会社への届出と違う経路での通勤と労災

2023/11/07|925文字

 

<労災保険の適用>

次のような通勤災害についても、通常の労災と同じ基準で労災保険が適用されます。

・会社への届出と違う経路での通勤途中のケガ

・会社への届出と違う交通手段による通勤途中でのケガ

・バイク通勤禁止の会社でバイクによる通勤中に転倒してのケガ

ただし、不合理な寄り道や遠回りは、通常の労災と同じく労災保険の対象外となります。

 

<労災保険適用の理由>

労災保険は、政府の制度ですから、会社のルールによって労災保険の適用範囲を制限したり広げたりはできません。

これを許すと、何のために国が統一的に労災保険の仕組みを作っているのか、分からなくなってしまいます。

また、保険は保険料と保険金の給付のバランスが細かく計算され設計されています。

それぞれの会社が、保険金の給付について独自のルールを作り、それが有効だとすると、保険料と保険金の給付のバランスが崩れてしまい、保険制度そのものが破たんする可能性すらあります。

 

<労災保険の勘違い>

アルバイトやパートに労災保険が適用されないという勘違いもあります。

しかし、たった1日だけの臨時アルバイトにも、労災保険は適用されますし、保険料の計算対象にもなっています。

また、労災保険を使うと保険料が高くなるという勘違いもあります。

たしかに、業種ごとに従業員が一定の人数を超える会社では、メリット制という保険料の割増・割引の制度がありますから、一定の限度を超えて保険給付を受けると、保険料が割増になることはあります。

しかし、すべての会社で保険料の割増が発生するわけではありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

会社が労災保険の手続に協力的でない場合には、被災者は所轄の労働基準監督署の労災課に相談できます。

もちろん、信頼できる社労士にご用命いただければ、手続の代行もいたします。

一方で会社としては、通勤手当をごまかしている従業員からは、払い過ぎの金額を徴収したいでしょう。

しかし、給与から勝手に控除することはできません。

また、禁止しているバイク通勤を行った従業員には、適正な懲戒処分が必要です。

「けしからんからクビ」というのでは不当解雇になります。

こうしたことに対応できる就業規則の改善と運用も、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

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