労災保険の請求者

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2020/05/11|782文字

 

<建前上の請求人>

労災保険法の規定では、被災した労働者本人が請求人です。

もちろん、労働者が死亡した場合には本人からの請求は無理ですから、その遺族が請求人となります。

この建前から、労災の請求をするかどうかは、被災した労働者本人や遺族が決めることになります。

しかし、労災保険の請求手続を、建前通りに労働者本人や遺族が行うことには無理があると感じられます。

 

<事業主の手助け>

「労働者本人がケガのため、自ら手続きができないときは、事業主は労災保険の請求手続きを手助けしなければならない」「労働者から労災保険の請求手続きに必要な証明を求められたときは、事業主は速やかに必要な証明をしなければならない」という規定があります。〔労災保険法施行規則第23条〕

このように会社について、労災保険の請求手続に関する証明義務と助力義務が規定されています。

 

<実務上は>

実務的には、会社が労災保険の請求手続を主導することになります。

多くの会社は、被災労働者に労災保険の手続について説明し、請求書の記入をその大半の部分で代行し、労働基準監督署に請求書を提出するなど、ほとんどの手続を行っています。

手続を本人任せにしていると、所轄の労働基準監督署の労災課から「きちんと手続を主導しなさい」という指導が入ることになります。

被災者本人の不注意もあって、被災者が遠慮がちな態度を取ることもあります。

「労災保険の給付を辞退します」などと明言することもあります。

しかし、治療が長引いたり、後遺症が出たりで、被災者の気が変わることも度々あります。

不正に健康保険での治療を続けておきながら、費用負担に耐えられず、会社に補償を求めることもあります。

こうなると会社の経費負担は、大変大きなものになってしまいます。

最初から被災者を説得し、会社が十分なフォローを行うことによって、トラブルを未然に防ぎたいものです。

 

解決社労士