厚生労働省が履歴書の様式例を作成しました

2021/05/21|965文字

 

<厚生労働省が履歴書の様式例を作成した理由>

履歴書は、主に採用選考で使用されます。

このことからすれば、厚生労働省が履歴書の統一様式を定めても良さそうですが、これまでは独自の様式を定めず、一般財団法人日本規格協会が示していたJIS規格の履歴書の様式例を推奨してきました。

ところが、令和2(2020)年7月に、LGBT当事者を支援する団体から、厚生労働省、日本規格協会等に対して履歴書様式の検討(性別欄の削除等)を求める要請が行われました。

これをきっかけとして、JIS規格の履歴書の様式例全体が削除されました。

このため、令和3(2021)年4月16日、厚生労働省労働政策審議会安定分科会が履歴書の様式例を作成しました。

厚生労働省は、公正な採用選考を進めるため、新たに作成された様式を推奨しています。

 

<JIS規格の履歴書からの変更点>

性別欄が「男・女」の一方を○で囲むことによって選択する方式から、任意記載欄に変更されました。

任意記載ですから、未記載とすることも可能です。

採用選考に当たって、性別そのものや性別に関連して見た目から受ける印象などを排除する意図です。

また、「配偶者」「扶養家族数」「配偶者の扶養義務」「通勤時間」の各欄を様式内に設けないこととしました。

これらは、本人の業務遂行能力などとは関係の無い事項であり、公正な採用選考をするにあたっては有害無益だからです。

 

<履歴書の様式例の使用義務>

厚生労働省が作成した履歴書の様式例は、公正な採用選考を確保するために例示しているのであって、法的拘束力はありません。

そのため、企業側が特定の履歴書の様式を指定して応募させる場合に、厚生労働省の様式を使用するか否かは各企業の判断に任されています。

また、企業側が特定の履歴書の様式を指定しない場合には、応募者が任意の様式を用いることができます。

応募者にとって、履歴書は自己アピールのツールですから、特技、資格、学歴、職歴、趣味、健康状態など、企業側に訴えたい特長を十分に記載できる様式を用いるのが有利です。

今回の厚生労働省による様式作成の趣旨からすれば、企業側が特定の様式を指定しない場合に、「性別」「配偶者」「扶養家族数」「配偶者の扶養義務」「通勤時間」の各欄が無いことをもって、マイナスに評価することがあってはならないでしょう。

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