2025/03/10|790文字
<論理誤差>
考課者が自己流の推論で評価対象者の人格を決めつけ、各評価項目の評価をしてしまうことがあります。
・時々遅刻するのはルーズな性格だからだ。
・営業成績が優れているのは押しが強いからだ。
これらは、仕事に関わる事実のほんの一部を手がかりとした推論に過ぎません。
・お金持ちの家に育ち甘やかされて育ったので忍耐力が無い。
・小学生の頃から日記を書き続けているので根気強い。
これらは一つの事実、しかも仕事とは無関係な事実から評価を推論しています。
論理誤差とは、数多くの事実に基づき客観的に評価せず、主観的な推論で評価してしまうことをいいます。
<考課者としての対策>
この論理誤差による弊害を防ぐには、評価項目ごとになるべく多くの事実に基づいた評価をすることが必要です。
つまり考課者は、日々の業務の中で、評価対象者の仕事ぶりに関する事実を数多く拾って記録しておく必要があります。
<実務の視点から>
考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、サボりがちです。
しかし、考課者が事実に基づかず単なる印象で評価してしまうのでは、適正な人事考課制度の運用はできません。
考課者に対しては、定期的な考課者研修を実施すること、考課表には評価の根拠となる事実を数多く記入する欄を設けることが必要です。
手間のかかることではありますが、評価される側からすると、考課者個人の勝手な印象で評価を決められたのではたまりません。
新型コロナウイルス感染症終熄による人の流れの回復や、産業構造の転換による異業種間転職の増加などの影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。
人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。