労働契約法の記事

<労働契約法の規定>

労働契約法8条に、「労働者と使用者との合意で労働契約の内容である労働条件を変更できる」と規定されています。

また、その9条と10条に、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更する場合のことが規定されています。

 

<缶コーヒーなら>

コンビニでいつもの缶コーヒーを買おうとしたら、レジの店員さんから「これは130円の缶コーヒーですが、今月はお店の売上が足りないので、店長から150円で売るように言われています。150円で買っていただけますでしょうか」と言われたとします。これに応じて150円で買う人は少数派でしょう。

「嫌です。130円で売ってください」と言ったり、別のコンビニに買いに行ったりという反応が想定されます。

こんなお店には、レジの店員さんに対して「これは130円の缶コーヒーだが、今月はお店の売上が足りないそうだから、120円にしてくれたら3本買おう」と言うお客様が来るかもしれません。

 

<給与だと>

給与明細書を見たら、支給額が大幅に減額されていたとします。上司から「あなたの基本給は25万円だけれど、最近は会社の利益が減少傾向にあるので、社長から基本給は20万円で我慢するように言われています。今月も頑張って働いてくれるかな」と言われたとします。

「嫌です」と言えば、「それじゃクビだ!」と言われるかもしれません。もちろん、不当解雇なら会社と争うこともできるでしょう。

しかし今日辞めて、明日から別の会社で働き始めるのは、予め準備していなければできることではありません。

反対に労働者の側から「基本給を5万円上げてくれないと、明日から出勤しません」というのも、余程の自信がない限り言えないことです。

 

<不利益変更禁止が強調される理由>

缶コーヒーの売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約が成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことと言えます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2017.08.16.解決社労士

<客観的事実なら>

従業員が休日に事故にあった、取引先が火災に見舞われた、災害により原料の供給が途絶えたなど、会社が関与していない原因により発生した事実については、なるべく早く社内に伝達すべきです。

その事実に対し、会社として、個人として、どのように対応すべきかについて、なるべく早く検討を開始する必要があるからです。

事実の伝達が遅れれば、遅いことについて、会社側が非難されてしまいます。

 

<会社の判断が絡むことなら>

これに対して、会社側の判断によって、一部の店舗や営業所を廃止する、パート社員の雇用契約を更新しない、賞与の支給を見送るなどの場合には、単純にその事実を伝えただけでは、関係する従業員から反発を招き、不信感を抱かれます。それだけではなく、社外の無関係な人々からも非難されることになります。

こうした場合には、その事実の理由や原因を突き詰めて説明する必要があるのです。

 

<一部の店舗を廃止する場合>

その店舗の売上が不振だから、経営の合理化が必要だからというように、直接の理由を示すだけでは不十分です。到底、納得できるものではありません。

ある店舗の周辺で再開発が進むことによって、人の流れが変わってしまい、顧客の減少を食い止めることはできない。会社には、その店舗の赤字経営を続ける余裕は無く、一度閉店して力を蓄え、集客の期待できる場所に改めて出店を考えることにしたなどと、納得のいく説明が必要なのです。

従業員にこうした説明をすることによって、その店舗をご愛顧いただいていたお客様にも納得のいく説明が伝わることでしょう。

 

<パート社員の契約打切りの場合>

会社の経営が不振だから、景気が悪くなったからというように、一般的な理由を示すだけでは不十分です。「なぜ、あなたの契約が打切りになるのか」という具体的な説明が無ければ、到底、納得できるものではありません。

原材料の相場が上昇し、会社は仕入先と共に努力を重ねてきたが、それでもなお利益率が15%低下し、人件費を3割程度削減しなければならなくなった。そこで、次のような基準を立てて一部のパート社員の契約を更新しないこととしたのだが、あなたはこの基準にかかってしまった。

このようなしっかりとした説明をすることによって、対象となるパート社員に理解を求めることができるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも会社のやろうとしていることが、違法であったり、従業員から賠償を求められるようなことであったりすれば、どんなに上手な説明も虚しいだけです。

特に人に絡むことについて決断する場合には、念のため、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.08.解決社労士

<労働契約>

ある人が、ある会社に「会社の指示で働きます」と約束して、会社がその人に「それなら給料を払います」と約束すれば、これが労働契約です。

契約の中には、特別な方式を必要とするものもありますが、労働契約は口約束でも成立します。

しかし労働契約は、人の自由や生活を大きく左右する重要な契約です。ですから、働く人を保護するためにも、雇う側は「どういう条件で働くのか」を書面の交付などによって示す義務があります。

中には、この義務を果たさない会社もあって、さまざまなトラブルを生じています。

 

