パワハラの記事

<パワーハラスメントについての法規制>

パワーハラスメントについて、現時点では、特別な法律があるわけではありません。

しかし、職場であっても他者に暴力を振るえば、暴行罪・傷害罪となって刑事上の責任が問われます。〔刑法第208条、第204条〕

また、皆で示し合わせて誰か一人を排除するようなことをすれば、脅迫罪となる可能性もあります。〔刑法第222条〕

さらに、そこまでに達しないような言動でも、常識的に許される範囲を超えて、相手の人格や尊厳を傷つけるものは、被害者への損害賠償責任を発生させます。〔民法第709条〕

 

<上司は部下を叱れないのか>

職場では、業務上の指示や指導の上で、やや厳しい言動が行われることはありますし、労働者本人が不快に感じたからといって、その行動の全部が違法になるわけではありません。

しかし、その行動の目的と手段から見て、通常の企業の中で行われている範囲を超えた業務上の指示や対応であれば、違法なハラスメントになるといえます。

部下や同僚に対し、業務上の必要性もなく、嫌がらせなどの不当な目的で叱責したり、不安を感じさせる対応をしたりすることは、常識的に許されないでしょう。

また、その言動自体は業務の範囲といえるものでも、退職に追い込む、あるいは見せしめなどの目的で、業務上の権限を使うことも許されません。

裁判となった事例では、一人だけ炎天下の作業を命じたり、差別的に業務配分をしたりすることを違法としたケースがあります。

さらに、部下の指導や勤務態度の改善といった正当な目的でなされた行動であっても、暴力を伴う行為は、原則として違法となる犯罪行為です。

たとえ言葉の上での対応でも、その発言の内容が著しく労働者の人格や尊厳を傷つけるものであったり、社会的に許される範囲を超えて継続的になされたりすれば、やはり違法となります。

 

<被害者の取るべき行動>

職場で違法なハラスメントを受けた被害者は、加害者本人に対する損害賠償請求ができます。

また、会社は、職場で行われた加害について、加害者の使用者として、加害者本人と同様の賠償責任を負います。〔民法第715条〕

さらに、労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする労働契約上の責任もありますから、加害行為があることを知りながら適切な対処をしなかったときは、この義務違反による損害賠償責任が発生します。〔民法第415条〕

そして、常識的に許されない業務上のパワーハラスメントによって、健康被害が生じたと認定された場合は、業務災害として労災保険からの給付を受けられます。

社内でのハラスメント被害を止めるためには、抗議できるならば加害者に中止を求めるとともに、一人では対応が難しいようであれば、まずは上司や同僚など、社内の信頼できる方に相談してください。

ただし、上司からの加害について、加害者本人に相談するのは無意味ですから、上司の上司に相談することになります。

刑事責任が発生するようなケースでも、いきなり警察に相談するのではなくて、社内での解決を考えたいものです。

まず社内での解決を目指し、難しい時には、弁護士や社労士といった社外の専門家や警察に相談するのがよいでしょう。

 

2019.10.03. 解決社労士 柳田 恵一

<ジタハラとは>

仕事と生活のバランスが取れるようにし、生産性を向上させるため、働き方改革の一環として、労働時間の削減が推進されています。

ところが、会社によって労働時間が短縮されるのは、労働者にとって苦痛であり、嫌がらせであると感じている人たちがいます。

これが、労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)です。

 

<ジタハラの具体的な被害>

ジタハラを主張する人たちは、次のようなものを被害として挙げています。

正社員では残業手当が減少し、パート社員では労働時間や勤務日数が減少することによって収入が減少します。仕事を急いで全力でこなすことから、ストレスは増加し、人間関係やチームワークも悪化します。現場での指導も不十分になりますから、仕事の完成度も低下します。ケアレスミスも増えます。こうして、従業員のモチベーションが低下し、退職者が増加します。

こなし切れない仕事は、自宅に持ち帰って行うこともあります。自宅での仕事ぶりは見えませんから、評価の対象にはなりません。いきおい人事考課が機能しなくなり、適材適所が困難となる恐れもあります。

一部の企業では、未払残業が発生します。残業手当が支給されない管理職に業務が集中することもあります。毎日残業し、休日も出勤する管理職の姿は、憧れの対象にはなりませんから、昇進を目指して努力するということも減ってしまいます。

一番困るのは、労働時間の短縮がお客様に対するサービスの低下をもたらし、お客様が離れてしまい、業績が低迷することではないでしょうか。

他にも、取引先との商談が減ったり、夜間の連絡が取れなくなったりの不都合が発生します。

 

これほど多くの不都合があるのなら、労働時間の短縮をしてはいけないのでしょうか。

これらは、政府の主導する働き方改革の弊害なのでしょうか。

ジタハラの問題を解決するには、次のような対策が必要です。

 

<副業・兼業の奨励>

労働時間の短縮により収入が減る場合でも、これを補うための副業や兼業が奨励されているのであれば、あとは労働者側の努力次第という説明も可能です。

そもそも職業選択の自由がある以上、プライベートの時間に本業とは別の仕事をするのは労働者の勝手というのが原則です。

もちろん、本業に支障が出たり、企業秘密が漏えいされたり、会社に損害を与えるようなことは許されません。

副業・兼業を許可制にするのは行き過ぎで、せいぜい届出制に留めるべきだと思います。

次のモデル就業規則最新版(平成31(2019)年3月版)を参考に、社内規定を整備してはいかがでしょうか。

 

(副業・兼業)

第68条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

<労働者の主体性>

年次有給休暇について、会社が時季指定義務を果たすには、労働者の意向を汲んで行うことになっています。

ところが労働時間の短縮となると、殆どの場合に、その手段が会社からの押し付けになっていないでしょうか。

労働者に主体性を持たせ、創意・工夫による時間短縮を任せなければ、モチベーションが低下するのは当然です。

労働時間の短縮について労使の話し合いの場を持つ、キャンペーン的に労働者のアイデアを募って、成果の上がったアイデアは表彰するなど、労働者に主体性を持たせる方法はたくさんあります。

 

<お客様・お取引先への説明>

ただ単純に「閉店時間を早めます」「定休日を設けます」というのでは、不便になりますから、お客様の心は離れて当然です。

たとえば、スーパーマーケットのサミットは、今年から元日だけでなく1月2日も休業日としています。

その説明は、次のとおりです。

 

~働き方改革の一環として1月2日を休業いたします~

弊社の事業ビジョンとなる「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」の実現に向け、お客様やお取引先を大切にすることはもちろん、それを実現するために社員の働き方を見直します。直接お客様と接する店舗の社員が家族・親族と過ごせる時間を増やし、社員一人ひとりがリフレッシュすることで、1月3日から更にお客様にご満足いただける売場・商品・サービスを実現します。また、3日からの営業となることで、弊社のお取引先様の負担を少なくしていきます。

 

こうした説明を受けて「けしからん」と思う人などいないでしょう。

きちんと説明すれば、会社のファンを増やすきっかけにもなるのです。

お客様やお取引先が納得してしまえば、従業員も営業時間や労働時間の短縮を批判できないものです。

 

<正攻法の重視>

労働時間の短縮の手段としては、人員増、社員教育、システム化が王道です。

こうした正攻法を軽んじて、ノー残業デー、20時以降は消灯など、小手先の手段に走っていないでしょうか。

仕事と生活のバランスをとる、柔軟な働き方を選択できるようにするなど、働き方改革の本来の目的は労働者目線です。

いつの間にか、残業代削減など会社目線の施策が推進されていないでしょうか。

これはもはや、働き方改革ではなくなっています。

 

何のための働き方改革かという基本に立ち返って、労働時間の短縮に取り組むことが必要なのです。

 

2019.10.01. 解決社労士 柳田 恵一

<法改正>

令和元(2019)年5月29日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が通常国会で可決・成立し、令和元(2019)年6月5日に公布されました。

施行日は、公布後1年以内の政令で定める日となっています。

これによって、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。

そして、適切な措置を講じていない場合には、所轄労働基準監督署などによる是正指導の対象となります。

ただし中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は、努力義務となります。

 

【雇用管理上の措置の具体的内容】

・事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発

・苦情などに対する相談体制の整備

・被害を受けた労働者へのケアや再発防止等

 

詳細は、現行のセクハラ防止の措置義務の内容を踏まえて検討される予定です。

仕組みが整えば、パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。

 

<職場におけるパワーハラスメント>

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。

 

【パワハラの3要素】

1.優越的な関係を背景とした

2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

3.就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

2.から分かるように、適正な範囲の業務指示や指導についてはパワハラに当たりません。

 

職場のパワーハラスメントのより具体的な定義や事業主が講ずべき措置の具体的内容等については、今後公表される指針で示される予定です。

 

<パワハラと犯罪>

刑法その他の刑罰法規にパワハラ罪の規定はありません。

しかし、パワハラが犯罪になることはあります。

ある人の行為が、パワハラになるか/ならないかと、犯罪になるか/ならないかとは、別次元の問題です。

以下、具体例を見てみましょう。

 

<パワハラであり犯罪である行為>

就業の場で、身体的な攻撃を伴うパワハラが行われれば、同時に暴行罪(刑法第208条)や傷害罪(刑法第204条)などが成立します。

これらは、事実が警察に発覚すれば、社内で行われたことであっても、会社の方針とは関係なく捜査の対象となります。

また就業の場で、精神的な攻撃を伴うパワハラが行われれば、同時に脅迫罪(刑法第222条)、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)などが成立します。

これらのうち、名誉毀損罪と侮辱罪は、警察沙汰になると被害者の心の痛みが大きくなりうることを踏まえて、親告罪とされています。〔刑法第232条第1項〕

つまり、被害者の告訴がなければ公訴が提起できませんから、警察も動けません。

こうしたパワハラの被害者から、会社に対して被害の申告があった場合に、被害者の納得できる対応を取らないと、被害者が警察に駆け込み、会社の対応が格段に大変になるリスクをはらんでいます。

 

<パワハラだが犯罪ではない行為>

就業の場で、たとえば上司が返事をしない、仕事を与えない、本人が拒んでいるのに退職勧奨を続けるというのは、パワハラに該当します。

これらは犯罪ではありませんから、警察に助けを求めても取り合ってもらえません。

しかし、こうした行為を行う上司は、管理職が不適格であるとして役職を外されるかも知れませんし、被害者から損害賠償を請求されるかも知れません。

つまり、加害者が刑事責任を負うことは無いものの、民事責任を負ったり、不利益を被ったりするリスクをはらんでいます。

加害者が民事責任を負う場合、会社も使用者責任を負うことがあります。〔民法第715条〕

 

<パワハラではない犯罪行為>

社外で行われる犯罪のほとんどは、業務とは無関係ですから、パワハラにはあたりません。

しかし、出張先や移動中の車内など、社外ではあるけれども就業の場といえる場所で行われる行為は、パワハラとなりうるものです。

また、休日の電話など、業務に関連する会話が行われる場合には、パワハラとなりうることがあります。

さらに、社内でも社外でも、本人がいない所で悪口を言うのは、聞いた相手が言いふらすことを期待して言ったのであれば、名誉毀損罪が成立することもあります。

結局、就業の場ではない所で業務とは無関係に行われた犯罪行為は、パワハラにはならないということです。

 

<パワハラでも犯罪でもない行為

人事考課の結果を伝える面談で、上司が部下に「7項目がB、9項目がCで、総合評価がCでした」と伝えたところ、部下がショックを受け、泣きながら応接室を飛び出して行ったとします。

事情を知らない社員が、その姿を目にしたら、パワハラかセクハラがあったのではないかと疑いたくもなります。

しかし、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動は存在しないのですから、パワハラにはならず、もちろん犯罪も成立しません。

ただ上司としては、疑われることがないように、「これから○○さんと、応接室で人事考課の結果を伝える面談をします」と周囲に声掛けをしてから席を立つなどの配慮が必要です。

また可能な限り、1対1での面談は避けることが望ましいといえるでしょう。

 

2019.09.25. 解決社労士 柳田 恵一

<処罰しないで>

セクハラやパワハラの直接の被害者から「加害者を処罰しないでほしい」という申し出があった場合には、どのように対応したら良いのでしょうか。

被害を受けたその瞬間には大きなショックを受けたものの、後で冷静になってから、自分にも落ち度があったのではないか、ハラスメントとは言い切れないのではないかなどと考えが変わり、自分のせいで相手が懲戒処分を受けたら申し訳ないという気持ちになることもあるのです。

 

<ハラスメントの被害者>

さて、セクハラやパワハラの被害者とは誰でしょうか。

セクハラは、職場で性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

パワハラは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

こうしてみると、職場環境が悪化し不快なものとなることによって、直接行為を受けた人だけでなく、その行為を見聞きした人も被害者になるということが分かります。

たとえば、店長が店員を殴り、その場に他の店員がいたのなら、その場に居合わせた店員全員がパワハラの被害者です。

 

<被害者の同意>

被害者の同意があったから許されるというのは、セクハラやパワハラが密室で行われ、加害者と被害者だけが事実を知っていて、他の人は見聞きしていないという状況が前提となるでしょう。

多くの人が事実を見聞きしていながら、全員がセクハラやパワハラに同意しているというのは、容易には考えられないことです。しかし、事後の承諾であれば、ありえないことではありません。

 

<懲戒処分の目的>

そもそも懲戒処分の主な目的としては、次の3つが挙げられます。

 

【懲戒処分の主な目的】

1.懲戒対象者への制裁

懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとする。

 

2.企業秩序の回復

会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置せず懲戒処分や再教育を行う態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにする。

 

3.再発防止と労働者の安心

社員一般に対してやって良いこと悪いことの具体的な基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持する。

 

こうしてみると、被害者から「処罰しないで」という申し出があり、ある程度被害者からの事後承諾があったとしても、懲戒処分の必要がなくなるわけではありません。

それでも、懲戒対象者への制裁の必要性は低くなりますし、企業秩序の侵害や労働者の不安は少なかったと評価できるでしょう。

ただ、再発防止の観点からはセクハラやパワハラを見逃すことができません。いつも被害者の事後承諾が得られるとは限らないからです。

 

<企業の取るべき対応>

最新版(平成31(2019)年3月版)のモデル就業規則には、次の規定があります。

 

(懲戒の事由)

第64条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

 

