面や電子メールなどで明示すべき労働条件が、次のように定められています。〔職業安定法5条の3

・労働者が従事すべき業務の内容に関する事項

・労働契約の期間に関する事項

・就業の場所に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項

・賃金の額に関する事項

・健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項

なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件と明示の方法についても法定されています。〔労働基準法15条〕

また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています。〔労働契約法4条〕

 

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題無いのです。そして、職業安定法5条の33項も、平成3011日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無いわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の通知については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.17.解決社労士

<ハローワークで求人の申込みが拒否される場合>

ハローワークは、原則としてすべての求人申込みに応じなければなりません。たとえブラック企業だとわかっている会社からの求人申込みであっても、次のように拒否して当然の理由が無ければ拒否できないのです。

・求人申込みの内容が法令違反のとき

・賃金、労働時間などの労働条件が著しく不適当であるとき

・労働条件の明示が不足しているとき

大手新聞社の全国紙に掲載されている広告がインチキではないという保証はありません。同じく、ハローワークの求人がブラック求人ではないという保証は無いのです。しかし、実際には信頼されやすいという実態があります。

悪い人は、ここに目を付け、全国紙の広告やハローワークの求人票を利用するのです。

 

<新たに求人の申込みが拒否されることになる場合>

職業安定法の改正案が、平成29年3月31日、参議院において賛成多数で可決・成立しました。実際に施行される日は、政令によって公布の日から3年以内の日が指定されます。

法改正後は次の場合に、ハローワークが求人申込みを拒否できるようになります。

・労働法の規定に違反し、法律に基づく処分、公表などの措置が取られた会社からの申込み

・暴力団員の役員がいる会社や、暴力団員が事業を支配している会社からの申込み

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

求職者が身を守るために、ブラック求人を見抜くことも必要です。

反対に、まじめな企業がブラック求人と誤解されないようにすることも大事です。

他社に見劣りしない採用条件を提示しても応募者が少ない場合には、一度求人広告の内容を考え直してみる必要があります。

ブラックを疑われない効率の良い求人をするためには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.16.解決社労士

<平成29年4月1日雇用保険法改正>

法改正によって、30~45歳未満の方が倒産・解雇(懲戒解雇を除く)等により離職した場合には、失業手当(求職者給付の基本手当)の所定給付日数が次のように変更となりました。

30~35歳未満:90日→120日

35~45歳未満:90日→150日

 

<法改正の理由からわかること>

所定給付日数終了までに就職した割合が低い、つまり、熱心に求職活動を行っていたが就職に結びつかなかった割合が高いことから、これらの人を対象に保護を手厚くしたものです。

このことを素直に解釈すれば、今20代の採用にこだわっている会社が、対象者を30代に拡張すれば格段に採用しやすくなるということが言えるでしょう。

また、45歳以上の管理職経験者の採用にこだわっている会社が、対象者の年齢層を引き下げて、自社で経験を積み上げてもらうことを考えた場合も同様です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法改正の動向に敏感な人事担当者なら、自社で対応すべき法改正と、そうではない法改正をふるいにかけて、労力を集中させ生産性を上げています。

会社の一員として、退職後の従業員が受ける失業手当(求職者給付の基本手当)の変化は、対応の対象外に振り分けることになります。

しかし社労士であれば、この法改正から人手不足解消のチャンスを見出します。ここがプロフェッショナルである社労士の違いです。

人手不足や採用の困難を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.15.解決社労士

<若者雇用促進法>

少子化にともない労働力の不足が深刻化しています。

こうした中で、若者が経験を積みながら職業能力を向上させ、働きがいを持って仕事に取り組める社会を築くことは、政府の推進する全員参加型社会の実現を図り、国全体の生産性の向上を図るうえで、重要な課題となっています。

若者雇用促進法は、若者の適切な職業選択の支援に関する措置、職業能力の開発・向上に関する措置等を総合的に規定した法律です。

 