<契約の成立>

誰かと取引するときには、どんな条件で取引するのかという約束をします。この約束が「契約」です。契約書を作らずに、こうしよう、ああしようと口約束をしただけでも、契約は成立します。

自動販売機で缶コーヒーを買うのは売買契約です。このときには、口約束すらありません。

そして、契約が成立すれば、お互いにその内容を守らなければなりません。もし、相手が契約に違反したら、きちんと守るように求めたり、違反によって発生した損害賠償を請求したりすることができます。

逆に、自分が違反すれば、相手から契約を守るよう求められたり、損害賠償を請求されたりします。

ですから、契約で何が決まっていたかということは、自分が相手に対して何を要求できるか、あるいは自分が何をしなければならないのかを決めるための、大事な基準となるのです。

自動販売機で缶コーヒーを買ったのに出てこなかったら、そして投入したお金も戻ってこなかったら、当然に返金を請求できるわけです。このことは、自動販売機にお金を投入する前から決まっていたわけです。

 

<労働者の保護>

労働契約を結ぶと、労働者として法律による特別な保護を受けることができるようになります。

ここが「業務請負契約」や「業務委託契約」などとは違うところです。もちろん、契約書のタイトルが「業務請負契約書」や「業務委託契約書」であっても、実質的な内容が労働契約であれば、労働契約としての効力を持ちます。

そして労働契約が成立したら、その内容を勝手に変えることはできません。

労働契約で、給料の額や出勤日・出勤時間、担当する仕事、働く期間などの労働条件が決まっていれば、労働者も雇い主も、その条件を一方的に変えることはできないのが原則です。

もし、労働契約で決められている労働条件を変更したければ、相手にお願いして、契約内容を変更することに同意してもらわなければなりません。同意が無ければ、今まで通りの労働条件で仕事をすることになります。

ですから働き始めた後で、労働条件について、労働者と雇い主で意見の違いやトラブルが発生したときには、労働契約でどう決まっていたかということが、とても重要になるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働条件をどのように定めたら、働く人と雇い主にとって都合が良いのか、またトラブルを未然に防げるのか、さらに違法や不当の問題を避けられるのかについては、信頼できる社労士にご相談ください。

万一、トラブルになってしまった場合でも頼りになります。当事者の主張内容を法的観点から整理し、その正当性、反論可能性を明らかにしたうえで、実体と証明の両面からのご対応をご提案いたします。人の感情に配慮して、お互いに怨みを残さない解決を目指すのが社労士の使命です。

 

2016.12.24.

<採用内定の性格>

採用内定の法的性格は、それぞれの具体的事情により異なります。しかし一般には、採用内定通知のほかに労働契約締結のための意思表示をすることが予定されていないことを前提として、採用内定により始期付解約権留保付労働契約が成立したものとされます。

始期付解約権留保付労働契約というのは、すぐに働き始めるのではなくて、いつから働き始めるかが決められていて、しかも、場合によっては契約を無かったことにできる権利が残されたまま成立している労働契約のことをいいます。

 

<採用内定取消が許される場合>

採用内定取消は解雇にあたります。ですから、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。〔労働契約法16条〕

採用内定取消が有効とされるのは、原則的には、次の2つの条件を満たす場合に限られると考えられています。

・採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること。具体的には、健康状態の大幅な悪化、採否の判断に大きく影響する重要な経歴詐称などが考えられます。

・この事実を理由として採用内定を取消すことが、解約権留保の趣旨と目的に照らして、客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合であること。つまり、世間一般の常識から客観的に判断して、やむを得ない事情があるといえる場合であることが必要です。

 

2016.10.17.

<内定者の立場は?>

内定者については、働き始める時期までに、どういう事情が発生したら会社が内定を取り消せるのか、採用内定の時にあらかじめ決まっているのが一般です。

まだ正式に採用していないから自由に取り消せるというものではありません。

そしてまだ決定していない配属先で、業務上自動車の運転をする可能性があり、内定取消理由の一覧に運転免許取消が掲げられている場合には、多くの場合、運転免許取消を理由とする内定取消に合理性が認められます。

 

<内定取消の理由として明示されていない場合>

一般には、運転免許取消が内定取消の合理的な理由になるとは限りません。運転免許を保有していなくても、その職場で普通に勤務している人はたくさんいるハズですから。

ただし、運送会社で配送の仕事に就くことを予定して、あるいはタクシー乗務員として勤務する予定で、採用が内定しているという場合、内定の取消理由として明確に示されていなくても、内定取消に合理性が認められます。

この場合には、採用されてもすぐには勤務できないことになりますから、信義則上、内定取消が認められないと不都合だからです。

つまり、内定者は自動車を運転する仕事に就くにあたって、安全運転を心がけ、万が一にも運転免許の取消など受けることのないよう、最大限の注意を払う道義的な責任を負っているということです

 

しかし、それでも自分の場合には納得がいかないというかたは、信頼できる特定社労士(特定社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.14.

