採用の自由

2021/04/28|1,112文字

 

<採用は自由が原則>

企業が応募者を採用するのは、法的に見れば労働契約の締結ということになります。

契約については、誰とどのような内容の契約を交わすかについて、当事者の自由に委ねられるという契約自由の原則があります。

ですから、企業側から見れば、応募者の中から誰を選択するかという採用の自由があるということになります。

 最高裁判所も、誰をどのような条件で雇うかについて、法令などによる特別の制限がない限り、原則として自由に決定することができると判断しています。〔昭48年12月12日 三菱樹脂事件〕

「法令などによる特別の制限がない限り」という条件付きですから、「特別の制限」があれば、企業の採用の自由は制限を受けることになります。

 

<性別による差別>

性別を理由とする募集・採用の差別は法律で禁止されています。〔男女雇用機会均等法第5条〕

また、直接的な差別ではなくても、募集・採用にあたって身長、体重、体力に基準を設定することや、転居を伴う転勤を要件とすることは、合理的な理由がなければ間接差別として禁止されます。〔男女雇用機会均等法第5条〕

 

YouTube「合理的」の意味

 

<年齢による差別>

募集・採用に年齢制限を設けることは、法律で禁止されています。〔雇用対策法第10条〕

かつては努力義務とされていましたが、現在では法改正により法的義務となっています。

それでも、雇用対策法により年齢制限が一切許されないわけではありません。

ただし、法的に許される例外に当たる場合でも、求職者に対しその理由を示さなければなりません。〔高年齢者雇用安定法第18条の2など〕

 

<思想による差別>

思想や信条を理由に採用しないことは、明確に禁止する法律の規定がありません。

したがって、原則として認められることになります。

たしかに、労働基準法は思想・信条等による差別を禁止しています。

しかし、これは採用後の労働者に適用されるものと解されています。

 

<障害による差別>

企業には、一定比率以上の障害者の雇用が義務づけられています。〔障害者雇用促進法第37条〕

そして、障害者の雇用率がこの一定比率に満たない場合は、その企業から障害者雇用納付金を徴収することになっています。〔障害者雇用促進法第53条以下〕

一般の民間企業の障害者雇用率は引き上げられてきましたし、今後も引き上げられていく見込みです。

これに伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の範囲も、従業員数の少ない企業へと広がっています。

 

<解決社労士の視点から>

社会保険労務士は採用についてもプロフェッショナルです。

求人・採用やその後の教育について不安があれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

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