直接の被害者から「加害者を処罰しないでほしい」という申し出があったことは、この規定の中の「その他情状」に該当する事実です。

ですから、直接の被害者の申し出があったからといって、不問に付するというのではなく、情状の一つとして考慮し、場合によってはより軽い懲戒にすることもあるというのが、企業の取るべき対応だと考えられます。

 

2019.07.23. 解決社労士 柳田 恵一

<法改正>

令和元(2019)年5月29日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が通常国会で可決・成立し、令和元(2019)年6月5日に公布されました。

施行日は、公布後1年以内の政令で定める日となっています。

 

<パワーハラスメント対策の法制化>

職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。そして、適切な措置を講じていない場合には、所轄労働基準監督署などによる是正指導の対象となります。

ただし中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は、努力義務となります。

 

【雇用管理上の措置の具体的内容】

・事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発・苦情などに対する相談体制の整備・被害を受けた労働者へのケアや再発防止等

 

今後、現行のセクハラ防止の措置義務の内容を踏まえて検討される予定です。

 

パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。

 

<職場におけるパワーハラスメント>

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。

 

【パワハラの3要素】

1.優越的な関係を背景とした2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により3.就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

2.から分かるように、適正な範囲の業務指示や指導についてはパワハラに当たりません。

 

職場のパワーハラスメントのより具体的な定義や事業主が講ずべき措置の具体的内容等については、今後公表される指針で示される予定です。

 

<職場の範囲>

「職場」とは業務を遂行する場所を指しますが、通常就業している場所以外の場所であっても、業務を遂行する場所については「職場」に含めることが指針で示される予定です。

(「労働政策審議会建議」では、このようにするのが適当とされています。)

 

<優越的な関係>

「職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討会報告書」では、パワハラを受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われることを指しています。

例えば、以下の場合も含むとされています。

・職務上の地位が上位の者による行為

・同僚又は部下による行為で、当該行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの

部下が上司に何度もパソコンの使い方を教えているのに、上司が同じところでつまずき、部下が上司を馬鹿にするようなことがあれば、職場のパワーハラスメントに該当しうることになります。

 

2019.07.16. 解決社労士 柳田 恵一

<個別労働紛争解決制度>

個別労働紛争というのは、労働関係に関する事項についての、個々の労働者と事業主との間の紛争のことです。

これを解決する最終手段としては、裁判制度があります。しかし、これには多くの時間と費用がかかってしまいます。また、感情的なしこりが残るものです。

そこで、職場慣行を踏まえた円満な解決を図るため、都道府県労働局では、無料で個別労働紛争の解決援助サービスを提供しています。

さらに、個別労働紛争の未然防止、迅速な解決を促進することを目的として、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が施行され、次の制度が用意されています。

・総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談

・都道府県労働局長による助言・指導

・紛争調整委員会によるあっせん

このうち「あっせん」については、社会保険労務士のうち、特定社会保険労務士(「特定」の付記を受けた社会保険労務士)が代理人となることができます。

 

<平成30(2018)年度の状況>

令和元(2019)年6月26日、厚生労働省は「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をとりまとめ公表しました。

これによると、「いじめ・嫌がらせ」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が過去最高となっています。「民事上」というのは、金銭解決や社員としての地位確認などのことを指しています。「刑事上」であれば、犯罪としての側面についての相談ですから、主に警察が対応することになります。

「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度ですが、厚生労働省は、今回の施行状況を受けて、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導及びあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとしています。

 

【平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況のポイント】

1. 総合労働相談件数、助言・指導の申出件数、あっせん申請の件数いずれも前年度より増加。

 総合労働相談件数は111万7,983件で、11年連続で100万件を超え、高止まり

 ・総合労働相談件数111万7,983件(前年度比1.2% 増)

 →うち民事上の個別労働紛争相談件数26万6,535件(同 5.3% 増)

 ・助言・指導申出件数9,835件(同7.1% 増)  

 ・あっせん申請件数5,201件(同 3.6% 増)

2. 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」が過去最高

 ・民事上の個別労働紛争の相談件数では、82,797件(同14.9%増)

 ・助言・指導の申出では、2,599件(同15.6%増)

 ・あっせんの申請では、1,808件(同18.2%増)

 ※いずれも過去最高の件数

 

<相談件数増加の意味>

いじめ・嫌がらせの相談が増えたということは、必ずしも実際にいじめ・嫌がらせの件数が増えたということを意味するものではありません。

むしろ、次のような原因が考えられるでしょう。

 

・相談件数の増加により、心理的に相談しやすくなってきた。

・パワハラ、セクハラなど個別のハラスメントについて、その内容が明確になってきた。

・ハラスメントについての知識が普及してきた。

・ハラスメント対策について、企業間の格差が大きくなってきた。

 

企業間の格差が大きくなってきたというのは、自分と同様のハラスメントを受けている人が、よその会社では適切に対応されているのに、自分の会社では対応してもらえないという形で実感されます。

企業によるハラスメント対策の情報は、ネットで簡単に入手できるようになってきています。

 

<企業にとって最低限の対策>

就業規則の中に、各ハラスメントの分かりやすい定義があって、全従業員が理解しているという前提が無ければ、その職場には確実にハラスメントが存在することでしょう。

なぜなら、被害者は会社に被害を申し出ることができませんし、ハラスメント行為者に対して、自信をもって注意できる人もいないからです。

また、ハラスメントの禁止規定と行為に対する懲戒規定が無ければ、注意されてもやめないのは仕方のないことです。問題社員にとって居心地の悪い会社にしなければ、問題社員は増えていってしまいます。

さらに、ハラスメントを受けたと思っている従業員の相談窓口が無ければ、いよいよ耐えられなくなった従業員は退職を申し出て、ハラスメント行為者と会社、場合によっては取締役を訴えることもあります。個人情報の保護や、被害の申し出を容易にする観点から、できれば社外の専門家を相談窓口にすることをお勧めします。

 

2019.07.03. 解決社労士 柳田 恵一

<ストレスの連鎖>

殺人事件や傷害事件が発生すると、警察は加害と被害の内容、両者間の因果関係を解明し、その一環として加害の動機を明らかにします。

しかし、動機となった「ストレス発散」のストレスの原因までは追究しません。

ひょっとしたら、加害者もまた誰かにいじめられていて、そのストレスを発散するために事件が起きたのかもしれません。

しかし、加害者の負っていたストレスまでは配慮しません。

ストレスとその発散は連鎖します。どこかで連鎖を止めないと、最後には弱者に大きな被害が生じます。

あくまでも例え話ですが、次のようなストレスとその発散の連鎖があったとします。

金融機関→社長→部長→課長→一般社員(弱者)

(上の連鎖の)課長→妻→息子→息子の同級生(弱者)

ある会社の社長が、金融機関から大きなストレスを与えられることで、社内では、ストレスのはけ口が、弱い一般社員に及びます。これがパワハラです。

一方で、その会社の課長が、そのストレスを家庭に持ち込み、息子がそのストレスを学校に持ち込むとイジメの原因になります。

もしも、ここで部長がストレスに耐え、課長にぶつからなければ、ストレスの連鎖が止まることになります。

 

<ストレスチェックの目的>

ストレスチェックというのは、ストレスについての質問票に、労働者が選択肢の中から選ぶ形で回答を記入し、それを集計・分析することで、ストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働者が50 人以上の事業所では、2015 年12 月から毎年1回、この検査を労働者に対して実施することが義務付けられました。〔労働安全衛生法66条の10〕

定期健康診断と同様に、契約期間が1年未満の労働者や、所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者は法的義務の対象外です。

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合には医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するのが目的です。

決して、ストレスに弱い労働者を発見して退職を勧奨したり、降格の根拠を見つけたりするためのものではありません。むしろ、こうしたことが無いように、充分な配慮が求められています。

結局、ストレスチェックの目的はストレスがたまりやすい職場を発見し、これを改善することにあると思います。

 

<ストレスがたまりにくい職場>

すべては、コミュニケーションによる解決が可能だと思います。

上の「→」で結ばれた間に、ストレスの原因となったことについて、具体的な情報の伝達があればストレスの連鎖は止まります。

なぜ怒っているのか、不安なのか、その原因についての説明が大事です。

会社の中で、ストレス発散と思われるパワハラなどを本気で防ぎたいのであれば、コミュニケーションの仕組みを見直すことが有効です。

「みんなで飲みに行って話し合えばわかりあえる」という昭和時代ではなくなりました。あくまでも勤務時間帯に使える仕組みを構築しましょう。

 

2019.04.22. 解決社労士 柳田 恵一

<悩みの理由>

社内にパワハラの常習犯がいても、どう注意したら良いのか悩んでしまう。あるいは、注意しても加害者にパワハラの自覚が無い、加害者が納得しないということがあります。

これはその職場で、パワハラ防止対策が適正に行われていないことによって、発生する悩みです。注意しようとした人、あるいは注意した人の能力不足ではありません。

 

<パワハラ防止対策の基本>

パワハラの加害者に注意できる状態にするには、次のパワハラ防止対策が必要です。

 

① パワハラの定義を、その職場の全員が理解できることばで就業規則に示す。

② パワハラの禁止を、就業規則に定める。

③ パワハラに対する懲戒処分を、就業規則に定める。

④ 具体的事例を踏まえたパワハラ研修を定期的に実施する。

 

<① パワハラの定義を示す>

パワハラの定義が社内で明確になっていなければ、つまり、ある行為についてのパワハラ該当性が不明確であれば、「あなたの行為はパワハラだ」「いや違う」という意見の対立が生じてしまい、解決の糸口すら見えません。

たとえば、平成24(2012)年3月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が取りまとめた提言では、職場のパワーハラスメントの概念を以下のように整理しています。

 

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

 

こうした表現を、このまま使える職場もあるでしょう。

しかし、高校生のアルバイトや高齢者がいる職場では、すべての年齢層に理解できる表現で定義を示しておく必要があります。

 

<② パワハラを禁止する>

就業規則でパワハラを禁止することにより、従業員一人ひとりの労働契約の内容に、パワハラの禁止が盛り込まれることになります。

モデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

これは、パワハラの定義と禁止を1つの条文にまとめた例です。これを参考にして、それぞれの職場に適した内容で定めると良いでしょう。

 

<③ 懲戒処分の定めなど>

就業規則では、禁止と懲戒とが対を成します。

禁止だけで懲戒処分が規定されていなければ、禁止の実効性が保たれません。

禁止されていないことが、懲戒処分の対象にされるのは不合理です。

就業規則で禁止したからには、これに対応した懲戒処分の規定を置かなければなりません。

また、部下を持たせた時からパワハラに走る社員には、部下を持たせることが危険ですから、部下を持たせないようにする必要があります。つまり、管理職に抜擢した社員がパワハラを行うようであれば、管理職として不適格なのですから、人事異動により管理職から外すなどの対応が必要です。

さらに、部下を持つ社員の人事考課基準には、パワハラをせずに部下を指導・育成しているか否かを含めておく必要もあります。

 

<④ パワハラ研修の定期的な実施>

就業規則の内容を含め、全社員にパワハラ研修を実施しなければなりません。

なぜなら、パワハラは上司から部下に対して行われるだけでなく、先輩から後輩に行われることもありますし、パワハラを受ける立場の従業員にも研修を実施しておかなければ、被害の申し出を躊躇することになるからです。

この研修は、最新事例を盛り込みながら、最低でも年1回は実施すべきでしょう。

 

<パワハラ防止の重要性>

パワハラによって利益を得る者はいません。

会社にとっては、生産性の低下、人材育成の遅れ、定着率の低下という損失が発生します。時には、被害者のメンタルヘルス不調などにより、労働力の喪失や損害賠償責任を生じることもあります。

加害者が無自覚でパワハラ行為に及んでいた場合には、会社との関係で、ある意味被害者の立場にあるといえるでしょう。そして、社内だけでなく、社会的な信頼を失うこともあります。何より辛いのは、家族からの信頼を失うことです。

「パワハラの加害者にどう注意したら良いのか」という疑問が出る職場では、経営者が中心となって、積極的にパワハラ防止対策に取り組まなければなりません。

 

2019.03.30.解決社労士

<報道では>

家電量販店ノジマの社長が、子会社の社員の実名を挙げて「使い物にならない」などと責めた文書が子会社のイントラネットに昨年8月に掲載されたことが判明しました。

この社員は昨年末に退社しています。

ノジマは「社員教育の一環」としています。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<真実でも>

真実の指摘なら責められる理由は無いだろうというのは素人の考えです。

名誉毀損について、刑法は次のように規定しています。

 

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

 

つまり、生きている人のことについては、真実であろうとなかろうと名誉を毀損することは犯罪になるということです。

 

「仕事が遅い」「ミスが多い」「仕事をサボっている」という指摘を、人前で行ったなら、それは名誉棄損罪に該当するでしょう。

パワハラとして社内で懲戒の対象になるのはもちろん、刑事告訴の対象となりうるわけです。

 

この辺りのことが、就業規則で対応できていない会社もあります。

経営者に勘違いがあるのなら、社会保険労務士へのご相談をお勧めします。

 

2019.03.20.解決社労士

<しろうとの意見>

職場で暴言を吐かれ、感情を抑えられずに相手に暴力を振るってしまった社員がいた場合には、他の社員たちから次のような意見が聞かれます。

・最初に暴言を吐いて仕掛けた方が悪い。暴言が無ければ、暴力も無かっただろう。

・あくまでも言葉のやり取りで済ませるべきで、最初に手を出した方が悪い。

・喧嘩両成敗ということもあり、どちらも同じように悪い。

あるいは、当事者の普段の様子を知っている社員からは、全く違った意見が出てくるかもしれません。

 

<パワハラに該当するか>

職場での暴言や暴力は、パワハラであると判断されるのが一般です。

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

暴言の中には、指導や教育などの意図が含まれていることでしょう。

しかし、普通の話し方ではなく「暴言」という形で表現してしまうと、それは相手の人権を侵害する行為になり、パワハラとなってしまうのです。

場合によっては、脅迫罪(刑法第222条)、強要罪(刑法223条)、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)に該当することもあります。

 

一方、暴言に対抗して暴力を振るうのは、その暴力の中に、業務上必要な要素が含まれていませんから、パワハラではなく単純に暴行罪(刑法第208条)が成立します。

相手にけがを負わせれば、傷害罪(刑法204条)となります。

 

<正当防衛になるのか>

それでは、暴言に対抗しての暴力は正当防衛になるでしょうか。

刑事上は犯罪となる行為が、多くの場合、民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

刑事上の正当防衛は、刑法第36条第1項に規定があります。

 