<青少年の募集・採用で心がけること>

・青少年が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるように、労働条件などの明示などに関する事項を遵守することが必要です。

法定された労働条件の明示は、すべての年代に必要ですが、特に若年者については文書の交付だけでなく、口頭による追加説明が必要でしょう。

・固定残業代を採用する場合は、その仕組みについて、納得のいく説明が必要です。

・採用内定者については、採用内定取消の条件を予め文書などで明示しておき、やむを得ず採用内定取消を行う場合には、その理由を具体的に明らかにする他、誠意ある対応が求められます。

・新卒採用を行う場合には、既卒者についても、卒業後少なくとも3年間は応募できるなどの措置を講じるよう努めなければなりません。

 

<青少年の職場への定着促進のために心がけること>

事業主は、青少年の職場への定着を図り、その能力を有効に発揮することができるようにするため、研修や職業訓練などを通じて、青少年の仕事に対する能力を高めるための措置を講じるように努めなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

固定残業代の制度は、違法な運用が多いため、悪者扱いされることがあります。しかし、正しく運用すれば、従業員にとっても会社にとっても都合の良い仕組みです。

また、研修や職業訓練は、日常業務にプラスアルファで行うものですから、人手不足の中、社内のメンバーで実施することは困難になっています。

こうしたことについては、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.11.解決社労士

<有効な取組みとは>

「2016年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」の結果が経団連から発表されています。

この中で注目されるのは、若手社員の定着状況の改善に向けた取組みです。企業が改善に向けて有効と考える取組みのベスト5は次のとおりです。

・職場での良好な人間関係の構築(60.7%)

・能力や適性に合った配置、納得性の高い評価制度の整備・運用(54.4%)

・労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進(33.9%)

・キャリアパスや企業ビジョン・企業理念の見える化(31.8%)

・能力開発の強化(27.9%)

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

自社の中で、具体的にどう取り組んだら良いのかが課題です。「うちの会社では無理」と言っていたら、人手不足が進行してしまいます。

どの項目を見ても、社労士の得意分野です。社員の定着率向上をお考えでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.01.28.解決社労士

<履歴書の重要性>

履歴書で印象や評価が大きく変わります。それなのに、履歴書で損をしている人が半分以上です。

直接お話しする面接担当者に対しては、記入不足や不明確な部分があっても、会話の中で補充することができます。しかし、その担当者の上司など決裁権を持っている人は、履歴書が最大の情報源となります。面接担当者が気を利かして補足情報を加えれば加えるほど、元の履歴書の情報不足が明らかとなり、かえって不利になることもあります。

内容の充実した履歴書であって、文字の大きさも小さすぎず大きすぎず、読む気にさせるものであることが必要です。

 

<履歴書用紙の選択>

履歴書の書式は統一されていません。

初めてのアルバイトなのに、職歴欄が広い履歴書では、空白が目立ってしまいます。反対に、職歴が多い場合には、職歴欄が広いものを選びます。自分がアピールできる項目が広いものを選ぶのがポイントです。

無料の求人誌から乱暴に切り取った履歴書では、内容がすばらしくても人物を疑われてしまいます。なるべく、市販のものから自分に有利な書式を選んで使いましょう。

 

<原則は手書き>

パソコンの技能が問われる職種でない限り、手書きが原則です。

高校生のアルバイトの履歴書で、鉛筆で下書きしたのをボールペンでなぞり、後から消しゴムで消したことがわかるものを見ると少し感動します。

結局、こうして努力して作成した履歴書は、プリンターで大量生産でき手軽に訂正できるパソコン入力のものよりも感動的なのです。

同じ手書きでも、訂正が無くて丁寧に書こうとした努力が見られる履歴書は好印象です。反対に、修正印、修正液などを使ったものはガッカリさせられます。

 