<新人を大切にしたい思い>

せっかく正社員として採用した新人が、今一つ自主性が足りないとか、仕事の覚えが悪いとか、試用期間が終わっても本採用に踏み切れないときがあります。

こんなとき、本人と相談して、試用期間をあと1か月だけ延長して様子を見たらどうでしょう。

社員に優しい、新人を大切にする会社のイメージでしょうか。

 

<労働法の世界では>

求人広告に「試用期間3か月」と書いてあったのに、実際には1か月延長して4か月になったなら、その求人広告はブラック求人とされても反論できません。

就業規則に「3か月の試用期間の後、本採用とする」と書いてあったのに、4か月に延長したら、ブラック企業と言われるかもしれません。

試用期間延長の話のときには喜んで同意した人でも、試用期間を延長したあげく、本採用にならなかったら、家族や労基署に相談するかもしれません。

おそらく試用期間と本採用後では、給与などの処遇にも差があるでしょうから、試用期間の延長は、それだけを見ると労働者に不利益な扱いです。こんなとき、労働法の世界では、「本人の同意」は原則として効力を否定されてしまいます。

 

<それでも時には延長したいなら>

就業規則には「試用期間経過後に本採用の条件を満たしていない場合には、会社から試用期間の延長を提案することができ、本人の同意のもと最大6か月間にまで延長できるものとする」という規定を置いておけば、このルールに基づく延長であると説明できます。

もっと大事なのは、「本採用の条件」を書面で明らかにしておくことです。たとえば、一般事務であれば「次の条件を満たしていない場合には、本採用としない。1.他の社員と明るく元気にあいさつしていること。2.無遅刻無欠勤であること。3.電話応対が自部署の他の社員と同等にできること。」といった内容を、説明のうえ新人に渡しておきます。

そして、1か月後、2か月後にできているかどうか、面談をして確認します。

ここまでして試用期間終了のかなり前に、「これができていないので、試用期間を延長したいがどうか」という提案をすれば、結果的に本採用に至らなくてもあきらめがつくでしょう。

 

2016.07.20.

<結論として>

勤務時間に見合った通常の給与を支払えば、休職者の意思に反して勤務させるのでない限り違法ではありません。

ノーワーク・ノーペイの原則から、会社は休職中の給与を支払う義務がありません。しかし、休職中に必要があって勤務した場合には、その勤務時間に見合った通常の給与を支払わなければなりません。

 

<休職者の合意の有無>

育休中の勤務のように、事前にある程度出勤の予定が立てられる場合には、会社と休職者とで話し合って、出勤日や時間を予定することができます。この予定に従って勤務してもらう分には、休職者の事前の合意があるので、原則として問題がありません。

しかし、会社側が急な必要を感じて、休職者に出勤を要請する場合には、休職の趣旨から当然に休職者の合意が必要と考えられます。

 

<法の規定>

たとえば、雇用保険の育児休業給付金では、就業している日数が支給単位期間(1 か月ごとの期間)ごとに10 日(10 日を超える場合は就業していると認められる時間が80 時間)以下であることが、支給要件とされています。

つまり、育児休業中であっても、ある程度の勤務は想定の範囲内とされていることになります。

ただ、健康保険の傷病手当金や出産手当金などでは、報酬の一部を受けることができる場合の差額支給のルールが定められています。この場合には、休職者に不利とならないように勤務してもらう配慮が必要でしょう。

 

2016.07.15.

<派遣労働者>

派遣労働者は、労働者派遣法で定められた正式名称です。

労働者派遣とは、労働者が人材派遣会社(派遣元)との間で労働契約を結び、派遣元が労働者派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に労働者を派遣して、労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くというものです。

特徴として、労働者に賃金を支払う会社と指揮命令をする会社が異なるという複雑な労働形態となっていることから、労働者派遣法が派遣労働者のための細かいルールを定めています。

労働者派遣では、法律上の雇い主は人材派遣会社です。ですから、事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処しなければなりません。しかし、実際に指揮命令をしている派遣先が全く責任を負わないというのは不合理です。そこで、労働者派遣法が派遣元と派遣先との責任分担について定めています。

 

<契約社員(有期労働契約)>

契約社員は、法律上の名称ではないので、その意味も会社によって違います。

正社員と違って、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている場合があります。このような期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。

 

<パートタイム労働者>

パートタイム労働者は、正式名称ではありません。パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます。

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます。「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法の「短時間労働者」となります。

パートタイム労働者を雇用する使用者は、パートタイム労働法に基づき、公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務づけられています。