【刑事上の正当防衛】

第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 

暴言によって侵害される名誉権や人格権を防衛するために、暴力は必要が無いですから、「やむを得ず」という条件を満たしません。

 

民事上の正当防衛は、民法第720条第1項本文に規定があります。

 

【民事上の正当防衛】

第七百二十条  他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。

 

こちらでも「やむを得ず」という条件がありますから、暴言を吐いた人でも、暴力を振るった人に対して、損害賠償の請求ができることになります。

 

<懲戒処分はどうするか>

会社の懲戒処分は刑罰ではありませんが、国法である刑法や民法の趣旨に反する懲戒は、客観的合理性や社会通念上の相当性が否定され、懲戒権の濫用となってしまうことがあります。〔労働契約法第15条〕

就業規則に具体的な懲戒規定があることを前提に、暴言を吐いた社員も、暴力を振るった社員も懲戒処分の対象とすべきです。

また、刑法上も暴力は暴言よりも重い罪ですから、一般には暴力の方が重い懲戒処分になります。

そして、懲戒規定には「情状酌量」についての定めが含まれているでしょう。

暴言を吐いた社員が、暴力を誘発する意図で行っていた場合や、何度も止めるように言われながら暴言を発し続けたような場合には、情状酌量の面から、暴言を吐いた社員は一段重い懲戒処分、暴力を振るった社員は一段軽い処分ということも考えられます。

懲戒処分とは別に、その立場でその仕事をこなすことに対する適性の判断から、人事異動も検討しなければなりませんし、人事考課への反映も忘れてはなりません。

 

懲戒処分については、刑法にも詳しい社会保険労務士へのご相談をお勧めします。

 

2019.03.14.解決社労士

<叱られ方研修>

大正大学(東京都豊島区西巣鴨)で、就職内定者を対象に叱られ方研修が行われ、ネットでも話題になりました。

研修当日にNHKの取材があり、その様子は「首都圏ネットワーク」や「おはよう日本」でも紹介されています。

 

<研修の内容>

研修の内容は、大正大学のホームページで次のように紹介されています。

 

 本学では入社を間近に控えた4年生向けに、卒業直前特別プログラム「内定者研修」を2月14日に開催しました。それは、4月からスムーズな社会人生活を送るため身に着けておきたいビジネスマナーやタイムマネジメントに加え、新人社員が上司やお客様と接する社会人生活の中で起こりうるケースを想定した「叱られ方」を考えるロールプレイングを行いました。

 この内定者研修を受けたことにより、同期生の中でも1歩リードしたスタートを切り、今後の社会人生活で大いに活躍してくれることを期待しています。

 

上司から叱られるというとパワハラ、お客様から叱られるというとカスハラ(カスタマーハラスメント)が想起されます。

こうしたことから、叱られ方研修というのは、ハラスメントに耐えるための研修であるかのように誤解されがちです。

しかし、大学がハラスメントを助長するような研修を実施するはずがありません。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、立場上必要な注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償を請求される対象ともなります。〔民法709条〕

これは、行為者が経営者でも一般の従業員でも同じです。

 

<カスハラの構造>

カスハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【カスハラの2要素】

・顧客の店員などに対する正当な請求・要求(不良品の交換請求、交換できないときの返金請求、適正な接客要求など)

・顧客としての正当な範囲を超える請求・要求による人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

顧客としては、正当な主張をしているつもりが、客観的には店員などの人権侵害になっているわけです。

顧客として正当な主張と同時に行われる「人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、恐喝、強要、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、過度の要求、不可能なことの強制、私的なことに過度に立ち入るなど

 

ネットには、コンビニの店員が顧客から土下座を要求され(強要罪)、たばこ1カートンをサービスさせる(恐喝罪)などの動画が流れることもあります。

 

<不思議なご相談>

柳田事務所にも、パワハラのご相談が数多く寄せられます。

パワハラにより勤務できなくなるなど、深刻なご相談が多いのは事実です。

しかし、パワハラやセクハラという言葉が一般化するにしたがって、ハラスメントに当たらないことについてのご相談が増加しています。

たとえば、「店長が突然お店の方針を変更した」「マネージャーからお店にスマホを持ち込まないように言われた」「商品を陳列するときは日付の新しいものを奥に詰めるよう注意された」などです。

状況を聞くと、どなられたわけでもなく、人権侵害になるようなことは行われていません。

ただ、ご本人としては、突然のことであったり、「そこまでしなくても」という不満があったりと、感情を害する行為があったと感じるわけです。

 

<入社後の研修も大切>

学生が入社する前に、上司やお客様にきちんと向き合えるように、叱られ方研修を受けるのは良いことだと思います。

ただ入社後に、社内研修でパワハラやカスハラの構造が説明され、何がハラスメントに当たるのかを理解させるのでなければ、ただハラスメントに屈するだけの社員になってしまうかもしれません。

あるいは、上司やお客様に対して、パワハラやカスハラの言いがかりをつけてしまう恐れもあります。

大学での研修だけに頼らず、企業の立場で行うべき研修はきちんと実施することが大切です。

 

2019.02.27.解決社労士

<半年で3人自殺の報道>(TBSニュース)

福岡県大牟田市の不動産会社に勤めていた男性社員3人が、半年ほどの間に相次いで自殺していたことが分かり、警察が背景を調べているそうです。

インターネットの掲示板には、「自殺した3人を含む複数の社員が経営者から日常的にパワハラを受けていた」と匿名の書き込みがあるということです。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など
・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、立場上必要な注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】


・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償を請求される対象ともなります。〔民法709条〕

これは、経営者でも一般の従業員でも同じです。

 

<会社の民事責任>

さらに、会社も不法行為責任を負います。〔民法44条1項〕

まともに働ける環境を提供していないといえる場合なら、債務不履行責任も負います。〔民法415条〕

「経営者=会社」ではありませんから、経営者がパワハラを行った場合には、会社も経営者も責任を負います。

 

<被害者が取るべき行動>

・パワハラ行為の記録や証拠を残す。

・同じ行為者からのパワハラ被害者がいれば協力する。

・労働相談情報センターなどに相談する。

社長がパワハラを行う人物である場合、その権限の強さから、被害者が複数である可能性は高いでしょう。一人では心細いですが、被害者が協力し合うことによって、解決しやすくなります。

また、パワハラの問題は、第一に社内で解決するのが原則です。しかし、パワハラの相談窓口や担当者は、被害者の味方に付いてくれないかもしれません。早めに社外の相談窓口に相談することをお勧めします。

 

<経営者がパワハラの防止を考えるなら>

本気でセクハラ、パワハラ、マタハラなどを防止したい会社なら、相談窓口は社外の専門家に委託して、社内でもみ消されないようにするのではないでしょうか。

ハラスメントに限らず、働いている人たちの相談窓口として、信頼できる社労士をご検討ください。

また、そもそもパワハラが何なのか良く分からない、萎縮して部下や後輩を指導できないのでは困るという声もあります。

こうした場合にも、社労士にセミナーの開催を委託するなど、社外の専門家を活用することを考えてはいかがでしょうか。

 

2019.02.07.解決社労士

<「バカですか」発言の町課長>

部下3人に暴言を浴びせたり、あいさつや業務の報告を無視したりするパワーハラスメントを繰り返したとして、埼玉県嵐山町が50歳代の男性課長を停職3か月の懲戒処分にしたことが報じられています(2019年1月21日)。

課長は「(暴言や侮辱など)そういう認識での発言ではない」と弁明したそうです。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

この課長の「(暴言や侮辱など)そういう認識での発言ではない」という弁明は、言い逃れではなく、思っていることを正直に話しているのかもしれません。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<パワハラ防止に必要な知識>

さて、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを、的確に判断できない場合もあるでしょう。

また、他の職員の行為に対して、自信を持って「それはパワハラだから止めなさい」と注意するのはむずかしいかもしれません。

ましてや、暴行罪〔刑法208条〕や名誉毀損罪〔刑法230条〕の成立条件(構成要件該当性)などは、「物を投げつけても当たらなければ暴行罪は成立しない」「真実を言ったのなら名誉毀損にはならない」などの誤解があるものです。

こうしてみると、職場でパワハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識不足によるパワハラの防止には>

本気でパワハラを防止するには、職場の規則にきちんとした規定を設け、充実した教育を実施することが必要となります。

パワハラの定義・構造の理解、具体例を踏まえた理解の深化を図らなければなりません。

この事件では、職員3人が人事担当などに相談し、副町長が数回、課長に注意したのに状況は改善されなかったと報道されています。

何がパワハラにあたるのか、基本的なことを知らない職員に対しては、上司から注意をしても、懲戒を加えても、反省を促すことはできません。

まずは、全職員に十分な教育をしていただけるよう願うばかりです。

 

2019.01.25.解決社労士

<パワハラ>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

 

<職場内での優位性>

パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。

「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、勤続年数や経験などの様々な優位性が含まれます。

 

<業務の適正な範囲>

業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントにはあたりません。

たとえば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。

職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければなりません。

そうでなければ、上司は部下を適正に指導することに臆病になり躊躇してしまい、組織としての機能が損なわれて、企業全体の生産性が低下してしまいます。

 

<パワハラの判断基準>

具体的な事案が発生した場合に、それがパワーハラスメントであったかどうか判断をするには、行為が行われた状況など詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や裁判例も参考にしながら判断しましょう。これが厚生労働省の説明です。

しかし、パワハラかどうかの判断をするのに、裁判例を参考にするのはむずかしいと思います。就業規則を読めばわかるようにしておきたいものです。そして、就業規則にパワハラの定義を定めるときには、適正な指導との区別を具体的に明らかにする必要があります。

まず主観的には、相手の成長を思い親身になって接するのが指導です。これに対して、自分の感情を爆発させストレスを発散する言動がパワハラです。ですから、指導に単なる怒りの感情は伴いません。100%怒りの感情だけがあれば、それは間違いなくパワハラです。

そして客観的には、指導というのは、その対象者の親・家族が見ていて、「しっかり指導してくれてありがとう」と思える言動です。これに対して、パワハラというのは親・家族が見ていて「何てことを言うんだ!何てことをするんだ!」と怒り嘆く言動です。

なぜなら、指導というのは相手の成長を願って行うものであり、また、指導した者には指導に従った結果に対して責任を負うという覚悟があります。親が子に厳しくしても、この前提が崩れない限り指導であり躾(しつけ)です。

こうしたことを踏まえて、就業規則にパワハラの定義を定めなければ、従業員には何が禁止されているのか不明確ですし、それらしき行為があっても確信が持てなければ、誰も注意することができないのですから被害者は救われません。

「自分の言動が、パワハラとなるかどうかわからない。要は、相手の受け取り方次第なので、ハッキリしない。」というのが加害者側の理屈でしょう。

これを許さないためには、具体的で明確な定義が必要なのです。

 

<パワハラ発生のメカニズム>

そもそも部下や後輩などが、優位に立つ自分に対して従順で素直で協力的なのは、能力や意欲の差が明白だからではありません。立場上あるいは心理的に仕方なくてそうしているのです。決して実力の差が、仕事上の立場を超えて現れたわけではありません。ここを勘違いしている人が、パワハラに走っているように思います。

パワハラ防止のための教育研修の内容には、このパワハラ発生のメカニズムも加える必要があるでしょう。

 

<企業として必要な対策>

パワハラに限らず、セクハラでもマタハラでも、ハラスメント対策としては、次のことが必要です。

・ハラスメントは許さないという経営者のメッセージ

・就業規則の懲戒処分に関連規定を置く

・実態を把握するための体制と仕組みの整備

・社員教育

・再発防止措置

・相談窓口の設置

この中で、相談窓口としては、厚生労働省が社外の専門家を推奨しています。なぜなら、社内の担当者や部門では、被害者が申し出をためらいますし、被害拡大やもみ消しの恐れもあるからです。

まずは、経営者がハラスメントの問題を重くとらえ理解し、社内に「許さない」というメッセージを発信するのが第一歩です。

 

<社外での解決>

被害者の申し出にもかかわらず、企業が納得のいく対応をしてくれない場合には、被害者は労働局に申請して紛争調整委員会に斡旋(あっせん)をしてもらうことができます。

反対に、企業がきちんと対応したのに、被害者が納得してくれない場合にも、企業から斡旋を求めることができます。

斡旋では、委員会が話し合いの場を設けます。双方の話し合いで解決すれば良いのですが、そうでなければ訴訟に発展することもあります。

特定社会保険労務士は、この調停での一方当事者の代理人となる資格を持っています。専門家の助力が必要であれば、弁護士か特定社労士にご相談ください。

 

2018.12.26.解決社労士

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

ここで「同じ職場」というのは、1つの企業内ということではありません。取引先などを含めた複数の企業の従業員が「同じ職場」で働けば、そこにパワハラが発生しうるのです。

 

【厚生労働省によるパワハラの6類型】

身体的な攻撃

暴行、傷害、丸めた書類で頭を叩く

精神的な攻撃

脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言

人間関係からの切り離し

隔離、仲間外れにする、無視

過大な要求

業務上不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

過小な要求

能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る

 

<身体的な攻撃>

 殴ったり蹴ったりは暴行罪に当たります。物を投げつければ、当たらなくても暴行です。ケガをさせれば傷害罪です。刑法には、次のように規定されています。

 

【傷害罪】

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

【暴行罪】

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

「そんなことまで暴行罪になるとは知らなかった」などと言ってみても、刑法は許してくれません。

 

【故意】

第三十八条 3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。

 

故意犯のことを、日常用語では「確信犯」などと言います。

法律用語の「確信犯」は、「道徳的、宗教的または政治的信念に基づき、本人が悪いことではないと確信して行う犯罪」をいいます。つまり、刑罰に触れる行為ではあるけれど、悪いことではないと考えて行うのです。

 

職場で身体的な攻撃を行うのは、怒りの感情を抑え切れなかったり、「この場合には正しい行為である」という確信を持ったりした場合でしょう。

前者については、アンガーマネジメントが必要です。職場では、叱ることはあっても、怒る必要はありません。この区別ができるように自己鍛錬が必要です。怒る人ほど、自分の失敗には甘いものです。

他人の身体を侵害しても許される場合として、刑法には、法令又は正当な業務による行為〔35条〕、正当防衛〔36条〕、緊急避難〔37条〕、心神喪失者の行為〔39条〕、14歳に満たない者の行為〔41条〕といった規定があります。しかし、職場でカッとなって暴行を加えるのは、どれにも当てはまりません。