<日付>

日付が空欄だったり古かったりすると、使い回しを考えているようで変に思われます。

日付は提出日、郵送の場合には発送日を記入します。

 

<写真>

背景なし、脱帽、身だしなみが整っていること、そして全体のバランスがとれていることが条件です。顔の比率が大きい写真は、サイズを間違えて無理に小さくカットしたような印象を与えます。

カラオケで歌っているところを友達に撮ってもらった写真や、どう見ても10年以上前の写真、さらには写真のコピーが貼られた履歴書を見たことがあります。あきれてしまって、面接が上の空になりました。

履歴書で損をするポイントとしては、写真が最大の要素だと思います。自分で納得のいく写真を使いましょう。

 

<学歴>

義務教育については卒業のみを記載します。高校以降は入学と卒業をそれぞれ分けて記入します。大学などは、学部学科まで記入します。

他の項目もそうですが、特に学歴欄にウソを書くと、採用取消になったり、入社後しばらくしてから解雇されたりということもありますので正直に書きましょう。

 

<職務経歴書>

中途採用で職歴がある場合には、履歴書に職務経歴書を添えます。

履歴書の職歴欄には、勤務先、転勤、役職変更等の大きな異動に関することを記載します。

職務経歴書には、職務経験、スキル、実績について具体的に記載します。職務経歴書は、特に指定が無ければパソコン入力で作成するのが普通です。

 

<資格>

資格は無いよりはあった方が良いのですが、余りに多いと資格マニアと勘違いされます。社会人の場合には、役立つ資格は1級に限定されるものも多いので、2級や3級の資格を並べるよりは、書かない方が有利となるでしょう。

資格をたくさん持っている場合には、求人の内容に適合した資格を選んで記入しましょう。

 

<志望動機>

最も重視されるのが志望動機です。会社が求めている人物であることをアピールするため、求人内容や業種・職種に合った内容にしましょう。ここが上手く書けない場合には、応募そのものを考え直す必要があるかもしれません。

 

<趣味、特技>

担当者が興味を引くような内容だったり、配属先に同じ趣味の人がいるなど、偶然有利になることはあります。

非常識でなければ、正直に書けば良いのですが、「特になし」ではなくて、「~に興味があります」など、何かしら書きましょう。

 

<本人希望欄>

特に希望する職種・勤務地等があれば記入します。

ここは無ければ「特になし」でかまいません。

 

<その他>

郵便番号が無記入だったり、電話番号の市外局番の区切りが古かったり、市町村名が間違っていたりすると、自宅にこもり勝ちの印象を与えます。

氏名や学校名の漢字が間違っていると、かなり印象が悪くなりますので、トメル、ハネル、ハラウなどきちんと確認して正しく書きましょう。パソコンの文字は不正確なこともありますから、漢字辞典などで確認しましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番です>

社会保険労務士は、企業の採用をお手伝いすることが多いのですが、個人の方の求職をサポートすることもしています。

自己アピールに自信が無かったり、履歴書で迷うことがあれば、信頼できる社労士ご相談ください。

 

2016.12.06.

<疑問の内容>

求人雑誌やハローワークの求人票で条件を確認し、入社して最初の給与明細書を見たら、広告よりも少ない金額で計算されていたということがあります。

この場合、差額を会社に請求することができるでしょうか。

 

<労働契約の成立とは>

求人広告は、募集のための広告であって、広告の中身がそのまま労働契約の内容になるわけではありません。

契約は、申込と申込に対する承諾(しょうだく)によって成立します。

もしも、求人広告が申込で応募が承諾ならば、求人広告の内容で労働契約が成立します。しかし、求人広告は申込を誘っている広告に過ぎません。その証拠に、応募したからといって必ず採用されるわけではありませんね。

実際には、応募が申込で採用決定が承諾になります。

 

<裁判になったら>

裁判になった例でも、「求人広告に記載された基本給額は見込額であり、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての金額である」と判断されています。

