目立たないパワハラの恐怖

2023/12/05|970文字

 

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

この中の「職場環境を悪化させる」というのは、仕事に集中できなくなる人を発生させたり、出勤できなくなる人を発生させたりすることをいいます。これは、会社にとって大きな痛手となります。

パワーを背景とした嫌がらせがパワハラであり、これによって被害を受けた人は、行為者と会社に対して民法などを根拠に損害賠償などを求めることができ、社長以下取締役に対しては会社法を根拠に損害賠償を求めることができます。

 

<目立たないパワハラ>

パワハラというと、暴力を振るったり怒鳴ったりの激しいものを考えがちです。

こうした行為であれば、誰かが気付き注意しやすいでしょう。

しかし、次のような目立たないパワハラもあるのです。

・過大な要求型パワハラ ― 能力や経験を超える無理な指示はパワハラにあたります。終業間際に過大な仕事を押し付けるのがその例です。

・過小な要求型パワハラ ― 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことはパワハラにあたります。与える仕事の件数を他の社員よりも著しく少なくするのがその例です。

・個の侵害型パワハラ ― 私的なことに関わる不適切な発言や私的なことに立ち入る管理などはパワハラにあたります。休みの理由を根掘り葉掘りしつこく聞いたり、スマホをのぞき込んだりするのがその例です。年次有給休暇の取得理由を尋ねるなどもこれにあたります。

こうしたパワハラは、一般に思われているパワハラと違い、物静かでおとなしい役職者でも行いうるものです。

そして、気付かれないうちに被害が拡大しがちです。

 

<実務の視点から>

パワハラの定義が無い会社には、必ずパワハラがあり被害者がいると思います。

就業規則の規定が「法令による」では、具体的な内容が分かりません。

目立たないパワハラも就業規則に規定し、禁止し、教育したうえで懲戒処分も行わなければ、被害者の発生は防げません。

また、第三者的な相談窓口の設置によって、被害を最小限にとどめる必要があります。

これらをトータルに任せるのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご依頼ください。

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