 

<精神的な攻撃>

脅迫というのは、害悪の告知です。これも刑法に規定のある犯罪です。

 

【脅迫】

第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

脅迫は、証拠が残ったり、証人がいたりすれば、警察沙汰になることもあります。

 

名誉毀損、侮辱、ひどい暴言というのも、人前で行えば刑法に規定される犯罪です。

 

【名誉毀損】

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き 損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 

【侮辱】

 第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

 

同僚や部下の目の前で、「使えない奴だ!」と叱責するのは侮辱罪に当たりますし、「取引先との商談を忘れるなんてふざけた奴だ!」と叱責するのは名誉毀損罪に当たります。この場合には、証人もいますから言い逃れはできません。

 

会議室などにこもって、必要以上に長時間にわたり繰り返し執拗に叱るのは、監禁罪〔刑法220条〕に該当する場合があります。

 

こうして見ると、パワハラ罪というものは無いのですが、警察に知れれば刑法上の罪に問われるパワハラ行為は多いことがわかります。

 

もちろん、犯罪にはならなくても、業務上必要も無いのに精神的な攻撃を行うことは、パワハラ行為とされ慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となり得ますし、社内でも懲戒処分の対象とされることがあります。

 

<人間関係からの切り離し>

1人だけ別室に席を移す、強制的に自宅待機を命じる、送別会に出席させないなどの「村八分」もパワハラ行為です。

これは、犯罪とはならなくても、不法行為になりますから、慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となり得ます。

 

【民法の規定】

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

つまり、人間関係からの切り離しを行っても犯罪にはならないのですが、民事訴訟を提起されることはあるわけです。

 

<過大な要求、過小な要求>

やり方を教えることなく仕事をさせたり、何時間もかかる仕事で残業させ自分は帰ってしまうというのは、過大な要求になります。

運転手に営業所の草むしりだけを命じる、事務職に倉庫業務だけを命じるというのは、過小な要求になります。

これらも人の心を傷つける行為なので、必要の無いことはパワハラになります。

 

<個の侵害>

これは、プライバシーの侵害です。プライバシー権は、個人として尊重される権利であり、法律上保護される利益です。日本国憲法13条が根拠とされています。

社会保険や税法上の手続きで、家族の情報が必要な場合には、その必要の範囲内での取得が認められています。

しかし、適正な範囲を超えて、家族について具体的なことを尋ねたり、悪口を言ったりはプライバシーの侵害です。

交際相手について執拗に尋ねたり、休日の過ごし方を尋ねたりするのもプライバシーの侵害になりますし、内容によってはセクハラにもなります。

 

<パワハラの指摘を恐れるな>

以上のことから、次の条件を満たしている限り、業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などは、萎縮せずに堂々と行うことが部下や後輩を育成するうえで大切です。

 

直接の相手や周囲の人々を個人として尊重しており、身体も心も傷つける恐れが無い。

 

その場の様子をビデオに収め、相手の家族や友人に見せても嫌な顔をされないなら、この条件は満たされているのではないでしょうか。

 

2018.12.15.解決社労士

<労働政策審議会>

平成30(2018)年11月19日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(旧雇用均等分科会)で、女性の活躍の推進のための対策及びパワーハラスメント防止対策等についての審議が行われ、配布資料も公開されています。

労働政策審議会は、労働政策について審議を行う委員会です。厚生労働省に置かれている審議会のひとつで、厚生労働大臣の諮問機関ですから、ここでの審議が労働関係法令の改正案に反映されます。労働政策審議会に関する情報を把握することにより、今後の政府の動きや企業の取り組むべき課題を先取りすることができます。

 

<パワハラ防止対策の強化>

これについては、4項目に分けて総論が述べられています。枠内は原文をそのまま引用したものです。

 

【パワハラ対策の必要性】

パワーハラスメントは相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為であり、あってはならないもの。企業にとっても経営上の損失に繋がる。都道府県労働局における職場の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数や、嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けたことによる精神障害の労災認定件数が増加傾向となっている。職場のパワーハラスメント防止は喫緊の課題であり、現在、法的規制がない中で、対策を抜本的に強化することが社会的に求められている。

 

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

 

【企業の講ずべき措置】

職場のパワーハラスメントの防止のためには、企業の現場において確実に予防・解決に向けた措置を講じることが必要。その際、現場の労使が対応しやすくなるよう、職場のパワーハラスメントの定義や考え方、企業が講ずべき措置の具体的内容を明確化していくことが必要。

 

就業規則の中に、パワハラの分かりやすい定義があって、全従業員が理解しているという前提が無ければ、その職場には確実にパワハラが存在することでしょう。なぜなら、パワハラ行為に対して、自信をもって注意できる人がいないからです。

また、パワハラを行った人に対する懲戒の規定が無ければ、注意されてもやめないのは仕方のないことです。問題社員にとって居心地の悪い会社にしなければ、パワハラをするような問題社員は増えていってしまいます。

さらに、パワハラを受けたと思っている従業員の相談窓口が無ければ、いよいよ耐えられなくなった従業員は退職を申し出て、パワハラ行為者と会社を訴えることもあります。ここまでくると、被害者は転職することも困難かもしれません。その場合には、会社が一生面倒を見ることになるのでしょうか。できれば、社会保険労務士のような社外の専門家を相談窓口にすることをお勧めします。

 

【中小企業の特性】

中小企業については、パワーハラスメントの防止に関するノウハウや専門知識が乏しいこと等から、その負担軽減に十分配慮し、支援を強化することが必要。

 

中小企業では、経営者が昭和時代の考え方を引きずっていると、パワハラ対策が困難になってしまいます。まずは、経営者がパワハラなどハラスメントについての理解を深め、社内に向けて「パワハラは絶対に許さない」という宣言をすることが第一歩です。

 

【法律による対応】

なお、法律でパワーハラスメントを禁止することについては、民法等他の法令との関係の整理や、違法となる行為の要件の明確化等の課題があることから、今回の見直しにおける状況の変化を踏まえつつ、その必要性も含めて中長期的に検討することが必要ではないか。

 

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

パワハラ行為から業務上必要な部分を引き算した残りが、刑法上の犯罪であって刑事事件とされたり、民法上の不法行為であって損害賠償の請求対象となったりします。

また、パワハラに耐えられず退職の申し出をした場合には、民事上その意思表示の有効性が問題となります。

ですから、刑法にパワハラ罪というものを新設したり、民法にパワハラ関係の規定を加えたりしなくても、現状の法令で十分対応できるのです。

ただ、こうしたことを分かりやすくするのが難しいのです。

今のところ、専門家に具体的な事情を明らかにして相談するのが現実的な対応だと思われます。

 

2018.11.23.解決社労士

<加害者に対して>

パワハラというのは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

たしかに、被害者が退職した後も、加害者が嫌がらせを続ける場合があります。

しかし、この場合には、加害者が被害者に対して業務上必要な働きかけをするということがありませんので、人権侵害行為が単独で行われている状態です。

この人権侵害行為の多くは不法行為に当たり、被害者から加害者に対して損害賠償の請求が可能です。

さらに、この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうことになります。

ここで考えられる犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

<加害者の勤務先に対して>

加害者の勤務先としても、社員が退職者に対して権利侵害行為を行っているという事実は重大な関心事です。

たとえ勤務と無関係に行われた行為であっても、社員が会社の利益や信用を低下させる行為を行った場合には、行為者に対して懲戒処分を行いうるのです。

警察沙汰になったり、裁判になったりすれば、会社にとって大きなダメージとなりますから、放置することはできません。

退職者としてではなく、一個人として会社に被害を受けていることの事実を伝えるのが良いでしょう。

このような場合に心細いのであれば、交渉事ではありませんので、社会保険労務士に付き添いを依頼することも可能です。

 

2018.09.27.解決社労士

<加害者への責任追及>

パワハラについて社内に相談窓口があれば、その相談窓口に事実を伝えます。

もし相談窓口が無ければ、加害者の直属上司に事実を伝えます。

これによって期待される会社の対応は、加害者から被害者への謝罪を促すこと、就業規則の規定に沿った懲戒処分、加害者の人事異動などです。

しかし、会社の対応が無い場合や、不適切・不十分と感じられる場合には、加害者に対する損害賠償の請求が考えられます。

 

〔民法709条〕

(不法行為による損害賠償)故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

少なくとも、精神的な損害を受けているでしょうから慰謝料の請求ができます。この他、治療費や勤務できなかったことによる賃金の損失などが考えられます。

 

<会社への責任追及>

会社は従業員に対し、パワハラに走らないように指導すること、従業員がパワハラを受けずに勤務できる環境を整えることについて責任を負っています。

法的には、使用者責任と安全配慮義務です。

 

〔民法715条〕

(使用者等の責任)ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

〔労働契約法5条〕

(労働者の安全への配慮)使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法には、損害賠償のことが書かれていませんが、労働契約法5条違反で従業員の権利が侵害されると、先に出てきた民法709条によって損害賠償を請求できることになります。

 

<加害者への制裁>

ここまでの内容は、パワハラについて責任を負う人たちに損害賠償を請求するという民事上の話です。

これとは別に、法令によって加害者に制裁が加えられる場合があります。

 

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうことになります。

パワハラに伴う犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

加害者に制裁する権限は、国家権力に独占されています。

たとえパワハラで辛い思いをしても、加害者に直接仕返しするようなことは許されません。それ自体が犯罪となることもあります。

 

2018.09.19.解決社労士

<リスク回避のため>

パワハラに走る人には特徴があります。

こうした特徴の現れている人に、会社が部下や後輩を与えると、パワハラを誘発することになります。

リスク回避のためには、これらの特徴が消えるまで教育研修などを行い、人事異動を慎重にするなどの配慮が必要でしょう。

 

<善悪判断の自信過剰>

「自分は正しい」という思い込みが強いという特徴があります。

ニュースに接したとき、「誰が正しい、誰が悪い」ということを口にします。

自分の社内での手柄について、繰り返し話題にします。

グループ研修などを通じて、「常に自分が正しいわけではない」ことを理解させましょう。

 

<主体的な制裁意識>

「悪いことをした人に対しては、自分が制裁を加えるべきだ」と考える特徴があります。

社内で不都合なことをした人に対しては、直属上司が指導すべきですし、社内規定に従った懲戒が行われるべきです。

しかし、他部署の人に注意したり、街中で赤の他人に怒ったりするのは、この特徴の現われです。

組織論や懲戒が行われる場合の段取りについて、理解させる必要があります。

 

<原因の誤判断>

自分の行為から生じた不都合な結果について、他人の行為が原因であると考える特徴があります。

自分が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「こんな所に花瓶を置いた人が悪い」と考えます。

他人が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「不注意で花瓶を割った人が悪い」と考えます。

こうした考え方の矛盾と問題点について、本人に自覚させなければなりません。

 

<器が小さい>

人格的に未成熟で心に余裕が無いという特徴です。

他人の成功を喜べない、他人をほめることができない、人の好き嫌いが激しい、自分と家族を優先して考える、自分に利益が無いことには消極的、お金に細かい、他人を批判するが自分への批判は気にする、好意的なアドバイスを受け入れないなどの傾向が見られます。

これでは、部下や後輩がついてきませんから、イライラしてパワハラに走るのも当然でしょう。

この特徴は、家庭内の「しつけ」の現われでもあり、社内での教育研修で改善するのは大変かもしれません。

人事考課の評価項目に入れておき、自覚を促して、自ら改善していただくことも考えましょう。

 

2018.09.12.解決社労士

<ハラスメント対策>

パワハラもセクハラもハラスメントの一種ですから、客観的に見れば人権侵害(嫌がらせ)です。そして、直接の相手だけではなく、その行為を見聞きした人にも恐怖感や不快感を与える形で被害を及ぼします。

 

ハラスメント対策の目的は、従業員の中から被害者も加害者も出さないことです。

対策の柱は、「ハラスメントは卑劣で卑怯な弱い者いじめ。絶対に許さない。」という経営者の宣言と、社内での定義を明確にして社員教育を繰り返し行うことです。

その効果は、労働力の確保、労働環境の維持、生産性の向上、定着率の向上、応募者の増加、会社の評判の上昇と幅広いものです。

 

こうした実質面でのハラスメント対策とは別に、形式面でのハラスメント対策も必要です。

その目的は、会社がハラスメント防止に取り組んでいることの証拠を残しておくことです。

対策の柱は、就業規則などで定義を明確に文書化しておくこと、教育実績の保管、相談窓口の設置(できれば社外)です。

その効果は、被害者からの損害賠償請求額の減少などです。

 

<社員とは限らない被害者・加害者>

ここまで述べたことは、被害者と加害者の両方が社員の場合を想定しています。

実際、多くのハラスメントは社員同士で問題となります。

これを放置することは、会社にとって明らかにマイナスですから、積極的な対応をすることに躊躇する理由はありません。

 

しかし、お取引先の社員からのパワハラ・セクハラであれば、今後の取引関係を考えて、事なかれ主義に走ってしまう危険があります。

社員が被害者となった場合には、小さな会社であれば社長自ら、大企業であれば担当取締役がハラスメントの事実を確認し、事実があれば取引関係を解消する毅然とした態度が必要です。

お取引先も理解を示さざるを得ませんし、社員は会社の態度に共感するでしょうし、こうした情報が外部に漏れても批判は生じにくいものです。

長い目で見れば、会社にとってのプラスが大きいといえます。

 

反対に、社員からお取引先に対するパワハラ・セクハラが行われたのではないかという疑いが生じたら速やかに事実を確認し、真実であったなら、社長自らお取引先に出向いてハラスメントの事実について報告とお詫びをする必要があります。

 

<そもそもパワハラ・セクハラなのか>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、パワハラが次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

この中の「職場内」という言葉が端的に示しているように、パワハラは本来社内での発生が想定されています。

ですから、加害者・被害者が取引先など社外の人間である場合には、本来のパワハラやセクハラの定義には当てはまらないといえます。

 

しかし、加害者・被害者が社内に留まらなくても、客観的に見れば人権侵害(嫌がらせ)であることに変わりはありません。

多くの場合、慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となりますし、内容によっては犯罪となり刑法で罰せられることもあります。

ですから、これを防止すべきこと、万一発生したら善処すべきことに違いはありません。

 

