被災者の不注意による労災をどうやって防止するか

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<労災防止の目的>

ケガをした本人は反省しているのに、何かと周囲の人から責められたり、勤務のたびにイヤな記憶がよみがえったりして、残念ながら退職していくケースが散見されます。これは、戦力の喪失です。

たとえ辞めなくても、しばらくの間は100%の力を発揮できないでしょう。また、大ケガであれば休業することもあります。これは戦力の低下です。

さらに、労働基準監督署の調査が入って、労災防止の指導があると、今までやってこなかったことを義務付けられるなど、そちらに戦力を奪われることになります。

労災を防止する大きな目的は、戦力を確保して生産性を維持することにあると思います。

 

<実質面での対策>

ケガ人を出さないための対策です。

従業員の注意力を向上させるというのは、まず無理でしょう。たとえ注意力が低下しても事故が発生しないようにする工夫が必要です。

これには教育が最も有効です。機械・器具の扱い方や、滑りやすい転びやすいポイント、危険な作業について、部門別の朝礼のときに再確認していくのが効果的です。進行係が一方的に説明するだけでなく、参加者に質問して答えをもらってから正解を解説すると、記憶に定着しやすくなります。

 

<形式面での対策>

労災防止策を実施していることの証拠を残して、労働基準監督署の調査が入っても、説明できるようにしておくことです。

当然ですが調査に入った方は、目に見えるものしかチェックできません。「毎朝朝礼で教育しています」と言っても、それが真実かどうかは見えません。

ですから、朝礼で指導した内容は、ノートなどへの記録が必要です。他にも研修を実施すれば、その案内書やレジュメなどに参加者の署名をしてもらって保管するなど、目に見える記録の保管が必要です。

職場に注意喚起のためのポスターやハリガミも必要です。たしかに掲示物で本当に労災防止の効果があるかどうかは疑問です。しかし、形式面での対策としては欠かせないものです。

 

<心がけとして>

他にも設備の更新など、お金をかければできる対策はたくさんあります。しかし、生産性の維持という観点からは一歩後退です。

実質面と形式面の両方での対策をするにあたって、手間のかかることをしてしまっては、生産性が低下してしまいます。より簡単に、より日常的に、そして経費のかからない方法をとっていくことが大事です。

 

それでも具体的に何をどこまでやればいいのか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

「岡目八目」ということばがあります。事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できることをいいます。会社の状況に慣れてしまった従業員よりも、客観的に見ることのできる専門家の意見は貴重だと思います。

 

2016.09.17.