医師によるオンライン面接指導

2020/12/04|1,582文字

 

<医師による面接指導>

事業者は、一定の要件を満たす長時間労働者に対して、医師による面接指導を実施しなければなりません。〔労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項、第66条の10第3項〕

法の規定に基づく面接指導は、情報通信機器を用いて行うことができます。

令和2(2020)年11月19日に、このことについての通達が一部改正されました(基発1119 第2号)。

ここで、通達の内容をご紹介します。

 

<基本的な考え方>

労働安全衛生法第66条の8第1項で、面接指導は「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされています。

つまり、医師が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握し、把握した情報を元に、必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものです。

このため面接指導は、労働者の様子を把握し、円滑にやりとりを行うことができる方法により行う必要があります。

面接指導を実施する医師が、必要と認めた場合には、直接対面によって行う必要があります。

急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて面接指導を行うことへのニーズが高まっています。

しかし、情報通信機器を使って面接指導を行う場合でも、労働者の心身の状況の確認や必要な指導が適切に行われるようにするため、以下の留意事項を踏まえて実施しなければなりません。

 

<医師への情報提供>

事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容、作業環境等に関する情報、対象労働者に関する業務の内容、労働時間等の勤務の状況、作業環境等に関する情報を提供しなければなりません。

 

<望ましい医師>

面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当することが望まれます。

・面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。

・面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。

・面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。

・面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、その労働者に指導等を実施したことがある場合。

 

<情報通信機器の要件>

面接指導に用いる情報通信機器は、以下の全ての要件を満たすことが必要です。

・面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。

・情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。

・労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

 

<実施方法の要件>

情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすことが必要です。

・情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行ったうえで、事前に労働者に周知していること。

・情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

 

<緊急時対応体制の整備>

情報通信機器を用いた面接指導で、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていることも必要です。

 

解決社労士

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