<取引先とのパワハラ・セクハラの定義>

上に掲げたモデル就業規則第12条をアレンジして、取引先との間で発生するパワハラを定義するならば、次のようになるでしょう。

 

「取引関係上の地位や人間関係など、取引関係上の優位性を背景にした、取引の適正な範囲を超える言動により、取引先の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなこと」

 

また、取引先との間で発生するセクハラを定義すると、次のようになるでしょう。

 

「性的言動により、取引先の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなこと」

 

これらをパワハラ・セクハラの定義に加えるかどうかは、見解の統一が見られませんが、念のため、就業規則に規定しておきたいところです。

また、社員を守るため、取引先からのパワハラ・セクハラが疑われる事実があれば、上司や社内の相談窓口に報告することも規定すべきです。

どちらも、社員と会社を守るための規定ですから、ぜひ就業規則に加えておくことをお勧めします。

 

2018.07.21.解決社労士

<パワハラの定義からすると>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、パワハラを行う者が、直接被害者に働きかけることは条件に含まれていません。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

これらのことからすると、直接被害者に向けられた行為でなくてもパワハラとなりうることが分かります。

 

<パワハラの構造からすると>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

こうして見ると、ただ単に陰口を叩くような場合、業務上必要の無い雑談の中で悪口を言っているに過ぎない場合には、パワハラには該当しないといえそうです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

パワハラで問題となる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

これらの人権侵害行為は、業務と無関係に行われれば、パワハラの定義にはあてはまらなくても、国家により刑罰を科され、被害者から損害賠償を請求されることがあります。

 

<悪口を言うと成立しうる犯罪>

名誉毀損罪〔刑法230条〕は、公然と事実を摘示して名誉を毀損することで成立します。「摘示」というのは、あばくこと、示すことです。示した事実は、原則として、真実であっても嘘であってもかまいません。しかし、「公然と摘示」するのが条件ですから、他の人には知られないように、直接の相手だけに事実を摘示した場合には成立しません。また、「事実を摘示」しないで名誉を棄損すると侮辱罪〔刑法231条〕となります。

結局、本人がいない所で悪口を言うのは、パワハラにならなくても犯罪になりうるということです。

 

2018.05.27.解決社労士

<会社のパワハラ対策>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。

会社は、就業規則にパワハラの禁止規定と懲戒規定を置き、パワハラ防止対策のための社員教育を行う義務を負っています。これは、労働契約上の雇い主としての義務です。

こうした義務を果たさない会社で勤務する管理職は、パワハラの加害者とされ被害者や遺族から訴えられる危険にさらされています。

部下が「上司のパワハラに絶望しました」といった遺書を残して自殺を図るようなことがあれば、何がパワハラに該当するのか教育研修が行われていない会社では、事実の確認も無いままパワハラの責任を取らされることになりかねません。

不幸にしてこうした会社で働いている管理職は、自分の身を守るため、最低限、以下のことを頭に入れておきましょう。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではありません。

会社の意向を受けて行った叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などは、業務上必要な行為です。行為者の意識としては、これらの行為を熱心に行った結果、パワハラ呼ばわりされたということになりがちです。

しかし、パワハラが問題なのは、必要の無い人権侵害を伴っているからです。

 

<パワハラで問題となる人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

<典型的な犯罪行為>

暴行罪〔刑法208条〕の「暴行」とは、人の身体に向けられた有形力の行使をいいます。有形力とは物理的な力のことで、たとえば石を投げつければ当たらなくても暴行になります。服を引っ張る、近くで刀を振り回す、耳元で大きな音を立てるというのも暴行です。

傷害罪〔刑法204条〕の「傷害」とは、ケガをさせることです。ケガをさせる意図が無く暴行を行った結果、ケガをさせてしまった場合でも傷害罪になります。頭を叩こうとしたところ、相手が避けようとして転び腰を傷めた場合にも、頭を叩くという暴行の故意があった以上、傷害罪になってしまいます。

脅迫罪〔刑法222条〕は、相手や親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して脅迫すると成立します。口頭でも、文書でも、メールでも、あるいは態度でも脅迫になりますし、相手が実際に怖がらなくても成立します。

名誉毀損罪〔刑法230条〕は、公然と事実を摘示して名誉を毀損することで成立します。「摘示」というのは、あばくこと、示すことです。示した事実は、原則として、真実であっても嘘であってもかまいません。しかし、「公然と摘示」するのが条件ですから、他の人には知られないように、直接の相手だけに事実を摘示した場合には成立しません。また、「事実を摘示」しないで名誉を毀損すると侮辱罪〔刑法231条〕となります。

 

<典型的な不法行為>

上記のような犯罪行為に対しては、国家により刑罰として懲役刑や罰金刑が科されうるのですが、同時に不法行為でもありますから、被害者に対しては損害賠償の責任を負います。両者は別物ですから、どちらか片方だけで済むというものではありません。

暴言、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなどの程度が軽くて、名誉棄損罪などの犯罪が成立しない場合には、一般に不法行為のみが成立します。

不要なことや不可能なことの強制が強要罪や業務妨害罪にはあたらない程度の場合にも、一般に不法行為のみが成立します。

つまり、人権侵害行為ではあっても犯罪が成立しない場合には、不法行為のみが成立しうるということです。

 

<身を守るだけではない知識>

パワハラ行為とされ、犯罪者になったり損害賠償を求められたりするのはどのような行為なのか、正しい知識を身に着けることは、自分の身を守るのに必要なことです。

しかし、それだけではなく、自信をもって業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などを行えるようになるのですから、管理職としての指導力を最大限に発揮できるようになるというメリットもあります。

 

2018.05.22.解決社労士

<能力不足によるパワハラ>

会社の就業規則にパワハラの具体的な定義を定め、これを禁止する規定や懲戒規定を置いて、パワハラに関する社員研修を行っていても、社員個人の能力不足によるパワハラが発生します。

ここで不足する能力とは、説明能力が中心です。

 

<就業規則の規定>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<パワハラ防止に必要な知識>

さて、就業規則を読んだだけでは、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを判断できない場合もあるでしょう。

また、他の社員の行為に対しても、自信を持って「それはパワハラだから止めなさい」と注意するのはむずかしいでしょう。

ましてや、暴行罪〔刑法208条〕や名誉毀損罪〔刑法230条〕の成立条件(構成要件該当性)などは、「物を投げつけても当たらなければ成立しない」「真実を言ったのなら名誉毀損にはならない」などの誤解があるものです。

こうしてみると、社内でパワハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識があっても行われるパワハラ>

しかし、高度な知識があるのに、ついついパワハラに走ってしまう社員がいます。もちろん、怒りっぽい、キレやすい性格というのもあります。

そして、カッとなってパワハラ行為に出てしまう原因を見てみると、相手が自分の思い通りに動いてくれない、自分の言ったことを理解してくれないということにあります。

さらに、その原因を追究すると、要領を得ない説明で相手に趣旨が伝わらないということがあります。

1人か2人の相手に伝わらないというのであれば、相手の理解力に問題がありそうです。しかし、「どいつもこいつも解かってくれない」という感想を持つようであれば、その人の説明能力に問題があるのでしょう。

こうして、部下に説明する → 伝わらない → ボーッと聞いている、とんちんかんな質問をしてくる、同じ過ちを繰り返す → 再度説明する → 伝わらない → 感情的になって怒鳴ったり机を叩いたりのパワハラに走る という構造が出来上がってしまいます。

 

<不足する説明能力とは>

一口に「説明能力」と言っても複雑です。

前提として、相手の性格・経験・理解力の把握、相互理解があります。異動したての役職者には、この前提を欠いていることがあり、パワハラ発生の危険が高まります。

次に、相手が落ち着いて傾聴できる態度・環境・雰囲気作り、そして、本人の語彙力・表現力、相手の理解度を探る観察力なども必要です。

こうしてみると、本人の持つ雰囲気、語彙力・表現力、観察力など、会社の教育研修をもってしても容易には醸成できない項目を含んでいます。これらは、その個人の資質に依存する能力です。

 

<具体的な対策>

説明能力が不足する社員は、優位な立場に立たせないのが得策です。

会社に対する貢献度が高い社員に説明能力が不足していたら、説明能力を十分身に着けるまでは、部下を持たせるのではなく、専門職的な立場で会社に貢献してもらうようにしてはいかがでしょうか。

専門職制度など適性を踏まえた人事異動を可能にする仕組みと、その前提となる人事考課制度の適正な運用が、パワハラから社員と会社を守ってくれます。

 

2018.05.09.解決社労士

<就業規則の規定>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<パワハラ防止に必要な知識>

さて、就業規則を読んだだけでは、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを判断できない場合もあるでしょう。

また、他の社員の行為に対しても、自信を持って「それはパワハラだから止めなさい」と注意するのはむずかしいでしょう。

ましてや、暴行罪〔刑法208条〕や名誉毀損罪〔刑法230条〕の成立条件(構成要件該当性)などは、「物を投げつけても当たらなければ成立しない」「真実を言ったのなら名誉毀損にはならない」などの誤解があるものです。

こうしてみると、社内でパワハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識不足によるパワハラの防止には>

こうした事情があるにもかかわらず、就業規則にパワハラの禁止規定があり懲戒規定があることを理由に懲戒解雇まで行われてしまうのは、行為者本人にとっても会社にとっても不幸です。

行為者と家族の人生は台無しになりますし、会社は損害賠償を求められる他、両当事者とも評判が落ちてしまいます。

会社が本気でパワハラを防止するには、就業規則にきちんとした規定を設け、充実した社員教育を実施することが必要となります。社員教育では、パワハラの定義・構造の理解、具体例を踏まえた理解の深化を図りましょう。

この他、人事考課制度の適正な運用や、適性を踏まえた人事異動が、パワハラから社員と会社を守ってくれます。

 

2018.05.08.解決社労士

<いじめの勘違い>

職場で自分の意見が通らない、同僚から無視されている、自分だけが叱られている、したがって、「私はいじめられている」と感じる人がいます。

しかし、いつも見当外れの意見を言うので受け入れてもらえない、やがて同僚は相手にしなくなる、そして、上司は同じ注意を何度も繰り返すうちに声が大きくなるというように、本人に原因がありそうな事例もあります。

 

<東京地裁 平22年9月14日判決>

訴えを起こした人は、一般事務を担当する正社員でした。

しかし、身体、精神の障害により業務に耐えられないなどとして解雇されてしまいました。

これに対して、解雇権の濫用であり不当解雇なので解雇は無効であること、社長や上司による集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被ったので慰謝料などを請求すると主張したのです。

 

裁判で認定されたその人の働きぶりは次の通りです。

 

書類をファイルする場所を間違えることが多かった。

電話対応に問題があり、たびたび助言を受けていた。

仕事に慣れるペースが遅かった。

勤務態度について、上司からかなり厳しい注意を受けていた。

教育指導的観点から少しでも業務遂行能力を身につけさせるために、日報の作成を命じた。ところが、失敗に対する反省を書かないので、上司が業務の反省点や改善点も記入するように指導した。それでも書き漏れが多かった。

顧客から電話応対について感じが悪いとクレームを受けたため、ミーティングを開くなどして、本人に改善を求めたが受け入れなかった。

 

この裁判の判決では、社長や上司たちには、いじめや嫌がらせの動機や目的が無いものとされ、訴えを起こした人の請求は退けられました。

 

<対策として>

訴えを起こした人に対して、上司などが熱心に教育指導していることがわかります。これはこれで大事なことです。

しかし、そもそもこのような人を採用しないことは、教育以上に大事だと思います。採用した会社側にとっても負担が大きいですし、採用された側も自分の能力を超える要求をされて苦しいからです。

また、人事考課制度の適正な運用によって、働き手ひとり一人の能力や適性を明らかにしておくことも必要です。

ただ、こうした専門性の高いことは、社内に専任の担当者を置くことがむずかしいかもしれません。そのような会社では、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命いただくことをご検討ください。

 

2018.02.02.解決社労士

<生理休暇取得の権利>

「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定され、これに違反すると30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法68条、120条1号〕

つまり、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を取るのは権利であり、使用者に当たる人がこれを妨げるような発言をすれば、それは違法であるということになります。

ここで「使用者」には、個人事業なら事業主、会社なら会社そのもの、代表者、取締役、理事、人事部長、労務課長などが含まれます。〔労働基準法10条〕

 

<パワハラとは>

パワハラは、力関係に基づく嫌がらせです。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で嫌がらせをします。

多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いが多発しています。

 

<パワハラになるかならないかの基準>

生理日の就業が著しく困難な女性が生理休暇を取得しようとした時に、「仕事を優先しろ」「使えない」などの発言をすることは、明らかにパワハラです。

また、無限定に漠然と「お前は生理休暇なんか取るな」と発言した場合には、生理日の就業が著しく困難な場合を含めて生理休暇の取得を妨げる発言ですから、権利の侵害でありパワハラになります。

 

これに対して、普通に勤務することが困難ではない程度の苦痛を伴う生理を理由に生理休暇を取得することや、生理中であることそのものを理由に生理休暇を取得することは、労働基準法も認めていません。

ですから、生理中の女性が朝から普通に勤務していて、お天気が良いので午後から遊びに行くため「生理休暇を取得したい」と言ったのなら、これに対して「今日は生理休暇を取るな」という指導は正当なものであり、パワハラにはならないのが一般です。

 

実際には、生理の苦痛は本人にしかわからないでしょう。

上司としては、女性から「生理休暇を取得したい」という申し出があれば、これを拒否できないことになります。

ただ、生理休暇を取得しておきながら、レジャー施設に出かけて絶叫マシンで楽しんでいる様子がSNSなどにアップされたら、不正に生理休暇を取得したものとして、懲戒処分の対象となりうるというのも事実です。

この辺りについては、女性社員に対する教育指導が必要でしょう。

 

<セクハラにもあたる場合>

セクハラは、性的なことについての嫌がらせです。

職場に限らず、性的なことに対する興味が特に強い人がいます。こうした人が、「いたずら」「からかい」のつもりで「嫌がらせ」をするとセクハラになるのですが、本人は道徳に反しないと思っているので、反省することなく繰り返します。

 

生理休暇について言えば、「生理の周期から考えて今日休暇を取るのはおかしい」「その歳で生理休暇を申し出るのは変だ」などという発言はセクハラになります。

これは、相手の人格の尊厳を無視して、踏み込みすぎた発言となるからです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

