2023/05/23|1,068文字
<老齢年金受給者の願い>
働きながら老齢年金をもらう場合に、年金の一部がカットされるという話をよく耳にします。
しかし、必ずカットされるわけではなく、全額もらっている人もいます。
せっかくの年金ですから、基準を理解して1円たりとも削られずにもらいたいというのが、年金受給者の本音でしょう。
<社会保険に入らずに働く場合>
社会保険に入らなければ、基本的には給与などと年金との調整はありません。
つまり、社会保険に入る基準内で働いていれば、基本的に給与などと年金との調整がないのです。
そして、社会保険に入る原則の基準としては、正社員など正規職員の4分の3(7割5分)以上の所定労働日数かつ所定労働時間ですから、これを下回れば社会保険には入りません。
令和4(2022)年10月1日からは、次のすべての条件を満たしている場合にも、社会保険に入ることとなりました。
1.週の所定労働時間が20時間以上であること
2.賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること 3.2か月を超えて使用されることが見込まれること 4.社会保険に入る原則の基準を満たす従業員が101名以上の勤務先で働いていること 5.昼間学生ではないこと |
さらに、社会保険に入る原則の基準を満たす従業員が100名以下の企業でも、「労使合意(従業員の2分の1以上と事業主との合意)に基づき申し出た事業所」「地方公共団体に属する事業所」であれば、101名以上の事業所と同じ基準が適用されます。
具体的な加入基準は、その勤務先の正規職員の所定労働時間などによって左右されますので、求人広告に対して応募する際に、社会保険に入ることになるのか、入る基準を満たすのかは確認しておきましょう。
<社会保険に入って働く場合>(2023年度)
加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額=「基本月額」を算出します。
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)=「総報酬月額相当額」を算出します。
この「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が48万円以下であれば、年金は全額支給されます。
<この基準を満たしても高年齢雇用継続給付による調整に注意!>
高年齢雇用継続給付というのは、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳から65歳になるまでの加入者(被保険者)に対して、給与が60歳になった時の75%(4分の3)未満になった人を対象に、最高で給与の15%にあたる額が支払われるものです。
支給停止される年金額は、社会保険料の基準となる標準報酬月額の0.18%から6%にあたる額です。