また、労働者を雇い入れる際、使用者は、労働条件を明示すること、特に重要な条件については文書を交付することが義務付けられていますが、パートタイム労働法では、昇給・退職手当・賞与の有無についても文書の交付などによる明示を義務づけています。

 

<短時間正社員>

短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて、その所定労働時間(所定労働日数)が少ない正社員であって、次のどちらにもあてはまる労働者をいいます。

・期間の定めのない労働契約を結んでいる。

・1時間あたりの基本給および賞与・退職金などの算定方法などが同じ事業所に雇用される同種のフルタイムの正社員と同等である。

このような働き方を就業規則に制度化することを指して、「短時間正社員制度」と呼んでいます。

短時間正社員制度の導入には、優秀な人材の獲得や社員の定着率の向上、採用コストや教育訓練コストの削減、社員のモチベーションアップ、外部に対するイメージアップといったメリットがあります。

 

<業務委託(請負)契約を結んで働く人>

正社員や派遣労働者、契約社員、パートタイム労働者、短時間正社員などは、「労働者」として、労働基準法など労働法の保護を受けることができます。

ところが、「業務委託」や「請負」といった形態で働く場合には、注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。

ただし、「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、その働き方の実態が、注文主の指揮命令を受けるなどによって「労働者」であると判断されれば、労働基準法など労働法の保護を受けることができます。

 

<家内労働者>

家内労働者とは、委託を受けて、物品の製造または加工などを個人で行う人をいいます。家内労働者は「事業主」として扱われますが、委託者との関係が使用者と労働者の関係に似ていることから家内労働法が定められていて、委託者が家内労働者に仕事を委託する場合には、家内労働手帳の交付や最低工賃の順守など、家内労働法に基づいた対応が求められます。

 

<在宅ワーカー>

在宅ワーカー(在宅就業者)とは、委託を受けて、パソコンなどの情報通信機器を使用してホームページの作成などを個人で行う人をいいます。在宅ワーカーも「事業主」として扱われますが、委託者に対して弱い立場に置かれやすいため、在宅ワーカーに仕事を委託する場合には、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を踏まえた対応が求められます。

 

2016.07.11.

<実例として>

ハローワークの求人票を見て、企業に面接の申し込みをして、面接を受けたとき「うちの条件はこれです」といって出された内容が、求人票の中身と違っていたというパターンです。

よくあるのは、正社員の募集に応募し、面接のときに出された雇用契約書には「期間3か月の契約社員。正社員登用の可能性あり」と書いてあったというものです。

 

<求人広告の性質>

労働契約も契約の一種ですから、「申込」と「承諾」の合致によって成立します。

もし、ハローワークの求人票や求人広告が「申込」であれば、求職中の人がこれに「承諾」すれば、それだけで労働契約成立です。しかし、そうではないですね。採用選考を経て採用が決まるわけです。

じつは、求人広告は「申込」ではなくて、「申込の誘因」なのです。求職者からの「申込」を誘っている広告にすぎません。この広告に魅かれて、求職者が応募すると、求人を出している企業が、その中から気に入った人を採用します。これで労働契約が成立します。

具体的な労働契約の内容は、求人広告ではなくて、雇用契約書、雇い入れ通知書、労働条件通知書など、企業が労働者に交付を義務づけられている書類の内容で確認されます。

 

<ブラック求人の恐怖>

ブラック企業では「求人広告は宣伝だからうまく応募者を集めるテクニックを使うのだ」という認識で、ウソだらけのブラック求人を出していることがあります。

ですから、広告は広告に過ぎないという認識で、採用面接のときに出された条件が、本当の労働条件なのだということを忘れず、きちんと確認しましょう。

そして、求人広告と実際の労働条件が違っていれば採用を辞退し、求人広告を出した広告会社や求人票を出したハローワークにクレームを言っておきましょう。

 

2016.05.29.

<予定外の長期入院で月給が下がるのは>

月給制の従業員が入院したら、入院期間に応じて毎月少しずつ基本給が下がっていくシステムというのは聞いたことがありません。

これでは、会社の従業員に対する冷たさが見え見えです。そういう会社では働きたくないです。

また、不合理であり社会通念上も相当性がないので、法的に許されない不利益変更となります。

 

<年俸制なら許されるのか>

ではなぜ「年俸制の従業員が長期入院したとき年俸を下げてもよいのか」という疑問が出るのでしょうか。

これは、年俸が過去の実績を踏まえつつ、今後1年間でどれだけ会社に貢献してくれそうかという予測評価に基づいているためでしょう。

プロ野球の選手は、一般の労働契約とは違うと思いますが、サラリーマンにも応用できそうだということで、年俸制を採用している会社があります。

そして一度決めた年俸は、長期入院にもかかわらず、会社から支払いが続くというものです。

しかし、これは会社が独自に決めたルールです。年俸制なら欠勤控除できないという法令の規定はありません。そもそも、労働基準法などに年俸制の規定はありません。

予想外の長期入院が発生したときに不都合を感じるような給与支払いのルールを作っておいたことが失敗なのです。

 

