事業主が社会保険料を負担する理由

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<健康保険法の規定>

保険料の負担と納付義務について、健康保険法に次の規定があります。

 

第百六十一条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。

2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

3 任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

4 被保険者が同時に二以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令で定めるところによる。

 

これによると、事業主と健康保険加入者(被保険者)が保険料を半分ずつ負担することになっています。

しかし、納付義務を負っているのは事業主です。

健康保険加入者が突然退職すると、事業主が健康保険加入者の負担分を給与から控除できないケースもあります。

この場合、事業主は保険料を一度は全額負担してでも保険料を納付し、退職した健康保険加入者に本人の負担分を請求することになります。

 

<厚生年金保険法の規定>

保険料の負担と納付義務について、厚生年金保険法にも次の規定があります。

 

第八十二条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。

2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

3 被保険者が同時に二以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。

4 第二号厚生年金被保険者についての第一項の規定の適用については、同項中「事業主は」とあるのは、「事業主(国家公務員共済組合法第九十九条第六項に規定する職員団体その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。

5 第三号厚生年金被保険者についての第一項の規定の適用については、同項中「事業主は」とあるのは、「事業主(市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条又は第二条の規定により給与を負担する都道府県その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。

 

健康保険法とよく似た規定です。

 

<事業主が保険料の半分を負担する理由>

事業主が保険料を半分負担する理由は、公式に明示されてはいませんが、次のようなものが考えられています。

 

・健康保険や被用者年金について、法令が制定される前から、事業主によって独自の福利厚生が行われることがあった。つまり、事業主負担の実態がある程度は存在していた。

・社会保険によって、労働者のモチベーションが高まり生産性が向上する。また、健康保険による医療給付は労働者の職場復帰を早める。このように、社会保険は事業主にも利益をもたらす。

・私的な傷病や私的な原因による障害についても、労働による疲労やプライベートな時間の減少が遠因となることもあり、事業主も一部の責任を負担することが公平に適う。

・事業主の保険料負担は、事業主に対して、労働者の生活援助を法的に強制するものであり、社会連帯原理が社会保険に現れたものである。

 

ただ、なぜ事業主の負担割合が5割とされたのかは理由が曖昧です。

 

2019.06.28. 解決社労士 柳田 恵一