結局、求人広告に書いてある労働条件と、その後の採用にあたって合意した労働契約の内容が異なる場合には、労働契約の内容が優先されることになります。

 

<どうしたら良いのか>

使用者は、雇い入れ時に、賃金や労働時間などの労働条件について、書面を交付する方法で労働者に明示しなければならず、その明示された労働条件が、事実と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。〔労働基準法15条2項〕

書面による労働条件の明示が無ければ、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書など労働条件を示す書類を会社に請求しましょう。忘れていただけならば問題ないのですが、「そんなの無いよ」ということならばブラック企業の可能性が高いです。この場合には採用辞退をお勧めします。

書面が交付されても、求人広告などを見て考えていた内容や、採用面接のときの説明よりも悪い労働条件ならば、やはり辞退すべきです。

 

<労働契約成立の性質>

どの求人広告に応募するかは労働者の自由です。そして、どの応募者を選ぶかは会社の自由です。これが基本です。

ですから、採用されたり採用したりという場面では、慎重な判断が求められます。

「ちょっと変だな」と思ったら、採用しない採用されないのが無難です。

 

<結論として>

初任給が求人広告の表示よりも安くても、差額を会社に請求することはできません。

ただし、書面によって明示された内容よりも安い給与であれば、差額を会社に請求できるのが原則です。

 

給与について会社に話をしても聞いてもらえない場合には、信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

正当な権利がある場合には、都道府県の労働局で「あっせん」の手続きを行い、会社に支払いを約束してもらうよう働きかけることができます。

 

2016.11.08.

<面接シートの利用>

採用面接を実施するときには、確認もれを防いだり、聞いてはいけないことを聞かないようにして、効率よく行うことが必要です。

効率の悪い面接をしてしまうと、面接に時間がかかり、面接を担当する社員の人件費が余計にかかったり、応募者の印象を悪くしたりと、何もよいことはありません。

また、聞いてはいけないことを聞いてしまい、応募者が労基署に相談するようなことは防ぎたいものです。

やはり面接には、質問事項を列挙し回答欄を設けた面接シートが不可欠です。

 

<採用側の思惑>

企業としては、社会的責任を果たすためにも、障害者の採用には積極的でありたいものです。しかし、採用したならば平成284月に改正された障害者雇用促進法の趣旨に沿い、責任をもって様々な配慮をしなければなりません。

特に常用労働者数が100人を超える企業では、障害者雇用納付金の制度が適用されるため、障害者雇用率2.0%の達成も必要となってきます。

それでも、きちんと対応しきれない障害者を雇用することは、かえって無責任なことになってしまいます。

 

<応募側の期待>

一方で、障害のある応募者の企業に対する期待は様々です。障害を知られたくない応募者、すべてを明らかにして配慮を求めてくる応募者、どの程度の情報を示したら採用されやすくなるか探ってくる応募者、それぞれの思いがあるのです。

 

<応募側の権利>

基本的に、障害者であること、障害の内容・程度は、保護されるべき個人情報です。ですから応募者に対して、これらの情報を明らかにすることを義務付けるわけにはいきません。話の流れの中で、自然にこうした情報が示されるか、あるいは教えていただけるようにお願いすることになります。

 

<障害者採用時の面接シート>

応募者が予め障害者であることを告げてきて、了解のうえで採用面接をする場合には、専用の面接シートを作ることも考えられます。しかし、こうしたケースは例外的ですし、人事関連の業務では場合分けを多くすればするほど、効率が低下しミスも増えてしまいます。

応募の段階では障害のあることを示さない応募者が大半であることを考えると、面接シートは1種類に統一したいものです。

面接シートの終わりのほうに、「働くにあたって必要な配慮」の欄を設け、すべての応募者に対して「たとえば毎月特定の日に病院に行くためのお休みが必要であるとか、一緒に働く仲間に知っておいてほしいことなどありませんか?」という自然な質問を投げかけて、情報を引き出すようにしてはいかがでしょうか。

もちろん、面接の途中でご本人から話があった場合には、この欄に情報を書きとめておきます。

採用面接にあたっては、採用側の配慮が応募者に悟られないよう、さりげなく行うという一段上の配慮を心がけたいものです。

 

2016.08.26.