<ではどうしたらよいのか>

年俸制であっても、労働基準法の縛りがあります。毎月1回以上定期に賃金を支払わなければなりません。残業手当、深夜手当、休日出勤手当も支払う必要があります。

しかし、欠勤控除してはいけないというルールはありません。実は法令には規定がないのですが、労働契約の性質から「労働者が働かなければ会社に賃金の支払い義務はない」という「ノーワークノーペイの原則」があります。

欠勤控除しないのは、会社がそういうルールにしているからです。

ですから、年俸制を実施している会社で、就業規則に欠勤控除の規定がなければ定めればよいのです。もちろん、就業規則がないのなら一から作る必要があります。

ただし、長期入院にもかかわらず、通常の賃金を支払い続けていたという例が過去にあった場合には、就業規則の不利益変更が疑われます。この場合には、弁護士や社会保険労務士などの専門家と、所轄の労働基準監督署に相談しながら慎重に事を進める必要があります。

 

2016.05.24.

<労働契約法ができた理由>

労働契約法は、労働契約に関する基本的な事項を定める法律です。平成19年12月5日公布、平成20年3月1日施行ですから新しい法律です。

個別労働紛争での予測可能性を高めるためにできました。個別労働紛争というのは、労働組合がからまない「会社と労働者個人との間の労働紛争」です。

労働基準法をはじめとする数多くの労働法は、その内容が抽象的なこともあり、労働紛争が裁判になったらどんな判決が出るのか、条文を読んでもよくわからないケースが増えてしまいました。そこで、数多くの裁判例にあらわれた理論を条文の形にまとめたのが労働契約法です。

個別労働紛争が発生したり、発生しそうになったときに、読みにくい判決文を参照しなくても、労働契約法を読めば裁判になったときの結論が想定しやすくなるのです。

 

<労働法の特色>

労働法というのは、労働関係や労働者の保護についての法令の総称です。もともと民法の契約自由の原則が適用されていた労使関係について、労働者の生存権という法理念による修正をする法体系です。

使用者と労働者との関係を形式的に見れば、契約の当事者であり平等な立場ですから、労働契約も他の契約と同じように当事者の自由な話し合いに任せればよいということになります。これが契約自由の原則の考え方です。

ところが現実の資本主義経済では、労働者の立場が非常に弱く憲法25条の保障する生存権がおびやかされてしまいます。そこで、法律が労働者を保護するようになりました。この労働者保護が労働法の基本理念になっています。

 

<労働契約法の目的>

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。〔労働契約法1条〕

これが労働契約法の目的ですが、「労働者と使用者の自主的な交渉」に任せていては「労働者の保護」は図れないようにも思われます。

 

<労働契約法の5原則>

労使対等の原則=労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。〔3条1項〕

均衡考慮の原則=労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。〔3条2項〕

仕事と生活の調和への配慮の原則=労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。〔3条3項〕

信義誠実の原則=労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。〔3条4項〕

権利濫用の禁止の原則=労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。〔3条5項〕

 

<労働契約法の役割>

労働基準法には「使用者は、」で始まる条文が多く、使用者だけに罰則が適用されるのですが、労働契約法には「労働者及び使用者」ということばが多く、罰則規定はありません。

労働契約法は、民法の特別法としての性格を持つため、労働基準監督官による監督・指導は行われず、行政指導の対象ともなりません。

たとえば使用者に安全配慮義務〔5条〕の違反があって、労働者が労働基準監督署に相談しても、指導してもらうことはできないのです。

この法律は、あっせん、労働審判、訴訟での基準を示しているにすぎません。

結局、労働契約法が労働者を保護する役割は、かなり限定されていると考えられます。

 

2016.05.06.

