2023/11/09|920文字
<偉い人はタイムカードが要らないか>
タイムカードは、出勤時刻、退出時刻、休日、休暇の記録を残し、労働時間を管理するために使われています。
会社によっては、休憩時間や外出時間もタイムカードに記録しています。
しかし、「労働時間を管理するのは何のためか?」と問われると、「残業手当の計算ができないと困るから」「サービス残業になるといけないから」という答えが返ってくることがあります。
タイムカードを使う目的を、残業手当の計算に絞ってしまうと、残業手当の付かない管理監督者にタイムカードは必要ないことになります。
そして、やがてはタイムカードの無いことが、役職者の一種のステータスになります。
<タイムカードが無い悲劇>
たとえば、部長が勤務中に心臓発作で倒れたとします。
過重労働による労災ではないかと疑われたとき、会社はこの部長が長時間労働ではなかったことをどのように証明するのでしょうか。
家族が「帰宅は毎日24:00を過ぎていました。土日も出勤していました」と話したら、これが事実とは違っていても、会社は責任を免れないように思われます。
またたとえば、部長が通勤経路で倒れたとします。
通勤災害かも知れません。
しかし、発見されたのが深夜で、仕事帰りなのかどうかすら分からなければ、労災保険の手続をしようにも情報が足りません。
こうしたことを想定すると、取締役など経営者を除き、誰でもきちんと労働時間を管理するのが正しいことがわかります。
<目的を見失うと>
結局、タイムカードを使う目的は、あくまでも労働時間の管理であって、残業手当の計算はその一部に過ぎないのです。
会社の中には多くのルールが存在します。
そして、思考の単純化のために、そのルールの存在理由を1つに絞って説明することも良く行われています。
しかし、これが危険なことは、上の例からも明らかでしょう。
<社労士(社会保険労務士)の立場から>
会社の就業規則を見直す場合、規定を増やすだけでなく削ることもあります。
しかし、その規定を削って良いのか悪いのか、安易な判断は会社にとって大きなダメージにつながることもあります。
就業規則の改善や運用の見直しをお考えでしたら、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。