会社での失言

2021/07/13|1,302文字

 

パワハラ加害者の処分

 

<同じ失言でも>

大臣が失言で罷免されたというニュースは、たびたび報道されています。

場合によっては、大臣をクビになるだけでなく、国会議員としても辞職に追い込まれるケースがあります。

しかし、民間企業での社員の失言はほとんど報道されず、じわじわとその影響が現れてくることが多いものです。

 

<会社での失言>

上司が部下に対して「○○くんって彼女はいるのかな?」という失言をしたとします。

これが失言だとピンとくる人は、正しい知識を持っていて実践できているので、問題となる失言はしないでしょう。

 職場の優位者が劣位者に対して、仕事上接する際に、必要以上に人権を侵害しうる行為をパワハラといいます。

上司が部下を「○○くん」と呼ぶ必要はありません。

このように呼ぶのは、客観的に見れば上から目線の態度ですから、パワハラになりうるのです。

職場の人間関係や職場環境で、性について平穏に過ごす自由を侵害しうる行為をセクハラといいます。

彼女かいるかどうかは、聞かれるだけでドキドキします。

ですからセクハラになるのです。

ましてや、言われた男性が同性愛者であれば、同性愛者であることがバレたのかと、大いに困惑することもあるでしょう。

LGBTQへの対応は、すべての企業に必須の取組み課題なのです。

 

<失言で表面化する労働問題>

この例で、言われた部下がパワハラやセクハラを問題にすることは少ないでしょう。

ハラスメントについての社員教育が不足していれば尚更です。

しかし、彼女のいない○○くんは「彼女がいないのは出会いが無いからだ。毎日残業続きだし、休日出勤もあるし、有給休暇も取れないからだ」と思ってしまうかも知れません。

また、彼女がいる○○くんは「今の年収では結婚もできないし、子供を設けるなんてとても無理だ。それに、家族と過ごす時間も確保できやしない」と考えるキッカケとなります。

上司の失言により「会社のため、自分のため」と頑張ってきた○○くんは、考えを変えてしまう可能性があるのです。

何気ない一言が、人間関係や職場関係を悪化させ労働問題が表面化します。

この例では、パワハラ、セクハラ、長時間労働、サービス残業、年次有給休暇の取得率、低賃金の問題について、法的に正当な主張を公式の場で展開する可能性が高まります。

 

<解決社労士の視点から>

特に中小企業では、社員教育が最善の対策です。

すべての点で、労働法に従った遵法経営というのは困難です。

有名な大企業であっても、しばしば労働法違反の報道がされています。

あらゆる点で法律上の努力義務まで尽くしているという企業は稀です。

だからといって、法令を無視することはできません。

日本は法治国家です。

会社は、法律によって法人としてその存続が認められでいるのですから、アウトローでは生きていけません。

罰則が適用されるようなことは慎まなければなりません。それは犯罪なのです。

結局、会社として対応すべきは対応して、社員とのコミュニケーションを密にして、適正な社員教育をすることです。

少なくとも、部下を持つ社員には失言させない教育が必要ですし、すべての社員にブラック企業の疑いを発生させないための教育が必要です。

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