2022/07/19|792文字
<失業保険から雇用保険へ>
昭和22(1947)年5月3日に日本国憲法が施行され、第27条で勤労権が保障されました。
これによって、国家が国民に雇用の場を提供する責務を負ったことになります。
これを受けて、同年の12月1日に失業保険法が制定されました。
この法律は、失業保険の対象者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的としていました。
さらに、勤労権保障の充実のため昭和50(1975)年4月1日失業保険法が廃止され、代わって雇用保険法が施行されました。
<雇用保険の目的>
雇用保険法の第1条に、この法律の目的が掲げられています。
「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」
<雇用保険で行われる給付と事業>
雇用保険法の目的に沿って、現在では次のような給付と事業が行われています。
求職者給付 | 基本手当、技能習得手当など |
就職促進給付 | 就業手当、再就職手当など |
教育訓練給付 | 教育訓練給付金 |
雇用継続給付 | 高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付 |
雇用安定事業 | 助成金の支給 |
能力開発事業 | 職業訓練など |
この中の基本手当が、昔の失業保険金(失業手当)に相当します。
いまだに「基本手当」と言うよりは、「失業手当」と言った方が通じやすい状態です。
このうち給付の保険料は、労働者と使用者が折半します。
そして、事業の保険料は使用者が負担します。
また、保険料の他に費用の一部を国庫が負担します。