<行政通達とは>

行政通達は、行政機関が行政上の取扱いの統一性を確保することを目的として定める指針です。その内容は、法令の解釈、運用・取扱基準や行政執行の方針などです。

 

<労働法の世界での行政通達の役割>

労働法の世界では、労働者を保護するための法令が多数制定されています。

しかし、現実の世界で生じる具体的な問題や紛争のすべてをカバーすることはできません。法令が予定していないことも起こるのです。

また、法令というのは、抽象的な表現を多く含んでいます。そのため、いくつもの解釈ができてしまうことがあります。これでは、法令の適用によって労働者と使用者の両方が納得する結論を出すことができません。

そのため、行政機関が法令の解釈・運用・取扱基準を示すことがあります。これは「行政通達」の形をとることが多いのです。

 

<行政通達の効力>

あくまでも行政機関内部の指針です。国民の権利・義務を直接に規制するものではありません。しかし、たとえば労働基準監督署が企業を指導する場合には、行政通達の基準に従って指導します。ですから、事実上の強制力をもっていると考えられます。

 

<行政通達に逆らえるのか>

たとえば、行政通達そのものの効力を争って、企業が裁判を起こしても門前払いとなります。

しかし、行政通達に従った指導によって、企業が不当な損害をこうむった場合には、国家賠償を求める形で争うことはできます。

反対にいえば、企業はそこまでする気がないのなら、行政通達に基づく指導に従わざるをえないということです。

 

2016.05.04.

<よくあるパターン>

正社員として月給20万円で採用、ただし3か月間は試用期間で月給15万円とするなどのパターンは多いですね。ここで、試用期間は時給1,000円の契約社員とするのならよいのですが、月給の時間単価が最低賃金を下回るというのは法令違反です。「月給÷所定労働時間」を計算して確認しておきましょう。

 

<試用期間終了で雇用契約終了>

4月から6月まで試用期間の新人が、どうも会社の正社員としての要件を満たしていないので、辞めていただこうという場合、6月に入ってから「本採用はありません。試用期間の終了をもって退職していただきます」という話をすると、解雇予告手当の支払いが必要となります。解雇予告手当の支払いを避けるには、5月中に見極めて通告することが必要です。

ただし、14日以内に見極めて解雇を通告する場合には、解雇予告手当の支払いが不要です。しかし、14日以内に見極めのつくかたを採用するのは例外でしょう。採用の失敗ともいえます。

 

<試用期間の延長>

ブラック企業が、人件費を削減するために、試用期間の延長を繰り返して、安い給料の支給を続けることがあります。

そうではなくて、「人物的にはいいけれど、ミスが多いのと、報告を忘れるのが気になる」などの理由で、もう少し様子を見たいということがあります。この場合に、ご本人と面談して、試用期間の終了をもって辞めるか、試用期間を1か月延長するか相談し、試用期間の延長を選んだとします。

それでも、やはり正社員にするには能力不足を感じるので辞めていただいたとします。すると、一方的に試用期間を延長されたことに対する慰謝料の請求などで訴えられる恐れがあります。訴訟になれば、客観的な証拠がものをいいますから、いつどんなミスをしたか、いつどんな報告を忘れたか、いつ試用期間延長の話をして、どのように同意したのかなどなど事実の記録を詳細に残しておかないと、会社が敗訴する可能性が高まります。

 

<社会保険の加入は?>

試用期間の初日から、厚生年金や健康保険に入るのが法律の定めです。

これを避けるためには、試用期間ではなくて2か月限定の有期労働契約とすることです。そして、この2か月間の勤務成績が優秀であれば、正社員に抜擢することがあるというのなら、正社員になったときから社会保険加入でかまいません。しかし、2か月の有期契約で採用されることを希望するかたは稀でしょう。

また、これを繰り返して正社員抜擢が当たり前になれば、実質的に最初から正社員として採用していることになり、初めから社会保険に入らなければなりません。

 

<試用期間クリアの基準>

試用期間終了後に本採用するかどうかの基準が、「正社員としてふさわしい」などの抽象的な基準だと、それ自体が争いの種になります。基準を満たしているかどうかの判断が、客観的にできないからです。

採用にあたっては、「遅刻・欠勤しないこと。社員・お取引先・お客様には明るく元気にあいさつすること。電話応対が同僚と同レベルでできること。」など、試用期間クリアの基準を、書面にまとめて説明し渡しておくことをお勧めします。

なかには、この基準をクリアする自信のないことを理由に、採用を辞退するかたもいるでしょう。それはそれで、無駄な採用をしなくて済んだことになります。

また、無理に試用期間を延長して、トラブルになることも防げると思います。

 

2016.05.01.