生理休暇など労働者の権利についての知識習得は従業員任せにはできません。会社が教育研修を実施する義務を負っています。

また、パワハラ、セクハラ、マタハラについては教育だけでなく、就業規則などにその定義を明らかにし、懲戒処分の対象とすることも必要です。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.18.解決社労士

<パワハラの公式定義>

法令にはパワハラの定義がありません。

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、パワハラが次のように説明されています。

 

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

 

パワハラの被害を受けたと感じた人が「客観的に見てパワハラといえる事実があった」と会社に報告しても、それは被害者の考えているパワハラの定義にあてはまる行為にすぎないということになります。

もしその行為が、加害者のパワハラ定義にも、報告を受けた人のパワハラ定義もあてはまるのであれば、確かにパワハラがあったものとして対応してもらえるでしょう。

しかし、これでは対応してもらえる範囲が狭すぎます。

 

<パワハラの社内定義>

就業規則に、その職場独自の具体的な定義が規定されていて、従業員に周知されていれば、被害者はその定義に当てはまる具体的な行為があったことを主張すれば良いのです。あとは事実の存否のみが問題となります。

反対に、社内にパワハラの定義がなければ、何がパワハラに当たるのかは不明確ですから、どのような行為が問題なのかは分かりません。

こうした職場では、必ずパワハラがあるでしょうし、あれば野放しにされがちです。

こうした環境では、採用難だというのに退職者が出やすくなっています。

 

<パワハラの性質>

パワハラは業務上必要な指導・激励・叱責と一体的に行われます。ここがパワハラの厄介なところです。

この点、業務には全く必要のないセクハラとは明確な違いがあります。

ですから、パワハラの理解が浅い人にパワハラ被害を訴えても、「それはお前がちゃんとしないからだ。反省して頑張りなさい」などと言い返されてしまいます。

 

<パワハラ被害の上手な報告>

以上のことを踏まえ、パワハラの定義がない会社で被害にあったなら、受けた行為のうち業務上必要のない行為に焦点を当てて、いつ、どこで、どのような状況で、どういう具体的事実があったのかを客観的に報告しましょう。

決して感情的になってはいけません。感想や気持ちは、たずねられたら答えるようにした方が説得力が増すものです。

内容をメモにまとめて、そのメモを見ながら報告することをお勧めします。

 

2017.09.17.解決社労士

<厚生労働省の説明>

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、各ハラスメントが次のように説明されています。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは … 職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い、および妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントとは … 妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為を「不利益取扱い」といいます。

また、妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等に関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うことを「ハラスメント」といいます。

 

<就業規則などの規定>

私もセミナーなどでは、この厚生労働省の説明を使わせていただきます。

しかし、就業規則や社内広報の資料では、高校生アルバイトや高齢者、知的障碍者の方もいらっしゃることから、ハラスメントについて「働く仲間を傷つける嫌がらせは禁止します」という表現にしています。

なぜなら、その目的は上手に説明することではなくて、本気でハラスメントを無くすことだからです。

法的義務だから就業規則を置くのではなくて、効果的な就業規則を作成するのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.11.解決社労士

<事実の確認>

ある社員から、いじめられている、嫌がらせを受けているという申し出があった場合、あるいは、第三者からいじめの報告があった場合、安易に対応すると、いじめを行っているとされた社員の人権侵害となることもあります。

こうした人権侵害を回避しつつ、いじめを救済するためには、何よりもまず、事実の確認が必要です。

まず、いじめを受けているとされる社員から、十分な聞き取りをすることです。先入観を持たず、示された行為の評価はせず、淡々と事実の確認を行います。

つぎに、いじめをしているという社員からも、十分な聞き取りをします。このとき、「Aさんから、あなたにいじめられているという申し出があった」と言うのではなく、「Aさんから、あなたの行為について相談があった」と言うべきです。最初から加害者扱いしてはいけません。熱心に仕事を教え、時には厳しい口調となってしまうこともあるというのが、判明する事実かもしれないのです。それでも、本人に意図的ないじめの意識があったのであれば、途中でお詫びの言葉が出てくることでしょう。

さらに周囲の社員からも、十分な聞き取りを行います。そうすることによって、より一層、客観的な事実が浮かび上がるものです。

 

<記録の作成>

事実の確認にあたっては、聞き流してはいけません。きちんと記録を残す必要があります。何月何日の何時に、どこでどういうことがあったのか、詳細に記録します。

こうすることで、聞き取り調査が正式なものであり、真剣に対応している姿を聞き取りの相手に示すことができます。これによって、話し手もよく考えて、真剣に話してくれるものです。

また、法的な紛争となった場合にも、正式な証拠として役立てることができます。

 

<事実の評価>

得られた事実から、行為者の各行為について、人格権の侵害や就業規則違反が無かったか公平に評価します。

また、当事者に能力不足や適性の欠如が無いかも検討します。

 

<注意・指導>

この段階で、行為者がいじめを自覚していれば、すでに反省していることでしょう。だからと言って、「許してあげよう」では被害者も周囲の社員も納得できませんし、安心して働けません。

正式に注意・指導し、その内容を書面にまとめ、上司とそのまた上司までは署名を得ておき、最後に行為者の署名を得て会社が保管します。

もし、行為を繰り返すようであれば、次回は書面による注意、そしてさらに重い処分へと進むことになります。

 

<配置転換>

ただ単に、問題となった社員同士の相性が悪いということであれば、その片方または両方を配置転換することも検討したいものです。

 

<退職勧奨>

重大ないじめが発覚した場合、注意・指導をしても改まらない場合、配置転換をしてもなお追いかけていじめるような場合には、行為者に対して、自主的に退職してもらうよう働きかけることも考えられます。

もっとも,本人が反省しておらず、退職することに合意しない場合には、合意するよう強制することはできません。

 

<普通解雇>

いじめを行わずにはいられない性格であれば、業務上必要な協調性が欠けているわけですから、組織の一員として勤務することは困難です。

しかも、これを指導によって改善することは、個人の性格を変えるという話になってしまい、およそ無理なことです。

結局、改善できない能力不足であれば、普通解雇が妥当ということになります。

 

<懲戒解雇>

就業規則に具体的な規定があることが大前提ですが、いじめが激しいものでなければ、それが懲戒解雇の客観的に合理的な理由とはならないケースが多いでしょう。

軽い懲戒処分の対象とすることから始めて、どうしても改まらないために、懲戒解雇にまで行きついてしまったということは想定できます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

もし会社に顧問の社労士がいれば、事実の確認から対応できます。社外の第三者としての立場から、客観的な事実を確認するには適任でしょう。

その後の対応についても、就業規則や労働法に照らして適切なアドバイスを行うことができます。

何かトラブルが発生してからではなく、保険のつもりで顧問社労士を置いておき、会社の実情を把握させておくのが得策でしょう。

 

2017.07.12.解決社労士

<経営者の理解>

企業が職場におけるハラスメント防止に取り組むにあたっては、経営者の理解が大前提となります。

これ無くしてハラスメント防止対策を行っても、すべては空回りしてしまうものです。

それほど経営者の意識や姿勢は、企業全体に大きく影響します。

経営者自らが理解を深めるために、セミナーなどに参加することをお勧めします。

 

<実態把握と意識把握>

職場環境の実態や従業員の意識を把握しましょう。

アンケートなどにより把握する場合には、単なる集計ではなく、防止対策のためであることを明確にして実施します。

プライバシーの保護には十分配慮することを明確にして実施しましょう。

 

<従業員の活用>

ハラスメントの問題は、職場環境や従業員の位置づけなどの、企業風土に大きく左右されます。

ハラスメント防止のためには、偏りの無い従業員の活用もポイントとなります。

これには、適正な人事考課制度の運用が必要となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも経営者がセミナーに出かけたがらないというのであれば、社労士が社内で研修を行うこともできます。

客観的な実態把握や意識把握がむずかしいというのであれば、これも社労士が承ります。

適正な人事考課制度の構築や運用も、社労士の得意分野です。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.30.解決社労士

<基本的な態度として>

パワハラを指摘されたなら、それはそれで十分反省すべきです。

しかし、懲戒解雇というのが行き過ぎた対応ではないかと疑うことも必要です。

パワハラを理由に懲戒解雇を宣告されても、それが法的に有効となるためには、厳格な法的要件を満たす必要があります。

会社に再考を促すべき場合もありますので、冷静に考えてみてください。

 

<懲戒処分の有効要件>

解雇までいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。条件を1つでも欠けば、無効を主張できるわけです。

法律上の制限としては、次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

ですから「使用者が労働者を懲戒できる場合」、つまり就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあって、その労働者の行為が明らかに懲戒対象となる場合であっても「懲戒権濫用法理」の有効要件を満たしていなければ、裁判ではその懲戒処分が無効とされます。

また、そもそも就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

懲戒権の濫用ではないといえるためには、次の条件を満たす必要があります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・パワハラの問題が起きてから懲戒処分の取り決めができたのではないこと。

・過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明や弁解をするチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 

<懲戒規定の明確さ>

実際にパワハラとされた行為が、懲戒処分の対象であることが明確でなければ、従業員としては、何が処分の対象かわからないまま処分されてしまうことになります。これは、やはり懲戒権の濫用となり、懲戒処分は無効となります。

同じパワハラでも、暴行、傷害、名誉毀損など、刑法上の罪に問われる行為であって、懲戒規定に「会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったときは懲戒解雇とする」という規定があれば、他の条件を満たす限り懲戒解雇も有効になります。

しかし、こうした規定が無かったり、パワハラとされた行為が刑罰法規に違反する行為ではないという場合には、パワハラの定義の明確性が問題となります。

 

<パワハラの定義>

法令にパワハラの定義はありません。ですから、職場ごとに明確な定義づけをしなければ、パワハラを理由とした懲戒処分はできません。

つまり、就業規則などの規定を読めば、問題とされた行為がパワハラにあたることは、その行為を行った人にも明らかだと言える場合や、パワハラについての教育研修が十分に行われているので、その行為を行った人にも理解できていたと言える場合でなければ、有効に懲戒処分を行うことはできません。

何を禁止されているかわからないのに、「あれはパワハラだったから処分します」という不合理なことは許されないのです。

ですから、パワハラを指摘され反省してみたものの、本当にパワハラと言えるのかどうか良くわからないならば、パワハラの定義が不明確である可能性が高いのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラで懲戒解雇になりそうな場合、自分の行為が本当にパワハラだったのか、パワハラだったとして解雇されるほどのことだったのか、という疑問を感じているのなら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.19.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はパワハラを受けたことにより、その職場にいられなくなることがあります。そこまでいかなくても、個人の能力の発揮が妨げられます。

我慢していると、うつ病や対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。この場合、再就職が困難になります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

パワハラの被害は、直接パワハラ行為を受けている相手だけでなく、その同僚、後輩、部下など広範囲に及びます。こうして従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、熱心な親身の指導をしているつもりで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、パワハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<パワハラの性質>

意図的にパワハラ行為をしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導の中に、パワハラとなる部分が含まれているということが多いのです。

業務上必要な注意指導とパワハラ行為との明確な区分が微妙だというのが、パワハラの特徴です。この点、業務上必要なセクハラ行為というものが無いのとは対照的です。

パワハラになることを恐れて、業務上必要な注意指導ができなくなってしまうのも困りものです。

 

<パワハラの予防>

まず就業規則などに、その職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。特に、必要な注意指導との区別についての教育は重要です。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.10.解決社労士

<円卓会議WG報告の基準>

法令にパワーハラスメントの定義があるわけではなく、平成24年3月に公表された厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告に示された定義がよく用いられています。

次に示すパワハラの分類も、すべてのパワハラ行為を網羅しているわけではないので、ここに分類されていない行為がパワハラになることもあります。

 

身体的な攻撃(暴行・傷害)

 たたく、なぐる、蹴る、丸めたポスターで頭をたたくなど。

 これらは、業務に関係するものであっても、業務に直接必要な行為ではないので、業務の適正な範囲に含まれることはありません。

 

精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、暴言)

 同僚の目の前での叱責、他の従業員を宛先に含めてメールで罵倒、長時間にわたり繰り返ししつこく叱るなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

人間関係からの切り離し(隔離、仲間はずれ、無視)

 1人だけ別の部屋に席を移される、自宅待機を命じられる、送別会に出席させないなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

過大な要求(不要なことや不可能なことの強制、業務妨害)

 仕事のやり方がわからない新人に、他の人の仕事まで押し付けて、1人で残業させる。

 

過小な要求(能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない)

 運転手が草むしりだけを命じられる、営業担当者が倉庫番のみを命じられる。

 

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 交際相手についてしつこく問われる、配偶者に対する悪口を言われる。

 

このうち、過大な要求、過小な要求、個の侵害は、業務上必要な適正な指導との区別がむずかしい場合もあります。

これらに該当する行為であっても、業務の適正な範囲を超えるかどうかについては、業種や企業文化の影響を受けるうえ、その場の状況や行為の継続性などによっても、判断が異なってくるからです。

ですから、各企業、各職場で認識を統一し、明確化することが求められます。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などに各企業、各職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.09.解決社労士

<社内でよくあるもの>

社内で従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判になるもの>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的なもの>

退職者から未払い残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払い残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

2017.06.03.解決社労士

<パワハラの大前提>

パワハラは、力関係に基づく嫌がらせです。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で嫌がらせをします。

多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いがあります。

パワハラの大前提として、同じ職場の従業員間で発生するものと想定されています。

 

<拡大して考えると>

しかし子会社の従業員が、親会社の従業員から、力関係を背景とする嫌がらせを受けるということもありがちです。

これも広い意味でのパワハラにあたるのではないでしょうか。

この場合の被害者は、自分の上司に相談することになります。そして社長にまで話が伝わり、社長が親会社に被害の申告と改善の要求をするという流れになります。しかし、これは建前であって、実際には親会社と子会社の力関係から、上司や社長が動いてくれないことも多いでしょう。

もし、親会社の方にパワハラの相談窓口があって信頼できるのであれば、そこに相談するのも良いと思います。

 

<取引先の従業員からの嫌がらせ>

取引先の従業員から嫌がらせを受けた場合には、パワハラの本来の定義からは外れると思われます。

この場合の被害者は、自分の上司に相談することになります。そして社長にまで話が伝わり、社長が取引先に被害の申告と改善の要求をするという流れになります。しかし、これは建前であって、実際には会社と取引先の力関係から、上司や社長が動いてくれないことも多いでしょう。

 

