建設業の人材確保・育成に向けて(令和5年度予算案の概要)

2023/04/21|1,287文字

 

<令和5年度予算案の重点項目>

令和4(2022)年12月26日、厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため、令和5年度予算概算要求の概要を取りまとめ公表しました。

その冒頭で、建設業の現状と必要な施策について、次のように述べています。

建設業の技能者の約3分の1は55歳以上となっており、他産業と比べて高齢化が進行しています。

このような中、建設業が引き続き「地域の守り手」として重要な役割を果たしていくためには、将来の建設業を支える担い手の確保が急務となっています。

特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革をさらに促進し、魅力ある職場環境を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要です。

 

<令和5年度予算案の概要のポイント>

3つの重点事項で、厚生労働省と国土交通省の予算を取りまとめたとしています。

 

1.人材確保:建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組を実施

・建設事業主等に対する助成金による支援 76.4億円

・建設産業の働き方改革の実現 185百万円

・建設技能者のスキル向上・処遇改善に向けた建設キャリアアップシステムの導入促進事業 550百万円

 

2.人材育成:若年技能者等を育成するための環境整備

・中小建設事業主等への支援 4.8億円

・建設産業の働き方改革の実現(再掲)185百万円

・建設技能者のスキル向上・処遇改善に向けた建設キャリアアップシステムの導入促進事業(再掲)550百万円

 

3.魅力ある職場づくり:技能者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備

・働き方改革推進支援助成金による支援 68.4億円

・働き方改革推進支援センターによる支援 36.7億円

・建設産業の働き方改革の実現(再掲)185百万円

・建設業許可の申請手続き等の電子化の推進 115百万円

 

<ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援>

厚生労働省は、特にハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援を拡充するとしています。

・医療・福祉、建設、警備、運輸などの雇用吸収力の高い分野へのマッチング支援を強化するため、ハローワークに「人材確保対策コーナー」を設置し、関係機関等と連携した人材確保支援を実施する。

・「人材確保対策コーナー」においては、求人者への求人充足に向けた助言・指導、求職者に対する担当者制によるきめ細かな職業相談・職業紹介、関係機関、業界団体等との連携によるセミナー、事業所見学会、就職面接会等を開催する。

・「人材確保対策コーナー」を中心に、ハローワーク利用者に対してCCUS制度を周知するとともに、建設業の就職を希望する求職者に対してCCUS登録済み建設事業主の求人情報を提供し、応募を勧奨する。

ここでCCUSとは、建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)の略で、技能者の保有資格・社会保険加入状況や現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積して活用する仕組みをいいます。

CCUSの目的は、技能者の能力・経験等に応じた適正な処遇改善につなげ、技能者を雇用し育成する企業が伸びていける業界環境をつくることによって、若い世代が安心して働き続けられる建設業界を目指すというものです。

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