<解雇無効の主張>

試用期間中に時間が守れない、パソコンも使えない、当然本採用は見送りということで、試用期間終了をもって退職とした社員の代理人から「解雇は無効であり労働者の権利を有する地位にあることの確認を求める」という内容証明郵便が会社に届くということがあります。

ネット上でも、こうした情報が増えるにつれ、不当解雇の主張も増えているようです。

「いや、うちの会社はすべての新人に試用期間を設け、試用期間の評価によっては本採用とならず退職となることをきちんと説明している」と言っている会社が、実際に解雇無効を主張される結末になっているのです。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(試用期間)

第6条 労働者として新たに採用した者については、採用した日から  か月間を試用期間とする。

2 前項について、会社が特に認めたときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。

3 試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第49条第2項に定める手続によって行う。

4 試用期間は、勤続年数に通算する。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

この条文は、次のことを言っています。

・試用期間を○か月とするが、短縮したり無しにすることがある。(しかし、延長は無い。)

・入社して14日を超えた人を解雇するときは、第49条2項に定める手続き(30日以上前の予告、解雇予告手当)が必要である。

この「第49条2項」というのがクセ者です。そんなに後の方に書いてあることは読まずに済ませてしまう危険があるのです。

 

<注意書き>

実は、厚生労働省のモデル就業規則には、次のような注意書きがあります。

試用期間中の者も14日を超えて雇用した後に解雇する場合には、原則として30日以上前に予告するか、又は予告の代わりに平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要となります(労基法第20条、第21条)。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに手抜かりは無いのです。

ところが、専門家ではない人が、この大事な注意書きを読み飛ばしてしまいます。その結果、思わぬ事態を招いてしまうのです。

 

<実例として>

新入社員のAさんが、就業規則で定めた3か月の試用期間終了近くなっても、電話応対がきちんとできません。同じ職場のメンバーの顔と名前が覚えられず、自分から挨拶できません。

社長が「せっかく入社したのだからもう少し様子を見よう」という特別の計らいで、もう1か月だけ試用期間を延長したのですが、結局、Aさんは不適格者ということで、解雇となってしまいました。

「大変ご迷惑をおかけしました」と挨拶して会社を去っていったAさんの代理人から「解雇は無効である。一方的に試用期間を延長されたことに対する慰謝料も支払え。」などという内容証明郵便が届きます。

この場合、会社としては就業規則に無い試用期間の延長や、解雇予告手当を支払わずに解雇したことについて、法令違反や就業規則違反があったのです。

 

<こうすればOK>

こうした困ったことにならないようにするには、2つのポイントがあります。

1つは、試用期間を定めたら延長しないこと。そのためには、本採用とするための条件を書面で明らかにして、会社と新人とが保管することです。たとえば「遅刻・欠勤が無いこと。明るく元気に挨拶すること。基本的な電話応対を身に着けること。身だしなみを整えること。業務の報告は確実に行うこと。」などです。試用期間内にクリアする条件を明確にすれば、温情的な延長も防げます。

もう1つは「ちょっと無理かな」と思ったら、試用期間が終わるまで待たないで、14日以内に解雇することです。長引けば、その新人の転職のチャンスも遠くなります。

もちろん、こうしたドライな対応をする前提として、募集選考・採用の精度は高めておかなければなりません。試用期間中の教育訓練も、スケジュールに沿って着実に行わなければなりません。

何事も最初が肝心なのです。

 

2016.04.12.

<採用内定の性格>

採用内定の法的性格は、それぞれの具体的事情により異なりますが、採用内定通知のほかに労働契約締結のための意思表示をすることが予定されていない場合には、採用内定により始期付解約権留保付労働契約が成立したと認められます。

 

始期付=働き始める時期が決まっていること

解約権=契約を無かったことにできる権利

留保付=効力を残して持ち続けること

始期付解約権留保付労働契約=すぐに働き始めるのではなくて、いつから働き始めるかが決められていて、しかも、場合によっては契約を無かったことにできる権利が残されたまま成立している労働契約

 

<内定取消>

採用内定取消は解雇に当たり、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。〔労働契約法16条〕

採用内定取消が有効とされるのは、原則的には、次の2つの条件を満たす場合に限られると考えられます。

・採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること。具体的には、契約の前提となる条件や資格の要件を満たさないとき、健康状態の大幅な悪化、採否の判断に大きく影響する重要な経歴詐称、必要書類を提出しないなど手続きへの非協力的態度、その他の不適格事由などが考えられます。

・この事実を理由として採用内定を取消すことが、解約権留保の趣旨と目的に照らして、客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合であること。

 

<内定辞退>

内定辞退は学生・労働者側からの行為になります。

内定辞退の場合には、すでに労働契約は成立しているものの、民法の規定により「雇用の期間を定めなかった時はいつでも解約できる」とされているので、基本的には認められることになります。

ただし、労働契約を解約することはできても、一方的な解約が信義に反し不誠実な場合には、会社側から損害賠償の請求をすることも考えられます。

もっとも、損害と内定辞退の因果関係や損害額を立証することは難しく、立証できても大きな金額とはならないので、実際に損害賠償を求めた判例は見当たりません。

 

2016.03.30.