<相談窓口>

被害を受けたら、上司に報告と相談が正しい行動です。しかし、会社が対応してくれないのなら、社外に助けを求めることになります。

労働基準監督署などには、総合労働相談コーナーが設置されています。まずは電話で相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.04.09.解決社労士

<正当防衛が成立すれば>

刑法に正当防衛の規定があります。「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」〔刑法361項〕

ですから、部下の反発が「突然、本気で首を絞めてきた」ということでしたら、首を絞められている最中に、部下を殴っても正当防衛になります。

公法である刑法が認めている行為を、パワハラ扱いすることはできないでしょう。

 

<過剰防衛ならば>

刑法には、正当防衛にはならないものの、行き過ぎた防衛行為の場合には、過剰防衛と認定され、刑が軽くなりあるいは免除される場合があるという規定があります。「防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる」〔刑法362項〕

ですから、部下の反発が「突然、胸ぐらをつかんできた」ということでしたら、その瞬間に部下を殴っても過剰防衛となる可能性があります

そうだとしても、殴る行為それ自体はパワハラです。

 

<どちらでもない場合>

部下がただ反論してきたに過ぎないのに、つまり暴言を吐いたに過ぎないのに、殴ってしまったなら、正当防衛どころか過剰防衛にもなりません。暴行罪が成立しますし、ケガをさせてしまったら傷害罪の成立の他、治療費や慰謝料の賠償が問題になります。〔刑法208条、204条、民法709条〕

この場合には、パワハラを通り越して明らかに犯罪です。

 

<反発の原因も問題>

「反発」の原因がパワハラであれば、たとえ殴ったのが正当防衛になっても、パワハラは正当化されません。加害者と被害者が入れ替わっても、悪いことを帳消しにはできません。

たとえば、コンビニのA店とB店が並んでいて、A店の店長がB店で万引きしたとします。さらに、これを知ったB店の店長がA店で万引きしても、お互い様にはなりません。両方の店長に窃盗罪が成立します。〔刑法235条〕

殴った行為がどのように評価されようとも、部下の反発前に行われたパワハラは正当化されません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラ被害の申し出は増加しています。そして、パワハラ予防や発生時の対応は簡単ではありません。ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.18.解決社労士

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

パワーを背景とした嫌がらせがパワハラであり、これによって被害を受けた人は、行為者と会社に対して民法などを根拠に損害賠償などを求めることができ、社長以下取締役に対しては会社法を根拠に損害賠償を求めることができます。

 

<目立たないパワハラ>

パワハラというと、暴力を振るったり怒鳴ったりの激しいものを考えがちです。こうした行為は、誰かが気付き注意しやすいでしょう。

しかし、次のような目立たないパワハラもあるのです。

・過大な要求型パワハラ ― 能力や経験を超える無理な指示はパワハラにあたります。終業間際に過大な仕事を押し付けるのがその例です。

・過小な要求型パワハラ ― 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことはパワハラにあたります。与える仕事の件数を他の社員よりも著しく少なくするのがその例です。

・個の侵害型パワハラ ― 私的なことに関わる不適切な発言や私的なことに立ち入る管理などはパワハラにあたります。休みの理由を根掘り葉掘りしつこく聞いたり、スマホをのぞき込んだりするのがその例です。

こうしたパワハラは、一般に思われているパワハラと違い、物静かでおとなしい役職者でも行いうるものです。そして、気付かれないうちに被害が拡大しがちです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラの定義が無い会社には、必ずパワハラがあり被害者がいると思います。目立たないパワハラも就業規則に規定し、禁止し、教育したうえで懲戒処分も行わなければ、被害者の発生は防げません。また、第三者的な相談窓口の設置によって、被害を最小限にとどめる必要があります。

これらをトータルに任せるのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご依頼ください。

 

2017.03.09.解決社労士

<労災保険は適用されない>

パワハラによってケガをさせた場合、労災保険は適用されません。なぜなら、ケガをさせるようなことは本来の業務に含まれませんし、本来の業務に通常伴うものでもなく、また関連するものでもないからです。

 

<パワハラ加害者の責任>

暴力によって相手にケガをさせれば傷害罪が成立します。これは、最高刑が懲役15年という重い犯罪です。〔刑法204条〕

また、これとは別に、被害者から治療費や慰謝料などの損害賠償を請求されるでしょう。〔民法709条、710条〕

刑事責任と民事責任は別問題ですから、たとえ国家から罰金刑を科されたとしても、これとは無関係に損害賠償責任を負うわけです。

 

<会社の責任>

そして会社は、職場で行われた加害について、加害者の使用者として、加害者本人と同様の賠償責任を負います。使用者責任です。〔民法715条〕

さらに会社は、労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする労働契約上の責任もありますから、加害行為があることを知りながら適切な対処をしなかったときは、この義務違反による損害賠償責任が発生します。〔民法415条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように、パワハラによるケガの治療費は、被害者から加害者に対しても、また会社に対しても請求することができます。

会社は、被害が発生したら賠償請求に応ずれば良いということではなく、パワハラそのものが発生しないようにする義務を負っています。

具体的には、パワハラの定義を明確にし、従業員を教育してその発生防止に努める他、就業規則などでパワハラを禁止し、万一発生した場合には懲戒処分が行えるように具体的な懲戒規定を置くことも必要です。さらに、パワハラを行う従業員に適正な評価をし、役職者から外せるような人事制度も必要ですし、問題が小さいうちに被害者が相談できる窓口の設置も必要です。

信頼できる社労士を相談窓口に指定し、具体的な施策の推進についても相談されてはいかがでしょうか。

 

2017.03.01.解決社労士

<パワハラは優位性による嫌がらせ>

パワー・ハラスメントとは、「職場において、職権などの力関係を利用して、相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」とされています。

ハラスメント(嫌がらせ)は、被害を受けている従業員のメンタルヘルス不調に直結します。

 

<会社の正しい対応>

パワハラについての教育・研修も大切です。しかし、パワハラを懲戒処分の対象とし、就業規則に懲戒規定を置くことや、人事考課の基準に取り入れることはもっと大事です。

そして、これらすべての前提として、パワハラについての明確な定義が就業規則などによって社内に示されていることが必要です。パワハラの定義が無い会社には、必ずパワハラがあり被害者が存在すると言っても過言ではありません。

 

<パワハラ被害に気付いたら>

パワハラについて正しい対応ができていない会社で、部下や同僚の被害に気付いたら、プライバシーに配慮しつつ、熱心に話を聴くことが大切です。

ここでは安易に意見を述べたり、間違いを指摘してはいけません。じっくりと話を聴いて、気持ちをくみ取ることに心がけます。

もし、メンタルヘルス不調の徴候に気付いたら、専門家に相談することを勧めましょう。

また、社内での解決が難しいケースでは、都道府県の相談窓口への相談も考えましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の正しい対応を進めるには、信頼できる社労士との連携が必要だと思います。

また、パワハラ対策が進んでいない会社では、従業員の相談窓口として社労士を指定しておくことをお勧めします。

相談窓口の無い会社では、従業員が突然、労働基準監督署や弁護士に相談するものです。

問題が小さなうちに対処できるよう、安全策を講じましょう。

 

2017.02.13.解決社労士

<日本語に直すと>

英語のハラスメント(harassment)は、日本語の「いやがらせ」にあたります。

「いやがらせ」は、相手に対して、わざと不快感や損害を与える行為で、道徳に反するものを言います。

「いたずら」も近い意味を持ちます。しかし、「いたずら」は第三者が見たときに笑えることもあるのですが、「いやがらせ」は道徳に反するので笑えません。

 

<セクシャルハラスメント>

これは「セクハラ」と略されることが多い「性的なことについてのいやがらせ」です。

職場に限らず、性的なことに対する興味が特に強い人がいます。こうした人が、「いたずら」のつもりで「いやがらせ」をするとセクハラになるのですが、本人は道徳に反しないと思っているので、反省することなく繰り返します。

また職場では、部下が上司に対して愛想よく、従順で素直です。これは立場上当然なのですが、上司が勘違いして部下から好かれていると思い込むことがあります。上司は、部下が自分に魅力を感じ恋愛感情を抱いていると勘違いすることによって、その部下に対して、ある程度は性的な言動をすることも許されるだろうと思い込んでしまいます。そして、対象となった部下は、立場上、その気が無いことをハッキリと言い出せずに、限界を超えるところまで従い耐えることになります。

 

<パワーハラスメント>

これは「パワハラ」と略されることが多い「力関係に基づくいやがらせ」です。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で「いやがらせ」をします。多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いがあります。

職場では、上司と部下、先輩と後輩の関係で多く見られます。怖いことに、セクハラを伴うパワハラも見られます。それでも、行為者は自分の行為を許されていると思い込んでいます。

 

<会社など使用者の責任>

職場で、セクハラ、パワハラ、マタハラ、その他のハラスメントが起きないよう、使用者がしっかり管理しなければなりません。

働いている人たちは、労働契約によって働いています。雇い主の「働いてください。給料を支払います」という意思と、労働者の「働きます。給料を支払ってください」という意思の合致によって、労働契約が成り立っています。

ですから、会社側は労働者がきちんと働ける環境を整える義務を負っています。また、労働者もきちんと働ける環境を侵害しない義務を負っています。

つまり、労働者がハラスメントをしない義務を負っているのと同じく、会社側もハラスメントを防止する義務を負っています。

万一、ハラスメントが発生すれば、その行為者と会社の両方が責任を負います。

ここでのポイントは、見つけ次第対応することだけが会社の義務ではなく、発生しないように、十分な教育を繰り返すことも会社の義務だということです。

この義務は特別なことではなく、労働契約の性質から当然のことなのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ハラスメントをなくすには、まず経営者の「許さない」という意志の表明が大切です。これが無くては、何も始まりません。

そして教育と、相談窓口の設置が必須となります。

教育についても、相談窓口についても、社内で間に合わせるよりは社外の専門家に委託したほうが、はるかに効果的です。

ぜひ、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.01.03.解決社労士

<ハラスメントとは>

パワハラやマタハラの「ハラ」は、ハラスメントの略です。これは日本語で「嫌がらせ」と言います。

職場での職権などのパワーを背景とした嫌がらせがパワハラであり、働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに受ける嫌がらせがマタハラです。

どちらも、精神的・肉体的な嫌がらせによって、幸福追求権〔13条〕、平等権〔14条〕、思想・良心の自由〔19条〕、言論の自由〔21条〕、職業選択の自由〔22条〕、勤労の権利〔27条〕など、憲法の保障する基本的人権を侵害するものです。

これによって被害を受けた人は、行為者と会社に対して民法などを根拠に損害賠償などを求めることができ、社長以下取締役に対しては会社法を根拠に損害賠償を求めることができます。

 

<パワハラとマタハラの違い>

パワハラでは、対象者の職務遂行能力、仕事の進め方、態度、礼儀、性格などが引き金になります。上司や先輩は、対象者の職場での様子に常識を超える不信感を抱くのです。そして、その対象者の「存在」が負担だと感じます。

マタハラでは、対象者の職務遂行能力や仕事の進め方は、原因になりにくいものです。場合によっては、態度、礼儀、性格も原因とされますが、ほとんど「いいがかり」です。上司や先輩、さらには後輩も、対象者の職場での様子ではなく、妊娠、出産、育児によって、対象者が長い間職場を離れることで、自分たちの仕事の負担が増えることに不安と不満を感じるのです。つまり、その対象者の「不存在」が負担だと感じます。

 

<パワハラの効果的な対策>

パワハラ行為者は、負担ばかりを感じ、何の利益も感じられないのが不満です。

もし、部下や後輩の指導を、人事考課基準に取り入れたらどうでしょう。自分がダメ社員だと思う相手を育成すると、成長した分だけ自分が評価され、正当な見返りがあるということになります。

今、人事考課制度が無い会社は、なるべく早く導入すべきですし、個人の経験・能力が評価の中心となっている会社では、部下・後輩の育成を評価の対象とすることをお勧めします。誰をどこまで成長させるという具体的内容を、個人目標の一つにしたいものです。

状況によっては部下・後輩に、上司・先輩の育成を個人目標として設定するケースも考えられます。

 

<マタハラの効果的な対策>

マタハラ行為者は、仕事の負担増が不安であり不満です。

女性社員が妊娠した場合、ミーティングなどで、その部署のメンバーに公表することが多いでしょう。それと同時に、その女性社員が休んでいる間、派遣社員が来るとか、他部署からの応援が入るなどの対応を伝えたらどうでしょう。

産休・育休の間、会社は給与の支払義務がありません。浮いた人件費で派遣社員を頼むことは可能でしょう。他部署からの応援は、次善の策です。なぜなら、応援に入る人が不安と不満を感じることもあるからです。

妊娠について公表するのは、人の手配がついてからにしたいものです。

 

たしかに就業規則などによる対応も、法令で義務づけられています。しかし、法律を守っていても、問題が発生しないわけではありません。

柳田事務所にご依頼いただければ、就業規則や人事考課制度はもちろん、会社の状況に応じた実質的な対策をご提案させていただきます。

 

2016.10.11.

