高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン

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2020/03/21|2,040文字

 

<エイジフレンドリーガイドライン>

令和2年3月16日、厚生労働省が「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を公表しました。

このガイドラインは、60歳以上の労働者の労働災害発生率が高くなり、2018年には休業4日以上の死傷者のうち26.1%が60歳以上となっている現状と課題を受け、高齢者が働きやすい職場環境の実現に向けた労使の取組みを促進するために策定されました。

事業者に求められる取組みとして、次の5つが示されています。

 

<安全衛生管理体制の確立等>

・経営トップ自らが、高齢者労働災害防止対策に関する事項を盛り込んだ安全衛生方針を表明すること。

・高齢者労働災害防止対策に取り組む組織や担当者を指定する等により、高齢者労働災害防止対策の実施体制を明確化すること。

・安全衛生委員会等、人事管理部門等において高齢者労働災害防止対策に関する事項を調査審議すること。

・身体機能の低下等による労働災害の発生リスクについて、危険源の洗い出しを行い、リスクアセスメントをすること。

・リスクアセスメントの結果を踏まえ、年間推進計画を策定、取組みを実施し、計画を一定期間で評価し、必要な改善を行うこと。

 

<職場環境の改善>

・事業場の施設、設備、装置等の改善を検討し、必要な対策を講じること。

具体的には、照度の確保、階段への手すりの設置、滑りやすい箇所への防滑素材の採用、墜落制止用器具、保護具等の着用、安全標識等の掲示等、高年齢労働者の特性やリスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて改善に取り組むなど。

・短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務等により勤務形態や勤務時間を工夫することで高年齢労働者が就労しやすくすること。

・高年齢労働者の特性を踏まえ、ゆとりのある作業スピード、無理のない作業姿勢等に配慮した作業マニュアルを策定、または改定すること。

・注意力や集中力を必要とする作業について作業時間を考慮すること。

・複数の作業を同時進行させる場合の負担や優先順位の判断を伴うような作業に係る負担を考慮すること。

 

<高年齢労働者の健康や体力の状況の把握>

・雇入れ時および定期の健康診断を確実に実施すること。

・労働安全衛生法で定める健康診断の対象にならない者が、地域の健康診断等(特定健康診査等)の受診を希望する場合は、必要な勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟な対応をすること。

・事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させること。

・体力チェックの具体的方法として、加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)等を導入すること。

・事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施すること。

・労働者の体力の状況の把握にあたっては、不利益な取扱いを防ぐため、労働者自身の同意の取得方法や労働者の体力の状況に関する情報の取扱方法等を定めること。

 

<高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応>

・高年齢労働者については基礎疾患の罹患状況を踏まえ、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、作業の転換等の措置を講じること。

・高齢者に適切な就労の場を提供するため、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。

・安全と健康の点で適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせるよう努めること。

・「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づき、集団および個々の高年齢労働者を対象に、身体機能の維持向上のための取組みを実施することが望ましいこと。

・ストレスチェックを確実に実施するとともに、ストレスチェックの集団分析を通じた職場環境の改善等のメンタルヘルス対策に取り組むこと。

 

<安全衛生教育>

・雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこと。

・作業内容とそのリスクについて理解を得やすくするため、十分な時間をかけ、写真や図、映像等の文字以外の情報も活用すること。

・再雇用や再就職等により経験のない業種や業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練を行うこと。

・管理監督者、ともに働く各年代の労働者に対しても、高年齢労働者に特有の特徴と高年齢労働者に対する安全衛生対策についての教育を行うことが望ましいこと。

・管理監督者向けの教育は、体系的キャリア教育の中に位置付けることも考えられること。

・脳・心臓疾患の発症等緊急の対応が必要な状況が発生した場合に、適切な対応をとることができるよう、職場において救命講習や緊急時対応の教育を行うことが望ましいこと。

 

<ガイドラインの活用にあたって>

ガイドラインは、その特性上、一般論的な内容となっています。

実際に、ガイドラインを活用して、自社の高年齢労働者の安全と健康確保に取組むに当たっては、十分な聞き取り調査を行い、事業者と高年齢労働者とで共通認識を確保できるようにしておくことが大切です。

 

解決社労士