<ブラックとは?>

ブラックは、自分が身を置く社会関係の中で、道義的に求められていることをせず、自分(自分たち)のやりたいようにしてしまう人(企業)であると定義します。

これは、他人から自分(自分たち)への干渉を極端に嫌う、自己中心的で無責任な態度です。倫理観が欠如していて、正しく行動することについては消極的で無気力です。

 

<ブラック求人の実態>

労働条件が実態と異なる求人広告を「ブラック求人」といいます。

働き手を募る広告は、募集企業と求職者との社会関係の中で、その内容が正しく実態を示していることが道義的に求められています。

ところが、ハローワークの求人票を含め、このブラック求人についての苦情や相談は一向に減少しません。

それどころか、ブラック求人を出している企業の間では、ブラック求人を採用のための必要なテクニックであるという、誤った共通認識が生じています。

 

<ブラック求人への制裁は?>

実は、求人広告にウソを書いて出しても、これといって制裁が無いのです。

厚生労働省としても、監視や取締りの強化、ペナルティを設けるなどの有効な対策をとることができていません。

ハローワークの求人票ですら、民間の求人広告会社と同じく、利用者からクレームがあれば、掲載の依頼をした企業に釘を刺すだけです。ですから、「ハローワークの出している求人だから」「○○新聞に載っている求人だから」ということで、そのまま信頼してはダメです。

たとえブラック求人であったとしても、労働契約の際に、正しい労働条件を示していればそれで良しというのが、当局の公式見解のようです。

 

<ブラック求人を信じて採用されるとどうなるか?>

採用にあたって示された労働条件が実際と違っていたらいつでも退職できる、そして、働くために引っ越した労働者は14日以内に帰郷する場合、その旅費を使用者に請求できるという規定があります。〔労働基準法15条〕

ですから、採用にあたって示された労働条件と、実際に働き始めてから判明した労働条件が違えば、退職を申し出る権利が労働者には保障されています。

ところが、求人広告と採用にあたって示された条件が違うことや、求人広告と実際に働き始めてから判明した労働条件が違うことは、労働基準法も想定していません。

結局こうした場合には、労働契約が有効ということになってしまいます。

 

<どうやって身を守るか?>

仕事を探している皆さんは、なかなか仕事が見つからないと、条件を落としてでも就職しようとします。

ですから、良い条件の求人広告を見れば「ここに入社したい」と思います。

それでも、求人広告はあくまでも「広告」なのだということを忘れずに、実際の労働条件は採用面接のときに確認しましょう。

そして、「広告」と違っていたら、採用を辞退しましょう。

「なんか求人広告と違う気がするけど、まぁいいか」と妥協するのは、自己責任ということになります。

 

<万一、引っかかってしまったら?>

ブラック求人を出すような企業は、他にもいろいろとブラックな面を持ち合わせていることが多いものです。

そういう企業で無理に働くようなことはせず、なるべく早く労働法に明るい弁護士や特定社会保険労務士にご相談いただくのが得策だと思います。

 

2016.03.16.

<ダイバーシティ(Diversity)とは?>

ダイバーシティは「人々の間の違い」「多様性」というのが本来の意味です。

日経連の定義は「異なる属性(性別、年齢、国籍など)や従来から企業内や日本社会において主流をなしてきたものと異なる発想や価値を認め、それらを活かすことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し利益の拡大につなげようとする経営戦略。また、そのために、異なる属性、異なる発想や価値の活用をはかる人事システムの構築に向けて連続的かつ積極的に企業が取り組むこと。」となっています。

私の理解では「色々な違いのある人々であっても、同じ職場に平等に受け入れ、一緒に働くからには組織の一員として平等に扱う」ということを、ダイバーシティと言っていると感じます。平等の原理のあらわれであるという理解です。

 

<インクルージョン(Inclusion)とは?>

インクルージョンは「包括」「包含」「一体性」というのが本来の意味です。

「組織内の誰にでもビジネスの成功に参画・貢献する機会があり、それぞれに特有の経験やスキル、考え方が認められ、活用されていること」などと説明されています。

インクルージョンは、ダイバーシティをより発展させた新しい人材開発のあり方であるという説明も良く目にします。

私の理解では「色々な違いのある人々を、同じ職場に平等に受け入れた後は、一緒に働くのであっても、一人ひとりの個性が活かされ独自能力を最大限に発揮できるよう、個性に応じて公平に扱う」ということを、インクルージョンと言っていると感じます。公平の原理のあらわれであるという理解です。

 

<平等と公平>

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

平等な採用をして、公平な処遇をすることによって、一人ひとりが能力を最大限に発揮し企業と共に成長するのは、すばらしいことだと思います。

 

※飯田弘和先生のメルマガを読んで、思っていることを書いてしまいました。

 詳しい説明は、飯田先生のメルマガをご参照ください。

 

2016.02.12.