<性別による差別>

募集・採用の際、次のような差別的取扱いは、男女雇用機会均等法違反となります。

・募集または採用で男女のどちらかを排除すること。

・募集または採用の条件を男女で異なるものにすること。

・能力や資質を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。

・募集または採用で男女のどちらかを優先すること。

・求人の内容の説明など、募集または採用の情報提供で、男女で異なる取扱いをすること。

・合理的な理由なく、身長・体重・体力の条件を付け、または、コース別採用で転勤に応じることを条件とすること。

 

<年齢による差別>

募集・採用では、原則として年齢を不問としなければなりません。

年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する場合だけでなく、民間の職業紹介事業者や求人広告などを通じて募集・採用をする場合や、雇い主が直接募集・採用する場合を含めて広く適用されます。

ただし、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、正社員を募集・採用する場合など、一定の場合については、例外的に年齢制限が認められます。

しかし、例外的に年齢制限を設ける場合であっても、求職者、職業紹介事業者などに対して、制限を設ける理由を提示することが会社に義務付けられています。

 

<その他の差別>

このほか、労働組合に入っていることや、労働組合の正当な活動を理由として不利益に取り扱うことは、労働組合法で禁止されています。

また、法律で明確に禁止されていない場合でも、基本的人権を傷つけ、社会常識の上で相当とはいえないような差別をすれば、損害賠償責任が発生することがあります。

 

2016.06.14.

<解雇無効の主張>

試用期間中に時間が守れない、パソコンも使えない、当然本採用は見送りということで、試用期間終了をもって退職とした社員の代理人から「解雇は無効であり労働者の権利を有する地位にあることの確認を求める」という内容証明郵便が会社に届くということがあります。

ネット上でも、こうした情報が増えるにつれ、不当解雇の主張も増えているようです。

「いや、うちの会社はすべての新人に試用期間を設け、試用期間の評価によっては本採用とならず退職となることをきちんと説明している」と言っている会社が、実際に解雇無効を主張される結末になっているのです。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(試用期間)

第6条 労働者として新たに採用した者については、採用した日から  か月間を試用期間とする。

2 前項について、会社が特に認めたときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。

3 試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第49条第2項に定める手続によって行う。

4 試用期間は、勤続年数に通算する。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

この条文は、次のことを言っています。

・試用期間を○か月とするが、短縮したり無しにすることがある。(しかし、延長は無い。)

・入社して14日を超えた人を解雇するときは、第49条2項に定める手続き(30日以上前の予告、解雇予告手当)が必要である。

この「第49条2項」というのがクセ者です。そんなに後の方に書いてあることは読まずに済ませてしまう危険があるのです。

 

<注意書き>

実は、厚生労働省のモデル就業規則には、次のような注意書きがあります。

試用期間中の者も14日を超えて雇用した後に解雇する場合には、原則として30日以上前に予告するか、又は予告の代わりに平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要となります(労基法第20条、第21条)。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに手抜かりは無いのです。

ところが、専門家ではない人が、この大事な注意書きを読み飛ばしてしまいます。その結果、思わぬ事態を招いてしまうのです。

 

<実例として>

新入社員のAさんが、就業規則で定めた3か月の試用期間終了近くなっても、電話応対がきちんとできません。同じ職場のメンバーの顔と名前が覚えられず、自分から挨拶できません。

社長が「せっかく入社したのだからもう少し様子を見よう」という特別の計らいで、もう1か月だけ試用期間を延長したのですが、結局、Aさんは不適格者ということで、解雇となってしまいました。