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

 

<パワハラの定義の抽象性>

パワハラの定義は抽象的なものになりがちです。

ところが懲戒処分を有効に行うには、つまり懲戒処分を行ってそれが無効だと主張されないようにするには、就業規則や労働条件通知書などに具体的な懲戒規定が必要です。パワハラについての懲戒規定が無かったり、たとえあっても抽象的すぎて具体的な言動がパワハラにあたるかどうか判断できなかったりすれば、加害者が有効に処分されることはありません。

懲戒処分の手続きを担当する従業員の常識に照らせばパワハラにあたることが明らかな行為であっても、加害者の常識に照らせば対象者を育成するのに必要不可欠な行為であり正当な行為だという場合もあります。

 

<懲戒処分の目的>

懲戒処分の目的には、不都合な行為を行った従業員に対して制裁を加えることにより、他の従業員が納得して安心して働けるようにすること、他の従業員が同様の行為を行わないよう再発を防止すること、そして何より行為者本人が深く反省し同じ過ちを繰り返さないようにすることなどがあります。しかし、本人が自分の行為は懲戒処分の対象になるようなものではないと確信していては、たとえ懲戒処分を行っても、反省するどころか、会社に対する反発と不信感を生むだけです。

ですから、会社がパワハラ対策をきちんとするには、懲戒規定を読めばパワハラの具体的な定義と具体例がすぐわかるようにしておく必要があります。パワハラについての具体的な定義が無い職場には、必ずパワハラがあると言っても過言ではないでしょう。

 

<上司は部下をしかれないのか>

職場では、業務上の指示や指導の際に、やや厳しい言動が見られることはありますし、労働者本人が不快に感じたからといって、その行動の全部が違法になるわけではありません。

しかし、その行動の目的と手段から見て、企業の中で通常行われている範囲を超えた業務上の指示や対応であれば、違法なハラスメントになるといえます。つまり、相手の感情を基準に違法性を判断するのではなく、周囲の人々が客観的に見たときに、業務上の必要性も無く、嫌がらせなどの不当な目的が明らかで、一般的に見て不安を感じさせるような対応だと言えるときに、違法性の存在が認められるのです。

また、その言動自体は業務の範囲と言えるものでも、退職に追い込む、あるいは見せしめなどの目的が客観的に明らかであれば、違法なパワハラであることが認定できます。

裁判となった事例では、一人だけ炎天下の作業を命じたり、差別的に業務配分をしたりすることを違法としたケースがあります。

さらに、部下の指導や勤務態度の改善といった正当な目的でなされた行動であっても、暴力を伴う行為は、原則として違法となる犯罪行為です。

たとえ言葉の上での対応でも、その発言の内容が著しく労働者の人格や尊厳を傷つけるものであったり、社会的に許される範囲を超えて継続的になされたりすれば、やはり違法となります。このときも、言われた人がどう思ったかではなく、客観的に見て人格や尊厳を傷つけるか、世間一般の基準から客観的に許される範囲と言えるかが基準となります。

 

<パワハラと指導の境界線をどこに引くか>

こうして見て来ると、次の場合には、指導を超えたパワハラと言えるでしょう。これらを踏まえて、パワハラについての懲戒規定を見直すようお勧めします。

・相手の成長を促すのとは別の不当な目的が客観的に認定できる場合。ここで、不当な目的とは、退職に追い込む、見せしめ、差別的、人格権の侵害などがあります。つまり、憲法で保障された人権の侵害や、刑罰法規に触れるような不当な目的です。

・客観的に見て犯罪行為にあたる場合。炎天下の人目につかない場所で、たった一人で力仕事をさせたり、暴力を振ったりというのは、目的がどうであれパワハラにあたります。

・客観的に見て、怒りをぶつけている場合。親が子供をしつける場合には、こうしたことが必要になるかもしれません。しかし、社会人を指導し育成するのに、怒りの感情を持ち込むことは、必要不可欠なことではありません。

 

就業規則の見直しなど、具体的にどうしたら良いのか迷ってしまう場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

また、感情に左右されることなく、冷静に対応できることから、第三者的な立場の社労士が、パワハラの相談窓口になることも有効な対策になります。

 

2016.10.10.

<問題上司>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は部下」と思い込み、パワハラで気に入らない部下を追い出すような管理職です。

自部署の業績が向上すれば、自分の方針や部下への指導が優れていると感じますし、昇給・昇格・抜擢・栄転など期待はふくらみます。

部下の年次有給休暇取得率が低ければ、その部下が無能であり、仕事にメリハリが無いからだと感じます。自分の業務配分のバランスの悪さや、指導不足は感じません。

社長や上司の機嫌は最大限尊重します。コンプライアンスや、部下の権利との調整など思いつくことはありません。

自部署の業務の問題点を指摘されると、嫌いな部下のせいにします。面と向かって「お前のせいでこんな結果になってしまった」と言います。パワハラは毎日のように続きますから、その部下は異動や退職を申し出ます。そして、その部下がいなくなれば、もう問題点は解決したと思い込みます。

しかし、追い出された部下は上司のパワハラや会社の管理責任を問う訴えを起こしてきます。その部下自身はおとなしい性格なのですが、その両親や親戚に強い性格の人がいて「おとなしく引き下がっていないで訴えなさい」と迫るのです。

こうなって初めて会社は、問題上司の存在に気がつきます。問題上司にも責任はありますが、管理職にしてしまった会社の責任の方が重いかもしれません。

 

<問題上司を作らない方法>

管理職選考の段階で見極めることが大事です。今までの業務の中で、次のような傾向が強く見られれば、管理職登用を見送ることです。

・仕事でも私生活でも上手くいったことの原因は自分にあると主張する。

・仕事でも私生活でも上手くいかなかったことに自分の責任は無いと言う。

・昇進・昇格・栄転などに強い興味を示し、同期との比較をしたがる。

・会社や上司に対して「間違っている」と思うことを言わない。

これらは、人事考課のチェック項目に入れておくことができます。きちんとした人事考課基準の確立と運用で、問題上司を作らない会社にしておくことです。

社長の好き嫌いや経験年数で管理職に登用してしまうと、かわいそうな部下を作ってしまうことになります。

具体的に人事考課をどうすれば良いか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<問題上司の教育>

問題上司に会社の方針を伝えたり、それを部下に浸透させたり、別の部署を担当させたりは、普通に行うことができます。

しかし、問題上司から優良上司に変えることはできません。生まれてから今までに、私生活でも仕事でも多くの経験を積む中で、今の人間力を身に着けてきたのですから、他人がこれを変えることはできません。

問題上司の真逆の優良上司とは、良いことも悪いこともその原因を自分の能力や判断と部下に対する指導にあると理解し、自分の昇進を考える前に部下をしっかり育てることを考え、退職までにどれだけ多くの人材を育て会社を成長させられるか真剣に考えるような管理職です。

問題上司を優良上司に変えようと努力するよりは、他の社員を抜擢した方が近道です。

 

<うっかり問題上司を作ってしまったときのために>

会社オリジナルの就業規則が最大の武器になります。

パワハラの定義すら無い就業規則では、問題上司の暴走を止めることはできません。どんなに優秀な社員であっても、不適切な言動はきちんと懲戒の対象とし、一度管理職になっても不適格と認められれば降格させることのできる規定を備えた就業規則を作り、磨き、周知することによって、被害を最小限に抑えることができます。

もちろん、優良上司がのびのびと働ける内容にしなければなりません。

もう一つ、会社にとって不都合な情報でも、社長や取締役あるいはこれに準ずる人たちにきちんと伝わる会社にしておくことです。

どれほど優れた判断力を備えた社長でも、必要な情報が入って来なかったり、ウソの報告が多かったりしたら、正しい経営判断はできません。

就業規則や人事制度についても、問題を感じるようになる前に、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.10.06.

<パワハラ加害者の責任>

たとえば、パワハラによって相手にケガをさせれば傷害罪〔刑法204条〕が成立します。これは、最高刑が懲役15年という重い犯罪です。

また、これとは別に、被害者から治療費や慰謝料などの損害賠償を請求されるでしょう。〔民法709条、710条〕

刑事責任と民事責任は別問題ですから、たとえ国家から罰金刑を科されたとしても、これとは無関係に損害賠償責任を負うわけです。

 

<懲戒処分の位置付け>

刑罰は国家との関係、損害賠償は被害者との関係で問題となります。そして、懲戒処分は会社との労働契約にかかわる問題です。

ですから、有罪とされ損害賠償をすることとなっても、必ずしも懲戒処分が有効になるわけではありません。

あくまでも別問題として考える必要があります。

 

<懲戒処分の正当性>

パワハラで懲戒処分を受けたなら、パワハラについてきちんとした知識を身に着けつつ、気を取り直して業務に打ち込み、社内の信頼を回復するのが筋です。

しかし、どうにも納得がいかないという場合には、次の懲戒処分の有効要件を確認してみましょう。

・パワハラに対する懲戒が就業規則などに規定され周知されていること。

 →パワハラの定義と懲戒の規定があって社内に周知されていることです。

・今回の行為が具体的に懲戒規定にあてはまるといえること。

 →10人の社員に聞いてみて、意見が分かれるようではダメです。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

 →ちょっと厳しくしかったら相手が泣いたので懲戒解雇ではやり過ぎです。

・事件が起きてから懲戒処分の規定ができたのではないこと。

 →問題視されたので会社があわてて規定を変えたというのはダメです。

・過去に懲戒処分の対象とした行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

 →何度も始末書を書かせたけれど、効果がないので今回は過去の分も全部合わせて減給処分というやり方はできません。

・その労働者に説明するチャンスを与えていること。

 →ここは大きなポイントです。本人の言い分を聞かずに懲戒処分はできません。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

 →元々手を焼いていたので、チャンスとばかりに懲戒処分はできません。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 →誰がやったかによって、処分が違うのは不当です。

これらの条件のほとんどは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論の具体的な内容を示したものです。条件を満たしていなければ、懲戒処分は無効となります。〔労働契約法15条〕

それどころか、会社は労働者から損害賠償の請求を受けることにもなります。

ただ、懲戒処分を受けた本人は感情的になっていますから、会社が懲戒権を濫用したのかどうか、弁護士や特定社労士に客観的な判断を求めることが必要でしょう。

 

<人事権との関係>

刑罰を科せられたとか、損害賠償を請求されたからといって、それを理由に降格処分というのは不合理です。

しかし、ひどいパワハラを行った人は、人の上に立つ資格がないと判断されても仕方ありません。

懲戒処分を受けるにあたって、本人には事情を説明するチャンスが与えられますから、このときに懲戒処分の有効性について、淡々と主張することはできます。

しかし、自分の行為に対する反省を示さず、正当性ばかりを主張すると、資質を疑われるのではないでしょうか。

刑事事件として不起訴とされ、民事事件で勝訴し損害賠償を免れ、会社側の手続きの落ち度で懲戒処分が無効になったとしても、これらを通じて人物を疑われれば、会社の中での将来は暗いものとなってしまいます。

是非とも、十分な反省を示したうえで、主張すべきは主張していただきたいものです。

 

2016.09.02.

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

 

<会社の立場から>

上記の定義によると、パワハラの加害者は「職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性」がある人です。つまり、会社の上司が加害者となって部下を攻撃したり、先輩が後輩に苦痛を与えるというのが、パワハラの基本的な構造となります。

会社としては、上司と部下、先輩と後輩との間にトラブルが発生すれば、ついつい会社に対する貢献度や経験年数を考えて、上司や先輩にあたる加害者の肩を持つ傾向が強くなってしまいます。

しかし、世間のパワハラに対する目は、年々厳しくなってきています。会社が加害者の味方を続ければ、マスコミやネット上の評判の低下から、定着率は低下し、そもそも求人広告に対する応募者が来なくなるでしょう。

会社としては、会社に対する貢献度や経験への評価はきちんとする一方で、加害者としての責任も追及する態度が求められます。

 

<パワハラの抽象性>

パワハラの定義は抽象的です。

一方で、加害者を処分するには、就業規則や労働条件通知書などに具体的な懲戒規定が必要です。つまり、懲戒規定がなかったり、抽象的すぎて具体的な言動がパワハラにあたるかどうか判断できなければ、加害者が処分されることはありません。注意されることすらないのです。

会社がパワハラ対策をきちんとするには、懲戒規定を読めばパワハラの具体的な定義と具体例がすぐわかるようにしておく必要があります。パワハラについての具体的な定義がない職場には、必ずパワハラがあると言っても過言ではないでしょう。

 

<被害者のとるべき行動>

パワハラ対策は会社の責任です。被害者としては、加害者が上司であれば、まず会社の担当部署に相談すべきです。また、加害者が先輩であれば上司に相談すべきです。基本的にパワハラの問題は、社内できちんと解決すべきだからです。一足飛びに労基署などに相談すると、会社も対応に困ってしまいます。

とはいえ、会社がきちんと対応できない場合には、会社が責任を負えないわけですから、労基署の総合労働相談コーナー、労働委員会、法テラスなどの機関や、弁護士、社労士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

2016.08.22.

<対象となるケース>

上司からパワハラを受け、精神的に参ってまともに出勤できない状態にされ、退職を迫られてやむなく応じ、自己都合退職扱いにされるという場合の上手な闘い方です。

あってはならないケースですが、パワハラの定義すら就業規則にない会社では、誰もパワハラを止めることができず犠牲者が後を絶ちません。

 

<最初に思いつくのは>

こんなとき被害者が精神的に回復すると、あのパワハラ上司を訴えてやろうという気持ちになりがちです。

パワハラそのものを理由に、損害賠償を請求しようと思うと、労働者の側でパワハラの存在と、それによってこうむった損害額を証明しなければなりません。

 

<証明責任(挙証責任)>

裁判で訴える側がAという事実の存在を主張し、訴えられた側がその存在を否定したとします。裁判所は、どちらが真実か証明がつかないからといって、裁判を拒否できません。

そこで、あらかじめ法令やその解釈によって、Aという事実の証明について、訴える側と訴えられた側のどちらが責任を負うかが決まっています。

そして、その責任を負う人が証明に失敗すると、自分の主張が通らないという不利な扱いを受けるのです。

 

<パワハラを証明することの困難>

パワハラで損害賠償を請求するというのは、法律上は加害者に対する不法行為責任の追及ということになります。

そして、その証明責任は被害者である労働者にあるのです。

上司が人前で殴ったり蹴とばしたりすれば、証人がいるでしょう。しかし目撃者が、退職した労働者のために証言してくれるとは限りません。

ましてや電話でのやり取りや、会議室で二人きりで話していてどなられたことなどは、とうてい証明できないでしょう。

 

<視点を変えれば>

このケースでは、パワハラの問題もあるのですが、不当解雇の側面もあります。

労働者が不当解雇を主張し、解雇は無効であって会社に行けなかった間の賃金の補償や慰謝料を会社に求めた場合には、少なくとも不当解雇ではなかったことについて、会社が証明責任を負います。

具体的には、解雇が客観的に合理的な理由を欠いていたり、社会通念上相当であると認められない場合には、会社がその権利を濫用したものとして、その解雇を無効とするという規定があります。〔労働契約法16条〕

ですから、労働者が不当解雇を主張すれば、会社はその解雇に客観的に見て合理的な理由があったことを証明しなければなりません。また、世間一般の常識から考えて、解雇したのもやむを得ないといえるケースだったことを証明しなければなりません。会社は両方の証明に成功しなければ、裁判で負けてしまうのです。

 

<結論として>

訴えるにしても訴えられるにしても、やり方次第で損得が出てしまいます。また、紛争解決の手段は訴訟だけではありません。

何を主張して、どう戦ったらよいのか、報酬を支払ってでも弁護士や社労士に相談する意味はここにあります。

 

2016.08.04.