「大変ご迷惑をおかけしました」と挨拶して会社を去っていったAさんの代理人から「解雇は無効である。一方的に試用期間を延長されたことに対する慰謝料も支払え。」などという内容証明郵便が届きます。

この場合、会社としては就業規則に無い試用期間の延長や、解雇予告手当を支払わずに解雇したことについて、法令違反や就業規則違反があったのです。

 

<こうすればOK>

こうした困ったことにならないようにするには、2つのポイントがあります。

1つは、試用期間を定めたら延長しないこと。そのためには、本採用とするための条件を書面で明らかにして、会社と新人とが保管することです。たとえば「遅刻・欠勤が無いこと。明るく元気に挨拶すること。基本的な電話応対を身に着けること。身だしなみを整えること。業務の報告は確実に行うこと。」などです。試用期間内にクリアする条件を明確にすれば、温情的な延長も防げます。

もう1つは「ちょっと無理かな」と思ったら、試用期間が終わるまで待たないで、14日以内に解雇することです。長引けば、その新人の転職のチャンスも遠くなります。

もちろん、こうしたドライな対応をする前提として、募集選考・採用の精度は高めておかなければなりません。試用期間中の教育訓練も、スケジュールに沿って着実に行わなければなりません。

何事も最初が肝心なのです。

 

2016.04.12.

<労働局の指導>

面接担当官が、採用面接で聞いてはいけないことを聞いてしまい、応募者が労働基準監督署に相談した結果、その会社に労働局の指導が入るということがあります。

労働局は、その都道府県の労働基準監督署の上位に位置しますから、軽く考えてはいけません。

 

<企業の採用の自由>

企業にも職業選択の自由と経済活動の自由、そして契約締結の自由が保障されています。これらが結びついて、企業には採用の自由が認められています。

したがって企業は、労働者の採用基準や採用条件について、原則として自由に決定することができます。

 

<採用の自由の制限>

企業の採用の自由には、法律などによって一定の制限が課せられる場合があります。その代表的なものは以下のとおりです。

・募集採用での性別による差別の禁止〔男女雇用機会均等法5条〕

・労働者の身長、体重、体力を要件とすることの禁止

・転居を伴う転勤ができることを要件とすることの禁止〔男女雇用機会均等法7条〕

・年齢制限の禁止〔雇用対策法10条〕

・障害者差別の禁止〔改正障害者雇用促進法34条〕(平成28年4月施行)

 

<公正な採用選考の取組み>

企業が、学生・求職者らの応募者に対して、どのような採用手続で選考をするかについて法的な規制はありませんが、応募者である学生・求職者の基本的人権は尊重しなければなりません。

そこで、応募者の就職の機会均等が確保されるよう、公正な募集・採用選考が行われることが求められています。

つまり、本人が職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうかを採用基準とし、これと無関係な事項を採用基準としないことが必要です。

具体的には、本籍地や家族の職業など本人に責任のない事項や、宗教や支持政党などの個人の自由であるべき事項など、本人が職務を遂行できるかどうかに関係のない事項を採用基準とすることは許されません。

また、それらの事項を応募用紙や面接などによって把握することも、就職差別につながるおそれがあるため許されません。

 

<「面接シート」を使った採用面接の実施>

面接担当官が採用面接をするにあたっては、あらかじめ「面接シート」を準備しておくことをお勧めします。

「面接シート」には、面接で確認することをすべて網羅して記載しておき、応募者の回答も記入できるようにしておきます。

これを使いながら面接を進めることによって、聞き漏らしを防ぐことができ、効率よく進行することができますし、うっかり余計なことを聞いてしまうことも防げます。

裏面に面接担当官の評価やコメントを記入できるようにしておけば、記憶が新鮮なうちに情報をまとめることもできます。

 

2016.04.01.

<採用内定の性格>

採用内定の法的性格は、それぞれの具体的事情により異なりますが、採用内定通知のほかに労働契約締結のための意思表示をすることが予定されていない場合には、採用内定により始期付解約権留保付労働契約が成立したと認められます。

 

始期付=働き始める時期が決まっていること

解約権=契約を無かったことにできる権利

留保付=効力を残して持ち続けること

始期付解約権留保付労働契約=すぐに働き始めるのではなくて、いつから働き始めるかが決められていて、しかも、場合によっては契約を無かったことにできる権利が残されたまま成立している労働契約

 

<内定取消>

採用内定取消は解雇に当たり、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。〔労働契約法16条〕

採用内定取消が有効とされるのは、原則的には、次の2つの条件を満たす場合に限られると考えられます。

・採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること。具体的には、契約の前提となる条件や資格の要件を満たさないとき、健康状態の大幅な悪化、採否の判断に大きく影響する重要な経歴詐称、必要書類を提出しないなど手続きへの非協力的態度、その他の不適格事由などが考えられます。

・この事実を理由として採用内定を取消すことが、解約権留保の趣旨と目的に照らして、客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合であること。

 

<内定辞退>

内定辞退は学生・労働者側からの行為になります。

内定辞退の場合には、すでに労働契約は成立しているものの、民法の規定により「雇用の期間を定めなかった時はいつでも解約できる」とされているので、基本的には認められることになります。

ただし、労働契約を解約することはできても、一方的な解約が信義に反し不誠実な場合には、会社側から損害賠償の請求をすることも考えられます。

もっとも、損害と内定辞退の因果関係や損害額を立証することは難しく、立証できても大きな金額とはならないので、実際に損害賠償を求めた判例は見当たりません。

 

2016.03.30.

<明示の内容についての法規制>

ハローワークの求人票や求人情報誌の求人広告には、求職者の知りたい情報が詳しく明確に記載されていることが重要です。

このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に書面や電子メールなどで明示すべき労働条件が、次のように定められています。〔職業安定法5条の3〕

・労働者が従事すべき業務の内容に関する事項

・労働契約の期間に関する事項

・就業の場所に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項

・賃金の額に関する事項

・健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項

なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件と明示の方法についても法定されています。〔労働基準法15条〕

また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています。〔労働契約法4条〕

 

<委細面談>

ではなぜ、飲食店などの店頭に「アルバイト急募!委細(いさい)面談」というような、中身の全然わからないハリガミが貼ってあったりするのでしょうか?

実は、求人広告にいろいろな事項を明示する義務はあるものの、「できる限りやりましょう」という努力義務に過ぎないのです。

つまり、違反しても罰則はありません。

ですから倫理観を欠くブラック企業や、いちいち細かいことまで書くことを面倒に思う使用者は、書きたい範囲内で書いているというのが実態なのです。

ただ、採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

ということは、求職者としては求人広告は応募のキッカケに過ぎないのであって、採用面接の際に示された労働条件を詳細にチェックする必要があるということなのです。

 

2016.03.27.

<公正な採用選考の基本は?>

採用選考に当たっては、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力のみを基準として行うことが基本です。

この基本から外れた採用面接を行ってしまうと、応募者からの口コミで会社の評判が落ちてしまうこともあります。

 

<セクハラやパワハラは厳禁>

セクハラやパワハラとなる発言は、確実に避けなければなりません。

応募者に対して、セクハラなどが横行する会社であるという印象を与えることになります。

 

<思想信条にかかわる事項>

宗教、支持政党、人生観、生活信条、尊敬する人物、購読新聞・雑誌・愛読書などに関することは、面接で聞いてはいけません。

 

<応募者に責任のない事項>

応募者の努力で改善できないことを尋ねるのは人権侵害にあたります。

たとえば、本籍・出生地に関すること、家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)、生活環境・家庭環境などに関することも、面接で聞いてはいけません。

採用が決まってから、社会保険の手続きなどに必要な範囲内で申告させるようにしましょう。

 

2016.02.18.